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第6話
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「やっぱり、先生の体に刺青を彫らせてみたいな。絶対に蛇の刺青だ。ゾクゾクするほど艶やかになるぞ。男に抱かれるたびに、先生の体と、彫られた蛇が身をくねらせるんだ。想像するだけで興奮する……」
「絶対、嫌だっ……」
畳に顔を突っ伏しながらも、和彦はこれだけは言い切る。想像だけなら確かに興奮する。しかし迂闊なことを言えば、今和彦を抱いているヤクザは、翌日には彫師を連れてくるぐらい、平気でやりそうだ。拒絶を貫くしかない。
「……強情だな。体は簡単に開いてくれるくせに」
「うるさい」
低く笑い声を洩らした賢吾が愛撫をやめ、仰向けにされた和彦は抱きかかえられるようにして布団の上へと移動させられる。
浴衣を脱ぎ捨てた賢吾の熱く逞しい体が覆い被さってきたとき、和彦は目も眩むような高揚感を覚えながら、自ら両腕を伸ばして賢吾にしがみついた。
「本当に、こんなに素直なのに、刺青だけは頑として拒むんだな」
「当たり前だ。人の体をなんだと思ってる」
「――俺のものだろ」
顔を覗き込んできた賢吾にヌケヌケと言われ、さすがの和彦も言葉が出なかった。その隙に賢吾に唇を塞がれ、二人は濃厚な口づけを交わす。
片足を抱えられ、高ぶった欲望が喘ぐ内奥の入り口へと擦りつけられる。和彦が微かに呻き声を洩らして身じろいだときには、侵入を開始されていた。
声を上げたかったが、すべて賢吾の唇に吸い取られ、律動を刻まれる頃には舌を絡め合っていた。
ゆっくりと腰を動かしながら、賢吾が髪を撫でてくれる。そっと唇を吸われた和彦は、深く息を吐き出してから、両てのひらで賢吾の背を撫でる。欲望を煽られたように、賢吾に内奥深くを強く突き上げられ、和彦は喉を反らした。
「んあっ、あっ、あっ……ん」
もう一度突き上げられて、絶頂に達する。迸らせた精で下腹部を濡らすと、このときの内奥の締まりを堪能するように賢吾が激しく腰を使い、和彦は絶頂の余韻を味わう間もなく、布団の上でよがり狂わされる。
硬く凝ったまま、意図したようにずっと触れられなかった胸の突起を、ようやく賢吾が口腔に含んでくれたとき、和彦は自分でも驚くような嬌声を上げて乱れていた。その最中に、追い討ちをかけるように賢吾の熱い精が内奥深くにたっぷり注ぎ込まれる。
「……具合がよすぎだ、先生」
そう言って、汗を滴らせた顔で賢吾が苦笑を浮かべる。和彦は呼吸を乱しながら顔を背けようとしたが、傲慢に賢吾にあごを掴まれ、唇を吸われた。
「――先生がクリニックを開業する前に、今度は三人で旅行に行くか?」
思いがけない賢吾の言葉に、和彦は目を丸くする。
「三人?」
「俺と千尋と先生。……護衛には、三田村も連れて行くか。今日はあいつの仕事の都合がつかなかったから、来られなかったしな」
何を考えているのだろうかと、賢吾の顔をまじまじと見つめていた和彦だが、そっとため息をつく。
「悪趣味じゃないか、それ」
「そうか? なかなか楽しいかもしれないぞ。俺の場合、警察からのお達しが回っているせいで、海外には出られないから、国内旅行限定になるがな」
「……楽しいわけないだろ。少なくとも、三田村は」
こんな会話を交わしながらも、二人はまだしっかりと繋がったままだった。精を放ったばかりだというのに、内奥で力強く脈打つ賢吾のものの感触が生々しい。すでにもう、和彦は新たな官能を刺激されつつあった。
「さすがに三人の相手をするとなると、身がもたないか?」
意地悪く賢吾に笑いかけられ、和彦は睨み返す。戯れのように唇に軽いキスが落とされた。
「大変だな、先生。自分が骨抜きにした男の相手をしなきゃいけねーんだから。だがまあ、自業自得――」
「あんたが、自業自得なんて立派な言葉を使うな」
「俺にそんな口が叩けるのは、先生だけだ。……だから、可愛い」
唇を重ね、口腔に賢吾の舌を受け入れて吸い上げる。そうしながら和彦は、両てのひらで賢吾の背を撫で続けていた。再び暴れようとしている大蛇を宥めるように。しかし逆効果だったらしく、内奥深くに収まった賢吾のものは、力を漲らせ始めていた。
「憎まれ口を叩いても、こうしてしっかり甘やかしてくれるしな」
ひそっと賢吾に囁かれ、和彦は顔を背ける。
「……うるさい」
「俺の知らないところで、別の男も骨抜きにしてるんじゃねーか? 先生は、無自覚に男を惹きつけるからな」
賢吾の口調から、本気か冗談なのか推し量ることはできない。また和彦も、それを確かめるために賢吾の目を覗き込む度胸はない。こうして体を重ねていても、大蛇は怖い。
「無自覚なら、ぼくに聞いても仕方ないだろ。本人に自覚はないんだから」
