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第1話
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「あっ、あっ、ああっ……、うっ、うあっ」
乱暴に内奥を突き上げられるたびに腰が弾み、卑猥な音が室内に響く。もちろん、獣じみた息遣いも。
両足を押し広げられ、賢吾のものが内奥の奥深くを抉ってくる。
「うっ、くうぅっ、んんっ」
「――中に出すぞ」
当然のように賢吾が言い、完全に屈服させられた和彦は小さく頷く。数度突き上げられてから、熱い精がたっぷり注ぎ込まれた。
ビクビクと脈打つ賢吾のものを、まるで媚びるように和彦は締め付けてしまう。このとき和彦の体は、気持ちはともかく、賢吾に犯されて歓喜していた。それだけでなく、絶頂の証を体内に残されたことも。
荒い息を吐き出した賢吾に、唇と舌を貪られる。
「……お前は、俺の〈オンナ〉になった」
キスの合間の賢吾の言葉に、和彦は軽く眉をひそめる。
「ぼくは男だ」
「体や気持ちのことじゃない。お前の立場が、そうなったという意味だ」
「ヤクザのオンナなんて、悪趣味にも程がある」
「そう言うな。けっこうなメリットがあるぞ」
まだ繋がったままの部分を揺すられて、和彦は熱い吐息をこぼして締め付けてしまう。
「どんなメリットがあるにせよ、ヤクザと関わりがあるというデメリットは、帳消しにはならない。……ぼくは、ご免だ」
「強情だな。下の口はすぐに蕩けたのに」
思わず和彦が睨みつけると、体を起こした賢吾がゆっくりと内奥から自分のものを引き抜いた。賢吾が放ったものが内奥から溢れ出し、ソファを汚す。唇を噛む和彦を見下ろして、すでに冷徹な顔となった賢吾が言った。
「三田村、先生の後始末を手伝ってやれ。それと、風呂を使わせてから、着替えも用意しろ。あと、寝床も。先生は、今晩はここに泊まってくれるそうだ」
何かを言い返す気力もなく、和彦はソファに仰向けになったまま前髪に指を差し込む。こうなってしまっては、賢吾に従うしかなかった。
自分の格好を手早く整えた賢吾が立ち上がり、リビングを出て組員たちに何か指示を出している。入れ違いのようにソファに寄ってきた三田村に濡れタオルを手渡され、和彦は体を起こす。
三田村は、和彦の後始末を手伝うのは初めてではない。辱められたとき、動けない和彦の後始末をしてくれたのは、この男だった。眉一つ動かさず、和彦の下肢を綺麗にしたのだ。
「……組長の親衛隊っていうのは、こんな仕事ばかりさせられるのか。ご愁傷様としか言い様がないな」
嫌味でもなんでもなく、本当にそう思った和彦の言葉に、三田村は淡々と応じた。
「同じ言葉を、俺は先生に言いたい」
和彦は三田村のその言葉を、今の自分の状況に対してのものだと思った。
うわべだけとはいえヤクザに同情されたようで、それがひどく不愉快だった。
数日ほど和彦は、撃たれた組員がいるマンションの部屋に朝と夜の二回、顔を出すようにしていた。傷口の癒着と感染症の兆候を確かめるためで、ガーゼや包帯の交換に関しては、元看護師だという組員の妻が手伝ってくれている。
一刻も早くヤクザと関わりを絶ちたい和彦だったが、医者としての義務感から、手術を施しただけで放っておくことができなかったのだ。やることはやったと、堂々と主張する根拠が欲しかったというのもある。
とにかく患者の容態は急変することもなく、あとは安静にして順調に傷口が塞がれば、抜糸すればいいだけだ。それまでの間、和彦はヤクザの巣窟に顔を出さなくて済む。
部屋に通っているうちに、普通に会話が交わせる程度の仲になった組員の一人に、もう来ないからなと言い置いた和彦だが、実は患者以外のことで気がかりがあった。賢吾のことだ。
強引に体を繋がれた日以来、まだ賢吾とは会っていない。気負って部屋に出かけていた和彦としては、肩透かしを食らわされ続けた格好だ。
最後にもう一度だけ賢吾に会いたかった。別れを惜しむために――というわけではなく、念を押すためだ。
できることなら、ビデオで録られたものが消去されるのを、目の前で確認したかった。コピーされていれば意味のないことだが、約束の履行がなされたという事実は大事だ。和彦自身の精神の安寧のために。
