上 下
180 / 333

魔法・必殺技解説:その6

しおりを挟む
◆魔法◆

◇【音《サウンド》】

 属性に応じた音声で対象を惑乱させる支援魔法。

 その名の通り聴覚が正常に機能している限り回避は難しく、おおよそ狙った通りの効果が見込める魔法。

 ただ、しょせんは音による錯覚であり攻撃でも何でもない為、魔力量や練度によって効果は随分変わる。

 実際に殺傷力を帯びさせる為には勇者や聖女、魔王や序列一位、六花の魔女や神晶竜くらいの力が必要。

 本編中では、シルドが水属性を纏わせる事で磁砂竜《じさりゅう》なや分裂体に水中の音を届け、まるで溺れてしまったかのような錯覚を覚えさせる事により撃退していた。

 【土音《サウンド》】なら音叉のように精神を安定させる音、或いは金属同士を擦り合わせた不快な音を発生させて。

 【雷音《サウンド》】なら雷が落ちた時の音が苦手な者に限り精神を不安定にさせ、そのまま失神させる事もできる。


◇【降《フォール》】

 属性に応じて空からの襲撃を行う攻撃魔法。

 いつの世も、どこの世界でも頭上からの攻撃は奇襲性が非常に高く、この魔法も決して例外ではないが。

 その奇襲性を発揮できるかどうかは術者次第。

 何しろ術者の魔力量や練度によって高度が大きく変化し、もちろん高ければ高いほど有効であるからだ。

 また、この魔法は元から自然に空から降る可能性のある属性で行使すると威力と精度が増し、雨を降らせる【水降《フォール》】、雷を落とす【雷降《フォール》】は更に有効となる。

 【氷降《フォール》】なら雪、或いは雹や霰を降らせ。

 【光降《フォール》】なら浄化と癒しの光の粒子を降らせる。

 ただ、これは一般的な魔法使いの場合であり聖女が行使すると魔を完全に消滅させる聖光の驟雨となる。


◆必殺技◆

◇【引鉄指弾《トリガースナップ》】

 スタークの馬鹿みたいな膂力からなる指パッチン。

 基本的には指を弾いた時に発生する破裂音や衝撃波を狭範囲でぶつける技だが、その衝撃を対象に向けた人差し指に沿うように放つ事で銃撃っぽくもできる。

 しかし威力も貫通力も銃弾とは比べ物にならない。

 ……もちろん遥かに凌駕するという意味で。


◇【竜装《りゅうそう》】

 スタークがパイクを変化させて纏う神晶竜の鎧。

 角を携えた竜の頭に四枚の羽、両手足の鋭い爪、剣にも矛にも鞭にもなり得る尻尾をその身に再現する。

 剣や矛の状態では攻撃特化ゆえ、あまりに強い衝撃が相手だと傷ついたり折れたりする事もあるが、この状態だと鎧だからか【守備力】も中々のものがある。

 勇竜剣《リントヴルム》をディーリヒトのオリジナルとするなら、この鎧はスタークとパイクのオリジナルだと言えよう。


◇【竜矛一掃《ヴルムスイープ》】

 上述の【竜装《りゅうそう》】状態で放つ超広範囲への一撃。

 剣や矛の状態で放つ【竜剣一閃《ヴルムソード》】や【竜矛一穿《ヴルムパイク》】とは異なり、この技は対多数戦闘専用の必殺技である。

 分裂体とはいえ【竜種】の群れを一瞬にして消しとばすほどの威力を見せたが、あれでも本気ではない。


◇【大槌踏蹴《ハンマーストンプ》】

 スタークの馬鹿みたいな膂力からなる足踏み。

 以前、貧乏揺すりで小規模の地震を起こした事があったが、それを技に昇華したのがこの【大槌踏蹴《ハンマーストンプ》】。

 ただ、この技は地面を揺らして地割れを起こすとかそういうのではなく、その足踏み一つで発生する震動で届く範囲に存在する全ての動きを止める事が可能。

 本編中では【美食国家】の時さえ止めかけていた。

 ちなみに、やろうと思えば超巨大規模で地割れを発生させて大陸を分断してしまう事も不可能ではない。


◇【螺旋条拳《ライフリングノック》】

 腕の関節を無理やり外して発条のように捩り、その腕を弾性で戻す時に発生する衝撃を打撃に込める技。

 威力より貫通力をメインとした技であり、そこだけを見るなら【竜矛一穿《ヴルムパイク》】に勝るとも劣らぬ力を持つ。

 ただまぁ正直めちゃくちゃ痛い為、強いとは分かっていても普通の彼女であれば基本的には行使しない。

 つまり本編中は普通ではなかったという事である。


◇【円月輪踵蹴《チャクラムシュート》】

 スタークの馬鹿みたいな膂力からなる踵落としを直撃させず、そのまま一回転する事で放つ円状の一撃。

 直撃させる【断頭落としギロチンドロップ】が打撃であるのに対し。

 こちらは対象をスパッと両断する無慈悲な斬撃。

 威力は大差なく、フェアトに通じないのも同じ。

 対象に触れたくない時に使う技──……らしい。


◇【一視同仁《イコール》】

 かつての勇者であり双子の父親でもあるディーリヒトが生まれつき持っていた、この世で最も平等な力。

 ……そして、最も理不尽な力でもある。

 相手がどれだけ硬くとも関係なく彼の攻撃は通り。

 たとえ魔法への耐性があろうと彼の魔法は通り。

 逆に、どれだけ弱い攻撃でも彼には通じてしまう。

 ……今のスタークと同じように。

 ディーリヒトは最後の最後までこの力を自覚する事はなかったが、それでも生まれ落ちたその瞬間から本能的に使いこなし、その理不尽なまでの平等を強いる力で並び立つ者たちシークエンスの殆どと魔王を討ち倒したのだ。

 この力がなければ、いくら全属性に高い適性を持っていても、いくら強い正義感があっても天上の神々が彼を勇者として選定する事はなかったと断言できる。

 魔王はおろか神々さえ超える力を秘めているから。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

処理中です...