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奪い合い
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始発の電車で圭太は自分の住む町へ戻っていた。始発の電車はさすがに空いている。余裕でいすに座れた。
「もう……連絡しないから。」
聡子はそういって部屋から圭太を出した。
結論から言うと、セックスをしようと思ったのだ。あの何度か入った部屋で、久しぶりにキスをして服を脱がせあい、響子よりも小降りだが感度のいい胸に触れても何も思わなかった。
そして聡子は何度も絶頂に達していたのに、自分と言えば全く反応しなかったのだ。ぴくりともしないそれに聡子は幻滅したのだと思う。
自分が不全になってしまったのかと思う。そうなったら響子だって、幻滅するだろうか。そう思いながら圭太は駅に着いて出入りする乗客を見ていた。徐々に電車の中に人が乗ってくる。
「あれ?オーナー?」
しまった。こんな時に見られたくない人に見られた。だが無視も出来ない。
「真二郎。お前、帰りか?」
「あぁ。仕事は終わってたんだけどね。声をかけられて、そのままね。」
相手は男なのか女なのかわからないが、真二郎くらい割り切ることが出来ればどんな相手でもたつのだろうか。
真二郎はその隣に座ると、携帯電話を取り出して何かメッセージを打っている。その相手は響子なのか、誰なのかわからない。
「お前、盛んだよな。」
「そうかな。別に俺は求めてないんだけどね。求められれば答えてあげたいじゃない?どんなことでも求められるってのは、良いことだよ。」
「そっかな。」
「ところで響子は一緒じゃないの?」
「あー……。うん。違う。」
「今日、病院へ行くっていっていたから、てっきり夕べから一緒にいると思ってたのに。」
「……昔の仲間と飲みに行っててさ。響子は知らないヤツだし、知らないヤツには気を使うかなと思って。」
「あの性格じゃ、人を選ぶだろうね。」
必要とされれば答える真二郎と、人を選ぶところがある響子は、真逆に見えた。だが響子に言わせれば、真二郎の方が人の好き嫌いは激しいらしい。つまり、真二郎の人間関係は表面的なのだ。
それは圭太にも通じるところがある。
「何か……オーナーあれだね。」
「何?」
「お香みたいな匂いがするな。女の所でも行ってきた?」
その言葉に圭太は思わず視線をそらせる。聡子は以前、お香にはまっていて今はそんなに炊いていないようなのだが、布なんかにはまだその匂いが染み着いているらしい。それが移ってしまったのだろうか。
「……。」
すると真二郎は少し笑う。
「黙っとくよ。響子には。」
豪快に真二郎を振らせておいて、自分は女と居たのだ。圭太がそれだけちゃらんぽらんなことはわかっていたが、それでも腹が立つ。
だがそれで響子をかばう気はない。自分だって同じ事をしているのだから。
「……あのさ。ちょっと聞きたいことがあるんだけど。」
「何?」
いらいらしながら真二郎はその話を聞く。
「三十だろ。俺ら。」
「うん。」
「不全になるってあるのか。」
「あー……。」
つまり女の所へは行ったが、未遂だったのだ。それは圭太が立たなかったからだろう。これでは女も腹が立つはずだ。
「オーナーは、遊び人には向いてないんだろうね。」
「そもそもあまり遊んだりしねぇよ。」
「……今まで全部本気だったの?」
「そうだけど。」
「よく体が持つよねぇ。オ○ニーばっか?」
「ちゃかすなよ。本当に不全だったら困るじゃん。」
「……男ってさ。結構デリケートなんだよ。ウリセンしてて割り切れる客は良いけど、たまーに居るんだよ。ぜんぜん立たなかったって人も。金の無駄遣いだね。」
「……。」
「気持ちの問題かな。オーナーって風俗行ったことがある?」
「無いな。」
「行かない方が良いよ。金をどぶに捨てるようなものだ。でも本当に不全だったら、オ○ニーも出来ないと思うけどね。」
「そっか……。」
暗い顔だったのはそのせいか。そしてそれよりも腹が立って仕方がない。響子を置いて違う女とセックスしようとしていたのだ。
自分はこんなに我慢しているのに。
目を覚ますと、灰色のスウェットの生地が目の前に映った。それは功太郎が着ているスウェットの生地なのだろう。言われたとおりに功太郎の心臓の音を聞きながら眠っていたらしい。そしてそのおかげかとてもすっきりとしている。よく眠れたらしい。
だがもう起きたい。薄暗い時間からすると病院の時間には余裕はあるが、真二郎がいつ帰ってくるかわからないのだ。
「……。」
体を動かすと、功太郎は寝ぼけているようにぎゅっと体をますます抱きしめてくる。
「起きたいってのに。」
すると抱きしめているその手が腰のあたりに降りてきた。そしてそのわき腹に手を置かれる。
「や……ちょっと。あははっ。くすぐらないで……。
すると功太郎も目を開けて、布団の中でわきの下にまで手を伸ばす。するとさらに響子が笑い出した。
「あはは……。ちょっと……やめなさいって。」
布団の中だからわからないが、もうすでにシャツの中に手を入れているのだ。それがわからないほど、響子はそのくすぐっている手に反応しているのだろうか。すべすべしているその肌は、張りがあって温かい。
「あ……。ちょっと……。」
胸に手を当ててみた。すると響子の表情がこわばる。
「見ていい?」
「駄目。」
その胸はとても温かくて、信じられないほど柔らかい。そろそろとシャツを脱がせようとした。だがその手を響子の手が止める。
「駄目……。」
「真二郎に遠慮しなくていいんだし、今まで我慢してきたんだ。良いだろ?」
「それでも駄目。」
「何で?」
「……私の体ってみっともないのよ。幻滅するわ。それにこんな朝で……真二郎がいつ帰ってくるかわからないし。」
わざと圭太の名前を出さなかった。ここで圭太の名前を出せば、きっと残酷だと思ったから。
「真二郎が帰ってくるのって早い?」
「わかんないけれど、今日はまたウリセンの仕事が昼からあるって言っていたし……。」
すると功太郎は、響子の体を壁の方へ向ける。そしてその両脇から手を入れて胸に触れてきた。
「ちょっと……。」
「すごい。柔らかいな。温かくて……。」
手がシャツを脱がす。そして下着のホックを取られた。直接触れる手が、響子の顔を赤くする。
「もう……連絡しないから。」
聡子はそういって部屋から圭太を出した。
結論から言うと、セックスをしようと思ったのだ。あの何度か入った部屋で、久しぶりにキスをして服を脱がせあい、響子よりも小降りだが感度のいい胸に触れても何も思わなかった。
そして聡子は何度も絶頂に達していたのに、自分と言えば全く反応しなかったのだ。ぴくりともしないそれに聡子は幻滅したのだと思う。
自分が不全になってしまったのかと思う。そうなったら響子だって、幻滅するだろうか。そう思いながら圭太は駅に着いて出入りする乗客を見ていた。徐々に電車の中に人が乗ってくる。
「あれ?オーナー?」
しまった。こんな時に見られたくない人に見られた。だが無視も出来ない。
「真二郎。お前、帰りか?」
「あぁ。仕事は終わってたんだけどね。声をかけられて、そのままね。」
相手は男なのか女なのかわからないが、真二郎くらい割り切ることが出来ればどんな相手でもたつのだろうか。
真二郎はその隣に座ると、携帯電話を取り出して何かメッセージを打っている。その相手は響子なのか、誰なのかわからない。
「お前、盛んだよな。」
「そうかな。別に俺は求めてないんだけどね。求められれば答えてあげたいじゃない?どんなことでも求められるってのは、良いことだよ。」
「そっかな。」
「ところで響子は一緒じゃないの?」
「あー……。うん。違う。」
「今日、病院へ行くっていっていたから、てっきり夕べから一緒にいると思ってたのに。」
「……昔の仲間と飲みに行っててさ。響子は知らないヤツだし、知らないヤツには気を使うかなと思って。」
「あの性格じゃ、人を選ぶだろうね。」
必要とされれば答える真二郎と、人を選ぶところがある響子は、真逆に見えた。だが響子に言わせれば、真二郎の方が人の好き嫌いは激しいらしい。つまり、真二郎の人間関係は表面的なのだ。
それは圭太にも通じるところがある。
「何か……オーナーあれだね。」
