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第24話
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「まさか。……なんて言えばいいんだろう。貪り食っている感じが――すごく、いい」
三田村の体が大きく一度だけ震える。それが興奮のためだと知ったのは、次の瞬間に訪れた、快感の波のせいだ。
「うあっ」
内奥深くを乱暴に突き上げられ、三田村の欲望にぴったりと吸い付いていた襞と粘膜を強く擦られる。まさに、内から貪り食われているようだった。圧倒的な逞しさを持つものに内奥をこじ開けられ、刻印を刻むように熱の塊を押し付けられるのだ。逆らうこともできず、身を差し出すことしかできない。
和彦は甲高い声を立て続けに上げて、必死に三田村の背にしがみつく。体の内も熱いが、のしかかってくる三田村の体も熱い。
「んっ、くうっ。あっ、いっ、いぃ――。三田村っ、気持ち、い……」
三田村の肩に額を擦りつけてから、吸い寄せられるようにまた姿見のほうを見てしまう。一方の三田村は、姿見の存在などすっかり忘れたように、ひたすら和彦を見下ろしている。
自分だけを真摯に見つめ続けてくれる三田村の姿に、和彦は体だけではなく、心で感じてしまう。どれだけ言葉を交わすより、これは自分の唯一の〈オトコ〉なのだと実感していた。
「――先生」
切望するような声で呼ばれ、鏡に映るものから視線を引き剥がした和彦は今度こそ、本物の三田村をしっかりと見つめる。
狂おしく唇を塞がれ、口腔を舌で犯され、唾液を流し込まれる。内奥深くには、たっぷりの精を注ぎ込まれる。和彦は、三田村のすべてを嬉々として受け入れ、熱い吐息とともに囁きをこぼす。
「もっと、虎を撫でたいんだ……」
荒い息をつきながら、三田村は欲しい答えをくれた。
「先生の、望む通りに」
汗に濡れた体を擦りつけるように密着させ、それでも物足りないのか、三田村の力強い両腕にしっかりと抱き締められる。まるで縛めのような抱擁が心地よくて、吐息を洩らした和彦は、すぐに、内奥深くに埋め込まれた逞しい欲望の存在を意識させられる。
体の奥から尽きることなく官能が溢れ出し、それは熱い蜜となって反り返った先端から垂れる。和彦は腰をもじつかせ、三田村の引き締まった腹部に擦りつける。もっとあさましく腰を蠢かしたいが、きつく抱き締められているため、それは叶わない。
三田村は、深く繋がっている感覚を堪能している。そして、視覚でも――。
「うっ……」
尻に手がかかり、左右に割り開かれる。興奮と羞恥に襲われた和彦は身じろごうとして腰を揺らし、それが無駄であることを再び悟ると、三田村の肩にすがりつく。座って向き合う形で繋がる行為そのものは嫌いではないが、自分の背後に姿見があると思うと、いつにない感覚を味わうことになる。
例えば、さきほどから姿見を見つめている三田村の目に、自分の姿はどんなふうに映っているのか、と気になってしまうのだ。
意識しなくても、三田村の欲望をきつく締め付けてしまう。露骨な言葉で煽られたわけでもないのに、勝手に和彦の意識は舞い上がり、乱れる。息を喘がせながら、狂おしく三田村の背の虎を撫で回し、肩に何度も噛み付いていた。三田村も何も感じていないわけではなく、すっかり力を取り戻したものが内奥で力強く脈打っている。
繋がった部分を指先でなぞられ、声を上げた和彦はビクンと背をしならせる。三田村は、いとおしむようにてのひらで背を撫でてくれた。
「――先生」
三田村に優しい声で呼ばれ、おずおずと顔を上げる。照れ隠しに、というわけではないが、和彦はささやかな抗議をした。
「不公平だ。あんたの背中が、見えない……。お互いの位置を逆にしたい」
「ダメだ。俺が、先生の体を見られなくなる」
「……ぼくの体は、見たところで珍しくないだろ。普通の、男の体だ」
そんなことはない、と言い切った三田村が、再び繋がった部分をまさぐってくる。
「振り返って先生も見るといい。この狭い部分で必死に俺のものを咥え込んで、真っ赤になってひくついている。それがいやらしくていい。締まった尻の形もいい。物欲しげにくねる腰も、しなやかに反る背中も。俺にとって――俺たちにとって、特別な体だ。今は、俺だけのものだ」
「三田村……」
胸がつまった和彦は、三田村のあごの傷跡を舌先でそっと舐め上げてから、唇を重ねる。柔らかく唇を吸い合いながら緩やかに腰を揺らすと、三田村のほうが興奮を抑えきれなくなったのか、和彦の腰を掴んで激しく体を揺さぶってくる。
「うっ……、うあっ、ああっ」
三田村の背に両腕を回し、必死に掴まる。いつの間にか和彦のものは精を噴き上げていた。下肢に力が入らなくなっているが、それでも内奥を掻き回す逞しいものを必死に締め付ける。もっと三田村に満たされたいし、三田村を満たしたいのだ。
三田村の体が大きく一度だけ震える。それが興奮のためだと知ったのは、次の瞬間に訪れた、快感の波のせいだ。
「うあっ」
内奥深くを乱暴に突き上げられ、三田村の欲望にぴったりと吸い付いていた襞と粘膜を強く擦られる。まさに、内から貪り食われているようだった。圧倒的な逞しさを持つものに内奥をこじ開けられ、刻印を刻むように熱の塊を押し付けられるのだ。逆らうこともできず、身を差し出すことしかできない。
和彦は甲高い声を立て続けに上げて、必死に三田村の背にしがみつく。体の内も熱いが、のしかかってくる三田村の体も熱い。
「んっ、くうっ。あっ、いっ、いぃ――。三田村っ、気持ち、い……」
三田村の肩に額を擦りつけてから、吸い寄せられるようにまた姿見のほうを見てしまう。一方の三田村は、姿見の存在などすっかり忘れたように、ひたすら和彦を見下ろしている。
自分だけを真摯に見つめ続けてくれる三田村の姿に、和彦は体だけではなく、心で感じてしまう。どれだけ言葉を交わすより、これは自分の唯一の〈オトコ〉なのだと実感していた。
「――先生」
切望するような声で呼ばれ、鏡に映るものから視線を引き剥がした和彦は今度こそ、本物の三田村をしっかりと見つめる。
狂おしく唇を塞がれ、口腔を舌で犯され、唾液を流し込まれる。内奥深くには、たっぷりの精を注ぎ込まれる。和彦は、三田村のすべてを嬉々として受け入れ、熱い吐息とともに囁きをこぼす。
「もっと、虎を撫でたいんだ……」
荒い息をつきながら、三田村は欲しい答えをくれた。
「先生の、望む通りに」
汗に濡れた体を擦りつけるように密着させ、それでも物足りないのか、三田村の力強い両腕にしっかりと抱き締められる。まるで縛めのような抱擁が心地よくて、吐息を洩らした和彦は、すぐに、内奥深くに埋め込まれた逞しい欲望の存在を意識させられる。
体の奥から尽きることなく官能が溢れ出し、それは熱い蜜となって反り返った先端から垂れる。和彦は腰をもじつかせ、三田村の引き締まった腹部に擦りつける。もっとあさましく腰を蠢かしたいが、きつく抱き締められているため、それは叶わない。
三田村は、深く繋がっている感覚を堪能している。そして、視覚でも――。
「うっ……」
尻に手がかかり、左右に割り開かれる。興奮と羞恥に襲われた和彦は身じろごうとして腰を揺らし、それが無駄であることを再び悟ると、三田村の肩にすがりつく。座って向き合う形で繋がる行為そのものは嫌いではないが、自分の背後に姿見があると思うと、いつにない感覚を味わうことになる。
例えば、さきほどから姿見を見つめている三田村の目に、自分の姿はどんなふうに映っているのか、と気になってしまうのだ。
意識しなくても、三田村の欲望をきつく締め付けてしまう。露骨な言葉で煽られたわけでもないのに、勝手に和彦の意識は舞い上がり、乱れる。息を喘がせながら、狂おしく三田村の背の虎を撫で回し、肩に何度も噛み付いていた。三田村も何も感じていないわけではなく、すっかり力を取り戻したものが内奥で力強く脈打っている。
繋がった部分を指先でなぞられ、声を上げた和彦はビクンと背をしならせる。三田村は、いとおしむようにてのひらで背を撫でてくれた。
「――先生」
三田村に優しい声で呼ばれ、おずおずと顔を上げる。照れ隠しに、というわけではないが、和彦はささやかな抗議をした。
「不公平だ。あんたの背中が、見えない……。お互いの位置を逆にしたい」
「ダメだ。俺が、先生の体を見られなくなる」
「……ぼくの体は、見たところで珍しくないだろ。普通の、男の体だ」
そんなことはない、と言い切った三田村が、再び繋がった部分をまさぐってくる。
「振り返って先生も見るといい。この狭い部分で必死に俺のものを咥え込んで、真っ赤になってひくついている。それがいやらしくていい。締まった尻の形もいい。物欲しげにくねる腰も、しなやかに反る背中も。俺にとって――俺たちにとって、特別な体だ。今は、俺だけのものだ」
「三田村……」
胸がつまった和彦は、三田村のあごの傷跡を舌先でそっと舐め上げてから、唇を重ねる。柔らかく唇を吸い合いながら緩やかに腰を揺らすと、三田村のほうが興奮を抑えきれなくなったのか、和彦の腰を掴んで激しく体を揺さぶってくる。
「うっ……、うあっ、ああっ」
三田村の背に両腕を回し、必死に掴まる。いつの間にか和彦のものは精を噴き上げていた。下肢に力が入らなくなっているが、それでも内奥を掻き回す逞しいものを必死に締め付ける。もっと三田村に満たされたいし、三田村を満たしたいのだ。
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