上 下
42 / 93
第一章、モテない冒険者編。

42、ワァームはわぁ~、ムッ、これは美味でございます。

しおりを挟む



俺は皆に嵌められて大型肉食ミミズワァームへと近づいていった。

皆も薄情だよなぁ...。
誰もついてきてはくれない...。
俺の人徳がないせいなのかな...?
とか、ぶつぶつ考えつつワァームに近づくと、砂漠蜥蜴人D・リザードマン砂漠豚人デザートオークが共闘してワァームを攻撃してた。
やっぱりダンジョンの性質事態が変わったのだろう...。
しかし、倒すのには変わりないから俺は二本の剣を構えてモンスターの群れの中に突っ込んでいった。

『砂漠蜥蜴人《D・リザードマン》と砂漠豚人デザートオークはワァームに夢中で、俺の存在に気づいていない。好都合だ。

俺は背後から次々とモンスター達の首を跳ねていった。
首を跳ねられたモンスター達は何が起きたかわからないまま、絶命していった。

オート収納でモンスターの死骸を次々収納していき、気づいたときにはワァームだけとなった。そこで俺はワァームの鑑定を行った。


ワァームLV 50

・HP 5000・MP 2000

アビリティ
・砂堀・丸飲み・強酸・再生

弱点
・斬擊・氷


きっと、砂漠のモンスターだから寒いの苦手なんだな...。

(そうですね。モンスターは環境と相反するのが苦手みたいです。)

ならば、アルトの魔法を使わしてもらうかな...。
俺は魔力を高めてイメージする。
辺りに冷気が溢れだす...。
徐々に氷の塊が大きくなりワァームの真上に5メートルほどの氷の塊ができた。

氷の大槍の雨アイスジャベリングレイン!」

ワァームの頭上にあった大きな氷の塊は砕けて槍の形に変わり、次々とワァームの体に突き刺さった。
しかし、刺さった箇所から徐々に回復しているようだった。

(マスター。ワァームは核を壊さないと再生しますよ。)

えぇ...。核はどこにあるんだ...?

(ワァーム顔の中心です。)

顔の中心って言っても、アイツ口しかついてないじゃん...。目印はないのか...?

(中心です。)

あっ、無いってことね...。

俺はワァームの顔の先端に近づいた。
普通の家を1軒丸飲み出来そうな口がヨダレを垂らしながら開いていた。

マジでキモい...。なんか臭いし...。

(マスター。それは先入観ですよ。
ワァームは無味無臭のはずです。多分。)

曖昧じゃん...。

ワァームは俺を感知してジタバタ動き始めた。
ヨダレが俺に向かって飛んでくる。

きったねえ~。と思いつつ躱わしていると、ヨダレが落ちた砂場が溶けていた。

危ない、危ない...。
アレはヨダレじゃなくて強酸じゃねぇかよ...。

(よく気づきましたね。当たってもあの位の酸ではマスターは傷つきませんよ。防具は溶けてしまうかもですけどね。)

それ、あぶねえじゃねぇか...。

(防具が溶けてマスターの裸がチラホラ見える!萌えですね!マスター、お願いです。一度、酸を食らってください!)

嫌だよ!!
何が悲しくてそんな事しなきゃならないんだ!?

(そ、そんな...。可愛い可愛いヴォイスのために一肌も脱いでくれないと...。)

いやいや...。今は俺、戦闘中だからね。
それに俺の裸なら水浴びしてるときに見えるだろ...。

(マスターはまるで分かってませんね!!
戦闘中のほとばしる汗と共に装備の合間からチラチラ見えるマスターの肌!緊張感を持って強敵と戦う姿!
これぞ萌えぇぇ!これぞチラリズムの至高!!
そして、ワタシの究極の至福ゥゥゥ!!)

おーい...。
ヴォイスさん現実に帰ってきておくれ...。
そもそも、コイツ強敵じゃないし...。
こんな会話が出来てる時点で緊張感まるで無いし...。

(さあ!
マスター、今こそ萌え萌えチラリズム道の伝説へいざ導かれん!!)

