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第3話
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「わかった」
これだけの会話で意思疎通すると、次の瞬間には和彦の体は窓に押さえつけられ、背後から三田村に抱き締められた。和彦はその三田村の両手を取ると、自分の両足の中心と、ワイシャツがはだけたままの胸元へと導く。
「あっ」
三田村の手に、高ぶったままのものをいきなり強く掴まれる。和彦は痛みを感じるどころか、身震いするような興奮を覚え、熱っぽい吐息をこぼす。一方で、胸元もまさぐられ、和彦が促すままに突起を弄られる。
拉致されて辱められたとき、手袋越しに三田村に下肢をまさぐられ、快感を引き出された。今は直接触れられているのだと思うと、奇妙な感慨深さがあった。あのときは有無をいわさずの行為だったというのに、今は自ら求めているのだ。
三田村の手の上に自分の手を重ね、間接的に自分のものを愛撫する。三田村は、和彦が望む通りに手を動かしてくれる。
まさに、『先生の望み通りに』だ。
「はっ……、あっ、あぁ――」
本当はすぐにでも絶頂を迎えてしまいそうなのに、もっと三田村の手の感触を知りたかった。和彦は自らの快感を犠牲にして、三田村の指を取り、根元を締め付けてもらう。和彦の意図を察したのか、三田村はきつい縛めを和彦のものに施しながらも、胸の突起は甘やかすように撫で、優しく摘まみ上げる。
和彦が洩らす息遣いで、窓ガラスが白く曇る。
「……苦しそうだ。もう楽になるか?」
三田村の問いかけに、和彦は首を横に振る。まだ、この時間を終わらせたくないと思ったのだ。
「でも、すぐにでもイきそうだ、先生……」
「嫌、だ。もう少し、このまま――」
「なら、やめるか?」
この問いかけにも首を横に振ると、耳元で三田村が短く笑った。
「わがままだな、先生」
胸元を撫でる三田村の手を握り締めたのは、そのわがままを許してほしいと願う気持ちの表れだ。三田村は、和彦の手をきつく握り返してくれる。
「……本当に、苦しそうだ」
呟いた三田村に、限界まで高ぶっているものの先端を指の腹でくすぐられる。
「あうっ」
呻き声を洩らして和彦は喉元を反らし上げ、咄嗟に窓ガラスに片手を突いていた。そしてまた三田村の指に、高ぶりの根元を締め付けられる。喉の奥から絞り出すような声で鳴いていた。
「くうっ……ん、んっ、んぅっ」
耳朶に温かなものが触れた。それが三田村の息遣いだと気づいたときには、柔らかな感触がしっかりと押し当てられる。唇を押し当てられたのだ。
「それ、いい……」
この行為をやめられるのが怖くて、和彦は囁くような声で訴える。すると三田村の唇が、耳に二度、三度と押し当てられ、首筋へと移動した。身震いしたくなるような快感が和彦の背筋を駆け抜ける。
首筋に三田村の唇が滑り、ときおりそっと肌を吸われる。この頃には、和彦は欲望を制御できなくなっていた。
「あっ、うっ、うっ、もうっ――」
三田村の片腕に手をかける。自分でも、この状態から抜け出したいのか、まだ浸っていたのかわからず、惑乱する。
和彦の状態を素早く察したらしく、三田村の手が勝手に動き始め、和彦のものを再び扱き始めた。
「あっ、あぁっ、い、や……」
気持ちいいのに、それでも和彦は三田村の手を押し退けようとする。しかし、括れをきつく擦り上げられ、濡れた先端を撫でられると、抵抗は形だけのものとなっていた。
「はあっ、あっ、あうっ」
ビクビクと腰を震わせながら和彦は、三田村の手によって絶頂を迎え、精を迸らせる。
窓にすがりついて荒い呼吸を繰り返す和彦を、片腕でしっかり抱き締めながら三田村が支えてくれる。
和彦はずり落ちかけたスラックスのポケットから自分のハンカチを取り出すと、放った精で濡れた三田村の手を拭いてやる。
「先生がそんなことをしなくていい」
「……抱き締めてもらうと、ぼくが汚れるんだ」
言い終わると同時に、背後から、両腕でしっかりと三田村に抱き締められた。
「まだ一人で立てないから、あんたに支えてもらっているだけだからな」
自分たち以外の人間が聞いているわけでもないのだが、こうしている建前を和彦は口にする。三田村も応じた。
「そうだ。俺が、こうして先生を支えている」
和彦はハンカチを足元に落とすと、前に回された三田村の腕に手をかける。このとき三田村の唇が耳朶を掠めた。ゾクリとするような強烈な疼きが背筋を駆け抜ける。
絶頂を迎えたばかりで脱力感に支配されているというのに、自分でもおかしいほど、まだ体が欲情していた。
三田村の腕をぎゅっと掴んだ和彦が振り返ると、間近にある三田村の目と見つめ合いながら、吐息を触れ合わせる。このまま唇を重ねそうになったが、それを恐れたように三田村の両腕に力が込められ、骨が軋むほどきつく抱き締められた。
苦しさに小さく喘いだ和彦だが、これで欲情が散らせるならと、しばらくの間、二人はその格好のまま動けなかった。
これだけの会話で意思疎通すると、次の瞬間には和彦の体は窓に押さえつけられ、背後から三田村に抱き締められた。和彦はその三田村の両手を取ると、自分の両足の中心と、ワイシャツがはだけたままの胸元へと導く。
「あっ」
三田村の手に、高ぶったままのものをいきなり強く掴まれる。和彦は痛みを感じるどころか、身震いするような興奮を覚え、熱っぽい吐息をこぼす。一方で、胸元もまさぐられ、和彦が促すままに突起を弄られる。
拉致されて辱められたとき、手袋越しに三田村に下肢をまさぐられ、快感を引き出された。今は直接触れられているのだと思うと、奇妙な感慨深さがあった。あのときは有無をいわさずの行為だったというのに、今は自ら求めているのだ。
三田村の手の上に自分の手を重ね、間接的に自分のものを愛撫する。三田村は、和彦が望む通りに手を動かしてくれる。
まさに、『先生の望み通りに』だ。
「はっ……、あっ、あぁ――」
本当はすぐにでも絶頂を迎えてしまいそうなのに、もっと三田村の手の感触を知りたかった。和彦は自らの快感を犠牲にして、三田村の指を取り、根元を締め付けてもらう。和彦の意図を察したのか、三田村はきつい縛めを和彦のものに施しながらも、胸の突起は甘やかすように撫で、優しく摘まみ上げる。
和彦が洩らす息遣いで、窓ガラスが白く曇る。
「……苦しそうだ。もう楽になるか?」
三田村の問いかけに、和彦は首を横に振る。まだ、この時間を終わらせたくないと思ったのだ。
「でも、すぐにでもイきそうだ、先生……」
「嫌、だ。もう少し、このまま――」
「なら、やめるか?」
この問いかけにも首を横に振ると、耳元で三田村が短く笑った。
「わがままだな、先生」
胸元を撫でる三田村の手を握り締めたのは、そのわがままを許してほしいと願う気持ちの表れだ。三田村は、和彦の手をきつく握り返してくれる。
「……本当に、苦しそうだ」
呟いた三田村に、限界まで高ぶっているものの先端を指の腹でくすぐられる。
「あうっ」
呻き声を洩らして和彦は喉元を反らし上げ、咄嗟に窓ガラスに片手を突いていた。そしてまた三田村の指に、高ぶりの根元を締め付けられる。喉の奥から絞り出すような声で鳴いていた。
「くうっ……ん、んっ、んぅっ」
耳朶に温かなものが触れた。それが三田村の息遣いだと気づいたときには、柔らかな感触がしっかりと押し当てられる。唇を押し当てられたのだ。
「それ、いい……」
この行為をやめられるのが怖くて、和彦は囁くような声で訴える。すると三田村の唇が、耳に二度、三度と押し当てられ、首筋へと移動した。身震いしたくなるような快感が和彦の背筋を駆け抜ける。
首筋に三田村の唇が滑り、ときおりそっと肌を吸われる。この頃には、和彦は欲望を制御できなくなっていた。
「あっ、うっ、うっ、もうっ――」
三田村の片腕に手をかける。自分でも、この状態から抜け出したいのか、まだ浸っていたのかわからず、惑乱する。
和彦の状態を素早く察したらしく、三田村の手が勝手に動き始め、和彦のものを再び扱き始めた。
「あっ、あぁっ、い、や……」
気持ちいいのに、それでも和彦は三田村の手を押し退けようとする。しかし、括れをきつく擦り上げられ、濡れた先端を撫でられると、抵抗は形だけのものとなっていた。
「はあっ、あっ、あうっ」
ビクビクと腰を震わせながら和彦は、三田村の手によって絶頂を迎え、精を迸らせる。
窓にすがりついて荒い呼吸を繰り返す和彦を、片腕でしっかり抱き締めながら三田村が支えてくれる。
和彦はずり落ちかけたスラックスのポケットから自分のハンカチを取り出すと、放った精で濡れた三田村の手を拭いてやる。
「先生がそんなことをしなくていい」
「……抱き締めてもらうと、ぼくが汚れるんだ」
言い終わると同時に、背後から、両腕でしっかりと三田村に抱き締められた。
「まだ一人で立てないから、あんたに支えてもらっているだけだからな」
自分たち以外の人間が聞いているわけでもないのだが、こうしている建前を和彦は口にする。三田村も応じた。
「そうだ。俺が、こうして先生を支えている」
和彦はハンカチを足元に落とすと、前に回された三田村の腕に手をかける。このとき三田村の唇が耳朶を掠めた。ゾクリとするような強烈な疼きが背筋を駆け抜ける。
絶頂を迎えたばかりで脱力感に支配されているというのに、自分でもおかしいほど、まだ体が欲情していた。
三田村の腕をぎゅっと掴んだ和彦が振り返ると、間近にある三田村の目と見つめ合いながら、吐息を触れ合わせる。このまま唇を重ねそうになったが、それを恐れたように三田村の両腕に力が込められ、骨が軋むほどきつく抱き締められた。
苦しさに小さく喘いだ和彦だが、これで欲情が散らせるならと、しばらくの間、二人はその格好のまま動けなかった。
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