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第44話
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自嘲気味な呟きが耳に届く。内奥の入り口を唾液と思しきもので湿らされ、指を出し入れされる。感じる異物感は、内奥の襞と粘膜を擦り上げられているうちに砂糖菓子のように溶け、もどかしい疼きだけが残る。
唾液をさらに垂らされ、指の本数を増やされながら、和彦の内奥は綻んでいく。三本の指をしっかりと挿入され、掻き回すように蠢かされていた。
「んうっ……、は、あぁっ。んっ、んっ」
「ほら、しっかり腰を上げて、俺によく見せろ。お前のいやらしい――」
魅力的な声が紡ぐ卑猥な言葉は、まるで愛撫そのものだ。和彦は涙ぐみながら、懸命に指示に従う。
開いた足の間に片手が差し込まれ、反り返った欲望を掴まれる。その間も、内奥を指で押し広げられ、潤う蜜がない代わりに、たっぷりの唾液を施された。
「ひぁっ」
欲望の先端を擦り上げられて、腰が揺れる。
「この部屋に、綿棒はあるか?」
「……な、に……」
「あとでここも、じっくり可愛がってやる。漏らすほどな」
和彦の肌がざっと粟立つ。苦痛と紙一重の狂おしい刺激――快感を思い出したからだ。男たちによって目覚めさせられた感覚に、自分はすでに虜になりつつあるのではないかと、ふいに怖さを覚える。だが、嫌だとは言えなかった。それが賢吾の手によってもたらされるものなら、なおさらだ。
内奥から指が引き抜かれ、背後で賢吾が身じろぐ気配がする。
戦くほど熱いものが、喘ぐようにひくつく内奥の入り口に擦り付けられる。それだけで和彦は鼻にかかった呻き声を洩らしていた。
「――入れるぞ。和彦」
低い囁きとともに、圧倒的な力によって内奥を押し広げられる。重苦しい痛みが下肢に広がり、和彦は慎重に息を吐き出す。すかさず、欲望の太い部分を呑み込まされていた。
「はっ……、あっ、あっ、あぅっ……」
「相変わらず、美味そうに咥えるな。そんなに、〈これ〉が好きか?」
含まされたばかりのものがあっさりと引き抜かれ、尻の肉を割り開かれる。また検分されているのだとわかり、全身から汗が噴き出す。
このとき賢吾は何を考えたのか、肉を掴む指に力が入った。
そして再び侵入が始まる。
「ふっ、うっ……、んあぁっ」
無意識に前へと逃れそうになる和彦だが、そのたびに引き戻される。まるで刺し貫くように欲望を捩じ込まれ、衝撃に息が詰まる。襞と粘膜を擦り上げられながら、まだ頑なな肉を押し広げられるのだ。姿勢のせいもあり、圧迫感と痛みをよりはっきりと味わうこととなる。
賢吾の形を強く感じる。それに熱さと硬さも。これが、自分に向けられる執着と独占欲だと思うと、苦痛すら、不思議と愛しく思えてくるのだ。
体の中を賢吾の肉で埋め尽くされたと感じ始めたところで、一際大きく腰を突き上げられる。これ以上なく深くしっかりと賢吾と繋がった瞬間だった。
和彦が大きく息を喘がせていると、尻から腰にかけて撫でられる。賢吾がどんな顔をしているのか見てみたかったが、それは叶わない。
緩やかな律動が始まり、内奥深くを丹念に突かれる。堪えきれず上げた声は愉悦を滲ませていた。蠢く逞しいものを、和彦は本能のままに締め付け、淫らな襞と粘膜をまとわりつかせる。気がついたときには、律動に合わせて腰を前後に揺らしていた。
体の奥から狂おしい情欲が溢れ出し、もっとひどくしてほしいと願ってしまう。賢吾が与えてくれる痛みなら、いくらでも甘受できる。
「賢、吾――」
哀願が口を突いて出ようとしたとき、前触れもなく内奥から欲望が引き抜かれる。何が起こったのか、和彦はすぐには理解できなかった。再び体をひっくり返され、力の入らない両足を大きく左右に開かれる。中から刺激によって和彦の欲望は、先端をしとどに濡らしながら、今にもはち切れんばかりの状態となっていた。
「苛めてやる前に、ここを空っぽにしておかないとな」
和彦の欲望の形を指先でなぞってから、賢吾が両足の間に顔を埋める。熱い口腔にいきなり欲望を呑み込まれ、きつく吸引される。和彦は甘い呻き声を洩らすと、上体をのたうたせていた。
先端を硬くした舌先で擦られ、突かれながら、括れを唇で締め付けられる。同時に、柔らかな膨らみを容赦なく揉み込まれていた。指先で弱みを弄られて、腰が跳ねる。
「暴れるな。痛い思いをするのはお前だぞ」
そんな恫喝をしてきた賢吾が欲望にそっと歯を当ててきて、ゾッとするより、疼きを覚えた。大蛇の牙が突き立てられる様を想像したのだ。和彦の興奮が伝わったのか、賢吾が荒々しく欲望を貪ってくる。
「あうっ、うっ、賢吾……、賢吾っ……」
根本から欲望を舐め上げられ、さらには柔らかな膨らみすらも激しい口淫を受ける。いつの間にか内奥には深々と指を含まされていた。
唾液をさらに垂らされ、指の本数を増やされながら、和彦の内奥は綻んでいく。三本の指をしっかりと挿入され、掻き回すように蠢かされていた。
「んうっ……、は、あぁっ。んっ、んっ」
「ほら、しっかり腰を上げて、俺によく見せろ。お前のいやらしい――」
魅力的な声が紡ぐ卑猥な言葉は、まるで愛撫そのものだ。和彦は涙ぐみながら、懸命に指示に従う。
開いた足の間に片手が差し込まれ、反り返った欲望を掴まれる。その間も、内奥を指で押し広げられ、潤う蜜がない代わりに、たっぷりの唾液を施された。
「ひぁっ」
欲望の先端を擦り上げられて、腰が揺れる。
「この部屋に、綿棒はあるか?」
「……な、に……」
「あとでここも、じっくり可愛がってやる。漏らすほどな」
和彦の肌がざっと粟立つ。苦痛と紙一重の狂おしい刺激――快感を思い出したからだ。男たちによって目覚めさせられた感覚に、自分はすでに虜になりつつあるのではないかと、ふいに怖さを覚える。だが、嫌だとは言えなかった。それが賢吾の手によってもたらされるものなら、なおさらだ。
内奥から指が引き抜かれ、背後で賢吾が身じろぐ気配がする。
戦くほど熱いものが、喘ぐようにひくつく内奥の入り口に擦り付けられる。それだけで和彦は鼻にかかった呻き声を洩らしていた。
「――入れるぞ。和彦」
低い囁きとともに、圧倒的な力によって内奥を押し広げられる。重苦しい痛みが下肢に広がり、和彦は慎重に息を吐き出す。すかさず、欲望の太い部分を呑み込まされていた。
「はっ……、あっ、あっ、あぅっ……」
「相変わらず、美味そうに咥えるな。そんなに、〈これ〉が好きか?」
含まされたばかりのものがあっさりと引き抜かれ、尻の肉を割り開かれる。また検分されているのだとわかり、全身から汗が噴き出す。
このとき賢吾は何を考えたのか、肉を掴む指に力が入った。
そして再び侵入が始まる。
「ふっ、うっ……、んあぁっ」
無意識に前へと逃れそうになる和彦だが、そのたびに引き戻される。まるで刺し貫くように欲望を捩じ込まれ、衝撃に息が詰まる。襞と粘膜を擦り上げられながら、まだ頑なな肉を押し広げられるのだ。姿勢のせいもあり、圧迫感と痛みをよりはっきりと味わうこととなる。
賢吾の形を強く感じる。それに熱さと硬さも。これが、自分に向けられる執着と独占欲だと思うと、苦痛すら、不思議と愛しく思えてくるのだ。
体の中を賢吾の肉で埋め尽くされたと感じ始めたところで、一際大きく腰を突き上げられる。これ以上なく深くしっかりと賢吾と繋がった瞬間だった。
和彦が大きく息を喘がせていると、尻から腰にかけて撫でられる。賢吾がどんな顔をしているのか見てみたかったが、それは叶わない。
緩やかな律動が始まり、内奥深くを丹念に突かれる。堪えきれず上げた声は愉悦を滲ませていた。蠢く逞しいものを、和彦は本能のままに締め付け、淫らな襞と粘膜をまとわりつかせる。気がついたときには、律動に合わせて腰を前後に揺らしていた。
体の奥から狂おしい情欲が溢れ出し、もっとひどくしてほしいと願ってしまう。賢吾が与えてくれる痛みなら、いくらでも甘受できる。
「賢、吾――」
哀願が口を突いて出ようとしたとき、前触れもなく内奥から欲望が引き抜かれる。何が起こったのか、和彦はすぐには理解できなかった。再び体をひっくり返され、力の入らない両足を大きく左右に開かれる。中から刺激によって和彦の欲望は、先端をしとどに濡らしながら、今にもはち切れんばかりの状態となっていた。
「苛めてやる前に、ここを空っぽにしておかないとな」
和彦の欲望の形を指先でなぞってから、賢吾が両足の間に顔を埋める。熱い口腔にいきなり欲望を呑み込まれ、きつく吸引される。和彦は甘い呻き声を洩らすと、上体をのたうたせていた。
先端を硬くした舌先で擦られ、突かれながら、括れを唇で締め付けられる。同時に、柔らかな膨らみを容赦なく揉み込まれていた。指先で弱みを弄られて、腰が跳ねる。
「暴れるな。痛い思いをするのはお前だぞ」
そんな恫喝をしてきた賢吾が欲望にそっと歯を当ててきて、ゾッとするより、疼きを覚えた。大蛇の牙が突き立てられる様を想像したのだ。和彦の興奮が伝わったのか、賢吾が荒々しく欲望を貪ってくる。
「あうっ、うっ、賢吾……、賢吾っ……」
根本から欲望を舐め上げられ、さらには柔らかな膨らみすらも激しい口淫を受ける。いつの間にか内奥には深々と指を含まされていた。
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