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第3章
迷いの森救出戦6
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俺がここまで急いだには理由があった。
出来ればティナとゲンが合流する前にカタをつけようと考えているのである。
なぜならここに二人がいれば、目の前の魔物は容赦なくそちらを狙ってくるであろう事は、火を見るより明らかだからだ。
まずは少女の解放だ。
俺は無駄だと思いつつ、
「…その子を離せ」
と要求した。
無論、相手はそんな要求を呑む訳もなく、
「フフフ、無駄だと分かっていてもそのセリフを言っちゃうところが勇者っぽくて素敵よ」
と一蹴した。
「…なら仕方ないな…死ね」
と俺は殺気を高める。
そんな俺に対しても平然とした表情で、その場を楽しんでいる様子のデカイ花の魔物は
「私も魔物っぽい事を言っちゃおうかしら」
と笑顔をもらした。
ギュウ!
「うぐぅ…」
パトラの首に巻きついていたツルが締まる。
パトラが苦しそうにもがいた。
「…きさま…」
「フフフ、こっちには人質がいるのよ。その手にしている剣を捨てなさい」
「…くっ…」
カラン…
俺は足元に剣を落とした。
それを魔物から伸びたツルが回収する。
そして剣先をパトラの方へと向けた。
魔物は笑顔で俺を見つめる。
「ああ、素敵な状況だわ…あなたの困っている顔…素敵よ」
ドゴッ!
地面からツルが突如として現れて、俺の足をからめようと伸びてくる。
「…うっ!」
かろうじてそれをジャンプしてかわす。
「フフフ、少し遊んであげる。
私に攻撃してきたら、この少女をあなたの剣で容赦なく貫くわ。
私の攻撃を、私の魔力が尽きるまでかわし続けたら、この少女を解放してあげる。どうかしら?」
「…選択権はあるのか?」
「フフフ、ないわ…ね。さあ始めましょう。一方的な拷問の始まりよ。
この魔王直属第17軍団、植物族軍団長のアルラウネの攻撃に耐えられるかしら?フフフ」
◇◇
「アシッドレイン!!」
アルラウネが魔法を唱える。すると上空から強い酸性の雨が降り注いできた。
「…風の精よ!我を包め!『ウィンドバリア』!」
ブワッ…
強い竜巻のような風が俺を包み、酸性の雨を弾き飛ばす。
「風には風!ウィンドカッター!!」
バシュ!バシュ!
「土の精よ!古来東国に伝わる忍びの技で我を守れ!『土遁(どとん)』!」
ドゴッ!!
俺の目の前の土が壁となって盛り上がる。
ドドドド!
その壁に風の刃が突き刺さるが、貫通は出来ない。
しかし、
シュ!
壁からツルが槍のように鋭く伸びてきた。
「…うぐ!」
それを上体だけでかわすが、かわしきれずに頬とわき腹をかすめた。
「フフフ、さすが勇者ね。攻撃を回避するのもすごくお上手だわ」
すでに20分以上はこのような一方的なアルラウネの魔法とツルによる攻撃が続いていた。
ティナたちの足と残った魔物たちの数を考えると、あと15分といったところか…
これ以上は時間がかけられないと俺は内心焦っていた。
しかし目の前のパトラを人質に取られている以上、無茶は出来ない…
あとどれくらいあるか分からないアルラウネの魔力が尽きるのを祈るしかない状況であった。
しかし、そんな俺の唯一の希望をアルラウネは無惨にも砕いた。
「フフフ…私の魔力がいつ尽きるのか、気になっているんでしょう?」
俺は無言で睨みつける。
「フフフ、残念だけど…それは期待しない方がいいわ。
だって私の魔力は…」
俺の目じりがピクリと動く。
その様子を見てアルラウネの笑顔が一層気味悪くなった。
「キヒヒヒヒヒ!!!さっきあんたが通ってきた大きな泉の水そのものなのだから!
そしてあの泉は常に大量の水が注がれているの!キヒヒヒヒ!」
俺の瞳が大きくなる。
やはりあの時、泉に大きな魔物の反応があったのはこの為だったのか…
アルラウネの根があの泉につながって、水を吸い上げているのだ。
大量に水が注がれて、枯れる事がない泉。
それはアルラウネの魔力が尽きる事がない事を意味していた。
「さあ!再開しましょう!キヒヒヒ!死ね!」
再び彼女の攻撃が始まろうとした、その時だった…
「おい!勇者!なにやってんだよ!?」
懸命に走ってここまで来た事を証明するように、肩で息をした少年ゲンが仁王立ちして、俺を睨みつけていた。
ばかな…なぜ…ゲンがここにいる?
