38 / 88
第38話 巨乳でクールな受付嬢、俺を見て取り乱す
しおりを挟む
◇◇
久々のギルド。まず顔を合わせたのがイライザだったのは、正直言って胸くそ悪かったけど、まあ、そういうこともあるよな。
俺はサンとともに受付嬢のエイミーの前に立った。
「やあ、エイミーさん」
「もしかしてピートさん!?」
「ええ、そうです」
「生きてたのですね! 嬉しっ……じゃないわね。ええっと、ど、どうしましょう」
エイミーさんは小さな眼鏡を落としそうなくらいに取り乱した。
クールで、時折見せる微笑みとのギャップが激しくて隠れファンの多い彼女。
大きな胸をたゆんと揺らしながら、あたふたしている。
こんなに慌てた姿を見たのは初めてだから、むしろ見ていて楽しい。
「ピートさん……。ジロジロ見過ぎです」
サンが背後からとんでもなく低い声でささやいてきた。
冷や汗がたらりとひたいを流れる。
ゾンビになったトラビスがあらわれた時以上のホラー感がはんぱない。
と、とにかく話を前に進めた方がよさそうだな。いろんな意味で。
「エイミーさん、落ち着いて。ダニエルさんと話がしたいんだ」
「はっ! そ、そうですね。ギルド長をお呼びするのが一番ですね!」
「あ、わざわざ呼ばなくてもいいよ。俺から出向くから」
「その必要はないぞ、ピート」
ドスのきいただみ声が背後からかけられる。
急いで振り返ってみると、そこには白ひげのいかついおっさんが立っていた。
「ぎ、ギルド長!!」
そう、彼がギルド長のダニエル。
眉間にしわを寄せ、鋭い視線を俺に向けている。
……が、白い歯を見せてニンマリと笑ったかと思うと、パッと明るい表情に変わった。
「よくぞ帰ってきおった! もうダメかと思ったぞ!!」
ダニエルが太い腕を俺の肩に回し、ぐりぐりと首を絞めてくる。
「ははっ。俺もダメかと思ったんですけどね。サンが助けてくれたんです」
「サン? ああ、あの優秀なゴーレムか。今はどこにおるのだ?」
「そこですよ」
「そこ?」
優秀と言われて嬉しかったのだろう。サンは顔を真っ赤にしてもじもじしている。
そんな彼女を俺は指さした。
ダニエルは目を大きく見開いて、しばらくあぜんとしていたが、ぐっと表情を引き締め、俺と向きあった。
「ついにやりおったな」
「ん? 何をですか?」
「いや、ここで話すのはなんだ。わしの部屋へきなさい。おい、エイミーや。王宮からフレッドさんを呼んできてくれ。今すぐに」
「は、はいっ!」
おいおい、フレッドって言えば、王宮の中でもエリート中のエリート。
さらに超一流の魔術師としても知られている。
国家機密のほとんどは彼を通じているって言われるような超大物だぞ……。
しかも冒険者たちが罪を犯した際に処罰を決める査問委員会の議長だったような――。
あ、もしかして俺、罪に問われるのか……?
だって魔王アルゼオンの封印を解いてしまったのは、俺がニックたちを止められなかったせいでもあるからな。
国を揺るがす大事件を引き起こした犯人グループの一味――と言われれば、否定できない。
「ガハハハッ! そう暗い顔するでない! 誰もおまえさんを取って食おうなんて考えちゃいねえさ!」
「いえ、食われる心配はしてないんですけど、投獄されちゃうのかなって。でも俺まだダンジョンでやらなきゃいけないことがあるので……」
「だから心配は無用だ!」
ダニエルのおっさんは自信たっぷりに分厚い胸を張る。
なんでそう言い切れるんだよ……。
と、問いかける前に、コンコンとドアがノックされ、いかにも切れ者といった風貌の青年が入ってきた。
「はじめまして、私はフレッド。君がピート君かね?」
細い声、突き刺すような視線、流れるような動作――。
すべてに無駄なんて一切ない。
どんなウソでも一瞬で見抜かれそうだな。
あ、でもこの国にいるはずもないか。
フレッド相手に平気な顔してウソをつける大バカなんか――。
久々のギルド。まず顔を合わせたのがイライザだったのは、正直言って胸くそ悪かったけど、まあ、そういうこともあるよな。
俺はサンとともに受付嬢のエイミーの前に立った。
「やあ、エイミーさん」
「もしかしてピートさん!?」
「ええ、そうです」
「生きてたのですね! 嬉しっ……じゃないわね。ええっと、ど、どうしましょう」
エイミーさんは小さな眼鏡を落としそうなくらいに取り乱した。
クールで、時折見せる微笑みとのギャップが激しくて隠れファンの多い彼女。
大きな胸をたゆんと揺らしながら、あたふたしている。
こんなに慌てた姿を見たのは初めてだから、むしろ見ていて楽しい。
「ピートさん……。ジロジロ見過ぎです」
サンが背後からとんでもなく低い声でささやいてきた。
冷や汗がたらりとひたいを流れる。
ゾンビになったトラビスがあらわれた時以上のホラー感がはんぱない。
と、とにかく話を前に進めた方がよさそうだな。いろんな意味で。
「エイミーさん、落ち着いて。ダニエルさんと話がしたいんだ」
「はっ! そ、そうですね。ギルド長をお呼びするのが一番ですね!」
「あ、わざわざ呼ばなくてもいいよ。俺から出向くから」
「その必要はないぞ、ピート」
ドスのきいただみ声が背後からかけられる。
急いで振り返ってみると、そこには白ひげのいかついおっさんが立っていた。
「ぎ、ギルド長!!」
そう、彼がギルド長のダニエル。
眉間にしわを寄せ、鋭い視線を俺に向けている。
……が、白い歯を見せてニンマリと笑ったかと思うと、パッと明るい表情に変わった。
「よくぞ帰ってきおった! もうダメかと思ったぞ!!」
ダニエルが太い腕を俺の肩に回し、ぐりぐりと首を絞めてくる。
「ははっ。俺もダメかと思ったんですけどね。サンが助けてくれたんです」
「サン? ああ、あの優秀なゴーレムか。今はどこにおるのだ?」
「そこですよ」
「そこ?」
優秀と言われて嬉しかったのだろう。サンは顔を真っ赤にしてもじもじしている。
そんな彼女を俺は指さした。
ダニエルは目を大きく見開いて、しばらくあぜんとしていたが、ぐっと表情を引き締め、俺と向きあった。
「ついにやりおったな」
「ん? 何をですか?」
「いや、ここで話すのはなんだ。わしの部屋へきなさい。おい、エイミーや。王宮からフレッドさんを呼んできてくれ。今すぐに」
「は、はいっ!」
おいおい、フレッドって言えば、王宮の中でもエリート中のエリート。
さらに超一流の魔術師としても知られている。
国家機密のほとんどは彼を通じているって言われるような超大物だぞ……。
しかも冒険者たちが罪を犯した際に処罰を決める査問委員会の議長だったような――。
あ、もしかして俺、罪に問われるのか……?
だって魔王アルゼオンの封印を解いてしまったのは、俺がニックたちを止められなかったせいでもあるからな。
国を揺るがす大事件を引き起こした犯人グループの一味――と言われれば、否定できない。
「ガハハハッ! そう暗い顔するでない! 誰もおまえさんを取って食おうなんて考えちゃいねえさ!」
「いえ、食われる心配はしてないんですけど、投獄されちゃうのかなって。でも俺まだダンジョンでやらなきゃいけないことがあるので……」
「だから心配は無用だ!」
ダニエルのおっさんは自信たっぷりに分厚い胸を張る。
なんでそう言い切れるんだよ……。
と、問いかける前に、コンコンとドアがノックされ、いかにも切れ者といった風貌の青年が入ってきた。
「はじめまして、私はフレッド。君がピート君かね?」
細い声、突き刺すような視線、流れるような動作――。
すべてに無駄なんて一切ない。
どんなウソでも一瞬で見抜かれそうだな。
あ、でもこの国にいるはずもないか。
フレッド相手に平気な顔してウソをつける大バカなんか――。
0
お気に入りに追加
168
あなたにおすすめの小説
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
神の使いでのんびり異世界旅行〜チート能力は、あくまで自由に生きる為に〜
和玄
ファンタジー
連日遅くまで働いていた男は、転倒事故によりあっけなくその一生を終えた。しかし死後、ある女神からの誘いで使徒として異世界で旅をすることになる。
与えられたのは並外れた身体能力を備えた体と、卓越した魔法の才能。
だが骨の髄まで小市民である彼は思った。とにかく自由を第一に異世界を楽しもうと。
地道に進む予定です。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる