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第7話
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子供のような仕種で頭を振った千尋の顔を、和彦はまじまじと見上げる。父親は、蛇蝎云々と話しながら悠然としていたのに、一方の息子は、牙を剥いていきり立ったかと思えば、すでにもう途方に暮れた犬っころのような顔をしている。
和彦は、片腕で千尋の頭を抱き締めた。
「そんな顔するな。お前は、キャンキャン吠えて怒っているほうが、こっちも安心する」
「なんだよ、それ……」
ふて腐れたように言いながら千尋が、和彦の体にかかったタオルケットを押し退けてしまう。熱い体にきつく抱き締められ、その生々しさに身じろぐ。安定剤の効き目はもう消えたようだが、秦の淫らな愛撫の余韻は、厄介な疼きとなって体内に留まったままなのだ。
「千尋……、ぼくについてきていた組員の二人はどうなった?」
千尋の気を逸らすためというより、本当に気になっていたことを問いかける。
「大丈夫だよ。ただ、職質されただけ。多分、先生と引き合わせないよう足止めしたんだ」
「……つまり本当に、鷹津って刑事はぼくを連れて行くつもりだったのか」
秦がやった行為はともかく、あの場は秦に救われたということだ。
「――先生、俺も聞きたいことがあるんだけど」
息もかかるほど間近に顔を寄せ、千尋が言う。和彦はその千尋の下から抜け出そうとしたが、がっちり押さえ込まれているので動けない。
「なんだ……」
「先生を助けた秦って奴、何者?」
「……三田村から聞かなかったのか」
「総和会の中嶋さんの友人。クラブ経営者。――最近、先生と仲良し」
最後の言葉を告げるときだけ、千尋の眼差しが険しくなる。自分の知らないところであれこれ邪推されて探られるのも嫌だが、直情型の千尋らしく真っ向から問われるのも、息が詰まる気持ちだ。
和彦は心臓の鼓動が速くなるのを感じ、動揺を懸命に押し殺す。
「クリニックのインテリアのことで、相談に乗ってもらっているんだ」
「ものすごく、イイ男なんだって?」
「三田村から聞き出したな……」
「そこでなんで、自発的に三田村が教えてくれたと考えないかな、先生」
「キャラクターの違いというものを、一度じっくり考えろ――」
不意打ちで千尋に唇を塞がれ、強引に下着を引き下ろされる。秦に体に触れられたことを悟られると思い、和彦は必死に身を捩ろうとするが、ムキになったようにのしかかられ、下着が足から抜き取られる。
「千尋っ……」
「甘やかしてよ、先生。今ここで、俺のことを目一杯、甘やかして」
子供のようにせがみながらも、千尋は野性味を湛えた大人の男の顔をしている。
ため息をついた和彦は、千尋の頬を手荒く撫でてやる。
「ぼくのことを、心配してくれたんだな」
「当たり前だろ。先生は、俺にとって一番大事な人だ」
「……心配してくれるのはありがたいが、のしかかってきて、甘やかせ、と迫ってくるのはどうなんだ」
こう話している間にも、和彦の体はうつ伏せにされ、腰を抱え上げられる。唾液で濡らされた指に内奥の入り口をまさぐられたかと思うと、肉を掻き分けるようにして挿入された。和彦は唇を噛み、身を強張らせる。
内奥が、淫らに蠢いているのは自分でもわかった。ローターと秦の指で中途半端に官能を刺激され、秦の欲望によってこじ開けられかけた場所は、ずっと肉の疼きを鎮めたがっていたのだ。
「千尋、今は、嫌だ――……」
「でも、先生の中、すごく発情してる。俺の指に、吸い付いてきてる」
ねっとりと撫で回すように内奥で指が動かされると、たまらず呻き声を洩らす。もっと深い場所を、逞しいもので押し開いてほしいと体が要求していた。
和彦の無言の求めがわかったように、背後で忙しい衣擦れの音がしたあと、千尋の熱く滾ったものが擦りつけられた。
「あっ、ああっ」
硬く逞しいものが、まるで歓喜するかのように収縮を繰り返す内奥に挿入されていく。それでなくても脆くなっている襞と粘膜を力強く擦り上げられ、和彦は腰を震わせながら、喉を鳴らす。満たされる感触が、たまらなくよかった。
軽く腰を突き上げた千尋が大きく息を吐き出し、和彦の尻に両手をかける。欲望を呑み込んでいく様子をよく見ようとしているのか、双丘を割り開かれていた。
「はっ……、あぅっ、んっ、んっ……」
「先生って、酒に酔ったぐらいで、ここまで乱れる人だったっけ? それとも、寝起きだから? 怖い思いをしたあとだと、いつも以上に欲しがりになるのかな」
言葉で煽っているのか、本気で知りたがっているのか、そんなことを呟きながらも、千尋はしっかりと腰を進め、容赦なく和彦を攻め立ててくる。
「あっ、あっ、あうっ」
枕を跳ね除け、敷き布団の端を握り締めながら、背後からの千尋の果敢な攻めに耐える。
和彦は、片腕で千尋の頭を抱き締めた。
「そんな顔するな。お前は、キャンキャン吠えて怒っているほうが、こっちも安心する」
「なんだよ、それ……」
ふて腐れたように言いながら千尋が、和彦の体にかかったタオルケットを押し退けてしまう。熱い体にきつく抱き締められ、その生々しさに身じろぐ。安定剤の効き目はもう消えたようだが、秦の淫らな愛撫の余韻は、厄介な疼きとなって体内に留まったままなのだ。
「千尋……、ぼくについてきていた組員の二人はどうなった?」
千尋の気を逸らすためというより、本当に気になっていたことを問いかける。
「大丈夫だよ。ただ、職質されただけ。多分、先生と引き合わせないよう足止めしたんだ」
「……つまり本当に、鷹津って刑事はぼくを連れて行くつもりだったのか」
秦がやった行為はともかく、あの場は秦に救われたということだ。
「――先生、俺も聞きたいことがあるんだけど」
息もかかるほど間近に顔を寄せ、千尋が言う。和彦はその千尋の下から抜け出そうとしたが、がっちり押さえ込まれているので動けない。
「なんだ……」
「先生を助けた秦って奴、何者?」
「……三田村から聞かなかったのか」
「総和会の中嶋さんの友人。クラブ経営者。――最近、先生と仲良し」
最後の言葉を告げるときだけ、千尋の眼差しが険しくなる。自分の知らないところであれこれ邪推されて探られるのも嫌だが、直情型の千尋らしく真っ向から問われるのも、息が詰まる気持ちだ。
和彦は心臓の鼓動が速くなるのを感じ、動揺を懸命に押し殺す。
「クリニックのインテリアのことで、相談に乗ってもらっているんだ」
「ものすごく、イイ男なんだって?」
「三田村から聞き出したな……」
「そこでなんで、自発的に三田村が教えてくれたと考えないかな、先生」
「キャラクターの違いというものを、一度じっくり考えろ――」
不意打ちで千尋に唇を塞がれ、強引に下着を引き下ろされる。秦に体に触れられたことを悟られると思い、和彦は必死に身を捩ろうとするが、ムキになったようにのしかかられ、下着が足から抜き取られる。
「千尋っ……」
「甘やかしてよ、先生。今ここで、俺のことを目一杯、甘やかして」
子供のようにせがみながらも、千尋は野性味を湛えた大人の男の顔をしている。
ため息をついた和彦は、千尋の頬を手荒く撫でてやる。
「ぼくのことを、心配してくれたんだな」
「当たり前だろ。先生は、俺にとって一番大事な人だ」
「……心配してくれるのはありがたいが、のしかかってきて、甘やかせ、と迫ってくるのはどうなんだ」
こう話している間にも、和彦の体はうつ伏せにされ、腰を抱え上げられる。唾液で濡らされた指に内奥の入り口をまさぐられたかと思うと、肉を掻き分けるようにして挿入された。和彦は唇を噛み、身を強張らせる。
内奥が、淫らに蠢いているのは自分でもわかった。ローターと秦の指で中途半端に官能を刺激され、秦の欲望によってこじ開けられかけた場所は、ずっと肉の疼きを鎮めたがっていたのだ。
「千尋、今は、嫌だ――……」
「でも、先生の中、すごく発情してる。俺の指に、吸い付いてきてる」
ねっとりと撫で回すように内奥で指が動かされると、たまらず呻き声を洩らす。もっと深い場所を、逞しいもので押し開いてほしいと体が要求していた。
和彦の無言の求めがわかったように、背後で忙しい衣擦れの音がしたあと、千尋の熱く滾ったものが擦りつけられた。
「あっ、ああっ」
硬く逞しいものが、まるで歓喜するかのように収縮を繰り返す内奥に挿入されていく。それでなくても脆くなっている襞と粘膜を力強く擦り上げられ、和彦は腰を震わせながら、喉を鳴らす。満たされる感触が、たまらなくよかった。
軽く腰を突き上げた千尋が大きく息を吐き出し、和彦の尻に両手をかける。欲望を呑み込んでいく様子をよく見ようとしているのか、双丘を割り開かれていた。
「はっ……、あぅっ、んっ、んっ……」
「先生って、酒に酔ったぐらいで、ここまで乱れる人だったっけ? それとも、寝起きだから? 怖い思いをしたあとだと、いつも以上に欲しがりになるのかな」
言葉で煽っているのか、本気で知りたがっているのか、そんなことを呟きながらも、千尋はしっかりと腰を進め、容赦なく和彦を攻め立ててくる。
「あっ、あっ、あうっ」
枕を跳ね除け、敷き布団の端を握り締めながら、背後からの千尋の果敢な攻めに耐える。
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