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第7話
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「今日は、お仕置きじゃないぜ? 先生に対するご褒美だ。先生も三田村も忙しい中、楽しむ時間を作ってやったんだ」
「だからあんたは、性質が悪いと言うんだっ……」
どれだけ和彦と三田村が密やかに関係を深めても、それは賢吾の許しがあってのものだ。そのことを忘れないよう、賢吾はこんな形で思い知らせようとしている。もちろん、和彦も三田村も拒めないのを承知のうえで。
和彦の上から賢吾が退き、三田村が呼ばれる。まるで機械のように無機質な動作で三田村がのしかかってきたが、蕩けた内奥の入り口に押し当てられたものは、熱く硬く張り詰めている。
いくら相手が三田村とはいえ、賢吾の前で反応しないと身構えていた和彦だが、呆気なく決意は揺らぎ、激しい羞恥のあまり顔を背ける。ベッドの端に腰掛けた賢吾が低く声を洩らして笑い、そんな和彦の髪を撫でてきた。
「いいな、先生。初心な小娘が、初めて男を受け入れるときみたいな姿だ」
ゆっくりと挿入されてくる三田村のものを、和彦の内奥は嬉々として迎え入れ、締め付ける。
「うっ、あぁっ」
三田村の顔をまともに見られなくても、自分の内にいるのは三田村だとよくわかる。愛しいオトコの欲望だ。
緩やかに突き上げられるようになると、和彦はすがるように三田村を見上げ、両腕を伸ばしてしがみつく。
「あっ、あっ、い、ぃ――……」
和彦の耳元で『先生』と呼んだ三田村が乱暴に腰を突き上げ、二人はしっかりと繋がる。賢吾を受け入れ、精すら受け止めた場所は、三田村に対しても従順で、貪欲だ。粘膜と襞を擦り上げられるたびに、身を捩りたくなるような肉の愉悦を生み出す。
「はあっ、あぁっ……ん。三田、村、三田村っ……」
三田村の激しい動きに翻弄される和彦を、賢吾は枕元に腰掛けて見下ろしていた。目が合うと、三田村の頭を抱き締めていた片方の手を取られ、手の甲に唇が押し当てられる。
「三田村も愛しい、うちの千尋も可愛い。何より、俺を大事にしなきゃいけない――。大変だな、先生」
賢吾の言葉に和彦は視線を伏せると、ワイシャツ越しに三田村の肩に噛み付く。即物的に交わることしか許されない今は、これが和彦にできる精一杯の三田村への愛撫だ。
それでも気持ちは伝わったらしく、三田村は熱い精を、和彦の内奥深くにたっぷり与えてくれた。
患者の診察を終えた和彦は、日用品を買い込み、夕食を済ませてから帰宅する。
組員と別れて部屋に一人となると、ダイニングのイスに腰掛けてほっと一息つく。先にシャワーを浴びてこようかと考えていて、親機のボタンが点滅していることに気づいた。誰かが留守電にメッセージを残したのだ。
和彦に用がある人間の大半は、携帯電話に直接連絡してくるため、珍しいこともあるものだと思ったが、肝心の携帯電話の番号を変更したばかりだ。しかもまだ、ごく限られた人間にしか、そのことを知らせていない。
慌てて留守電を再生すると、メッセージを吹き込んでいたのは中嶋だった。折り返し連絡が欲しいということだが、どことなく中嶋の声が緊張しているように感じ、和彦は気になる。
シャワーは後回しにして、さっそく新しい携帯電話から、中嶋の携帯電話に連絡する。
『先生ですか?』
コール音が途切れると同時に、急き込むように問われて面食らう。一瞬和彦は、電話をかけた先を間違えたのだろうかと思ったぐらいだ。
「あっ、ああ……」
『よかった。先生の携帯が繋がらないかもしれないと聞いていたんで、自宅のほうにかけさせてもらったんです。携帯の番号、変えたんですね』
「いろいろ事情があって。バタバタしていたから、君に知らせるのが遅くなったんだ。そのせいで手間をかけさせたみたいだな」
『いえ。こっちの事情で電話をかけておいて、手間なんて……』
やはり、中嶋の様子がおかしい。和彦は率直に尋ねた。
「中嶋くん、どうかしたのか? なんだか声の調子がいつもと違う――」
『先生っ、頼みがありますっ』
どうやら中嶋は切迫した状況にいるらしい。
「……ぼくで相談に乗れることなら……」
『先生が、長嶺組や総和会にとって大事な医者なのはよくわかっています。だけど俺には、先生しか心当たりがないんです。――診てほしい人間がいます』
和彦は眉をひそめ、慎重に言葉を選びながら答える。
「総和会にいる君ならわかるだろ。ぼくは、長嶺組に飼われている人間だ。組の許可なく誰かを診ることはできない。なんなら、ぼくから組に頼んで許可をもらって――」
