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その8 お茶会にて ルース視点

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お茶会の日にシャーリーを迎えに行った。

久しぶりに見るシャーリーの着飾った姿は可愛すぎた。
これからは舞踏会とかにも出なければいけない。
もっとシャーリーの綺麗な姿を見れるかと思うと興奮してきた。

気にしていた胸もそれなりに膨らんできてるし。あ、いつもここを見ているわけではなくて彼女がいつも気にしているから・・・。つい・・・。

顔がほっそりしてきた。手足もスラッと伸びて、今日の青色の服に白い肌が引き立つ。
髪の毛も軽く纏められている。
あまりアップしないので貴重だ。首の後ろのすっとした項に吸い込まれそうだ。

こんなに姿は他の奴には見せたくない……ん?
ジョーカスがシャーリーの隣にいる!

「姉さん、綺麗!」

そのセリフは先に僕が言うはずなんだが!

「あら、お世辞でも嬉しいわ。ありがとう。」
ざまあみろ!社交辞令と思われてるぞ!

って……きっと僕が言って同じ言葉を返されそうだ。

シャーリーが僕に気づいて手を振った。
本当に僕の婚約者は可愛い。

シャーリーが横を向いたときにリボンが揺れた。
「今日はこのリボンなんだね。」
僕が婚約をした記念にあげたものだ。
シャーリーは婚約したのを知らないから単なるプレゼントだと思っているはずだけどね。

「そう。これがいままでもらった中で一番好きなの。
初めてルースからもらったものだしね。大事にしてる。」

ふんわりとした笑顔で言われた。
僕が初めてあげたものだって覚えてくれたんだ。
ましてや大事にしてるなんて、嬉しいや。

「このリボンしてるとルースが守ってくれるみたいで落ち着くの。」

何?この生き物?可愛すぎて困るんだけど。もう止まらなくなりそうだよ。

「似合ってる。」

僕はリボンを手にとってそのリボンに口づけをした。
シャーリーは赤くなったがその顔がまた僕を煽ることをわからないのかな。



お茶会は女ばかりで居ずらいので王宮の図書館で時間を潰していた。
「ルース。ここにいたか。」
「殿下・・・。」
せっかく本を読んでいたのに会いたくない奴に見つかった。

しかし急いできてくれたようで少し息があがっていた。

「わざわざ会いにきていただけるなんて光栄です。」
「まあそう嫌そうな顔をするな。」

嫌な奴に誰も見ていないところで笑う気にはなれない。

「シャーリーに招待状を出していただいてありがたく思っていますよ。」
「偶然に会ったことを両親に話したんだ。
ルースが大事にしている婚約者をぜひ見たいって父上も母上が言うんだから仕方ないじゃないか。
これでも父上には遠慮してもらったんだ。少しは感謝してよ。」

感謝???
今回お茶会に来なきゃいけなくなったのは殿下のせいだろ?
王妃様から招待状が来たんだ普通断れない。
僕がシャーリーを婚約者にしてほしいとお願いしたんだ。
陛下や王妃様が彼女に興味を持つのは仕方ないか。

しかしそれ以上の興味を持たれても困る。

「それはそうと秋くらいに隣国に少しの間留学することになったんだ。突然父上に言われたんだがね。」
「それはよかったですね。婚約者のいる国を知っておくのは大変良いことだと思います。」
「私は婚約者のいる北国に行くとは言ってはいないんだがね。ねえ、ルース?」

ふーん。精々お国のために交流を深めてきてくださいね。

「まあそういうことだからしばらくしたら会えなくなる。」
「別にあなたに会いたいとは思っておりません。」
「冷たいな。少しは寂しがってよ。」
「急にどうしたんですか?何か企んでいますか?」

何だ?今までそんなに仲良くしてこなかったじゃないか?突然何なんだ?

「まあ私がいない間よろしく頼む。父上、母上にもたまには会いに行ってやってくれ。
ああ、そうだ。そんな雑談をするために急いできたんじゃないんだ。
そろそろ迎えに行った方がいいぞ。」
「終わる時間はまだですよね?」

僕は時計をみた。まだ始まって1時間くらいだ。

「少し気になることがあってね。気を付けた方がいい令嬢がいるんだ。
あまり悪い子ではないんだけど。一応見張っておいた方がいいと思ってな。」
「殿下が構うからそうなるんです。彼女は僕のものです。殿下には差し上げませんから。」
「残念だな。気が変わったら言ってね。」
「変わりません。しかし、わざわざありがとうございます。それでは失礼します。」

棒読みになった。

「あ、ルース。」

そんなことを聞かされたから早くシャーリーのところへ行きたいのになんで呼び止めるかな?

「何?」
「シャーリーの青いリボンはお前が贈ったものなんだろ?なんで今日に限ってそのリボンをさせたんだ。
一緒に来たのなら止めれたはずだ。だってあのリボンにお前の紋章は入っていない。」

「あっ...。」

しまった!あまりにもシャーリーが可愛く、僕のリボンをしてくれたことが嬉しくて忘れていた。

「今日のお茶会に紋章の入っていないあの色の・・私の瞳と同じ青色のリボンをしてくるのはどうして私へのアピールだと思われる。
シャーリーと君が婚約しているのを知っているのはごく僅かの人だ。みんなは知らない。君にしては珍しいミスだな。」

僕は急いでお茶会の会場に向かった。
しまった殿下に礼をするのを忘れた。
ま、いいか。

本来婚約者に贈るリボンには自分の家の紋章をいれる。
自分の瞳の色のリボンを自分の家の紋章を入れて渡す。
だから誰が誰の婚約者なのか一目でわかる。
しかしシャーリーには婚約を内緒にしているため、紋章を入れていないものを渡していた。

まずった。

今回は王妃主催のお茶会だ。
交流のためなんて建前なんだ。
本当は王太子殿下の側妃を探すためのお茶会だ。
正妃は隣国に王女に決定しているのだが、重臣たちがどうしても自国からも王族に嫁がせるべきだと意見をした。
その意見が通り自国から側妃を選ぶことになったのはつい最近決まったことだ。
重臣たちはお茶会と称して自分の娘を売り込んでいる。

そんな中で殿下の象徴、王家の象徴でもある青い瞳と同じ青いリボンをつけた少女がいたらどう思う?
自分をアピールしているようにしか見えない。
周りは敵視するはずだ。
シャーリーはそんな裏の事情はしらない。
なによりリボンの意味を知らない。

リボンを贈るのは君は自分のものだって印。
そのリボンをするのは自分は贈った相手のものだという印。
つまり私はあなたのものですと言っている。

紋章がなければ僕の贈ったものだとは誰も分からない。
さっきも殿下がいったように彼女が僕の婚約者だなんで今回出席者でしっているのは王妃だけだ。

このお茶会で青いリボンをつけていれば王太子殿下に対して私はあなたのものです。
あなたのものにしてくださいと公表しているようなものだ。

いやもっと焦らなきゃいけなかったんた。
シャーリーの夢物語を聞いてのほほんとしていてはいけなった。
あの時ちゃんとこのリボンを渡していたらよかったのに・・・。
後回しにした僕がいけなった。

シャーリー今迎えに行くから待ってて。

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