ダメだこりゃ...。
しばらく放っておこうっと....。

俺は再びワァームに意識を戻した。

それにしてもどこに核があるんだ...?
俺はワァームの強酸を避けながら、気配察知と集中をした。
なんかチラチラ光ってるのが見える...。
アレが核なのか...?

(ハァハァ...。マスター、取り乱してすいません。興奮のあまり暴走してしまいました。マスターの見えてるのは、ワァームの核ですね。
今、気配察知と集中で、新しいスキル『心眼』を覚えました。)

マジか!思わぬ収穫だな...。
あそこが核なら、後は簡単だ!

俺は強酸の嵐を避けながらタイミングを見計らった。一番核が光った瞬間。
「瞬歩。」
ワァームの核の間近に行き、

「一閃!」

ズバァァン!!
核ごとワァームの顔を真っ二つにした。
そして、ワァーム沈黙していくのだった。
倒したことに気付きぞろぞろとパーティーメンバーが近づいてくる。

「す、凄かったね。コウ君本当にこれ食べるの?」

「食べるよ...。その為に狩ったんだし、美味しくてもやらんからな...フン。」

俺は10メートルの大きなワァームの巨体をバラバラに解体し一部を残して収納した。

そして、ワァーム肉を剣に刺し前に採っておいたハーブとダンジョン塩をまぶして、魔法で焼いてみた。

ジュー...。
ジュワジュワ...。

肉汁が滴れ落ちる。辺りにいい匂いが充満する....。

パーティーメンバーはその様子を食い入るように見つめている。
ふん...。
手伝ってくれない人達には上げません...。
良い感じに焼けた所で、


いざ、実食!!

匂いは完璧。果たして味はどうだ...?


パクッ!



モグモグ...。


ゴクンッ!!



「美~味~で、ご~ざ~い~ま~すぅぅ~!!」


俺の美声が辺り一帯響き渡った。



本当にめちゃめちゃ旨い!
外はカリ、中はジュウシー。
噛めば噛むほど油の甘味とダンジョン塩の塩味とハーブのハーモニーが素晴らしい!
焼き白子のような味と濃厚だった。
これに日本酒があったら最高だな!
これは本当に珍味だ。
ギルドに依頼してまで食べたいって言う気持ちがわかる。
ワァームの美味しさに堪能してると皆近づいて来て先頭のアルトが口を開いた。

「コウ君、あのさ...、一口貰えないかな...?」

「その前に俺に言うことあるんじゃないの?」

「そうだね...、コウ君一人で戦わせてごめん!
見た目が悪いし、不味そうと思ってたんだけど、コウ君の美味しそうな顔見てたらどうしても食べたくなって!」

みんなもゴメンと謝ってくれたので、俺の機嫌も良くなり、その場でワァームとオークの肉でバーベキューをすることにした。

「何これ!美味しい!」
「兄貴!こんなの食べたことないだよ!」
「なかなかやるわね...。」
「コウ君、本当に美味しいよ!ありがとう!」

そこまで絶賛されると何か恥ずかしいな...。

(マスター。良かったですね!)

うん!よかった!

「みんな!!
ここで英気を養って、今日中にダンジョンをクリアしよう!お腹一杯、食べてくれ!」

「「おぉー!!」」

こうしてお腹一杯食べおわって、俺達はダンジョン攻略に励んだのだった。 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

転生王子の異世界無双

海凪
ファンタジー
 幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。  特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……  魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!  それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!

「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。 異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。 女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。 ――しかし、彼は知らなかった。 転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~

雪華慧太
ファンタジー
高校生の裕樹はある日、意地の悪いクラスメートたちと異世界に勇者として召喚された。勇者に相応しい力を与えられたクラスメートとは違い、裕樹が持っていたのは自分のレベルを一つ下げるという使えないにも程があるスキル。皆に嘲笑われ、さらには国王の命令で命を狙われる。絶体絶命の状況の中、唯一のスキルを使った裕樹はなんとレベル1からレベル0に。絶望する裕樹だったが、実はそれがあり得ない程の神速成長チートの始まりだった! その力を使って裕樹は様々な職業を極め、異世界最強に上り詰めると共に、極めた生産職で快適な異世界ライフを目指していく。

処理中です...