1,135 / 1,268
第43話
(38)
しおりを挟む
もっとも太い部分を呑み込まされたとき、浅い呼吸を繰り返しながら、なんとか下腹部に力を入れまいとする。求め合ったうえでの行為なら、相手への身の委ね方は知っている。しかし、今は違う。体が緊張で強張り、和彦自身を苦しめようとするのだ。
南郷も何かを察したようだった。
「初めてみたいな反応だな、先生。昨夜はこんなんじゃなかっただろ。もっと俺に身を任せてくれ」
「い、や、です……」
背後で南郷が笑った気配がした。繋がり、ひくつく部分に指が這わされ、擦られる。和彦はビクッと腰を震わせた。
「あんたはいい加減、理解するべきだな。あんたが反抗したり、強がりを言うたびに、俺が興奮するってことを。それとも、わざとなのか? それがオンナの手管だとしたら、俺は見事に引っかかったというわけだが」
腰を掴んだ南郷が、一層深く欲望を押し込んできた。一旦動くのを止めると、和彦の緊張している下腹部にてのひらを這わせてくる。
「この辺りに、昨夜あんたの中に出したものがまだ残ってるかもな。オヤジさんと、俺の分」
ゾクッと寒気とも疼きとも取れる感覚が、背筋を駆け抜ける。このとき意識しないまま、内奥でふてぶてしく息づく南郷の欲望を締め付けていた。
「あんたをオンナにしてる男たちは、そうやって自分の存在を馴染ませてきたんだろ。強引な長嶺組長に最初は反発心を抱いていたはずのあんたも、今じゃすっかり従順だ。俺の場合は、あと何回――」
露骨な言葉を聞かされながら、両足の間に手が差し込まれ、欲望を掴まれる。いつの間にか和彦のものは熱くなり、身を起こしていた。
「嫌、だ……」
「そうか? あんたの体は違うみたいだ。俺のものに吸い付いて、締まり始めてる」
内奥を突き上げられると同時に、湯が大きく波打つ。和彦は背をしならせ、必死に湯舟の縁にすがりついていた。なんとか耐えようとしたが、膝は震え、爪先に力が入らない。そんな状態が南郷にも伝わったようだった。
「もうのぼせたか、先生?」
内奥から欲望を引き抜いて、揶揄するように南郷が問いかけてくる。和彦はズルズルと座り込み、俯いた顔をそのまま湯につけそうになったが、寸前のところで南郷にあごを掬い上げられる。
貪るように激しい口づけを与えられながら、胡坐をかいた南郷の膝の上に引き寄せられ、向き合う格好で座らされる。もちろん和彦は抵抗しようとしたが、南郷が言うとおりのぼせかけているのか、手足に力が入らず、まとわりつく湯が重く感じられる。
内奥にまた太い指を挿入されたとき、はっきりと肉の疼きを自覚した。うろたえた和彦が目を見開いたとき、間近から食い入るように南郷が見つめていた。引き出された舌を執拗に吸われながら、腰を抱き寄せられ、下腹部が密着する。南郷の目的はわかっている。おぞましい百足を和彦に意識させようとしているのだ。
「――……触れよ、先生。あんたの大好きな、刺青だろ」
口づけの合間に南郷が熱っぽく囁いてくる。
「嫌、です……」
「今さっき言っただろ。あんたの強がりに、俺は興奮するって」
腰を上げろと命じられ、和彦は動けなかった。すると急かすように南郷に尻の肉を強く掴まれる。ヒヤリとするような凶暴性を感じた。
おずおずと腰を浮かせると、再び内奥の入り口に逞しい形を押し当てられた。
「うあっ……」
逃げようとする腰を掴まれ、内奥に欲望を捩じ込まれる。支えを欲した和彦は咄嗟に南郷の肩に手をかけ、下腹部に広がる衝撃から、つい爪を立てていた。
下からゆっくりと突き上げられるたびに、否応なく繋がりを深くしていく。苦しさから忙しなく呼吸を繰り返していた和彦だが、次第に意識がぼうっとしてくる。湯にのぼせたのか、過呼吸に近い状態なのか、自分でも判断がつかなくなっていた。あるいは、それ以外の理由なのか――。
南郷が獣の唸り声のようなものを発したあと、両腕でしっかりと和彦を抱き締めてきた。
「――俺の、オンナだ」
確認するように、南郷が呟く。内奥深くでドクドクと欲望が脈打ち、内から和彦を圧倒してくる。
「あっ……」
微かに声を洩らした和彦は、南郷の肩に自分の爪が食い込んだままなのに気づいた。強張った指からぎこちなく力を抜こうとして、南郷が皮肉っぽく唇を歪める。
「俺は爪を立てられたままでもかまわないが」
次の瞬間には、傍若無人な舌に口腔を犯されていた。
「んっ……、んっ、ふうっ……」
体を揺さぶられながら、内奥は逞しい欲望で犯される。
南郷も何かを察したようだった。
「初めてみたいな反応だな、先生。昨夜はこんなんじゃなかっただろ。もっと俺に身を任せてくれ」
「い、や、です……」
背後で南郷が笑った気配がした。繋がり、ひくつく部分に指が這わされ、擦られる。和彦はビクッと腰を震わせた。
「あんたはいい加減、理解するべきだな。あんたが反抗したり、強がりを言うたびに、俺が興奮するってことを。それとも、わざとなのか? それがオンナの手管だとしたら、俺は見事に引っかかったというわけだが」
腰を掴んだ南郷が、一層深く欲望を押し込んできた。一旦動くのを止めると、和彦の緊張している下腹部にてのひらを這わせてくる。
「この辺りに、昨夜あんたの中に出したものがまだ残ってるかもな。オヤジさんと、俺の分」
ゾクッと寒気とも疼きとも取れる感覚が、背筋を駆け抜ける。このとき意識しないまま、内奥でふてぶてしく息づく南郷の欲望を締め付けていた。
「あんたをオンナにしてる男たちは、そうやって自分の存在を馴染ませてきたんだろ。強引な長嶺組長に最初は反発心を抱いていたはずのあんたも、今じゃすっかり従順だ。俺の場合は、あと何回――」
露骨な言葉を聞かされながら、両足の間に手が差し込まれ、欲望を掴まれる。いつの間にか和彦のものは熱くなり、身を起こしていた。
「嫌、だ……」
「そうか? あんたの体は違うみたいだ。俺のものに吸い付いて、締まり始めてる」
内奥を突き上げられると同時に、湯が大きく波打つ。和彦は背をしならせ、必死に湯舟の縁にすがりついていた。なんとか耐えようとしたが、膝は震え、爪先に力が入らない。そんな状態が南郷にも伝わったようだった。
「もうのぼせたか、先生?」
内奥から欲望を引き抜いて、揶揄するように南郷が問いかけてくる。和彦はズルズルと座り込み、俯いた顔をそのまま湯につけそうになったが、寸前のところで南郷にあごを掬い上げられる。
貪るように激しい口づけを与えられながら、胡坐をかいた南郷の膝の上に引き寄せられ、向き合う格好で座らされる。もちろん和彦は抵抗しようとしたが、南郷が言うとおりのぼせかけているのか、手足に力が入らず、まとわりつく湯が重く感じられる。
内奥にまた太い指を挿入されたとき、はっきりと肉の疼きを自覚した。うろたえた和彦が目を見開いたとき、間近から食い入るように南郷が見つめていた。引き出された舌を執拗に吸われながら、腰を抱き寄せられ、下腹部が密着する。南郷の目的はわかっている。おぞましい百足を和彦に意識させようとしているのだ。
「――……触れよ、先生。あんたの大好きな、刺青だろ」
口づけの合間に南郷が熱っぽく囁いてくる。
「嫌、です……」
「今さっき言っただろ。あんたの強がりに、俺は興奮するって」
腰を上げろと命じられ、和彦は動けなかった。すると急かすように南郷に尻の肉を強く掴まれる。ヒヤリとするような凶暴性を感じた。
おずおずと腰を浮かせると、再び内奥の入り口に逞しい形を押し当てられた。
「うあっ……」
逃げようとする腰を掴まれ、内奥に欲望を捩じ込まれる。支えを欲した和彦は咄嗟に南郷の肩に手をかけ、下腹部に広がる衝撃から、つい爪を立てていた。
下からゆっくりと突き上げられるたびに、否応なく繋がりを深くしていく。苦しさから忙しなく呼吸を繰り返していた和彦だが、次第に意識がぼうっとしてくる。湯にのぼせたのか、過呼吸に近い状態なのか、自分でも判断がつかなくなっていた。あるいは、それ以外の理由なのか――。
南郷が獣の唸り声のようなものを発したあと、両腕でしっかりと和彦を抱き締めてきた。
「――俺の、オンナだ」
確認するように、南郷が呟く。内奥深くでドクドクと欲望が脈打ち、内から和彦を圧倒してくる。
「あっ……」
微かに声を洩らした和彦は、南郷の肩に自分の爪が食い込んだままなのに気づいた。強張った指からぎこちなく力を抜こうとして、南郷が皮肉っぽく唇を歪める。
「俺は爪を立てられたままでもかまわないが」
次の瞬間には、傍若無人な舌に口腔を犯されていた。
「んっ……、んっ、ふうっ……」
体を揺さぶられながら、内奥は逞しい欲望で犯される。
24
お気に入りに追加
1,365
あなたにおすすめの小説
執着攻めと平凡受けの短編集
松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。
疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。
基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)
総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?
寺一(テライチ)
BL
────妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。
ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの高校一年生。
ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。
その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。
そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。
それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。
女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。
BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の主人公への好感度がバグレベルで上がっていくということ。
このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう!
男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!?
おとなりさん
すずかけあおい
BL
お隣さん(攻め)にお世話?されている受けの話です。
一応溺愛攻めのつもりで書きました。
〔攻め〕謙志(けんし)26歳・会社員
〔受け〕若葉(わかば)21歳・大学3年
いつかコントローラーを投げ出して
せんぷう
BL
オメガバース。世界で男女以外に、アルファ・ベータ・オメガと性別が枝分かれした世界で新たにもう一つの性が発見された。
世界的にはレアなオメガ、アルファ以上の神に選別されたと言われる特異種。
バランサー。
アルファ、ベータ、オメガになるかを自らの意思で選択でき、バランサーの状態ならどのようなフェロモンですら影響を受けない、むしろ自身のフェロモンにより周囲を調伏できる最強の性別。
これは、バランサーであることを隠した少年の少し不運で不思議な出会いの物語。
裏社会のトップにして最強のアルファ攻め
×
最強種バランサーであることをそれとなく隠して生活する兄弟想いな受け
※オメガバース特殊設定、追加性別有り
.
ヤクザと捨て子
幕間ささめ
BL
執着溺愛ヤクザ幹部×箱入り義理息子
ヤクザの事務所前に捨てられた子どもを自分好みに育てるヤクザ幹部とそんな保護者に育てられてる箱入り男子のお話。
ヤクザは頭の切れる爽やかな風貌の腹黒紳士。息子は細身の美男子の空回り全力少年。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる