66 / 1,267
第4話
(17)
しおりを挟む
見られることにすら感じてしまい、悩ましい吐息をこぼした和彦は顔を背ける。そこに、しなやかな獣のように千尋が傍らに這い寄ってくる。和彦は両腕を伸ばして千尋の頭を抱き締めると、言葉を交わすより先に濃厚な口づけを交わしていた。
「んうっ」
賢吾の逞しい欲望が内奥に挿入されてくる。緩やかに腰を動かす賢吾の手に和彦のものは握り締められ、律動に合わせて上下に擦られていた。
「んんっ、んっ、んあっ」
和彦が喘ぎ始めると、千尋の唇が首筋に這わされ、肩先に軽く歯を立てられてから、胸の突起を舌先で弄られる。そっと頭を撫でてやると、顔を上げた千尋が嬉しそうに笑いかけてくる。
「――先生は本当に、うちのバカ息子に甘いな」
賢吾の言葉に、千尋が得意げに言い返す。
「羨ましいか、クソオヤジ」
「あいにく、俺も今、先生の尻でたっぷり甘やかせてもらってるからな」
そう言って賢吾に内奥を突き上げられながら、さきほど風呂場で宣告されたように、柔らかな膨らみをやや力を入れて揉みしだかれる。
「ああっ、あっ、い、やぁっ……」
和彦は声を上げ、強い刺激から逃れようとしたが、二人の男に押さえつけられているため、抱え上げられた片足を空しく突っ張らせるだけだ。
欲望で張り詰めたものを、しっかりと根元まで内奥に埋め込んで、賢吾が満足そうに笑みを浮かべる。肉を貪り食らい、口から血を滴らせているのがよく似合いそうな、凶悪で魅力的な笑みだ。
「いい、の間違いだろ、先生。尻が興奮しまくって、俺のものを食い千切りそうなほど、よく締まってる」
賢吾に柔らかな膨らみを容赦なく攻められ、内奥を突き上げられる一方で、千尋の手に胸をまさぐられ、突起を弄られる。
間断なく与えられる快感に、和彦は恥知らずな嬌声を上げて乱れていた。
唇にキスを落として千尋が身を引く。それを待って賢吾に両足を抱えられ、律動が大きく激しくなる。和彦は両腕を伸ばして賢吾にしがみついた。
「あっ……ん、んっ、んうっ……、け、ごさ……、賢吾さん――」
「気持ちいいか、先生?」
甘やかすような声で問われ、和彦は頷く。褒美だといわんばかりに、円を描くように内奥を掻き回された。そして、不意打ちのように賢吾の逞しい欲望を奥深くに打ち込まれ、これ以上なく二人はしっかりと繋がり、溶ける。
「さあ、先生が好きなことをしてやる」
そう囁いてきた賢吾に抱き締められながら、内奥に熱い精を注ぎ込まれた。
和彦は、千尋に対してそうであったように、従順に――嬉々として受け止める。そうすることが自分の義務なのだと、ごく自然に考え、体が反応していた。
和彦の二度目の絶頂を促してくれたのは、どちらの手であり、舌であったか、もうわからなかった。賢吾とも千尋とも、一つに溶け合ってしまいそうなほど濃厚に交わり、区別する必要を感じなくなっていたのだ。
「――お前は、俺たちのオンナだ」
和彦の唇を何度も啄ばみながら賢吾に囁かれる。背後から緩やかに内奥を突き上げてくるのは、衰えを知らないほど滾った千尋の欲望だ。何度となく押し開けられ、擦り上げられているため内奥は痺れたようになっているが、それでも愛されると、応えようとして懸命に欲望を締め付けてしまう。
布団に両膝をついた姿勢で小さく喘いだ和彦は、座っている賢吾の肩にすがりつく。賢吾の片手は、さきほどから和彦のものを巧みに扱き続けていた。
「そう言われるたびに、先生は傲然と顔を上げろ。性質の悪いヤクザ二人に、これ以上なく愛されて、大事にされている色男の顔を、みんなに見せてやれ。先生が卑屈になると、俺たちの価値が下がる」
内奥深くに自分の欲望を埋め込んだ千尋の手に、柔らかな膨らみを乱暴に揉みしだかれる。悦びの声を上げた和彦は腰を揺らしてから、片膝を立てて布団に座り込んでいる賢吾の首に強くしがみついた。
「……結局、自分の事情が、優先かっ……」
和彦の言葉に、耳元で賢吾が低く笑った。
「ヤクザは、ナメられたら終わりだ。それに、俺たちの価値が下がると、先生の価値も下がる。先生は、偶然知り合って、執念で手に入れた、俺と千尋の宝なんだから、いつまでも妖しく輝いていてもらわないとな。先生の面子は、そうやって保たれる。ヤクザの面子じゃなく、そのヤクザのオンナとしての面子がな」
「――オヤジは屁理屈を捏ね回してるけどさ、その点、俺はわかりやすいよ」
背後でそう言った千尋の唇が、肩に押し当てられる。
「俺は先生が好きだ。だから、離れたくない」
「ガキは単純でいい」
笑いを含んだ声で呟いた賢吾に髪を撫でられる。顔を上げた和彦は、千尋とよく似た強い光を放つ目に間近から見つめられ、従わされる。
内奥で千尋としっかり繋がったまま、賢吾とは舌を絡ませて繋がる。所有されているという充足感に、目も眩みそうな愉悦を覚えながら――。
和彦は見慣れない天井の木目を見つめながら、ほっと息を吐き出して前髪を掻き上げる。昨夜、賢吾にこの部屋に連れ込まれたときは気づかなかったが、こうして一人で休んでいると、新しい畳の匂いがすることや、障子を通して差し込む朝の陽射しが柔らかいことに気づかされる。
朝だというのに、すでにもう人の慌ただしい気配がして、会話が聞こえてくることも含めて、いい部屋だと思った。あえて、ここがヤクザの組長の本宅だということは除外して考えるなら。
夜遅くまで賢吾と千尋に交互に、もしくは、同時に体を貪られ、快感を与えられ続けたが、朝の目覚めは悪くなかった。
父子は、和彦の体を簡単に清めてくれたあと、取り替えた清潔な布団に和彦を休ませてから、それぞれの部屋に戻っていった。和彦をさんざん振り回しはしたが、それなりの配慮はしてくれたのだ。
寝返りを打ち、障子のほうを向く。にぎやかな家ではあるが、和彦が休んでいる部屋のほうまでは、誰も近づいてこない。賢吾にでも、注意されているのかもしれない。
「――ぼくの、面子か……」
昨夜、賢吾に言われた言葉を思い返して、ぽつりと呟く。
「んうっ」
賢吾の逞しい欲望が内奥に挿入されてくる。緩やかに腰を動かす賢吾の手に和彦のものは握り締められ、律動に合わせて上下に擦られていた。
「んんっ、んっ、んあっ」
和彦が喘ぎ始めると、千尋の唇が首筋に這わされ、肩先に軽く歯を立てられてから、胸の突起を舌先で弄られる。そっと頭を撫でてやると、顔を上げた千尋が嬉しそうに笑いかけてくる。
「――先生は本当に、うちのバカ息子に甘いな」
賢吾の言葉に、千尋が得意げに言い返す。
「羨ましいか、クソオヤジ」
「あいにく、俺も今、先生の尻でたっぷり甘やかせてもらってるからな」
そう言って賢吾に内奥を突き上げられながら、さきほど風呂場で宣告されたように、柔らかな膨らみをやや力を入れて揉みしだかれる。
「ああっ、あっ、い、やぁっ……」
和彦は声を上げ、強い刺激から逃れようとしたが、二人の男に押さえつけられているため、抱え上げられた片足を空しく突っ張らせるだけだ。
欲望で張り詰めたものを、しっかりと根元まで内奥に埋め込んで、賢吾が満足そうに笑みを浮かべる。肉を貪り食らい、口から血を滴らせているのがよく似合いそうな、凶悪で魅力的な笑みだ。
「いい、の間違いだろ、先生。尻が興奮しまくって、俺のものを食い千切りそうなほど、よく締まってる」
賢吾に柔らかな膨らみを容赦なく攻められ、内奥を突き上げられる一方で、千尋の手に胸をまさぐられ、突起を弄られる。
間断なく与えられる快感に、和彦は恥知らずな嬌声を上げて乱れていた。
唇にキスを落として千尋が身を引く。それを待って賢吾に両足を抱えられ、律動が大きく激しくなる。和彦は両腕を伸ばして賢吾にしがみついた。
「あっ……ん、んっ、んうっ……、け、ごさ……、賢吾さん――」
「気持ちいいか、先生?」
甘やかすような声で問われ、和彦は頷く。褒美だといわんばかりに、円を描くように内奥を掻き回された。そして、不意打ちのように賢吾の逞しい欲望を奥深くに打ち込まれ、これ以上なく二人はしっかりと繋がり、溶ける。
「さあ、先生が好きなことをしてやる」
そう囁いてきた賢吾に抱き締められながら、内奥に熱い精を注ぎ込まれた。
