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第4章 サラの正体

第95話 遂に俺の実力を明かすことにしました②

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「な、何のつもりだ下民!」

 突如乱入してきた俺に王子が叫ぶ。

「いえ、そろそろ隠すのも面倒になってきたと思いましてね。ちょうどいい機会ですから、一回ここら辺で格の違いを見せようと思ったまでですよ」

 俺がそう言うと王子だけでなく、アランやその仲間たち、諜報部の人間までもが何言ってんだって顔をし出した。

 まぁさっきまでアランに守られていた俺が急に言い出したのだから当たり前と言えば当たり前か。

 ただみんなそんな顔をするとは……。

 シャーロット先生と学園長は顔が青ざめていると言うのに……。

 俺がシャーロット先生の方に顔を向けると、『やめてください! こんなところで暴れてもらっては困ります!』とでも言いたげにオロオロしている。

 ちょっと可哀想にも思えて来るが今回だけは目を瞑ってもらおう。

「君には用事はないし、傷つけたくはない。なので離れていてくれると助かるのだが……」

 そう言って優しく諭して来る諜報部の人間たち。

 やっぱりみんな優しい人たちなんだろうなぁ……でも手加減はするが容赦はしない。

「いえ、彼女は俺の大切な人なのでそうは行かないのですよ」

 俺がそう言うと外野の方から『キャー!』と黄色い声が聞こえてきた。

「見て! あの優しそうなイケメンがとうとう告白まがいのことをしたわ!」

「ずるいずるいずるい! 私もあんなイケメンに告白されて大事にされたい!」

 どうやら今の言葉が告白に聞こえたようだ。

 まぁそれは後で誤解を解くとしよう。

 諜報部の人たちは、見るからに落胆している。
 
 本当に巻き込みたくはなかったのだろう。

 難儀な人達だ。

「では邪魔をすると言うことで間違いないか?」

 一気に敵意がます諜報部。

 流石プロと言うことか。

 情に流されることなく敵になり得る相手なら誰であろうと躊躇わない。

 だが今回は相手が悪かったな。

「そうだな。俺はサラを守る為にお前たちの邪魔をさしてもらおう」

 俺がそう言うと更に周りの気温が下がった気がした。

 そんな空気をぶっ壊したのはアランだった。

「き、君! ここは危ないから下がっていた方がいい」

「ならお前たちは勝てるのか?」

「い、いや……」

 俺がそう言うとだんまりしてしまう勇者一行。

「なら下がっていろ。邪魔なだけだ」

 先程まで守っていた相手に邪魔と言われて固まっている。

「早く退いてくれ。それともお前もサラを連れ去ろうとしているのか?」

「いや違う! ……わかった。危なくなったら助けるからね!」

 俺がそう言うとやっと下がってくれた。

 要らない言葉を残して。

 お前如きに俺が助けられるわけないだろうが。

「すまないな。邪魔な奴を退かしていたら時間がかかってしまった」

 俺がそう言うと諜報部の奴らは困惑した様子で、

「お前より強い奴を下げてよかったのか?」

 と聞いて来るので、己に課していた制限を解除する。

 その瞬間諜報部の奴らは戦闘体勢に入り、他の奴らは顔を青くし始めた。

 それは勇者たちも例外ではない。

 アランは顔を真っ青にしてガタガタと震えているが、戦意は無くしていない。

 しかしその他の仲間は完全に戦意が喪失している。

 まぁ現時点ではこんなものか。

「い、一体……どう言うことだ……! 何故これ程の力が……。や、やれ! 此奴は殺せ!」

 王子が俺の力にびびって諜報員をけし掛ける。

 やはりプロだけあって連携の取れたいい戦い方をする。

 1人が俺に真正面から挑んでくる。

 武器は両手剣のようで、素早く三連撃を繰り出して来る。

「はぁああ!」

 しかし俺にはそれがスローモーションで見える為、全て最小限の動きで回避し、最後の一撃に合わせて人差し指で剣をぶっ壊す。

「な、何!?」

「お前の速度じゃ勝てないぞ」

 俺は剣を壊されたことにより動揺している諜報員を蹴り飛ばす。

「グハッ———!?」

「くっ、3人で囲め!」

 すると大剣と両手剣とレイピアを持った3人の諜報員が前方、後方、右方から攻撃して来る。

 しかし俺はそれを全て殴り折り、1人づつ死なないように吹っ飛ばしていく。

 しかしどうやら何かの魔道具を使っているようで、すぐに体制を立て直す。

 そして何処からともなく武器を取り出し再び攻めて来る。

 今度は6人がかりで全方位から襲って来た。

 ちゃんと専用スキルで。

「専用スキル【海竜の鉤爪】ッッ!!」

「専用スキル【大地を砕く一撃ブレイクアース】ッッ!!」

「専用スキル【瞬閃】ッッ!!」

「専用スキル【爆破斬】ッッ!!」

「専用スキル【覇拳】ッッ!!」

「専用スキル【審判の鎖】ッッ!!」

 これは流石にそのままで受け切るには少し怪我をするな。

 だが流石に神気を使う程のものでもない。

 よって俺がすることは一つ。

 俺は魔法の指輪から闇夜を取り出し、居合の構えに入る。

 その時間僅か0.07秒。

 そして———抜刀。

「専用スキル———【白夜を斬り裂く一閃】」

 衝撃音。

 破壊音。

 そして刀が鞘に納刀される音。

 諜報員は真っ二つに武器を斬られ、魔道具の防衛能力すらも斬り裂いて命中。

 一瞬にして6人の諜報員が地に伏せる。

 それを見たものにある感情は1つ。

 圧倒的な恐怖だ。

「う、うわぁあああああ!!」

「ひぃいいいいい!!」

 残りの諜報員が悲鳴を上げて逃げようとする。

 しかし———

「逃すと思っているのか? お前たちはサラに危害を加えようとしたんだ。タダで済むと思うな」

 わざわざ逃してやるほど俺は優しくはない。

 俺は一瞬で先回りして2人を斬り伏せる。

 そして残り2人は尻餅をついてガタガタと震えている。

「き、君は……」

「な、なんて力……」

「お、俺にすら全く見えなかった……」

 ふと後ろを見ると勇者たちはへたり込んで何やらぶつぶつ言っている。

 まぁそのうち立ち直るだろう。

 それよりも酷いのが外野だ。

 女子も男子も、

「かっ、かっこよすぎ……」

「やばいです……惚れてしまいます……」

「なんだよ彼奴……めちゃくちゃカッケェじゃねぇか……!」

「俺、あいつの友達になりたい。そして弟子にしてもらう!」

 まぁ好意的に見られているならいいか。

 もしもの時はサラを守ってくれるかもしれないし。

 さて、後2人を処理するとするか。

 残っている2人は全く怯えた感じを見せていない。

 だが、力の差をひしひしと感じているのか冷や汗を大量にかいている。

「隊長……これマジでヤバいですね……」

「ああ……だが殺されはしないようだし、本気で攻撃しても大丈夫だろう」

「本気で攻撃しても多分傷一つつけれないと思いますけどね」

 この2人はよく俺との力の差を分かっているようだ。

 しかし王子がいる手前逃げることもできないか。

「では強者の学生よ! いざ参る!」

「同じく行かせてもらいますよ!」

 隊長格の人は刀を持っていた。

 この世界で俺以外で刀を持っている奴を初めて見たな。

 もう1人は完全に暗殺者のような奴だな。

 隊長が走りながら刀の柄に触れる。

 なら俺も同じようにやるとするか。

「素晴らしい刀ですな。何処で見つけたのやら」

「俺のお気に入りの武器屋にたまたま置いてあった。それにこれだけではないぞ?」

 俺は白夜も取り出し腰につける。

「ガハハッッ!! コイツは驚いた! やはり世界は広いな! 国を出てよかったぜ!」

 そう言って隊長が専用スキルを発動させる。

「専用スキル【五月雨斬り】」

 成程、手数でいこうと言うわけか。

 ならこちらは一撃で行こう。





 ———絶望の訪れと共に夜明け希望を祈る———




「久しぶりのお出ましだ。こい———《神剣夜明け》」

 2つの刀が合わさり世界最強の刀が現れる。

「お前は絶対に俺には勝てない」




「———神技【夜明けを告げる】———」




 その瞬間に全ての物が斬れた。

 隊長の専用スキルも刀も。

 後ろに迫ってきていた短剣の専用スキルも。





 そして



 


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