『ダメなんです。組には知られたくない。……微妙な立場にいる人間で、組とは関われないんです』
「それなら、救急車を呼べばいいんじゃないか?」
「だからあんたは、性質が悪いと言うんだっ……」
どれだけ和彦と三田村が密やかに関係を深めても、それは賢吾の許しがあってのものだ。そのことを忘れないよう、賢吾はこんな形で思い知らせようとしている。もちろん、和彦も三田村も拒めないのを承知のうえで。
和彦の上から賢吾が退き、三田村が呼ばれる。まるで機械のように無機質な動作で三田村がのしかかってきたが、蕩けた内奥の入り口に押し当てられたものは、熱く硬く張り詰めている。
いくら相手が三田村とはいえ、賢吾の前で反応しないと身構えていた和彦だが、呆気なく決意は揺らぎ、激しい羞恥のあまり顔を背ける。ベッドの端に腰掛けた賢吾が低く声を洩らして笑い、そんな和彦の髪を撫でてきた。
「いいな、先生。初心な小娘が、初めて男を受け入れるときみたいな姿だ」
ゆっくりと挿入されてくる三田村のものを、和彦の内奥は嬉々として迎え入れ、締め付ける。
「うっ、あぁっ」
三田村の顔をまともに見られなくても、自分の内にいるのは三田村だとよくわかる。愛しいオトコの欲望だ。
緩やかに突き上げられるようになると、和彦はすがるように三田村を見上げ、両腕を伸ばしてしがみつく。
「あっ、あっ、い、ぃ――……」
和彦の耳元で『先生』と呼んだ三田村が乱暴に腰を突き上げ、二人はしっかりと繋がる。賢吾を受け入れ、精すら受け止めた場所は、三田村に対しても従順で、貪欲だ。粘膜と襞を擦り上げられるたびに、身を捩りたくなるような肉の愉悦を生み出す。
「はあっ、あぁっ……ん。三田、村、三田村っ……」
三田村の激しい動きに翻弄される和彦を、賢吾は枕元に腰掛けて見下ろしていた。目が合うと、三田村の頭を抱き締めていた片方の手を取られ、手の甲に唇が押し当てられる。
「三田村も愛しい、うちの千尋も可愛い。何より、俺を大事にしなきゃいけない――。大変だな、先生」
賢吾の言葉に和彦は視線を伏せると、ワイシャツ越しに三田村の肩に噛み付く。即物的に交わることしか許されない今は、これが和彦にできる精一杯の三田村への愛撫だ。
それでも気持ちは伝わったらしく、三田村は熱い精を、和彦の内奥深くにたっぷり与えてくれた。
患者の診察を終えた和彦は、日用品を買い込み、夕食を済ませてから帰宅する。
組員と別れて部屋に一人となると、ダイニングのイスに腰掛けてほっと一息つく。先にシャワーを浴びてこようかと考えていて、親機のボタンが点滅していることに気づいた。誰かが留守電にメッセージを残したのだ。
和彦に用がある人間の大半は、携帯電話に直接連絡してくるため、珍しいこともあるものだと思ったが、肝心の携帯電話の番号を変更したばかりだ。しかもまだ、ごく限られた人間にしか、そのことを知らせていない。
慌てて留守電を再生すると、メッセージを吹き込んでいたのは中嶋だった。折り返し連絡が欲しいということだが、どことなく中嶋の声が緊張しているように感じ、和彦は気になる。
シャワーは後回しにして、さっそく新しい携帯電話から、中嶋の携帯電話に連絡する。
『先生ですか?』
コール音が途切れると同時に、急き込むように問われて面食らう。一瞬和彦は、電話をかけた先を間違えたのだろうかと思ったぐらいだ。
「あっ、ああ……」
『よかった。先生の携帯が繋がらないかもしれないと聞いていたんで、自宅のほうにかけさせてもらったんです。携帯の番号、変えたんですね』
「いろいろ事情があって。バタバタしていたから、君に知らせるのが遅くなったんだ。そのせいで手間をかけさせたみたいだな」
『いえ。こっちの事情で電話をかけておいて、手間なんて……』
やはり、中嶋の様子がおかしい。和彦は率直に尋ねた。
「中嶋くん、どうかしたのか? なんだか声の調子がいつもと違う――」
『先生っ、頼みがありますっ』
どうやら中嶋は切迫した状況にいるらしい。
「……ぼくで相談に乗れることなら……」
『先生が、長嶺組や総和会にとって大事な医者なのはよくわかっています。だけど俺には、先生しか心当たりがないんです。――診てほしい人間がいます』
和彦は眉をひそめ、慎重に言葉を選びながら答える。
「総和会にいる君ならわかるだろ。ぼくは、長嶺組に飼われている人間だ。組の許可なく誰かを診ることはできない。なんなら、ぼくから組に頼んで許可をもらって――」
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