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第23話 ピートさん、今夜は私と同じベッドで寝ませんか?
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◇◇
「ふぃー!! くったぁ!」
「美味しかったです!」
食事を終えたサンたち。みな幸せそうに目をとろんとさせている。
しかしよく食べるなぁ……。
でかいイノシシ1頭をあっという間にたいらげたうえに、保存用にとってあったドラゴンの燻製まで『別腹』とか言って全部食っちゃうんだもんな。
こりゃ、明日からの狩りは気合いを入れて取り掛からないといけないな。
「おなかいっぱいでねむく……むにゃむにゃ」
ピピはこてんと横になったかと思うと、もう小さな寝息を立てはじめている。
「ピートさん、どうしましょう?」
「叩き起こして追い出すわけにもいかないしな。今日は俺のベッドで寝かせよう」
「ピートさんはどうするんです?」
「あ、俺? そこらへんで適当に横になるから平気だよ」
「で、でしたら、あの……」
サンが続きを言いづらそうにもじもじしている。
「ん? どうした? 顔がリンゴみたいに真っ赤だぞ。熱でもあるのか?」
「ち、違います! 私はただ……」
「ただ?」
「……ピートさん、私たちのサイズにあわせて大きなベッドを作ってくれたでしょ?」
そう言われれば確かにそうだったな。
ゴーレムは大人の男性2人分くらいの大きさだからな。
ベッドもキングサイズじゃないと、横になった時に体がはみ出てしまう。
と言っても、ゴーレムは立って寝る習性があるから、サンたちは一度もベッドを使ったことがないと聞いていたが……。
「それがどうしたんだ?」
「だ、だから……。あの、ええっとね。い、今なら2人で1つのベッドでも平気かなって……」
「えっ……。それってまさか……」
同じベッドで一緒に寝ようってこと……?
ゴクリと唾を飲み込み、サンを見つめる。
ゴツゴツしたゴーレムだった時はまったく意識してなかったけど、サンは女の子なんだよな。
彼女が人間の姿に変わった今、同じ屋根の下で同年代の女の子と暮らしていることが、よりリアリティをもって感じられ、胸がドキドキしてきた。
「ピートさん……。あの……だから……」
あらためてサンを見つめる。
ほどよい弾力のありそうな胸やお尻、すらっとした足、やせすぎでもなく太っているとも言えない絶妙な丸みを帯びた体つき――。
もし彼女と並んで寝たら……思わずゴクリと唾を飲み込む。
……と、サンと目が合った瞬間。
「もうっ! それ以上は言わせないでくださいっ!」
サンが顔を隠しながら俺の肩をポンと軽く押した。
ほんと軽くだよ。
それこそ仲の良い友達に頼み事をした際に「頼んだよ」って言いながら肩に手を乗せるみたいな、それくらいのノリだったのに――。
「うああああ!!」
ふわりと体が浮いたかと思うと、一気に壁際まで吹っ飛ばされたのだ。
――ドォォン!!
壁に打ち付けられ、後頭部をしこたま打つ。
「ピートさん!!」
サンの慌てる声が遠くに聞こえる。
おかげでよく分かったよ。
人間の姿に変わってもゴーレムの頃とステータスは変わらないんだな……ガクッ。
「ふぃー!! くったぁ!」
「美味しかったです!」
食事を終えたサンたち。みな幸せそうに目をとろんとさせている。
しかしよく食べるなぁ……。
でかいイノシシ1頭をあっという間にたいらげたうえに、保存用にとってあったドラゴンの燻製まで『別腹』とか言って全部食っちゃうんだもんな。
こりゃ、明日からの狩りは気合いを入れて取り掛からないといけないな。
「おなかいっぱいでねむく……むにゃむにゃ」
ピピはこてんと横になったかと思うと、もう小さな寝息を立てはじめている。
「ピートさん、どうしましょう?」
「叩き起こして追い出すわけにもいかないしな。今日は俺のベッドで寝かせよう」
「ピートさんはどうするんです?」
「あ、俺? そこらへんで適当に横になるから平気だよ」
「で、でしたら、あの……」
サンが続きを言いづらそうにもじもじしている。
「ん? どうした? 顔がリンゴみたいに真っ赤だぞ。熱でもあるのか?」
「ち、違います! 私はただ……」
「ただ?」
「……ピートさん、私たちのサイズにあわせて大きなベッドを作ってくれたでしょ?」
そう言われれば確かにそうだったな。
ゴーレムは大人の男性2人分くらいの大きさだからな。
ベッドもキングサイズじゃないと、横になった時に体がはみ出てしまう。
と言っても、ゴーレムは立って寝る習性があるから、サンたちは一度もベッドを使ったことがないと聞いていたが……。
「それがどうしたんだ?」
「だ、だから……。あの、ええっとね。い、今なら2人で1つのベッドでも平気かなって……」
「えっ……。それってまさか……」
同じベッドで一緒に寝ようってこと……?
ゴクリと唾を飲み込み、サンを見つめる。
ゴツゴツしたゴーレムだった時はまったく意識してなかったけど、サンは女の子なんだよな。
彼女が人間の姿に変わった今、同じ屋根の下で同年代の女の子と暮らしていることが、よりリアリティをもって感じられ、胸がドキドキしてきた。
「ピートさん……。あの……だから……」
あらためてサンを見つめる。
ほどよい弾力のありそうな胸やお尻、すらっとした足、やせすぎでもなく太っているとも言えない絶妙な丸みを帯びた体つき――。
もし彼女と並んで寝たら……思わずゴクリと唾を飲み込む。
……と、サンと目が合った瞬間。
「もうっ! それ以上は言わせないでくださいっ!」
サンが顔を隠しながら俺の肩をポンと軽く押した。
ほんと軽くだよ。
それこそ仲の良い友達に頼み事をした際に「頼んだよ」って言いながら肩に手を乗せるみたいな、それくらいのノリだったのに――。
「うああああ!!」
ふわりと体が浮いたかと思うと、一気に壁際まで吹っ飛ばされたのだ。
――ドォォン!!
壁に打ち付けられ、後頭部をしこたま打つ。
「ピートさん!!」
サンの慌てる声が遠くに聞こえる。
おかげでよく分かったよ。
人間の姿に変わってもゴーレムの頃とステータスは変わらないんだな……ガクッ。
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