「何?」
「お香みたいな匂いがするな。女の所でも行ってきた?」
その言葉に圭太は思わず視線をそらせる。聡子は以前、お香にはまっていて今はそんなに炊いていないようなのだが、布なんかにはまだその匂いが染み着いているらしい。それが移ってしまったのだろうか。
「……。」
すると真二郎は少し笑う。
「黙っとくよ。響子には。」
豪快に真二郎を振らせておいて、自分は女と居たのだ。圭太がそれだけちゃらんぽらんなことはわかっていたが、それでも腹が立つ。
だがそれで響子をかばう気はない。自分だって同じ事をしているのだから。
「……あのさ。ちょっと聞きたいことがあるんだけど。」
「何?」
いらいらしながら真二郎はその話を聞く。
「三十だろ。俺ら。」
「うん。」
「不全になるってあるのか。」
「あー……。」
つまり女の所へは行ったが、未遂だったのだ。それは圭太が立たなかったからだろう。これでは女も腹が立つはずだ。
「オーナーは、遊び人には向いてないんだろうね。」
「そもそもあまり遊んだりしねぇよ。」
「……今まで全部本気だったの?」
「そうだけど。」
「よく体が持つよねぇ。オ○ニーばっか?」
「ちゃかすなよ。本当に不全だったら困るじゃん。」
「……男ってさ。結構デリケートなんだよ。ウリセンしてて割り切れる客は良いけど、たまーに居るんだよ。ぜんぜん立たなかったって人も。金の無駄遣いだね。」
「……。」
「気持ちの問題かな。オーナーって風俗行ったことがある?」
「無いな。」
「行かない方が良いよ。金をどぶに捨てるようなものだ。でも本当に不全だったら、オ○ニーも出来ないと思うけどね。」
「そっか……。」
暗い顔だったのはそのせいか。そしてそれよりも腹が立って仕方がない。響子を置いて違う女とセックスしようとしていたのだ。
自分はこんなに我慢しているのに。
目を覚ますと、灰色のスウェットの生地が目の前に映った。それは功太郎が着ているスウェットの生地なのだろう。言われたとおりに功太郎の心臓の音を聞きながら眠っていたらしい。そしてそのおかげかとてもすっきりとしている。よく眠れたらしい。
だがもう起きたい。薄暗い時間からすると病院の時間には余裕はあるが、真二郎がいつ帰ってくるかわからないのだ。
「……。」
体を動かすと、功太郎は寝ぼけているようにぎゅっと体をますます抱きしめてくる。
「起きたいってのに。」
すると抱きしめているその手が腰のあたりに降りてきた。そしてそのわき腹に手を置かれる。
「や……ちょっと。あははっ。くすぐらないで……。
すると功太郎も目を開けて、布団の中でわきの下にまで手を伸ばす。するとさらに響子が笑い出した。
「あはは……。ちょっと……やめなさいって。」
布団の中だからわからないが、もうすでにシャツの中に手を入れているのだ。それがわからないほど、響子はそのくすぐっている手に反応しているのだろうか。すべすべしているその肌は、張りがあって温かい。
「あ……。ちょっと……。」
胸に手を当ててみた。すると響子の表情がこわばる。
「見ていい?」
「駄目。」
その胸はとても温かくて、信じられないほど柔らかい。そろそろとシャツを脱がせようとした。だがその手を響子の手が止める。
「駄目……。」
「真二郎に遠慮しなくていいんだし、今まで我慢してきたんだ。良いだろ?」
「それでも駄目。」
「何で?」
「……私の体ってみっともないのよ。幻滅するわ。それにこんな朝で……真二郎がいつ帰ってくるかわからないし。」
わざと圭太の名前を出さなかった。ここで圭太の名前を出せば、きっと残酷だと思ったから。
「真二郎が帰ってくるのって早い?」
「わかんないけれど、今日はまたウリセンの仕事が昼からあるって言っていたし……。」
すると功太郎は、響子の体を壁の方へ向ける。そしてその両脇から手を入れて胸に触れてきた。
「ちょっと……。」
「すごい。柔らかいな。温かくて……。」
手がシャツを脱がす。そして下着のホックを取られた。直接触れる手が、響子の顔を赤くする。
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