彷徨いたどり着いた先

神崎

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 こんな体で幻滅されないだろうか。拉致されたのも体が中学生にしては成熟していたから。人が多くやってきて代わる代わる響子を抱いたのも、響子の体がこんなに敏感だから。半月も飽きることなくあらゆる手で抱いていたのは、響子の体が淫乱だから。圭太もそう思わないだろうか。そう思うと、圭太をはねのけたくなる。
 だが圭太は、まだ快感と冷静の間にいる響子の頭を撫でると、その唇にキスをする。
「男冥利につきるな。」
「え……。」
「こんなに反応してもらえると、男で良かったって思うよ。」
「幻滅しない?」
 息を切らせて響子はそう聞くと、圭太は少し笑った。
「何で?こんなに俺で感じてくれると、すごい嬉しいと思う。気持ち良かったか?」
「……うん……。でも……。」
 うずうずしている。もっと欲しいと思った。圭太をもっと感じたいと思う。それを言うのが恥ずかしいし、自分の口から言えない。本当に自分が淫乱になった気がするから。
「指、増やしてみて良いか?」
「圭太……あの……。」
「ん?」
 また下腹部に手をはわせようとした圭太の手を響子の手が止める。その様子に、圭太は不安そうに聞いた。
「イヤか?」
 体が気持ち良くても心がついていかなければ、やっていることはあの犯罪者達と同じだ。それを危惧して、圭太は手を引く。
「そうじゃないの……。あの……こんな事を言っていいのかわからないけど……あなたが……。」
 圭太が欲しい。その一言が言えない。それをいったらあの男達の言ったとおりになりそうだから。
「響子。俺もお前が欲しい。でも苦しくないか?」
 それは圭太なりに響子を気遣ってのことだった。出来るなら入れ込みたい。だがますます思い出させるだろう。何より、自分が響子を好きだと思っていても、響子がそれを求めているのかわからない。響子の口から「好き」と言う言葉は未だに無いのだから。
「あなたが欲しい……。私が男を欲しがる日が来ると思っていなかったけれど……もう駄目なの。我慢できなくて……圭太。あなたが好きだから、あなたが欲しいの。」
 ついに言ってしまった。認めたくない感情を言葉にしてしまい、響子の顔が感じているのは口にしたことのない気持ちを告げたことから赤く染まっている。
「俺もお前が欲しい。好きだから。」
「こんな体で、幻滅しない?」
「何を言ってるんだ。すごい感じてくれてる。それが嬉しい。」
 少し知識だけがあるだけだ。それで女が満足すると思っていたから。だがそんな知識なんかどうでもいい。ただ欲しい。誰にも渡したくない。そして響子のことが好きだ。その感情だけが征服する。
「ちょっと待てよ。」
 ベッドの上にあるコンドームに手を伸ばす。そしてその袋を破り、自分の性器にそれを付け始める。頼りなさそうなゴムの感触だし、少しサイズが合っていないのだろうか。若干きつい。そう言えば、別の女とこういうホテルへ来たときも、こんな所の備え付けのコンドームなんか使ったことはなかった。
 全て計算していたから、こういうところに来てもコンドームはいつも用意していたのに、今日は持っていない。それだけ自分の中で計算外のことで、感情のままにやってきたのだ。この際計画とか、計算とかどうでもいい。衝動的だと言われてもかまわない。ただ好きだという感情だけで動いているのは、獣のようだと思う。
 仰向けになっている響子に乗り上げて、足を開かせる。そこからは物欲しげに汁を垂れていた。それに自分の性器をすり付けると、水の音がする。
「入れるぞ。」
 手で支えて、その中に入れ込み始める。思った以上に中は狭く、とても濡れている感触がした。入れ込むとぐじゅっという音がしたから。
「あ……。」
 痛い。あれから相当時がたっているのだ。まるで体を引き裂かれているような感覚がある。それに耐えるように響子はシーツをつかんだ。
「痛いか?」
 さすがに出血はないが相当そこが狭くキツく締めてくるのは、おそらく相当時がたっているから。
「痛い……だけど……やめないで。」
「だったらシーツじゃなくて、手を掴めよ。ほら。」
 手をさしのべると、そこに響子が手を掴んできた。思えば手に触れるだけでイヤな顔をしたのに、今は望んで手を掴んでくる。その力が強い。
 ぐっと奥に入れ込むたびに、響子は声を上げた。
「あっ!あ……。」
 やっと奥まで入り込むと、圭太はそのまま響子の上に倒れ込んだ。そして何もいわずに唇を重ねる。
「痛くないか?」
「痛いけれど、嬉しい。」
「嬉しい?」
「思い出すかと思ったの。だけどあなたと一つになれたことの方が嬉しい。」
 その言葉に、圭太は少し笑う。そしてまた唇を重ねた。
「俺も嬉しいから。それに……幸せだ。」
「うん……。」
「でも無理はするなよ。俺……加減が出来ないかもしれないし。」
「良いわ……。もっと感じさせて。」
「言ったな。」
 少し笑いあい、圭太は体を起こすと響子の腰を掴んでその中を突き始める。突き上げる度に汁があふれ、響子の胸が揺れる。
「あっ!あっ!奥……。奥当たって……。」
 響子を持ち上げると、壁に押し当てた。そして首に捕まらせると、圭太の太股にも汁が垂れる。
「また締まってきたな。ほら……。きゅんきゅんいってる。」
「知らない……。あっ!」
 ラブホテルなのだ。こういうことをする場であるし、中には真二郎のように商売で来ている人もいるだろう。商売なら、そこに愛なんかはない。だが響子と圭太の間には、愛がある。やっとお互いの気持ちを伝えあったのだ。
「圭太……だ……また……イく……。イきそう……。」
「俺もそろそろイきそうだ……。くっ……駄目……だ……。んっ……。あ……。」
「ああああっ!」
 その瞬間、響子は圭太の体をぎゅっと抱き寄せた。そして圭太も響子の体を抱き寄せる。
 お互いの吐息が交差し、響子は呆然としているようだ。先に体を起こしたのは圭太の方で、その赤く染まっている顔に軽くキスをする。
「大丈夫か?」
 何度も聞いてくる。それだけ響子を気遣ってくれたのだ。それが嬉しい。
「大丈夫……。中……すごい温かい。」
「あぁ……すごい出た。」
「そんなことを言わないでよ。」
 いつもの調子が出た。圭太は少し笑い、また軽くキスをして響子の中から出て行く。最近抜いていなかったのか、量が出ている。先に溜まったコンドームを取ると、ティッシュでくるもうとした。
「すごい出てるのね。」
 あの時、コンドームを使った人は居なかった。それを珍しそうに響子は見て、そしてそれだけ圭太が自分を大事にしてくれていることにほっとする。
 この人で良かった。響子はそう思いながら、体を起こすと圭太の体に体を寄せる。
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