組員から賢吾に連絡を取ってもらったのだが、忙しくて会うことはできないと、素っ気なく言われてしまった。こちらから連絡するということだが、それはいつだと問いかける間もなく、電話は切られた。
ヤクザとの約束には、やはり最低限、念書を取っておくべきだったと後悔しながら、和彦は表面上は何事もなく、いつも通りクリニックに出勤した。
異変は、すぐに感じた。
ロビーで顔を合わせた看護師たちからじろじろと見られ、嫌な感じのする笑い声が小さく上がったりもする。何事だろうかと思いながらも、和彦はあえて理由を問うたりはしなかった。
だが、医局のあるフロアに上がると、自分がなんらかの騒動の渦中にあると実感した。騒然とした空気が場を支配し、和彦の姿を見るなり、同僚である医者たちが不自然に視線を逸らしたからだ。
何が起こったのだと、急いで医局に入った和彦がまっさきに目が合ったのは、澤村だった。いくぶん青ざめた顔をしてはいるが、それでも他の同僚たちとは違い、目を逸らしたりはしない。
「……何が、あったんだ……」
歩み寄った和彦が問いかけると、澤村は口ごもったあと、視線を和彦のデスクの上に向けた。つられて和彦も視線を向けると、デスクの上に大判でプリントされた写真が散乱していた。
何がプリントされているか確認した瞬間、和彦はザッと全身の血が凍りつく気がした。わずかな間だが、意識も遠のいていた。
「これ――」
「今朝、同じ荷物が何個も配達されてきたらしい。うちの医局の先生たち全員と、看護師の何人か。それに事務局にも。さすがに不気味なんで、中身を確認したら、それが……」
少し画質は粗いものの、写真に写っているのは和彦だった。しかも、裸で両足を開いている姿で。見たくはないと思いながらも、確認せざるをえず、おそるおそる写真を手に取る。
間違いなかった。写真は、和彦が長嶺組の人間に辱められているときのものだ。写真を撮っている様子はなかったので、ビデオカメラで録ったものをプリントアウトしたのだろう。
言い訳のしようがない、内奥に道具を挿入された写真まであり、さらには、苦しげなのか恍惚としているのかわからない表情で自分の名刺を咥えている和彦の顔の写真まであった。
乱暴に内奥を突き上げられるたびに腰が弾み、卑猥な音が室内に響く。もちろん、獣じみた息遣いも。
両足を押し広げられ、賢吾のものが内奥の奥深くを抉ってくる。
「うっ、くうぅっ、んんっ」
「――中に出すぞ」
当然のように賢吾が言い、完全に屈服させられた和彦は小さく頷く。数度突き上げられてから、熱い精がたっぷり注ぎ込まれた。
ビクビクと脈打つ賢吾のものを、まるで媚びるように和彦は締め付けてしまう。このとき和彦の体は、気持ちはともかく、賢吾に犯されて歓喜していた。それだけでなく、絶頂の証を体内に残されたことも。
荒い息を吐き出した賢吾に、唇と舌を貪られる。
「……お前は、俺の〈オンナ〉になった」
キスの合間の賢吾の言葉に、和彦は軽く眉をひそめる。
「ぼくは男だ」
「体や気持ちのことじゃない。お前の立場が、そうなったという意味だ」
「ヤクザのオンナなんて、悪趣味にも程がある」
「そう言うな。けっこうなメリットがあるぞ」
まだ繋がったままの部分を揺すられて、和彦は熱い吐息をこぼして締め付けてしまう。
「どんなメリットがあるにせよ、ヤクザと関わりがあるというデメリットは、帳消しにはならない。……ぼくは、ご免だ」
「強情だな。下の口はすぐに蕩けたのに」
思わず和彦が睨みつけると、体を起こした賢吾がゆっくりと内奥から自分のものを引き抜いた。賢吾が放ったものが内奥から溢れ出し、ソファを汚す。唇を噛む和彦を見下ろして、すでに冷徹な顔となった賢吾が言った。
「三田村、先生の後始末を手伝ってやれ。それと、風呂を使わせてから、着替えも用意しろ。あと、寝床も。先生は、今晩はここに泊まってくれるそうだ」
何かを言い返す気力もなく、和彦はソファに仰向けになったまま前髪に指を差し込む。こうなってしまっては、賢吾に従うしかなかった。
自分の格好を手早く整えた賢吾が立ち上がり、リビングを出て組員たちに何か指示を出している。入れ違いのようにソファに寄ってきた三田村に濡れタオルを手渡され、和彦は体を起こす。
