彷徨いたどり着いた先

神崎

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ライバル

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 俊は時間もあるので、早めに帰って行く。クリスマスイブもそんなに長くは居られないだろう。だがそれだけでも手伝ってくれるのは助かる。キッチンの仕事も言えば器用に作れるのは、真二郎にとって助かるのだ。その間功太郎はカウンターで響子の手伝いも出来るし、ホールへ出ることも出来るから。
「ずっとバイトしてくれるといいんだけどな。」
 圭太は更衣室でシャツを脱ぎながらそう言っていた。だが高校の部活は休部しているだけだし、バイトだって短期だと割り切っているようだ。
「接客は向いている?」
 真二郎がそう聞くと、圭太はうなづいた。
「愛想がいいんだよ。なのに言葉遣いも悪くないし、あとはクレームを付ける客の対応くらいだな。親がホストだっけ。」
「らしいね。」
 ホストクラブを経営している父親と、化粧品メーカーに勤める母親は、家にいることが少ない。だが大会となると会社を休んで見に来たりする。特に問題のある家庭ではなさそうだ。
「ホストねぇ。俺、そっちだけは無理だな。」
 功太郎はそう言ってズボンをしまう。
「そうなの?」
「んー……女に媚びを売るの無理かな。お世辞言えないし。」
 それでも功太郎が女受けが良いのは、正直だからだ。はらはらすることもあるが、それで可愛がられるのだ。
「この間、弥生さんに太った?って聞いたら、めっちゃ切れられた。」
「当たり前だろ。体型のことを女性に言うなんて何を考えているんだ。」
 真二郎にとってその人ことはあり得ない。思っていても言わないことだ。
「響子は痩せたかな。」
 その言葉に圭太は少し黙った。朝ランニングをしているのだという。雨以外の日は毎日続けているらしく、痩せたのではなく筋肉がついたのだろう。
「走ってるみたいだ。汗だくで帰ってきてるよ。」
「ふーん。体力づくりかな。」
 軽く考えている。おそらくもう功太郎の中では、響子を忘れてしまったのかもしれないと言う疑問すら浮かんだ。
 着替えが終わって圭太はホールにでると、響子は携帯電話の画面を見ていた。そしてため息をつく。
「何かあったか?」
「ううん。別に。」
 画面を閉じると、響子はそのまま窓の戸締まりを確認した。何かあったのかは言いたくなければ言わなくても良いし、無理に聞こうとは思わない。だが話してくれないのは寂しいものだと思う。
「響子。今日家に来るか?」
 その言葉に響子は、圭太の方を見る。
「……何が食べたい?」
「家にあるモノで作るよ。」
「あなたが作るの?」
 女は食事を作るものだと、母に言われていた響子にとってその言葉は驚きの言葉だった。
「たまには作るよ。スーパーに寄るか。」
「そうね。」
 普通の会話をしていても、心が苦しい。圭太には一馬のことを言わないといけないだろう。なのに未だに何も言えない。

 ベッドの上で、相変わらず圭太は響子の嫌がることはしない。口にそれをくわえると、どうしても拉致されたときのことを思い出す。だから進んでして欲しいなど言わなかった。
「あっ!あ……。圭太……。」
 濡れているその性器に指がもう二本入っている。それを奥に入れて探ると、響子の声が変わるところがある。
「ここ?響子の良いところ。」
「あ……。」
 それでも最初にしたときよりもだいぶ慣れた。それに最近体力が増えているのか絶頂に達しても意識までは遠くならない。
「はっ!あっ!ああああ!」
 指の間から汁が漏れる。タオルを持ってきておいて良かった。そこに汁がぽたぽたと垂れている。
「大丈夫か?」
 手を拭いてその額に手を当てる。その温かさが心地良い。
「うん……。」
 顔を赤くして感じているのを見ると、愛しくなる。やはり誘ってきた喜美子とは全く違うのだ。やることは一緒かもしれない。だがその間に感情が無ければ、やっている意味など無い。
「そろそろ良いか?」
 ベッドの脇にあるコンドームを取り出すと、その袋を破ろうとした。そのとき響子が体を起こす。
「どうした?え……響子……あの……んっ……。」
 座り込んでいる圭太のそれに口を付けた。夏子がいつだったか「こうすると良いよ」ということを思い出しながら、それを続ける。
 唾液でべとべとになっている性器は、徐々に堅さを増していく。舌をのばし、筋を舐められると体がゾクゾクした。
「どこでそんな……んっ……。」
 口を動かす度に、卑猥な音がした。それは響子なりの謝罪だったのかもしれない。
「気持ちよかった?出てないけれど……。」
「出さないように堪えたんだよ。お前、どこでそんなこと……。」
「夏子に聞いたの。」
「あー……。」
 そういうことはプロの女だ。気持ちが良いところなど熟知しているのだ。
「そんなプロみたいなことをされてもな……。」
「嫌?」
「いいや。でも……進んでしなくても良いから。」
 響子の体を持ち上げると、そのままキスをする。そして手に持っていたコンドームの袋を破ると、その堅い性器につけた。
「そのまま乗るか?」
「うん……。そっちの方が、ひっつけるから。」
「可愛いことを言うな。お前。」
 膝の上に乗る。そしてそのまま性器同士が少しこすれ合った。
「あ……。」
「こんなところでイクなよ。」
 圭太はそういって性器を支えると、その中に入れ込んでいく。すると響子はそのまま圭太の体にしがみつくように、体を寄せた。
「ああああっ!」
「すごいな。んっ……そんなに絞めるなよ。」
「知らない……あっ!」
 自然と響子の膝が動いている。それと同時に、胸も揺れていた。思わずその胸に手を当てると、さらにそこが締まる。
「あっ!あっ!奥……当たって……。」
「気持ちいい……あぁ……。」
 そのとき、響子の手が圭太から離れる。そしてその体からも離れて、手で体を支えた。するとその繋がっているところが全部見えそうだ。
「見えてる。響子。俺の……んっ……。」
「あっ!」
「響子……。」
 びくびくと体を震わせると、体が弓なりのようになった。そしてそのまま圭太は響子を寝かせると、その唇にキスをする。
 そして手首をつかむと、両手の自由が利かない。それを上に上げ、再びそれを埋め込んでいく。すると響子はさっきよりも感じているように、体をくねらせた。
「マゾヒストなんだよ。嫌って言いながらも、体は感じているんだ。」
 真二郎の言葉が、蘇るとは思わなかった。だがその両手の自由が利かない状況に感じている響子を見て、その言葉が真実味を帯びてくる。
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