俺は想定外の出来事を飲みこめないでいた。
ほどなくゲンはツルにつかまっている少女を見つけると、
「パトラァァァァ!!」
と無謀にもアルラウネに向かって走り出した。
「キヒヒヒヒ!地獄の入口へようこそ!ぼうや」
驚愕によって青くなる俺の顔とは対照的に、アルラウネの顔はさらに喜色に染まっていった。
出来ればティナとゲンが合流する前にカタをつけようと考えているのである。
なぜならここに二人がいれば、目の前の魔物は容赦なくそちらを狙ってくるであろう事は、火を見るより明らかだからだ。
まずは少女の解放だ。
俺は無駄だと思いつつ、
「…その子を離せ」
と要求した。
無論、相手はそんな要求を呑む訳もなく、
「フフフ、無駄だと分かっていてもそのセリフを言っちゃうところが勇者っぽくて素敵よ」
と一蹴した。
「…なら仕方ないな…死ね」
と俺は殺気を高める。
そんな俺に対しても平然とした表情で、その場を楽しんでいる様子のデカイ花の魔物は
「私も魔物っぽい事を言っちゃおうかしら」
と笑顔をもらした。
ギュウ!
「うぐぅ…」
パトラの首に巻きついていたツルが締まる。
パトラが苦しそうにもがいた。
「…きさま…」
「フフフ、こっちには人質がいるのよ。その手にしている剣を捨てなさい」
「…くっ…」
カラン…
俺は足元に剣を落とした。
それを魔物から伸びたツルが回収する。
そして剣先をパトラの方へと向けた。
魔物は笑顔で俺を見つめる。
「ああ、素敵な状況だわ…あなたの困っている顔…素敵よ」
ドゴッ!
地面からツルが突如として現れて、俺の足をからめようと伸びてくる。
「…うっ!」
かろうじてそれをジャンプしてかわす。
「フフフ、少し遊んであげる。
私に攻撃してきたら、この少女をあなたの剣で容赦なく貫くわ。
私の攻撃を、私の魔力が尽きるまでかわし続けたら、この少女を解放してあげる。どうかしら?」
「…選択権はあるのか?」
「フフフ、ないわ…ね。さあ始めましょう。一方的な拷問の始まりよ。
この魔王直属第17軍団、植物族軍団長のアルラウネの攻撃に耐えられるかしら?フフフ」
◇◇
「アシッドレイン!!」
アルラウネが魔法を唱える。すると上空から強い酸性の雨が降り注いできた。
「…風の精よ!我を包め!『ウィンドバリア』!」
ブワッ…
強い竜巻のような風が俺を包み、酸性の雨を弾き飛ばす。
「風には風!ウィンドカッター!!」
バシュ!バシュ!
「土の精よ!古来東国に伝わる忍びの技で我を守れ!『土遁(どとん)』!」
ドゴッ!!
俺の目の前の土が壁となって盛り上がる。
ドドドド!
その壁に風の刃が突き刺さるが、貫通は出来ない。
しかし、
シュ!
壁からツルが槍のように鋭く伸びてきた。
「…うぐ!」
それを上体だけでかわすが、かわしきれずに頬とわき腹をかすめた。
「フフフ、さすが勇者ね。攻撃を回避するのもすごくお上手だわ」
すでに20分以上はこのような一方的なアルラウネの魔法とツルによる攻撃が続いていた。
ティナたちの足と残った魔物たちの数を考えると、あと15分といったところか…
これ以上は時間がかけられないと俺は内心焦っていた。
しかし目の前のパトラを人質に取られている以上、無茶は出来ない…
あとどれくらいあるか分からないアルラウネの魔力が尽きるのを祈るしかない状況であった。
しかし、そんな俺の唯一の希望をアルラウネは無惨にも砕いた。
「フフフ…私の魔力がいつ尽きるのか、気になっているんでしょう?」
俺は無言で睨みつける。
「フフフ、残念だけど…それは期待しない方がいいわ。
だって私の魔力は…」
俺の目じりがピクリと動く。
その様子を見てアルラウネの笑顔が一層気味悪くなった。
「キヒヒヒヒヒ!!!さっきあんたが通ってきた大きな泉の水そのものなのだから!
そしてあの泉は常に大量の水が注がれているの!キヒヒヒヒ!」
俺の瞳が大きくなる。
やはりあの時、泉に大きな魔物の反応があったのはこの為だったのか…
アルラウネの根があの泉につながって、水を吸い上げているのだ。
大量に水が注がれて、枯れる事がない泉。
それはアルラウネの魔力が尽きる事がない事を意味していた。
「さあ!再開しましょう!キヒヒヒ!死ね!」
再び彼女の攻撃が始まろうとした、その時だった…
「おい!勇者!なにやってんだよ!?」
懸命に走ってここまで来た事を証明するように、肩で息をした少年ゲンが仁王立ちして、俺を睨みつけていた。
ばかな…なぜ…ゲンがここにいる?
俺は想定外の出来事を飲みこめないでいた。
ほどなくゲンはツルにつかまっている少女を見つけると、
「パトラァァァァ!!」
と無謀にもアルラウネに向かって走り出した。
「キヒヒヒヒ!地獄の入口へようこそ!ぼうや」
驚愕によって青くなる俺の顔とは対照的に、アルラウネの顔はさらに喜色に染まっていった。
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