「なるほど。聞くなら、街灯に寄ってくる虫のような男のほう、だな」
ヒヤリとするような例えは聞こえなかったふりをして、和彦は小さく喘ぎ声を洩らしてから、賢吾の逞しい肩にそっと噛みついた。
「絶対、嫌だっ……」
畳に顔を突っ伏しながらも、和彦はこれだけは言い切る。想像だけなら確かに興奮する。しかし迂闊なことを言えば、今和彦を抱いているヤクザは、翌日には彫師を連れてくるぐらい、平気でやりそうだ。拒絶を貫くしかない。
「……強情だな。体は簡単に開いてくれるくせに」
「うるさい」
低く笑い声を洩らした賢吾が愛撫をやめ、仰向けにされた和彦は抱きかかえられるようにして布団の上へと移動させられる。
浴衣を脱ぎ捨てた賢吾の熱く逞しい体が覆い被さってきたとき、和彦は目も眩むような高揚感を覚えながら、自ら両腕を伸ばして賢吾にしがみついた。
「本当に、こんなに素直なのに、刺青だけは頑として拒むんだな」
「当たり前だ。人の体をなんだと思ってる」
「――俺のものだろ」
顔を覗き込んできた賢吾にヌケヌケと言われ、さすがの和彦も言葉が出なかった。その隙に賢吾に唇を塞がれ、二人は濃厚な口づけを交わす。
片足を抱えられ、高ぶった欲望が喘ぐ内奥の入り口へと擦りつけられる。和彦が微かに呻き声を洩らして身じろいだときには、侵入を開始されていた。
声を上げたかったが、すべて賢吾の唇に吸い取られ、律動を刻まれる頃には舌を絡め合っていた。
ゆっくりと腰を動かしながら、賢吾が髪を撫でてくれる。そっと唇を吸われた和彦は、深く息を吐き出してから、両てのひらで賢吾の背を撫でる。欲望を煽られたように、賢吾に内奥深くを強く突き上げられ、和彦は喉を反らした。
「んあっ、あっ、あっ……ん」
もう一度突き上げられて、絶頂に達する。迸らせた精で下腹部を濡らすと、このときの内奥の締まりを堪能するように賢吾が激しく腰を使い、和彦は絶頂の余韻を味わう間もなく、布団の上でよがり狂わされる。
硬く凝ったまま、意図したようにずっと触れられなかった胸の突起を、ようやく賢吾が口腔に含んでくれたとき、和彦は自分でも驚くような嬌声を上げて乱れていた。その最中に、追い討ちをかけるように賢吾の熱い精が内奥深くにたっぷり注ぎ込まれる。
「……具合がよすぎだ、先生」
そう言って、汗を滴らせた顔で賢吾が苦笑を浮かべる。和彦は呼吸を乱しながら顔を背けようとしたが、傲慢に賢吾にあごを掴まれ、唇を吸われた。
「――先生がクリニックを開業する前に、今度は三人で旅行に行くか?」
思いがけない賢吾の言葉に、和彦は目を丸くする。
「三人?」
「俺と千尋と先生。……護衛には、三田村も連れて行くか。今日はあいつの仕事の都合がつかなかったから、来られなかったしな」
何を考えているのだろうかと、賢吾の顔をまじまじと見つめていた和彦だが、そっとため息をつく。
「悪趣味じゃないか、それ」
「そうか? なかなか楽しいかもしれないぞ。俺の場合、警察からのお達しが回っているせいで、海外には出られないから、国内旅行限定になるがな」
「……楽しいわけないだろ。少なくとも、三田村は」
こんな会話を交わしながらも、二人はまだしっかりと繋がったままだった。精を放ったばかりだというのに、内奥で力強く脈打つ賢吾のものの感触が生々しい。すでにもう、和彦は新たな官能を刺激されつつあった。
「さすがに三人の相手をするとなると、身がもたないか?」
意地悪く賢吾に笑いかけられ、和彦は睨み返す。戯れのように唇に軽いキスが落とされた。
「大変だな、先生。自分が骨抜きにした男の相手をしなきゃいけねーんだから。だがまあ、自業自得――」
「あんたが、自業自得なんて立派な言葉を使うな」
「俺にそんな口が叩けるのは、先生だけだ。……だから、可愛い」
唇を重ね、口腔に賢吾の舌を受け入れて吸い上げる。そうしながら和彦は、両てのひらで賢吾の背を撫で続けていた。再び暴れようとしている大蛇を宥めるように。しかし逆効果だったらしく、内奥深くに収まった賢吾のものは、力を漲らせ始めていた。
「憎まれ口を叩いても、こうしてしっかり甘やかしてくれるしな」
ひそっと賢吾に囁かれ、和彦は顔を背ける。
「……うるさい」
「俺の知らないところで、別の男も骨抜きにしてるんじゃねーか? 先生は、無自覚に男を惹きつけるからな」
賢吾の口調から、本気か冗談なのか推し量ることはできない。また和彦も、それを確かめるために賢吾の目を覗き込む度胸はない。こうして体を重ねていても、大蛇は怖い。
「無自覚なら、ぼくに聞いても仕方ないだろ。本人に自覚はないんだから」
「なるほど。聞くなら、街灯に寄ってくる虫のような男のほう、だな」
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