和彦は、千尋に対してそうであったように、従順に――嬉々として受け止める。そうすることが自分の義務なのだと、ごく自然に考え、体が反応していた。
和彦の二度目の絶頂を促してくれたのは、どちらの手であり、舌であったか、もうわからなかった。賢吾とも千尋とも、一つに溶け合ってしまいそうなほど濃厚に交わり、区別する必要を感じなくなっていたのだ。
「――お前は、俺たちのオンナだ」
和彦の唇を何度も啄ばみながら賢吾に囁かれる。背後から緩やかに内奥を突き上げてくるのは、衰えを知らないほど滾った千尋の欲望だ。何度となく押し開けられ、擦り上げられているため内奥は痺れたようになっているが、それでも愛されると、応えようとして懸命に欲望を締め付けてしまう。
布団に両膝をついた姿勢で小さく喘いだ和彦は、座っている賢吾の肩にすがりつく。賢吾の片手は、さきほどから和彦のものを巧みに扱き続けていた。
「そう言われるたびに、先生は傲然と顔を上げろ。性質の悪いヤクザ二人に、これ以上なく愛されて、大事にされている色男の顔を、みんなに見せてやれ。先生が卑屈になると、俺たちの価値が下がる」
内奥深くに自分の欲望を埋め込んだ千尋の手に、柔らかな膨らみを乱暴に揉みしだかれる。悦びの声を上げた和彦は腰を揺らしてから、片膝を立てて布団に座り込んでいる賢吾の首に強くしがみついた。
「……結局、自分の事情が、優先かっ……」
和彦の言葉に、耳元で賢吾が低く笑った。
「ヤクザは、ナメられたら終わりだ。それに、俺たちの価値が下がると、先生の価値も下がる。先生は、偶然知り合って、執念で手に入れた、俺と千尋の宝なんだから、いつまでも妖しく輝いていてもらわないとな。先生の面子は、そうやって保たれる。ヤクザの面子じゃなく、そのヤクザのオンナとしての面子がな」
「――オヤジは屁理屈を捏ね回してるけどさ、その点、俺はわかりやすいよ」
背後でそう言った千尋の唇が、肩に押し当てられる。
「俺は先生が好きだ。だから、離れたくない」
「ガキは単純でいい」
笑いを含んだ声で呟いた賢吾に髪を撫でられる。顔を上げた和彦は、千尋とよく似た強い光を放つ目に間近から見つめられ、従わされる。
内奥で千尋としっかり繋がったまま、賢吾とは舌を絡ませて繋がる。所有されているという充足感に、目も眩みそうな愉悦を覚えながら――。
和彦は見慣れない天井の木目を見つめながら、ほっと息を吐き出して前髪を掻き上げる。昨夜、賢吾にこの部屋に連れ込まれたときは気づかなかったが、こうして一人で休んでいると、新しい畳の匂いがすることや、障子を通して差し込む朝の陽射しが柔らかいことに気づかされる。
朝だというのに、すでにもう人の慌ただしい気配がして、会話が聞こえてくることも含めて、いい部屋だと思った。あえて、ここがヤクザの組長の本宅だということは除外して考えるなら。
夜遅くまで賢吾と千尋に交互に、もしくは、同時に体を貪られ、快感を与えられ続けたが、朝の目覚めは悪くなかった。
父子は、和彦の体を簡単に清めてくれたあと、取り替えた清潔な布団に和彦を休ませてから、それぞれの部屋に戻っていった。和彦をさんざん振り回しはしたが、それなりの配慮はしてくれたのだ。
寝返りを打ち、障子のほうを向く。にぎやかな家ではあるが、和彦が休んでいる部屋のほうまでは、誰も近づいてこない。賢吾にでも、注意されているのかもしれない。
「――ぼくの、面子か……」
昨夜、賢吾に言われた言葉を思い返して、ぽつりと呟く。
59
お気に入りに追加
1,359
あなたにおすすめの小説
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
ヤクザと捨て子
幕間ささめ
BL
執着溺愛ヤクザ幹部×箱入り義理息子
ヤクザの事務所前に捨てられた子どもを自分好みに育てるヤクザ幹部とそんな保護者に育てられてる箱入り男子のお話。
ヤクザは頭の切れる爽やかな風貌の腹黒紳士。息子は細身の美男子の空回り全力少年。
ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる