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第26話
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微かに濡れた音を立てながら先端を吸われ、熱い吐息をこぼして和彦は身悶える。欲望の形を舌先でなぞられ、さらに柔らかな膨らみも舐られる。
「うっ、うっ、うあっ、あっ――」
「今度鷹津に教えてやれ。長嶺組の組長は、自分のオンナのこんなところまでしゃぶって、感じさせてくれると。あいつは、どうするだろうな」
賢吾の言葉は、見えない執着の炎となって和彦の全身を炙る。不意打ちのように内奥の浅い部分をぐっと指の腹で押し上げられ、呆気なく和彦は絶頂を迎えた。精を迸らせ、下腹部を濡らしていた。
そんな和彦を見下ろし、唇の端に笑みを刻んだ賢吾は、あっさりと内奥から指を引き抜く。浴衣を剥ぎ取られた和彦はうつ伏せの姿勢を取らされ、高々と腰を抱え上げられる。身構える間もなく、背後から貫かれた。
「んううっ」
力を漲らせた賢吾の欲望は、容赦なく内奥を押し広げ、襞と粘膜を強く擦り上げてくる。背後から突かれるたびに和彦は畳に爪を立て、衝撃に耐える。重苦しい痛みが下腹部に広がるが、それ以上に、内から焼かれそうなほど賢吾の欲望が熱い。尻を鷲掴んでくる手も。
「待っ……、賢吾、さ……、もう少し、ゆっくり……」
和彦の切れ切れの訴えは、乱暴に内奥を突き上げられることで応じられる。賢吾の逞しい欲望が、根元まで捻じ込まれていた。
奥深くまで呑み込んでいるものの存在を、呼吸を繰り返すたびに強く意識する。賢吾は内奥の収縮を堪能するように動きを止め、その代わり、両手を駆使して和彦の体をまさぐってくる。
和彦の肌は、嫌になるほど賢吾の手の感触に馴染んでいる。てのひらで撫で回されているだけで肌はざわつき、汗ばみ、官能を生み出す。和彦のその従順さを、背後から貫きながら賢吾は堪能していた。
「……惚れ惚れするほどの、いいオンナっぷりだな、先生。こうして眺めているだけでわかる。俺を欲しがっているってな。もっとも――」
軽く腰を揺すられ、内奥で欲望が蠢く。意識しないまま、食い千切らんばかりに欲望を締め付けていた。
「尻のほうはさっきから、グイグイ締まりまくってるがな。突っ込まれれば、どんな男のものでも悦んで甘やかす。これも、いいオンナの証ってやつだ」
腰を抱き寄せられ、内奥深くを丹念に突かれるようになると、和彦は潤んだ喘ぎ声をこぼすようになり、両足の間に、嬉々として賢吾の片手を受け入れていた。
「ひっ……」
柔らかな膨らみをいきなり強く揉みしだかれ、腰に痺れるような法悦が広がる。
「――お前は、俺のオンナだ」
突然だった。背後からかけられた言葉に、和彦は目を見開く。この状況で賢吾に言われるまでもなく、すでに和彦にとっては、当たり前のこととして受け入れている事実だ。
「お前は、自分をオンナにしている男たちだけを、甘やかせばいい。これは〈俺たち〉の特権だからな」
「な、に……言って……」
「鷹津に情を移すな」
この瞬間、和彦の脳裏を駆け巡ったのは、鷹津との行為の一部だ。手を繋ぎ、口づけを交わし――まだ離れたくないと思った。
蘇った情景を賢吾に読み取られそうな危惧を覚え、必死に記憶を封じ込めようとするが、和彦の理性を突き崩すように賢吾が律動を繰り返し、快感を送り込んでくる。和彦は懸命に言葉を紡いだ。
「……あの男に、情なんて、湧いてない」
「だが鷹津は、お前に骨抜きだ。優しいお前のことだから、情にほだされるということもあるだろ」
「そんなことっ――」
賢吾の指に弱みを弄られ、和彦はビクッ、ビクッと腰を震わせる。
「甘え癖のついた狂犬の扱いは、大変だぞ。飼い主の気を引くために、さらに狂うようになる」
内奥から賢吾の欲望がゆっくりと引き抜かれていく。逃すまいとするかのように和彦の内奥が淫らな蠕動を始め、すぐに賢吾は欲望を再び打ち込んでくる。気が遠くなりそうなほど、気持ちよかった。
「あっ、あっ、あっ……ん、ああっ」
「鷹津に、お前の〈ここ〉を使うことを許したのは、あいつが利用できるからだ。あいつにしても、お前を介して俺を監視するために、番犬になったはずだ。だが、あいつが今、何より執着しているのは、俺じゃなく、お前だ。お前が欲しくて、抱きたくて、涎を垂らしている。――浅ましい男だ」
賢吾が最後に洩した言葉には、侮蔑とも嘲笑とも憤怒ともつかない、さまざまな感情が入り混じっているようだった。初めて聞いた賢吾の声だ。
そして、鷹津のことを話しながら、確かに賢吾は高ぶっていた。
