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第一章、モテない冒険者編。
34、イージーモードじゃなくね?
しおりを挟む13階層は俺が担当し、14階層はアルトとリアのコンビでアッサリとクリアした。
「次は順番的に俺だよな!」
「次はボス部屋でしょ?さすがにコウ君一人にやらせるのは申し訳ないよ。」
「大丈夫 、大丈夫、余裕だよ。」
「オラもそう思う。兄貴なら大丈夫だっぺ!」
「一回クリアしているゴンさんが言うなら大丈夫か。」
俺達は15階層の扉を開けた。
中は広い空間になっており奥に祭壇の様な物が置いてある。
「兄貴。ここのボスはレイスだべ。魔法抵抗力が強く物理が聞きにくいし、取り巻きのスケルトンも強化されてるんで気を付けるだよ。」
「あぁ。ゴング説明ありがとう。サクッと倒してくるよ!」
俺は1人で徐々に祭壇に近づいた。
気配察知で祭壇にいるのがバレバレなのだがモンスター達は一向に出てこない。
俺はそんなモンスター達を無視して2本の剣を構えた。
出てこない方が悪い。もしかしたらこれで終わったりして...。ま、それならそれでいいか。
「風刃斬り!」
ドゴォォォン!!
2本の真空波が祭壇に直撃して大きく砂煙を上げて崩れ落ちた。
それに堪らず出てきたのはレイスだった。
取り巻きの強化スケルトンは『風刃斬り』一発で粉々に散っていた。
レイスは強化スケルトンを倒されて怯えている様子だったが、そんなのは俺には関係無い...。
俺はグッと足に力を入れる。
「一閃!」
高速の十字の一太刀がレイスの胴体を十文字にした。そして、浄化されて灰になっていった。
俺は考える。これでいいのか?と...。
うーん...。ヴォイスさん?
(何ですか?)
一閃って言ったけど、二刀流だと技の名前変えた方がいいかな?
(どっちでも良いわ!!真剣なトーンだから何かあったのかと思って心配して損しました!バカ!)
ご、ごめん...。
ヴォイスに怒られてしまった。俺は真剣に悩んだのに...。
「コウ君凄いね!」
「兄貴!凄すぎっだっぺ!」
アルト達が近づいて来て称賛してくれる。
「あ、あぁ...。ちょっと呆気なさ過ぎてヤバイな。簡単すぎるぞ。」
「そうなの?じゃあ、さっさと初心者ダンジョンクリアしちゃって中級ダンジョンも行ってみようよ!」
「それが良いかもな!ゴングはどう思う?」
「おらも賛成だ!兄貴と先生なら余裕で行けると思うだよ!!」
「ゴングは中級ダンジョンはクリアしてるのか?」
「恥んずかしい話だが、ここの15階層までしか行けなかっただ...。」
「えっ?どうして?」
「前のパーティーは戦闘に特化したパーティーだったんで、回復がポーションだけだんたもんで、いつも途中でポーションが切れてただよ。」
「なるほどな。俺達なら回復は自分で出来るから、大丈夫そうだな。」
俺達はソーマが武具を完成させるまでの間、ランクアップの為に中級ダンジョンクリアという目標を立てた。
モンスターの魔石を収納して16階層に行くと、石造りの道が続いていた。
「ここから出るモンスターはボスまでストーンゴーレムしか出てこないだべ。だから、おらも戦わせてほしいだ。」
「わかった。じゃあ、ここからは俺とゴングで戦おう!アルトもそれで良いか?」
「うん!僕達は全然いいよ!さっき戦ったのでだいぶリアとの精霊魔法も使い方解ってきたから。」
「よし!ゴング行くか!」「んだ!やるべ!」
気配察知を使いながら石畳の通路の先に進むと5体ほど反応があった。
「ゴング!この先にモンスターの反応があったぞ」
「分かっただ!オラ、気合い入ってきただ!」
ここまで何もしてなかったゴングは、気合いがめちゃめちゃ入っていた。
「うおぉぉぉ!岩砕拳!」
ドゴン!ドゴン!
襲ってくるストーンゴーレムを次々と殴り粉砕していく。
俺もゴングに負けてはいられない!
俺は岩砕剣を使わずにゴーレムに一太刀。
バターのように切れてくストーンゴーレムを見てレベルアップの実感が沸いた。
そして、俺達のパーティーはサクサク進んでボスの階層までたどり着いた。
「兄貴。ここがボス部屋だべ。」
ゴングよ...。言わなくても分かってるぞ...。
少しでも役に立ちたいのか、ゴングが続けてしゃべってくる。
「ここのボスはミノタウロス2体でるだ。」
でしょうね...。
俺もギルドで話を聞いていたからそうだろうなと思って聞いていた。
「ゴンさん!心配はご無用ですよ!コウ君もあんなに強いし、僕だって新たな魔法も覚えましたし、鬼に金棒ですよ!」
...あっ!
...これは絶対ヤバイヤツだ。
アルトがそう言うこと言うとき、決まってイレギュラーが起きる...。
「そうだべか...。
おらの野生の勘がちょっとざわついてるから、注意した方がいいかなと...。」
ゴングよ...。それは多分当たりだ...。
アルトの無自覚のスキル発動してるんだろう...。
より一層気を引き締めなければ、俺は緊張の面持ちでボス部屋の扉を開けた。
ギィィィ...。
重々しい扉を開けると目の前には、玉座に座る首の無い鎧のモンスターとそこにひざまづく黒と白のミノタウロスの姿があった。
俺は危険を感じ直ぐ様、鑑定をした。
ブラックミノタウロスLV60
・HP7000・MP2000
アビリティ
・剛力・咆哮
ホワイトミノタウロスLV60
・HP7000・MP2000
アビリティ
・疾風・咆哮
デュラハンLV80
・HP12000・MP4000
スキル
・闇纏い・大剣術・鉄壁
「ゴング...。ボス部屋であんなの出るなんて、聞いたことあるか?」
「無いだ...。あれは本能的にヤバイモンスターだべ...。」
「だよな...。今の俺達では勝てないかも知れない...。一度外に出て...。」
バタン!!
扉が閉まった音がした。
「は?」
「ご、ごめん...。間違えて扉閉めちゃった...。」
アルトが申し訳なさそうに言う。
おいおいおい...
閉めちゃったじゃないぞ!
どうするんだよこれ!
アルトよ、やってくれたな...。
急にイージーモードからハードモードに変わっちゃったよ...。
(マスター、落ち着いてください。相手は強敵ですが、レベル上げるチャンスですよ。)
簡単に言うなよ...。
あいつらは俺より20以上レベルが上なんだぞ...。
(大丈夫ですって。クイーンアントの時だってレベル差あったけど、楽勝だったじゃないですか?こう思えばいいんです。俺は強い!って。マスター、自信持ってください!)
そうだよな...。
逃げ道もないし、四の五の言っても始まんないしな...。ヴォイスありがとう!
俺、頑張るよ!
(ハイ!マスター、頑張ってください!)
幸いにもモンスター達はまだ気付いていないようだな...。
「みんな集まってくれ。敵の情報と作戦を伝える。」
こうして、俺達は未知なボスの戦いを向かえるのであった。
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