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プロローグ
しおりを挟む「はい、貸してくれてありがと。でももう他のはいいよ、私にはあんまり合わないや」
週明けの月曜日、下校時に鞄から友達の千花に借りていたゲームを取り出して返した。
「え、はやくない?どうだった?騎士」
教科書をしまっていた千花が振り向いて受け取る。布教とか言ってたけど残念、入信は出来なかった。
「一人目が両思いになったところでやめた。千花が言ってた方選んで騎士やろうとしたけど気が付いたら王子になっちゃってたし。私ダメだムズムズして乙女ゲームとか向いてない、自分に似せたキャラ作るのは楽しかったけど。ねぇ見て、気合入れて作ったから写メで残した。髪と目の色黒になったらまんま私じゃない?」
「あ、ほんとだ桜だ似てる~!すごいじゃんゲームにいれたらホントこんな感じになりそー!えーマジすごい、こんなリアルにキャラメイク出来んだ。ヒロインの顔なんてたまにしか出てこないからデフォでやってたよ」
頑張ったよ、3時間かけた。そこで満足してやりきった感ある。
「ここまで似てると髪の毛と目の色残念だねぇ。まあゲームの中で髪の毛使うシーンあったから無理だったのかな。私も今度ガッツリ作って推しルート見よっかなー」
「名前は変えられるのに色は臨機応変出来ないの何でなの?変なの」
「わかんない、ゲーム作ったことないし。まーそういう仕様だってことで。桜今日もうそのまま帰るー?雑誌買いに行きたいし一緒に行かない?」
「いいね、今日ジャンプの発売日だし私も買いたい。いこっか」
新連載結構面白かったから2話目楽しみ。
「少女漫画買いなさいよ、そこで少年漫画に行くから恋愛モード起動しないんじゃないの。リアルで興味ないから二次元なら嵌るかと思ったんだけどなー」
「恋愛よくわかんないからどうでもいいや、まだ若いんだし」
「今私ら絶賛思春期なんだけど。その気になればいくらでも作れるからってその余裕…ああ彼氏欲しい」
愛してる…とかってちゅーするとか恥ずくない?私まだ出来る気がしない。
千花とお喋りしながら、駅までの道を歩いていく。
ふと、何かに名前を呼ばれた気がした。
《サクラ》
「……ねぇ、なんか名前呼ばれてる。どっから桜っていってる?」
《サクラ、サクラ》
「ほらまた。どこよ、誰よ」
「え、全然聞こえないんだけど。やめてオカルト超こわい」
《サクラ、かえってきて》
「かえってこい?どこに?」
「ちょっと桜、返事とかしないほうがいいって!」
「いや、だって頭の中声響いて、はやく止めてくれないと酔いそうだし」
《サクラ》
「ぎゃー私にも聞こえたー!オバケーー!!」
「ちょっと千花うるさい、酔う」
《待っていた、ずっと探していた。サクラ、君を再びこの腕の中に》
「だってこんな冷静に…っ?!桜、足元変なの出てる!避けて!」
「え?なに耳キーンてなって聞こえない。うぷっ」
気持ち悪い。
足元に浮かんだ変な模様が一瞬光ったけど、気持ち悪くてなんも考えられない。
頭ガンガンする、もう意識たもってられない。
「桜!!」
《サクラ、やっとあえる》
ガンガン響くわけわかんない言葉を聞きながら、私は目を閉じた。
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