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あたしに翼はねぇからな
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そんな回想もそこそこに、場面は空の戦いへ戻り。
「──あ"ぁもう鬱陶しい!!」
『『『ジュイィッ!?』』』
矢継ぎ早に襲いくる磁砂竜《じさりゅう》の群れに、そろそろ戦闘意欲を苛立ちの方が上回りかけていたスタークは、まるで虫でも払うかのように腕をぶんっと振り、もはや技でも何でもないのに磁砂竜《じさりゅう》たちは吹き飛んでいく。
技でも何でもない──とは言うものの、その一撃は殆ど大鎌縄打ちという腕を振るい敵を両断する必殺技と大差なく、こうなってしまうのも無理はなかった。
その後、間を置く事なく決して弱くない土と雷の魔法とともに特攻してくる磁砂竜《じさりゅう》たちを、『スタークだけに任せるわけにはいかない』とばかりに、パイクとシルドが風や土を始めとした魔法にて迎撃する中で。
(せめて一匹一匹が【竜種】相応に強ぇってんなら、この数が相手でも萎えずに戦い続けられんだがなぁ……)
スタークは、パイクの背から振り落とされないようにと体幹を活かしてバランスを取りつつ、この瞬間も目の前で魔法の応酬を繰り広げる二種の竜種の強さを比較したうえで、『比べるのもおこがましい』と早々に磁砂竜《じさりゅう》への興味を失くしている事を自覚していた。
……中途半端な強さしかないのは別にいい。
目の前の竜種の強さが、この程度だというのなら。
……次から次へと突撃してくるのも別にいい。
際限なく溢れる戦闘意欲を解消できるのだから。
──だが、しかし。
「──ちったぁ強さに幅ぐらい持たせやがれぇ!!」
『『ジギャアッ!?』』
『りゅい"……っ!』
それはそれとして、どれもこれも全く変わり映えのない強さしか持ち合わせていない事は彼女にとってもストレスにしかなっておらず、それを少しでも晴らさんとした衝撃波を伴う怒号により、パイクまでもが決して浅くないダメージを負い苦痛の声を上げる一方。
(やっぱり……もう飽きが来てるんだ)
その叫びに嫌というほどこめられていた『飽き』の感情を悟ったフェアトが、『誰が始めた戦いだと思って……』とシルドの操縦席で溜息をこぼしていた時。
「……っ、おいフェアト! 何かこう……特徴とかねぇのか!? さっき言ってた核になる個体とやらの!!」
「特徴、ですか──……っ、そういえば」
そんな妹からの呆れなど知る由もないスタークからの、『磁砂竜の特徴、知ってるなら教えろ』という何とも今更な叫びに対し、フェアトが姉にジトッとした視線を向けながらも記憶を深く掘り起こしていると。
「核になる器官を持つ個体は一般的な魔物や獣における、『群れの長』に相当するんです! つまり、この中で最も『危機管理能力』の高い個体が属性袋《プロパタンク》を──」
どうやら思い当たる事があったらしく、フェアトは精一杯の声量で核となる器官──属性袋《プロパタンク》を持つ個体が魔物や獣、竜種まで含めた群生生物の長に相当し、ゆえに他より危機に敏感な個体こそが『核』なのだと。
倒すべき個体なのだと叫ばんとしたところ──。
「危機管理能力……って事ぁ──」
妹からの助言を最後まで聞く事なく、スタークは何やら妙案でも思いつかんとしているのか、やはり戦いの中でだけは働く頭脳をフル回転させているようで。
次の瞬間、ハッと顔を上げたかと思えば──。
「──パイク! あれやるぞ!!」
『……! りゅう!』
何を思い出したのかは知らないが、かなりの自信がある事は分かる得意げな笑みを浮かべるスタークの意味深な叫びに、パイクは若干の間を置いてからではあるものの『あれ』とやらを理解して了承の意を示し。
「あれ、って……シルド、何か知ってます?」
『りゅ~?』
「……ですよね」
翻って、ほんの少しも思い当たる節がないフェアトが、パイクの妹であるシルドに『お姉さんから何か聞いてませんか』と尋ねるも、フェアトの予想通り何も知らないらしいシルドは首をかしげる事しかしない。
「魔導国家の通り魔騒動が終わった後の一週間……何も王女サマの相手だけしてたわけじゃねぇ! あたしらはあたしらで連携を強化してた! その証拠がぁ──」
そんな中、【風壁《バリア》】によって周囲の磁砂竜《じさりゅう》を近づけないようにしているパイクの背に乗るスタークは、どこの誰に聞かせているのかも分からない『魔導国家王都、ジカルミア周辺での鍛錬』を自慢げに語り出したかと思うと、その勢いのまま軽く上方向に跳躍して。
「──これだぁ!!」
『りゅあーっ!!』
そう叫んだ瞬間、呼応するかの如く大きく甲高く一鳴きしたパイクが四枚の翼を大きく広げて追随すると同時に、その全身が強く神々しい光に覆われ始めた。
『『『ジュアァアア……ッ!?』』』
「な、何が……!?」
『りゅー!?』
その煌々たる光は分裂体とはいえ立派な一個体でもある磁砂竜たちの網膜を焼き、されどフェアトやシルドには被害を及ぼす事もなく更に輝きを増していく。
スタークを中心として次第に収束し始めていた閃光の中には、すでに神晶竜としてのパイクの姿はない。
瞬間、とても光が弾けた音や衝撃とは思えない金属音が響き、それに伴う暴風が吹き荒れたかと思えば。
「あたしとパイクの本気──【竜装《りゅうそう》】だぁああ!!」
『りゅうーーーーっ!!』
「りゅ、竜装……!?」
そこでは、かつて序列十位《ジェイデン》や序列二十位《トレヴォン》と戦った時にも見せた機械チックで半透明な竜の爪──だけでなく、あろう事かパイクの翼や尻尾、牙や角までもを自身の身体に纏わせたスタークが愉しげに叫んでいた。
(……前は手の爪だけだったのに……パイクの前脚と後脚の爪と翼、尻尾や牙までもが姉さんの身体に……!)
そんな光景を見ていたフェアトは改めて姉の身に起こった事を再確認しつつ、『あれは二人にとって負担ではないんだろうか』と姉コンビを心配していたが。
「……あたしは足も速ぇし泳ぐのも得意だが、どうにも空中に放り出された時の対処法は思いつかなかったんだよ。 あたしに、パイクみてぇな翼はねぇからな」
そんな妹の心境など露知らず、スタークは感情にでも浸っているかのような口振りとともに、これまでの経験から陸や海はともかく、パイクやシルドのように自由に飛べない事から空での戦いは苦手だと明かす。
現に、あの辺境の地にいた頃も翼を持つ魔物であったり、【飛《フライ》】を行使し空を飛んで逃げようとしたりする咎人などを相手どった事はあったが、そのどれもが無理やり地上に落としてから斃すというのが殆どで。
「だがこれなら、この【竜装《りゅうそう》】なら! あたしの膂力を削がねぇまま、どこでだって竜種の機動力で暴れられる! 陸だろうが海だろうが──空だろうがなぁ!!」
こうして自分自身が空を舞っての戦いをこそ望んでいたらしく、スタークは両爪をバキバキと鳴らしながら四枚の翼を大きく広げ、いかにも戦いの中に生きる者の愉悦めいた笑みとともに膨大な魔力を解き放つ。
『『『ジ、イィイイ……ッ!』』』
その行動は決して攻撃ではなかったが、それでも先程までとは比べ物にならない質量を持った重圧を受けた磁砂竜たちが確かな戦慄を覚えている一方で──。
(戦闘狂《バーサーカー》じゃん、もう……)
魔導国家王都ジカルミア周辺での野盗退治の時にも思った、『姉=戦闘狂』の公式が再び成立してしまった事実に、フェアトはまたも溜息をこぼすのだった。
……分かりきっていた事では、あるのだが。
姉と妹の温度差が異常なほど開いていた、その時。
もはや百を優に上回っていようという磁砂竜《じさりゅう》の群れの奥の奥──スタークや神晶竜たちの超人的な視野にすら映るかどうかという最も離れた位置を飛ぶ個体。
『──……ジアァアア……』
漆黒の砂嵐とも称される、その歪な身体の中心にある黄色の光と雷撃を纏う器官──雷の属性袋《プロパタンク》を持った個体は静かに砂状の牙と爪を研ぎ、その瞬間を待つ。
圧倒敵劣勢を覆す形勢逆転の、その瞬間を──。
「──あ"ぁもう鬱陶しい!!」
『『『ジュイィッ!?』』』
矢継ぎ早に襲いくる磁砂竜《じさりゅう》の群れに、そろそろ戦闘意欲を苛立ちの方が上回りかけていたスタークは、まるで虫でも払うかのように腕をぶんっと振り、もはや技でも何でもないのに磁砂竜《じさりゅう》たちは吹き飛んでいく。
技でも何でもない──とは言うものの、その一撃は殆ど大鎌縄打ちという腕を振るい敵を両断する必殺技と大差なく、こうなってしまうのも無理はなかった。
その後、間を置く事なく決して弱くない土と雷の魔法とともに特攻してくる磁砂竜《じさりゅう》たちを、『スタークだけに任せるわけにはいかない』とばかりに、パイクとシルドが風や土を始めとした魔法にて迎撃する中で。
(せめて一匹一匹が【竜種】相応に強ぇってんなら、この数が相手でも萎えずに戦い続けられんだがなぁ……)
スタークは、パイクの背から振り落とされないようにと体幹を活かしてバランスを取りつつ、この瞬間も目の前で魔法の応酬を繰り広げる二種の竜種の強さを比較したうえで、『比べるのもおこがましい』と早々に磁砂竜《じさりゅう》への興味を失くしている事を自覚していた。
……中途半端な強さしかないのは別にいい。
目の前の竜種の強さが、この程度だというのなら。
……次から次へと突撃してくるのも別にいい。
際限なく溢れる戦闘意欲を解消できるのだから。
──だが、しかし。
「──ちったぁ強さに幅ぐらい持たせやがれぇ!!」
『『ジギャアッ!?』』
『りゅい"……っ!』
それはそれとして、どれもこれも全く変わり映えのない強さしか持ち合わせていない事は彼女にとってもストレスにしかなっておらず、それを少しでも晴らさんとした衝撃波を伴う怒号により、パイクまでもが決して浅くないダメージを負い苦痛の声を上げる一方。
(やっぱり……もう飽きが来てるんだ)
その叫びに嫌というほどこめられていた『飽き』の感情を悟ったフェアトが、『誰が始めた戦いだと思って……』とシルドの操縦席で溜息をこぼしていた時。
「……っ、おいフェアト! 何かこう……特徴とかねぇのか!? さっき言ってた核になる個体とやらの!!」
「特徴、ですか──……っ、そういえば」
そんな妹からの呆れなど知る由もないスタークからの、『磁砂竜の特徴、知ってるなら教えろ』という何とも今更な叫びに対し、フェアトが姉にジトッとした視線を向けながらも記憶を深く掘り起こしていると。
「核になる器官を持つ個体は一般的な魔物や獣における、『群れの長』に相当するんです! つまり、この中で最も『危機管理能力』の高い個体が属性袋《プロパタンク》を──」
どうやら思い当たる事があったらしく、フェアトは精一杯の声量で核となる器官──属性袋《プロパタンク》を持つ個体が魔物や獣、竜種まで含めた群生生物の長に相当し、ゆえに他より危機に敏感な個体こそが『核』なのだと。
倒すべき個体なのだと叫ばんとしたところ──。
「危機管理能力……って事ぁ──」
妹からの助言を最後まで聞く事なく、スタークは何やら妙案でも思いつかんとしているのか、やはり戦いの中でだけは働く頭脳をフル回転させているようで。
次の瞬間、ハッと顔を上げたかと思えば──。
「──パイク! あれやるぞ!!」
『……! りゅう!』
何を思い出したのかは知らないが、かなりの自信がある事は分かる得意げな笑みを浮かべるスタークの意味深な叫びに、パイクは若干の間を置いてからではあるものの『あれ』とやらを理解して了承の意を示し。
「あれ、って……シルド、何か知ってます?」
『りゅ~?』
「……ですよね」
翻って、ほんの少しも思い当たる節がないフェアトが、パイクの妹であるシルドに『お姉さんから何か聞いてませんか』と尋ねるも、フェアトの予想通り何も知らないらしいシルドは首をかしげる事しかしない。
「魔導国家の通り魔騒動が終わった後の一週間……何も王女サマの相手だけしてたわけじゃねぇ! あたしらはあたしらで連携を強化してた! その証拠がぁ──」
そんな中、【風壁《バリア》】によって周囲の磁砂竜《じさりゅう》を近づけないようにしているパイクの背に乗るスタークは、どこの誰に聞かせているのかも分からない『魔導国家王都、ジカルミア周辺での鍛錬』を自慢げに語り出したかと思うと、その勢いのまま軽く上方向に跳躍して。
「──これだぁ!!」
『りゅあーっ!!』
そう叫んだ瞬間、呼応するかの如く大きく甲高く一鳴きしたパイクが四枚の翼を大きく広げて追随すると同時に、その全身が強く神々しい光に覆われ始めた。
『『『ジュアァアア……ッ!?』』』
「な、何が……!?」
『りゅー!?』
その煌々たる光は分裂体とはいえ立派な一個体でもある磁砂竜たちの網膜を焼き、されどフェアトやシルドには被害を及ぼす事もなく更に輝きを増していく。
スタークを中心として次第に収束し始めていた閃光の中には、すでに神晶竜としてのパイクの姿はない。
瞬間、とても光が弾けた音や衝撃とは思えない金属音が響き、それに伴う暴風が吹き荒れたかと思えば。
「あたしとパイクの本気──【竜装《りゅうそう》】だぁああ!!」
『りゅうーーーーっ!!』
「りゅ、竜装……!?」
そこでは、かつて序列十位《ジェイデン》や序列二十位《トレヴォン》と戦った時にも見せた機械チックで半透明な竜の爪──だけでなく、あろう事かパイクの翼や尻尾、牙や角までもを自身の身体に纏わせたスタークが愉しげに叫んでいた。
(……前は手の爪だけだったのに……パイクの前脚と後脚の爪と翼、尻尾や牙までもが姉さんの身体に……!)
そんな光景を見ていたフェアトは改めて姉の身に起こった事を再確認しつつ、『あれは二人にとって負担ではないんだろうか』と姉コンビを心配していたが。
「……あたしは足も速ぇし泳ぐのも得意だが、どうにも空中に放り出された時の対処法は思いつかなかったんだよ。 あたしに、パイクみてぇな翼はねぇからな」
そんな妹の心境など露知らず、スタークは感情にでも浸っているかのような口振りとともに、これまでの経験から陸や海はともかく、パイクやシルドのように自由に飛べない事から空での戦いは苦手だと明かす。
現に、あの辺境の地にいた頃も翼を持つ魔物であったり、【飛《フライ》】を行使し空を飛んで逃げようとしたりする咎人などを相手どった事はあったが、そのどれもが無理やり地上に落としてから斃すというのが殆どで。
「だがこれなら、この【竜装《りゅうそう》】なら! あたしの膂力を削がねぇまま、どこでだって竜種の機動力で暴れられる! 陸だろうが海だろうが──空だろうがなぁ!!」
こうして自分自身が空を舞っての戦いをこそ望んでいたらしく、スタークは両爪をバキバキと鳴らしながら四枚の翼を大きく広げ、いかにも戦いの中に生きる者の愉悦めいた笑みとともに膨大な魔力を解き放つ。
『『『ジ、イィイイ……ッ!』』』
その行動は決して攻撃ではなかったが、それでも先程までとは比べ物にならない質量を持った重圧を受けた磁砂竜たちが確かな戦慄を覚えている一方で──。
(戦闘狂《バーサーカー》じゃん、もう……)
魔導国家王都ジカルミア周辺での野盗退治の時にも思った、『姉=戦闘狂』の公式が再び成立してしまった事実に、フェアトはまたも溜息をこぼすのだった。
……分かりきっていた事では、あるのだが。
姉と妹の温度差が異常なほど開いていた、その時。
もはや百を優に上回っていようという磁砂竜《じさりゅう》の群れの奥の奥──スタークや神晶竜たちの超人的な視野にすら映るかどうかという最も離れた位置を飛ぶ個体。
『──……ジアァアア……』
漆黒の砂嵐とも称される、その歪な身体の中心にある黄色の光と雷撃を纏う器官──雷の属性袋《プロパタンク》を持った個体は静かに砂状の牙と爪を研ぎ、その瞬間を待つ。
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