三田村は、和彦の後始末を手伝うのは初めてではない。辱められたとき、動けない和彦の後始末をしてくれたのは、この男だった。眉一つ動かさず、和彦の下肢を綺麗にしたのだ。
「……組長の親衛隊っていうのは、こんな仕事ばかりさせられるのか。ご愁傷様としか言い様がないな」
嫌味でもなんでもなく、本当にそう思った和彦の言葉に、三田村は淡々と応じた。
「同じ言葉を、俺は先生に言いたい」
和彦は三田村のその言葉を、今の自分の状況に対してのものだと思った。
うわべだけとはいえヤクザに同情されたようで、それがひどく不愉快だった。
数日ほど和彦は、撃たれた組員がいるマンションの部屋に朝と夜の二回、顔を出すようにしていた。傷口の癒着と感染症の兆候を確かめるためで、ガーゼや包帯の交換に関しては、元看護師だという組員の妻が手伝ってくれている。
一刻も早くヤクザと関わりを絶ちたい和彦だったが、医者としての義務感から、手術を施しただけで放っておくことができなかったのだ。やることはやったと、堂々と主張する根拠が欲しかったというのもある。
とにかく患者の容態は急変することもなく、あとは安静にして順調に傷口が塞がれば、抜糸すればいいだけだ。それまでの間、和彦はヤクザの巣窟に顔を出さなくて済む。
部屋に通っているうちに、普通に会話が交わせる程度の仲になった組員の一人に、もう来ないからなと言い置いた和彦だが、実は患者以外のことで気がかりがあった。賢吾のことだ。
強引に体を繋がれた日以来、まだ賢吾とは会っていない。気負って部屋に出かけていた和彦としては、肩透かしを食らわされ続けた格好だ。
最後にもう一度だけ賢吾に会いたかった。別れを惜しむために――というわけではなく、念を押すためだ。
できることなら、ビデオで録られたものが消去されるのを、目の前で確認したかった。コピーされていれば意味のないことだが、約束の履行がなされたという事実は大事だ。和彦自身の精神の安寧のために。
組員から賢吾に連絡を取ってもらったのだが、忙しくて会うことはできないと、素っ気なく言われてしまった。こちらから連絡するということだが、それはいつだと問いかける間もなく、電話は切られた。
ヤクザとの約束には、やはり最低限、念書を取っておくべきだったと後悔しながら、和彦は表面上は何事もなく、いつも通りクリニックに出勤した。
異変は、すぐに感じた。
ロビーで顔を合わせた看護師たちからじろじろと見られ、嫌な感じのする笑い声が小さく上がったりもする。何事だろうかと思いながらも、和彦はあえて理由を問うたりはしなかった。
だが、医局のあるフロアに上がると、自分がなんらかの騒動の渦中にあると実感した。騒然とした空気が場を支配し、和彦の姿を見るなり、同僚である医者たちが不自然に視線を逸らしたからだ。
何が起こったのだと、急いで医局に入った和彦がまっさきに目が合ったのは、澤村だった。いくぶん青ざめた顔をしてはいるが、それでも他の同僚たちとは違い、目を逸らしたりはしない。
「……何が、あったんだ……」
歩み寄った和彦が問いかけると、澤村は口ごもったあと、視線を和彦のデスクの上に向けた。つられて和彦も視線を向けると、デスクの上に大判でプリントされた写真が散乱していた。
何がプリントされているか確認した瞬間、和彦はザッと全身の血が凍りつく気がした。わずかな間だが、意識も遠のいていた。
「これ――」
「今朝、同じ荷物が何個も配達されてきたらしい。うちの医局の先生たち全員と、看護師の何人か。それに事務局にも。さすがに不気味なんで、中身を確認したら、それが……」
少し画質は粗いものの、写真に写っているのは和彦だった。しかも、裸で両足を開いている姿で。見たくはないと思いながらも、確認せざるをえず、おそるおそる写真を手に取る。
間違いなかった。写真は、和彦が長嶺組の人間に辱められているときのものだ。写真を撮っている様子はなかったので、ビデオカメラで録ったものをプリントアウトしたのだろう。
言い訳のしようがない、内奥に道具を挿入された写真まであり、さらには、苦しげなのか恍惚としているのかわからない表情で自分の名刺を咥えている和彦の顔の写真まであった。
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