腰を両手で掴まれ、大きく前後に揺さぶられる。淫靡に湿った音を立てながら、内奥から逞しい欲望が出し入れされ、和彦は堪え切れない声を上げる。
「うあっ、あっ、うっ、うぅっ、くうっ――……」
「うっ、うっ、うあっ、あっ――」
「今度鷹津に教えてやれ。長嶺組の組長は、自分のオンナのこんなところまでしゃぶって、感じさせてくれると。あいつは、どうするだろうな」
賢吾の言葉は、見えない執着の炎となって和彦の全身を炙る。不意打ちのように内奥の浅い部分をぐっと指の腹で押し上げられ、呆気なく和彦は絶頂を迎えた。精を迸らせ、下腹部を濡らしていた。
そんな和彦を見下ろし、唇の端に笑みを刻んだ賢吾は、あっさりと内奥から指を引き抜く。浴衣を剥ぎ取られた和彦はうつ伏せの姿勢を取らされ、高々と腰を抱え上げられる。身構える間もなく、背後から貫かれた。
「んううっ」
力を漲らせた賢吾の欲望は、容赦なく内奥を押し広げ、襞と粘膜を強く擦り上げてくる。背後から突かれるたびに和彦は畳に爪を立て、衝撃に耐える。重苦しい痛みが下腹部に広がるが、それ以上に、内から焼かれそうなほど賢吾の欲望が熱い。尻を鷲掴んでくる手も。
「待っ……、賢吾、さ……、もう少し、ゆっくり……」
和彦の切れ切れの訴えは、乱暴に内奥を突き上げられることで応じられる。賢吾の逞しい欲望が、根元まで捻じ込まれていた。
奥深くまで呑み込んでいるものの存在を、呼吸を繰り返すたびに強く意識する。賢吾は内奥の収縮を堪能するように動きを止め、その代わり、両手を駆使して和彦の体をまさぐってくる。
和彦の肌は、嫌になるほど賢吾の手の感触に馴染んでいる。てのひらで撫で回されているだけで肌はざわつき、汗ばみ、官能を生み出す。和彦のその従順さを、背後から貫きながら賢吾は堪能していた。
「……惚れ惚れするほどの、いいオンナっぷりだな、先生。こうして眺めているだけでわかる。俺を欲しがっているってな。もっとも――」
軽く腰を揺すられ、内奥で欲望が蠢く。意識しないまま、食い千切らんばかりに欲望を締め付けていた。
「尻のほうはさっきから、グイグイ締まりまくってるがな。突っ込まれれば、どんな男のものでも悦んで甘やかす。これも、いいオンナの証ってやつだ」
腰を抱き寄せられ、内奥深くを丹念に突かれるようになると、和彦は潤んだ喘ぎ声をこぼすようになり、両足の間に、嬉々として賢吾の片手を受け入れていた。
「ひっ……」
柔らかな膨らみをいきなり強く揉みしだかれ、腰に痺れるような法悦が広がる。
「――お前は、俺のオンナだ」
突然だった。背後からかけられた言葉に、和彦は目を見開く。この状況で賢吾に言われるまでもなく、すでに和彦にとっては、当たり前のこととして受け入れている事実だ。
「お前は、自分をオンナにしている男たちだけを、甘やかせばいい。これは〈俺たち〉の特権だからな」
「な、に……言って……」
「鷹津に情を移すな」
この瞬間、和彦の脳裏を駆け巡ったのは、鷹津との行為の一部だ。手を繋ぎ、口づけを交わし――まだ離れたくないと思った。
蘇った情景を賢吾に読み取られそうな危惧を覚え、必死に記憶を封じ込めようとするが、和彦の理性を突き崩すように賢吾が律動を繰り返し、快感を送り込んでくる。和彦は懸命に言葉を紡いだ。
「……あの男に、情なんて、湧いてない」
「だが鷹津は、お前に骨抜きだ。優しいお前のことだから、情にほだされるということもあるだろ」
「そんなことっ――」
賢吾の指に弱みを弄られ、和彦はビクッ、ビクッと腰を震わせる。
「甘え癖のついた狂犬の扱いは、大変だぞ。飼い主の気を引くために、さらに狂うようになる」
内奥から賢吾の欲望がゆっくりと引き抜かれていく。逃すまいとするかのように和彦の内奥が淫らな蠕動を始め、すぐに賢吾は欲望を再び打ち込んでくる。気が遠くなりそうなほど、気持ちよかった。
「あっ、あっ、あっ……ん、ああっ」
「鷹津に、お前の〈ここ〉を使うことを許したのは、あいつが利用できるからだ。あいつにしても、お前を介して俺を監視するために、番犬になったはずだ。だが、あいつが今、何より執着しているのは、俺じゃなく、お前だ。お前が欲しくて、抱きたくて、涎を垂らしている。――浅ましい男だ」
賢吾が最後に洩した言葉には、侮蔑とも嘲笑とも憤怒ともつかない、さまざまな感情が入り混じっているようだった。初めて聞いた賢吾の声だ。
そして、鷹津のことを話しながら、確かに賢吾は高ぶっていた。
腰を両手で掴まれ、大きく前後に揺さぶられる。淫靡に湿った音を立てながら、内奥から逞しい欲望が出し入れされ、和彦は堪え切れない声を上げる。
「うあっ、あっ、うっ、うぅっ、くうっ――……」
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