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第43話
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頭の芯がドロドロと溶けていくようだった。それだけではなく、体の奥も熱いものでこじ開けられ、掻き回されて、容赦なく解されていく。南郷の欲望を深々と根本まで呑み込まされたとき、和彦はぐったりとして、厚い胸板にもたれかかるしかなかった。
「……あんたの中が、悦んでる。ヒクヒクと震えながら、俺のものにしゃぶりついてる」
南郷に耳元で囁かれながら、背筋に沿っててのひらを這わされる。身震いしたくなるような被虐的な愉悦に、和彦は上擦った声を洩らしていた。
「求めてくる男に弱いな、先生。組長も、面倒な檻を作ってでも、あんたを逃すまいとするはずだ。……あんたみたいなのは、外に出しちゃいけない。〈俺たち〉で大事にしてやらないと」
和彦の中で脈打つものが、痛みと肉欲のうねりを交互に生み出し、緩やかに一つに混ざり合っていく。気がつけば、南郷の肩に手をかけるだけとなっていた。待ちかねていたようにまた、百足が身を潜める脇腹へと手を導かれた。
引っ掻こうとして、寸前で躊躇する。結局、てのひらを押し当てていた。内奥で、南郷のもう一つの分身が蠢く。
「うあぁっ――……」
和彦が上げた声は、自分でもわかるほど切ない響きを帯びていた。南郷が気づかないはずもなく、会心の笑みを浮かべる。和彦がよく知る、攻撃的に歯を剥き出しにするいつもの笑みとは、まったく違っていた。
南郷が腰を揺すりながら、和彦の首筋を舐め上げてくる。その最中、さきほどより強く歯を立てられた。噛みつくというほど激しいものではなく、痛みはない。ただ、肌に食い込む歯の硬さはしっかりと認識できた。この瞬間、内奥がきつく収縮する。
「こうされるのが好きなのか?」
そう言って南郷が、もう一度首筋に歯を立てた。肩先にも。
南郷は、自分という存在を和彦に刻み付けているようだった。もしかすると、所有の印のつもりなのかもしれない。
わずかに反発心が芽生えたが、震える欲望を握り締められると、呆気なく砕け散る。和彦は、はあはあと荒い呼吸を繰り返しながら、天井を仰ぎ見た。目の前で光が点滅しており、ときおり意識が遠のきかける。仰け反り、このまま湯に沈み込んでしまいそうだと思ったが、背にしっかりと南郷の手がかかり、引き戻された。
胸元に顔を伏せた南郷に、凝った突起を舌先で弄られる。和彦は身じろぎ、このとき自分の内に収まっている肉の塊を強く意識する。南郷が上目遣いに鋭い眼差しを向けてきながら、見せつけるように突起を舐り、歯を立てる。とうとう和彦は、熱い吐息をこぼしていた。
「……先生、しっかり掴まってろよ。あんたが湯に沈んでも、今度は引き揚げてやれる自信がない」
南郷にこう言われた次の瞬間、繋がったまま体の位置が入れ替わった。
和彦の後頭部に浴槽の縁が触れる。すかさず南郷の分厚い手が差し込まれて庇われるが、それだけでは不安定で、何かの拍子に湯に沈んでしまいそうだ。南郷が内奥を突き上げてくるたびに湯が波打ち、顔にかかりそうにもなる。
律動はすぐに大きくなり、和彦の危機感はますます強くなる。口元に湯がかかったところで、取れる手段は一つしかないと諦めるしかなかった。
南郷の太い首に両腕を回してしがみつく。それを待っていたのか、内奥深くを狙い澄ましたように突かれ、丹念に掻き回される。和彦は声を抑えられなかった。
「あっ、あっ、ああっ――」
背筋を駆け抜けた感覚に、少しの間陶然とする。南郷の欲望をきつく締め付けたまま、絶頂に達していた。内奥の激しい収縮を堪能するように南郷が動きを止めたが、またすぐに再開し、乱暴に腰を突き上げてくる。
「……覚えておけよ、先生。これからは、あんたの穴という穴は、全部俺の好きにできるってことを」
賢吾から同じような台詞を言われたとき、傲慢なほどの独占欲と執着心を感じたが、南郷からは、強烈な支配欲を感じた。
「そんな、こと……、ぼくは、許さない……」
「いいや。あんたは許すしかない。なんと言ってもあんたは、求めてくる男を拒めない、現に今――」
南郷の舌がヌルリと耳の穴に入り込んでくる。感じたのはおぞましさではなく、異常なほどの官能の高ぶりだった。それを証明するように、南郷の欲望に、多淫な内奥の襞と粘膜がまとわりつく。
最高に具合がいいと、耳元で南郷が洩らした。
余裕のない荒々しい動きに、もう強がりを言うことも叶わなかった。
「うっ、うっ……」
和彦は間欠的に声を洩らし、南郷の腕の中で肉欲に狂い、沈んだ。
「……あんたの中が、悦んでる。ヒクヒクと震えながら、俺のものにしゃぶりついてる」
南郷に耳元で囁かれながら、背筋に沿っててのひらを這わされる。身震いしたくなるような被虐的な愉悦に、和彦は上擦った声を洩らしていた。
「求めてくる男に弱いな、先生。組長も、面倒な檻を作ってでも、あんたを逃すまいとするはずだ。……あんたみたいなのは、外に出しちゃいけない。〈俺たち〉で大事にしてやらないと」
和彦の中で脈打つものが、痛みと肉欲のうねりを交互に生み出し、緩やかに一つに混ざり合っていく。気がつけば、南郷の肩に手をかけるだけとなっていた。待ちかねていたようにまた、百足が身を潜める脇腹へと手を導かれた。
引っ掻こうとして、寸前で躊躇する。結局、てのひらを押し当てていた。内奥で、南郷のもう一つの分身が蠢く。
「うあぁっ――……」
和彦が上げた声は、自分でもわかるほど切ない響きを帯びていた。南郷が気づかないはずもなく、会心の笑みを浮かべる。和彦がよく知る、攻撃的に歯を剥き出しにするいつもの笑みとは、まったく違っていた。
南郷が腰を揺すりながら、和彦の首筋を舐め上げてくる。その最中、さきほどより強く歯を立てられた。噛みつくというほど激しいものではなく、痛みはない。ただ、肌に食い込む歯の硬さはしっかりと認識できた。この瞬間、内奥がきつく収縮する。
「こうされるのが好きなのか?」
そう言って南郷が、もう一度首筋に歯を立てた。肩先にも。
南郷は、自分という存在を和彦に刻み付けているようだった。もしかすると、所有の印のつもりなのかもしれない。
わずかに反発心が芽生えたが、震える欲望を握り締められると、呆気なく砕け散る。和彦は、はあはあと荒い呼吸を繰り返しながら、天井を仰ぎ見た。目の前で光が点滅しており、ときおり意識が遠のきかける。仰け反り、このまま湯に沈み込んでしまいそうだと思ったが、背にしっかりと南郷の手がかかり、引き戻された。
胸元に顔を伏せた南郷に、凝った突起を舌先で弄られる。和彦は身じろぎ、このとき自分の内に収まっている肉の塊を強く意識する。南郷が上目遣いに鋭い眼差しを向けてきながら、見せつけるように突起を舐り、歯を立てる。とうとう和彦は、熱い吐息をこぼしていた。
「……先生、しっかり掴まってろよ。あんたが湯に沈んでも、今度は引き揚げてやれる自信がない」
南郷にこう言われた次の瞬間、繋がったまま体の位置が入れ替わった。
和彦の後頭部に浴槽の縁が触れる。すかさず南郷の分厚い手が差し込まれて庇われるが、それだけでは不安定で、何かの拍子に湯に沈んでしまいそうだ。南郷が内奥を突き上げてくるたびに湯が波打ち、顔にかかりそうにもなる。
律動はすぐに大きくなり、和彦の危機感はますます強くなる。口元に湯がかかったところで、取れる手段は一つしかないと諦めるしかなかった。
南郷の太い首に両腕を回してしがみつく。それを待っていたのか、内奥深くを狙い澄ましたように突かれ、丹念に掻き回される。和彦は声を抑えられなかった。
「あっ、あっ、ああっ――」
背筋を駆け抜けた感覚に、少しの間陶然とする。南郷の欲望をきつく締め付けたまま、絶頂に達していた。内奥の激しい収縮を堪能するように南郷が動きを止めたが、またすぐに再開し、乱暴に腰を突き上げてくる。
「……覚えておけよ、先生。これからは、あんたの穴という穴は、全部俺の好きにできるってことを」
賢吾から同じような台詞を言われたとき、傲慢なほどの独占欲と執着心を感じたが、南郷からは、強烈な支配欲を感じた。
「そんな、こと……、ぼくは、許さない……」
「いいや。あんたは許すしかない。なんと言ってもあんたは、求めてくる男を拒めない、現に今――」
南郷の舌がヌルリと耳の穴に入り込んでくる。感じたのはおぞましさではなく、異常なほどの官能の高ぶりだった。それを証明するように、南郷の欲望に、多淫な内奥の襞と粘膜がまとわりつく。
最高に具合がいいと、耳元で南郷が洩らした。
余裕のない荒々しい動きに、もう強がりを言うことも叶わなかった。
「うっ、うっ……」
和彦は間欠的に声を洩らし、南郷の腕の中で肉欲に狂い、沈んだ。
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