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第14話
(19)
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聞きようによっては甘い賢吾の言葉に対して、和彦はどんな顔をすればいいのかわからない。困惑して、うかがうように見つめると、獰猛な笑みを向けられた。
「――この俺に気をつかわせるなんざ、大したオンナだ」
賢吾のその言葉と、貪るような激しい口づけに、和彦は陥落する。体だけでなく心まで、賢吾の〈オンナ〉として求められることを望んでいた。
「いい顔だ、先生。俺が欲しくなっただろ?」
傲慢な物言いにすら、官能を刺激される。唇を軽く吸い上げられた和彦は、小さく頷いた。次の瞬間、手荒な動作で腕を掴まれ、ソファに連れて行かれる。ただし、座ったのは賢吾だけだった。
鷹揚に両足を開いた賢吾の意図を察し、和彦は羞恥と屈辱に全身を熱くしながら、反面、身悶えしたくなるような興奮を覚える。
命令される前に賢吾の足元に膝をつくと、ベルトを外し、スラックスの前を寛げる。
引き出した賢吾のものは、すでに熱く高ぶっていた。息を呑む和彦の髪を優しい手つきで梳き上げながら、賢吾が言った。
「さあ、たっぷり愛してくれ」
さほど抵抗を覚えることなく、和彦は賢吾の両足の間に顔を伏せると、まずは欲望に丹念に舌を這わせる。根元から舐め上げ、括れを舌先でくすぐり、先端をたっぷり舐め回す。そうしながら、指の輪で根元から扱き上げてやる。
心の内をなかなか読ませない賢吾だが、欲望の高ぶりだけは明け透けなほど晒してくれる。和彦の手の中で賢吾のものは逞しく脈打ち、熱くなっていた。
賢吾のものを愛撫しながら、和彦自身も官能が高まる。熱を帯びた吐息をこぼすと、賢吾の手が後頭部にかかり、力を込められる。
「んうっ……」
口腔に賢吾のものを含むが、それだけでは満足できないらしく、さらに賢吾に頭を押さえつけられていた。
口腔を、賢吾のもので犯される。苦しさに息を詰めた和彦だが、喉につくほど押し込まれた熱い塊を吐き出すことは許されない。
「――先生の尻と同じだな。奥がヌルヌルと蠢いて、よく締まってる」
頭上から降ってきた賢吾の言葉に、和彦は上目遣いで睨みつける。そんな和彦のあごの下を賢吾が指先でくすぐってきた。
「そんな顔するな。好きだろ。舐められるのも、舐めるのも」
口を塞がれているため反論できないということもあるが、それ以上に――事実だった。
和彦は視線を伏せると、賢吾の欲望に忠実に仕える。促されるままに頭を上下に動かし、唇で締め付けるようにして欲望を扱く。ときおり、口腔深くまで呑み込み、しっとりと粘膜で包んでやると、後頭部にかかった賢吾の手に髪を掻き乱された。
快感を素直に示す男は、大蛇だろうがなんであろうが、愛しい。
時間をかけての口淫の果てに、賢吾は、和彦の奉仕に褒美を与えてくれた。
頭を押さえつけられながら、口腔でドクッ、ドクッと脈打つ賢吾の欲望を吸引する。迸り出た精をすべて受け止め、喉に流し込んだ。
精を放っても、逞しさを失わない欲望を口腔に含んだまま、賢吾の荒い息遣いが鎮まるのを待ってから、和彦は愛撫を再開する。愉悦を含んだ声で、賢吾が洩らした。
「やっぱりお前は、可愛いオンナだ」
その言葉は、強烈な快感となって、和彦の体を貫いた。ようやく賢吾のものを口腔から出して顔を上げると、濡れた唇を指で拭われる。和彦は、今度はその指を口腔に含んだ。
紅潮し、汗に濡れた和彦の肌を、賢吾がいとおしむように両手で撫でてくる。その肌にはすでに、賢吾の激しい愛撫の痕跡が散らされていた。強く肌を吸われるたびに、所有の証を刻みつけられるようなもので、和彦は、獣に自分の体を食われているような錯覚にすら陥った。
内奥に指を含まされ、無意識に腰が揺れる。賢吾の執拗な愛撫は内奥にも施され、熱く熟れた肉が、賢吾の指を嬉々として締め付ける。
「クリスマスだが――」
突然賢吾に切り出され、愛撫に酔っていた和彦は、すぐに意識を切り替えることができなかった。
「えっ……」
内奥の浅い部分を指でぐっと押され、腰が痺れる。嫌でも意識を引き戻された。
唇を引き結んだ和彦の顔を、賢吾は楽しげな様子で覗き込んできた。
「クリスマスは、イブも含めて、三田村と過ごせ。ひどく先生のことを心配していたが、仕事の都合で、つきっきりで側にいることができなかったからな。俺から三田村への、クリスマスプレゼントだ。先生には、さっきの要望通り、何かいいものを買ってやる」
「……いまごろ三田村は、くしゃみをしているかもな」
軽い皮肉で応じたものの、嬉しくないわけではない。ただ、賢吾が何か企んでいるのではないかと、つい穿った見方をしてしまう。
そもそも、そう考えてしまう理由があった。
「――この俺に気をつかわせるなんざ、大したオンナだ」
賢吾のその言葉と、貪るような激しい口づけに、和彦は陥落する。体だけでなく心まで、賢吾の〈オンナ〉として求められることを望んでいた。
「いい顔だ、先生。俺が欲しくなっただろ?」
傲慢な物言いにすら、官能を刺激される。唇を軽く吸い上げられた和彦は、小さく頷いた。次の瞬間、手荒な動作で腕を掴まれ、ソファに連れて行かれる。ただし、座ったのは賢吾だけだった。
鷹揚に両足を開いた賢吾の意図を察し、和彦は羞恥と屈辱に全身を熱くしながら、反面、身悶えしたくなるような興奮を覚える。
命令される前に賢吾の足元に膝をつくと、ベルトを外し、スラックスの前を寛げる。
引き出した賢吾のものは、すでに熱く高ぶっていた。息を呑む和彦の髪を優しい手つきで梳き上げながら、賢吾が言った。
「さあ、たっぷり愛してくれ」
さほど抵抗を覚えることなく、和彦は賢吾の両足の間に顔を伏せると、まずは欲望に丹念に舌を這わせる。根元から舐め上げ、括れを舌先でくすぐり、先端をたっぷり舐め回す。そうしながら、指の輪で根元から扱き上げてやる。
心の内をなかなか読ませない賢吾だが、欲望の高ぶりだけは明け透けなほど晒してくれる。和彦の手の中で賢吾のものは逞しく脈打ち、熱くなっていた。
賢吾のものを愛撫しながら、和彦自身も官能が高まる。熱を帯びた吐息をこぼすと、賢吾の手が後頭部にかかり、力を込められる。
「んうっ……」
口腔に賢吾のものを含むが、それだけでは満足できないらしく、さらに賢吾に頭を押さえつけられていた。
口腔を、賢吾のもので犯される。苦しさに息を詰めた和彦だが、喉につくほど押し込まれた熱い塊を吐き出すことは許されない。
「――先生の尻と同じだな。奥がヌルヌルと蠢いて、よく締まってる」
頭上から降ってきた賢吾の言葉に、和彦は上目遣いで睨みつける。そんな和彦のあごの下を賢吾が指先でくすぐってきた。
「そんな顔するな。好きだろ。舐められるのも、舐めるのも」
口を塞がれているため反論できないということもあるが、それ以上に――事実だった。
和彦は視線を伏せると、賢吾の欲望に忠実に仕える。促されるままに頭を上下に動かし、唇で締め付けるようにして欲望を扱く。ときおり、口腔深くまで呑み込み、しっとりと粘膜で包んでやると、後頭部にかかった賢吾の手に髪を掻き乱された。
快感を素直に示す男は、大蛇だろうがなんであろうが、愛しい。
時間をかけての口淫の果てに、賢吾は、和彦の奉仕に褒美を与えてくれた。
頭を押さえつけられながら、口腔でドクッ、ドクッと脈打つ賢吾の欲望を吸引する。迸り出た精をすべて受け止め、喉に流し込んだ。
精を放っても、逞しさを失わない欲望を口腔に含んだまま、賢吾の荒い息遣いが鎮まるのを待ってから、和彦は愛撫を再開する。愉悦を含んだ声で、賢吾が洩らした。
「やっぱりお前は、可愛いオンナだ」
その言葉は、強烈な快感となって、和彦の体を貫いた。ようやく賢吾のものを口腔から出して顔を上げると、濡れた唇を指で拭われる。和彦は、今度はその指を口腔に含んだ。
紅潮し、汗に濡れた和彦の肌を、賢吾がいとおしむように両手で撫でてくる。その肌にはすでに、賢吾の激しい愛撫の痕跡が散らされていた。強く肌を吸われるたびに、所有の証を刻みつけられるようなもので、和彦は、獣に自分の体を食われているような錯覚にすら陥った。
内奥に指を含まされ、無意識に腰が揺れる。賢吾の執拗な愛撫は内奥にも施され、熱く熟れた肉が、賢吾の指を嬉々として締め付ける。
「クリスマスだが――」
突然賢吾に切り出され、愛撫に酔っていた和彦は、すぐに意識を切り替えることができなかった。
「えっ……」
内奥の浅い部分を指でぐっと押され、腰が痺れる。嫌でも意識を引き戻された。
唇を引き結んだ和彦の顔を、賢吾は楽しげな様子で覗き込んできた。
「クリスマスは、イブも含めて、三田村と過ごせ。ひどく先生のことを心配していたが、仕事の都合で、つきっきりで側にいることができなかったからな。俺から三田村への、クリスマスプレゼントだ。先生には、さっきの要望通り、何かいいものを買ってやる」
「……いまごろ三田村は、くしゃみをしているかもな」
軽い皮肉で応じたものの、嬉しくないわけではない。ただ、賢吾が何か企んでいるのではないかと、つい穿った見方をしてしまう。
そもそも、そう考えてしまう理由があった。
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