801 / 1,267
第34話
(5)
しおりを挟む
本気なのか冗談なのか、感嘆するようにそう洩らした賢吾が、秘裂を指先でまさぐってくる。次の瞬間、ぐっと尻の肉を割り開かれ、露わになった内奥の入り口に柔らかく濡れた感触が触れた。
「ひっ……、ううっ……」
快感にひどく脆くなっている部分は、大蛇の舌先の動きを歓喜し、容易にひくつく。
「熟れた肉だな」
独り言のように低く呟いた賢吾は、執拗に内奥の入り口を舐め、蕩けそうに柔らかくなったところで舌先でこじ開けてくる。腰を揺らし、背をしならせて反応しながら和彦は、片手を自分の下肢へと伸ばす。欲望が、ゆっくりと身を起こしていた。
「あっ、あっ……ん、んっ、んうっ」
内奥に一本の指が挿入され、それだけの刺激で和彦はビクビクと全身を震わせて、軽い絶頂に達していた。
「感じすぎだろ、和彦」
揶揄するようにそう声をかけてきた賢吾だが、内奥で蠢く指は否応なく和彦の官能を引きずり出し、高めていく。小刻みに出し入れされ、ざわつく襞と粘膜を擦り上げられると、小さな波のように快感が腰から広がる。指が引き抜かれ、そこにまた舌が這わされると、見境なく締め付ける動きをしてしまう。
次に二本の指を挿入され、再び絶頂に達する。その頃には、反り返った欲望の先端から、透明なしずくをはしたなく滴らせていた。
「いい締まりだ。吸い付いて、奥へ奥へと誘い込もうとしている。三田村と『していない』というのは、本当だったみたいだな」
内奥をぐるりと撫で回されて、指が引き抜かれる。体を仰向けにされ、ようやく反応した欲望を、賢吾の口腔に呑み込まれ、苛められる。根元を指で擦り上げられながら、先端をきつく吸われるのだ。痛みと快感に惑乱し、やめてくれと訴えたが、括れに歯が当てられると、ゾクゾクするような被虐的な刺激に襲われる。
「い、やぁ……、も、う――、ダメ、だっ……」
和彦が何を訴えようとしているのかわかったらしく、賢吾が口腔から欲望を出す。代わりに、柔らかな膨らみを手荒に揉みしだかれ、とうとう和彦はわずかだが『漏らして』しまう。
賢吾としては、精を噴き上げるよりも、望んでいた反応だったようだ。濡れた下肢を浴衣で後始末をしたあと、和彦の顔中に唇を押し当ててきた。
「――気づいてるか? 漏らすときのお前は、子供みたいな声を上げるんだ。それが実にいい声で、鳥肌が立つほど興奮する」
嵐のような快感のあとに訪れた虚脱感にぼうっとしながら、和彦は賢吾の顔を見つめる。詰る声も出せなかった。
つい一昨日、三田村にも晒してしまった痴態を、今度は賢吾に見せてしまったのだ。自分と三田村の間にあった行為を賢吾が知っているとは思えないが、なんとも複雑な心境になる。
傍らに横になった賢吾の片腕に抱き寄せられる。和彦は、逞しい肩にのしかかるように彫られた大蛇の巨体の一部に唇を押し当てる。今の行為の報復として噛み付いてもいいのかもしれないが、賢吾自身はともかく、大蛇の体に傷を負わせるのは気が咎める。
声を洩らして笑った賢吾に手を取られ、再び両足の間へと導かれる。熱いままの欲望を握らされたところで、意図を察する。さきほどの続きをしろと言うのだ。
やはり腹が立ったので、肩先に噛みついてはみたが、返ってきたのは短い笑い声だった。
てのひらで欲望を擦り上げながら、ときおり先端を指の腹でくすぐる。余裕たっぷりに見える賢吾だが、快感の高まりによって呼吸が荒くなり、全身の筋肉がときおりぐっと強張る。こんな男の快感を、今は自分が操っているのだという実感は、奇妙な興奮を生み出す。和彦は衝動のまま、自分から賢吾の唇を塞ぎ、口腔に舌を押し込んだ。
貪り合うような口づけの最中、意外なほど呆気なく、賢吾は和彦の手の中で果てた。だが、行為はこれで終わりではなかった。
賢吾が、自らの下腹部にも飛び散った精を指先で掬い取り、和彦の内奥の入り口をまさぐってくる。
「あっ」
戸惑っている間に、蕩けている内奥に指を挿入され、襞と粘膜に精をすり込むように蠢かされる。守光が行った行為の再現だった。いや、守光より先に、こんな行為に及んだ男がいる。
「嫌、だ……。それ、嫌――……」
和彦は軽く抵抗してみたが、賢吾の指は卑猥に動き続ける。そのうち、肉の愉悦を無視できなくなり、妖しく腰が揺れ始める。
「不思議なもんだな。いつもは、もっとたっぷり、この尻の奥に注ぎ込んでやっているのに。入り口にちょっと擦りつけてやっただけで、こんなに感じるものなのか?」
言葉による返事は必要なかった。賢吾の指をきつく締め付けてしまい、潤んだ吐息をこぼす。賢吾が、内奥の浅い部分を強く指で押し上げてきて、体が一瞬強張るような快感に襲われていた。
「美味いか? 俺の――は」
「ひっ……、ううっ……」
快感にひどく脆くなっている部分は、大蛇の舌先の動きを歓喜し、容易にひくつく。
「熟れた肉だな」
独り言のように低く呟いた賢吾は、執拗に内奥の入り口を舐め、蕩けそうに柔らかくなったところで舌先でこじ開けてくる。腰を揺らし、背をしならせて反応しながら和彦は、片手を自分の下肢へと伸ばす。欲望が、ゆっくりと身を起こしていた。
「あっ、あっ……ん、んっ、んうっ」
内奥に一本の指が挿入され、それだけの刺激で和彦はビクビクと全身を震わせて、軽い絶頂に達していた。
「感じすぎだろ、和彦」
揶揄するようにそう声をかけてきた賢吾だが、内奥で蠢く指は否応なく和彦の官能を引きずり出し、高めていく。小刻みに出し入れされ、ざわつく襞と粘膜を擦り上げられると、小さな波のように快感が腰から広がる。指が引き抜かれ、そこにまた舌が這わされると、見境なく締め付ける動きをしてしまう。
次に二本の指を挿入され、再び絶頂に達する。その頃には、反り返った欲望の先端から、透明なしずくをはしたなく滴らせていた。
「いい締まりだ。吸い付いて、奥へ奥へと誘い込もうとしている。三田村と『していない』というのは、本当だったみたいだな」
内奥をぐるりと撫で回されて、指が引き抜かれる。体を仰向けにされ、ようやく反応した欲望を、賢吾の口腔に呑み込まれ、苛められる。根元を指で擦り上げられながら、先端をきつく吸われるのだ。痛みと快感に惑乱し、やめてくれと訴えたが、括れに歯が当てられると、ゾクゾクするような被虐的な刺激に襲われる。
「い、やぁ……、も、う――、ダメ、だっ……」
和彦が何を訴えようとしているのかわかったらしく、賢吾が口腔から欲望を出す。代わりに、柔らかな膨らみを手荒に揉みしだかれ、とうとう和彦はわずかだが『漏らして』しまう。
賢吾としては、精を噴き上げるよりも、望んでいた反応だったようだ。濡れた下肢を浴衣で後始末をしたあと、和彦の顔中に唇を押し当ててきた。
「――気づいてるか? 漏らすときのお前は、子供みたいな声を上げるんだ。それが実にいい声で、鳥肌が立つほど興奮する」
嵐のような快感のあとに訪れた虚脱感にぼうっとしながら、和彦は賢吾の顔を見つめる。詰る声も出せなかった。
つい一昨日、三田村にも晒してしまった痴態を、今度は賢吾に見せてしまったのだ。自分と三田村の間にあった行為を賢吾が知っているとは思えないが、なんとも複雑な心境になる。
傍らに横になった賢吾の片腕に抱き寄せられる。和彦は、逞しい肩にのしかかるように彫られた大蛇の巨体の一部に唇を押し当てる。今の行為の報復として噛み付いてもいいのかもしれないが、賢吾自身はともかく、大蛇の体に傷を負わせるのは気が咎める。
声を洩らして笑った賢吾に手を取られ、再び両足の間へと導かれる。熱いままの欲望を握らされたところで、意図を察する。さきほどの続きをしろと言うのだ。
やはり腹が立ったので、肩先に噛みついてはみたが、返ってきたのは短い笑い声だった。
てのひらで欲望を擦り上げながら、ときおり先端を指の腹でくすぐる。余裕たっぷりに見える賢吾だが、快感の高まりによって呼吸が荒くなり、全身の筋肉がときおりぐっと強張る。こんな男の快感を、今は自分が操っているのだという実感は、奇妙な興奮を生み出す。和彦は衝動のまま、自分から賢吾の唇を塞ぎ、口腔に舌を押し込んだ。
貪り合うような口づけの最中、意外なほど呆気なく、賢吾は和彦の手の中で果てた。だが、行為はこれで終わりではなかった。
賢吾が、自らの下腹部にも飛び散った精を指先で掬い取り、和彦の内奥の入り口をまさぐってくる。
「あっ」
戸惑っている間に、蕩けている内奥に指を挿入され、襞と粘膜に精をすり込むように蠢かされる。守光が行った行為の再現だった。いや、守光より先に、こんな行為に及んだ男がいる。
「嫌、だ……。それ、嫌――……」
和彦は軽く抵抗してみたが、賢吾の指は卑猥に動き続ける。そのうち、肉の愉悦を無視できなくなり、妖しく腰が揺れ始める。
「不思議なもんだな。いつもは、もっとたっぷり、この尻の奥に注ぎ込んでやっているのに。入り口にちょっと擦りつけてやっただけで、こんなに感じるものなのか?」
言葉による返事は必要なかった。賢吾の指をきつく締め付けてしまい、潤んだ吐息をこぼす。賢吾が、内奥の浅い部分を強く指で押し上げてきて、体が一瞬強張るような快感に襲われていた。
「美味いか? 俺の――は」
26
お気に入りに追加
1,359
あなたにおすすめの小説
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
ヤクザと捨て子
幕間ささめ
BL
執着溺愛ヤクザ幹部×箱入り義理息子
ヤクザの事務所前に捨てられた子どもを自分好みに育てるヤクザ幹部とそんな保護者に育てられてる箱入り男子のお話。
ヤクザは頭の切れる爽やかな風貌の腹黒紳士。息子は細身の美男子の空回り全力少年。
ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる