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その8 お茶会にて
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なんの縁あってか今日は王妃様のお茶会だ。
先日招待状が届けられた。多分王太子殿下のせいね。
青と白のお茶会向けのシンプルなドレスに髪には青のリボン。
このリボンは12歳の時に初めてルースにもらったものだ。
鮮やかな青でキラキラとしつこくない程度にラメが入っている。
縁取りが濃い青でされている。
ルースにもらったリボンはまだたくさんあるのだが初めてもらってこともあって一番のお気に入りだからここぞと言う時には必ず身に付ける。
国外追放されてもこれだけは絶対に持っていこう。
あれほどエスコートしなくてもいいって言ったのにルースが迎えに来た。
こうやって綺麗な服に身を包んだ彼を見るのは久しぶりだ。
ザイン家でお姉様が領地に行く前にした送別会を兼ねたお茶会以来かしら?
いつの間にか背も私より高くなって、体もがっしりしてる。
丸かった顔も細っそりとして顎が尖ってる。目も切れ長で…。
あらいやだ。ルースに見惚れちゃったわ。
本当、いつの間にか大きくなったわね。何だか人の子は早いってこの事ね。
「今日はこのリボンなんだね。僕が初めてあげたものだね。」
「そう。一番好きなの。初めてルースからもらったものだから大事にしてるんだけど、気合入れるときは絶対にこれなの。」
「緊張してる?」
「当たり前じゃない!王妃様よ!緊張しない人なんていないわ。
このリボンしてるとルースが守ってくれるみたいで落ち着くの。」
「似合ってる」
ルースは嬉しそうに笑って、リボンを手にとり口づけをした。
その一連の優雅な仕草に見惚れてしまい私の顔が赤くなったのは少ししてからだった。
※※
「シャーロレット=ディ=サー=ヴィクセレーネです。今日はお招きいただきありがとうございます。
王妃殿下にお会いできて光栄です。」
お茶会は王宮の彩られたガーデンで行われた。
青く広がる空。お茶会日和だ。
会場には年配の方から私くらいの女の子まで50人くらいいるだろうか?
王妃様は大変美しい方だった。
優しそうで品があり、見るからに王妃様!って雰囲気が漂ってくる。
もう本当に子どもがいるなんて見えない。
彼女が微笑むと周りに薔薇が咲いて癒しの風が吹く。
なぜ王族の人達が笑うとバラが背後に見えるのかしらね。
「あら、あなたがヴィクセレーネ公爵の…。一度会いたかったのよ。」
王妃は胸の前で手を合わせた。かわいい方だ。
会いたかった?社交辞令でしょうか?
「こんなかわいいお嬢さんだったのね。
ルースもすみにおけないわね。ふふふっ。レオンが恨み言をいうのも仕方ないわね。
ルースをよろしくね。」
ルース?何で彼の名前が出てくるんだろうか?彼は王妃様の親戚になるんだから私がルースの幼なじみと言いことは知っていてもおかしくはないか…。
「また後でゆっくりお話させてね。シャーリー。」
王太子殿下だけでなく王妃様まで愛称で呼ばれてしまった。
お茶会が進む中、一人私に凄んだ視線を送る令嬢がいた。
レイクルーゼ=アインシュバッツ侯爵令嬢だ。
アインシュバッツ侯爵はいまをときめく家だ。
前侯爵様は今は隠居されていますが以前はバリバリに宰相をされていました。
さらに奥様は隣国の王女だった方でこの国を訪問された際に侯爵様と恋に落ちたと聞いています。
爵位を継いだ長兄は王太子付きで位とかはよくわからないがすごく偉い人です。
どこかの国の第一王女と熱愛の末に結婚されて次期宰相候補の一人です。
次兄は若いながら宰相の補佐をしている。
たしか長女は隣国の公爵様に嫁いだはず。
やはり熱愛の末駆け落ち同然に出て行ったらしい。
とにかく政治にとても強い影響力を持つ、とても熱い家になります。
まあ私の家なんて彼らがふっと息をふけば飛んでいってしまう。
そんな侯爵家の一番末の娘がこちらのレイクレーゼ様になります。
紅いドレスがかなりお似合いで切れ長の目に豊満な胸。羨ましいわ。
きゃーっと黄色い声が聞こえた。声のする方をみると、王太子殿下がやってきた。
爽やかに金髪が風にゆれる。
少しルースよりは柔らかそうだ。やはり白い薔薇が背後に見える。
青いお天道様の下でみるから爽やかさも200%アップしている。
まあ私には関係ないからここぞとばかりにマカロンをほうばる。
前世から大好きだ。
この世界にもマカロンあったのを知った時は起き上がれなくなるまで食べた。
森での生活になったら絶対に食べられないだろう。
今のうちに食べておきたいのだ。
ついでに隣にあるガトーショコラもお皿に載せてある。
マカロンを食べたら次はあなたを食べてあげるね!
「やあ、シャーリー。よく来たね。どう?楽しんでいる?」
うっ!せっかくガトーショコラさんを食べようとしてたのに…!ううっ。
私はテーブルに名残り惜しそうにお皿を置いてスカートの裾をもちお辞儀をした。
「殿下、もったいないお言葉、お心遣いありがとうございます。わたくしは大丈夫です。楽しんでおります。」
「母上には会った?」
「はい、先ほど少しお話させていただきました。
とっても優しくて素敵な方ですね。憧れてしまいます。
今回お会いできて本当に幸せです。それにすごく美味しいものばかりでさらに幸せです。」
「おやっ?今日は青いリボンなんだね。かわいいね。」
「あっ、ありがとうございます。」
「ルースは?一緒じゃないの?」
「一緒には来ましたが、お茶会は女の方ばかりだったので何やら暇を潰して来ると言ってどっかに行ってしまいました。」
「確かに居ずらいな。」
何だかまわりの人の視線が痛い…。
こんな冴えない子とキラキラな殿下が話しているなんて…目の前のあなたのせいです。
早くあっちいって欲しい…。
何だか落ち着かない。
「本当、シャーリーわかりやすいよ。私がそばにいたら邪魔かな?」
「あ、いえ。そういうわけではなく…」
見透かされている。
「やっぱりかわいいや。その青のリボンも本当は私があげたかったな。ルースからもらったものでしょ?」
「あ、はい。ルースから一番初めにもらったものです。青が綺麗ですごく好きなんです。
普段は勿体なくて使わないんですが今日は緊張してたので気合入れてこのリボンにしました。
このリボンだと本当に落ち着くんです。」
「ふふふっ、本当…シャーリーかわいい。」
「へっ?」
何故この会話からこうなる?
少しの間たわいもない話をしていたが、
「まあ少しルースの様子もみてくるよ。多分図書館にいるだとうからね。
それではいっぱいおいしいもの食べていってね。」
と、爽やかな風??ほほえみ?を残して殿下は去って行かれた。
私はお腹いっぱいになってお茶会から少し抜けて薔薇の咲くガーデンに休憩しにに来た。
いろいろな薔薇が咲き乱れ綺麗だ。
こんな薔薇の中、殿下とヒロインが!なんて良いいシチュエーションなの!
イベント発生は絶対ここね!・・って、
わたしだけここにいても仕方ないじゃない!
ヒロインはどうしたの!何も動かないじゃない。
普通はこのお茶会にヒロインも来て殿下との出会いイベントを発生させなきゃ!
でもさすがに平民だと王妃様開催のお茶会は無理ね。
この状態ではよほどのことがない限りヒロインと殿下の間にフラグは立たないか・・・。
やっぱり学校関係のルースやディラン様、ボガルノ先生の線を推し進めるべきだろうか?
ん、困ったわね。考えても私にできる事ってないわ。
本当にせっかく転生したのに何もできない。
私がいくら頑張っても殿下とヒロインを呼び出して出会いイベントを作れるわけない。
何せ公爵令嬢の私ですら王太子殿下にすんなり会えるわけでは無い。
話が進むのを願いながら妄想してるだけしかできない。
「ん~どうしたら悪役令嬢になれるのかしら?」
私は行き詰った。
先日招待状が届けられた。多分王太子殿下のせいね。
青と白のお茶会向けのシンプルなドレスに髪には青のリボン。
このリボンは12歳の時に初めてルースにもらったものだ。
鮮やかな青でキラキラとしつこくない程度にラメが入っている。
縁取りが濃い青でされている。
ルースにもらったリボンはまだたくさんあるのだが初めてもらってこともあって一番のお気に入りだからここぞと言う時には必ず身に付ける。
国外追放されてもこれだけは絶対に持っていこう。
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ザイン家でお姉様が領地に行く前にした送別会を兼ねたお茶会以来かしら?
いつの間にか背も私より高くなって、体もがっしりしてる。
丸かった顔も細っそりとして顎が尖ってる。目も切れ長で…。
あらいやだ。ルースに見惚れちゃったわ。
本当、いつの間にか大きくなったわね。何だか人の子は早いってこの事ね。
「今日はこのリボンなんだね。僕が初めてあげたものだね。」
「そう。一番好きなの。初めてルースからもらったものだから大事にしてるんだけど、気合入れるときは絶対にこれなの。」
「緊張してる?」
「当たり前じゃない!王妃様よ!緊張しない人なんていないわ。
このリボンしてるとルースが守ってくれるみたいで落ち着くの。」
「似合ってる」
ルースは嬉しそうに笑って、リボンを手にとり口づけをした。
その一連の優雅な仕草に見惚れてしまい私の顔が赤くなったのは少ししてからだった。
※※
「シャーロレット=ディ=サー=ヴィクセレーネです。今日はお招きいただきありがとうございます。
王妃殿下にお会いできて光栄です。」
お茶会は王宮の彩られたガーデンで行われた。
青く広がる空。お茶会日和だ。
会場には年配の方から私くらいの女の子まで50人くらいいるだろうか?
王妃様は大変美しい方だった。
優しそうで品があり、見るからに王妃様!って雰囲気が漂ってくる。
もう本当に子どもがいるなんて見えない。
彼女が微笑むと周りに薔薇が咲いて癒しの風が吹く。
なぜ王族の人達が笑うとバラが背後に見えるのかしらね。
「あら、あなたがヴィクセレーネ公爵の…。一度会いたかったのよ。」
王妃は胸の前で手を合わせた。かわいい方だ。
会いたかった?社交辞令でしょうか?
「こんなかわいいお嬢さんだったのね。
ルースもすみにおけないわね。ふふふっ。レオンが恨み言をいうのも仕方ないわね。
ルースをよろしくね。」
ルース?何で彼の名前が出てくるんだろうか?彼は王妃様の親戚になるんだから私がルースの幼なじみと言いことは知っていてもおかしくはないか…。
「また後でゆっくりお話させてね。シャーリー。」
王太子殿下だけでなく王妃様まで愛称で呼ばれてしまった。
お茶会が進む中、一人私に凄んだ視線を送る令嬢がいた。
レイクルーゼ=アインシュバッツ侯爵令嬢だ。
アインシュバッツ侯爵はいまをときめく家だ。
前侯爵様は今は隠居されていますが以前はバリバリに宰相をされていました。
さらに奥様は隣国の王女だった方でこの国を訪問された際に侯爵様と恋に落ちたと聞いています。
爵位を継いだ長兄は王太子付きで位とかはよくわからないがすごく偉い人です。
どこかの国の第一王女と熱愛の末に結婚されて次期宰相候補の一人です。
次兄は若いながら宰相の補佐をしている。
たしか長女は隣国の公爵様に嫁いだはず。
やはり熱愛の末駆け落ち同然に出て行ったらしい。
とにかく政治にとても強い影響力を持つ、とても熱い家になります。
まあ私の家なんて彼らがふっと息をふけば飛んでいってしまう。
そんな侯爵家の一番末の娘がこちらのレイクレーゼ様になります。
紅いドレスがかなりお似合いで切れ長の目に豊満な胸。羨ましいわ。
きゃーっと黄色い声が聞こえた。声のする方をみると、王太子殿下がやってきた。
爽やかに金髪が風にゆれる。
少しルースよりは柔らかそうだ。やはり白い薔薇が背後に見える。
青いお天道様の下でみるから爽やかさも200%アップしている。
まあ私には関係ないからここぞとばかりにマカロンをほうばる。
前世から大好きだ。
この世界にもマカロンあったのを知った時は起き上がれなくなるまで食べた。
森での生活になったら絶対に食べられないだろう。
今のうちに食べておきたいのだ。
ついでに隣にあるガトーショコラもお皿に載せてある。
マカロンを食べたら次はあなたを食べてあげるね!
「やあ、シャーリー。よく来たね。どう?楽しんでいる?」
うっ!せっかくガトーショコラさんを食べようとしてたのに…!ううっ。
私はテーブルに名残り惜しそうにお皿を置いてスカートの裾をもちお辞儀をした。
「殿下、もったいないお言葉、お心遣いありがとうございます。わたくしは大丈夫です。楽しんでおります。」
「母上には会った?」
「はい、先ほど少しお話させていただきました。
とっても優しくて素敵な方ですね。憧れてしまいます。
今回お会いできて本当に幸せです。それにすごく美味しいものばかりでさらに幸せです。」
「おやっ?今日は青いリボンなんだね。かわいいね。」
「あっ、ありがとうございます。」
「ルースは?一緒じゃないの?」
「一緒には来ましたが、お茶会は女の方ばかりだったので何やら暇を潰して来ると言ってどっかに行ってしまいました。」
「確かに居ずらいな。」
何だかまわりの人の視線が痛い…。
こんな冴えない子とキラキラな殿下が話しているなんて…目の前のあなたのせいです。
早くあっちいって欲しい…。
何だか落ち着かない。
「本当、シャーリーわかりやすいよ。私がそばにいたら邪魔かな?」
「あ、いえ。そういうわけではなく…」
見透かされている。
「やっぱりかわいいや。その青のリボンも本当は私があげたかったな。ルースからもらったものでしょ?」
「あ、はい。ルースから一番初めにもらったものです。青が綺麗ですごく好きなんです。
普段は勿体なくて使わないんですが今日は緊張してたので気合入れてこのリボンにしました。
このリボンだと本当に落ち着くんです。」
「ふふふっ、本当…シャーリーかわいい。」
「へっ?」
何故この会話からこうなる?
少しの間たわいもない話をしていたが、
「まあ少しルースの様子もみてくるよ。多分図書館にいるだとうからね。
それではいっぱいおいしいもの食べていってね。」
と、爽やかな風??ほほえみ?を残して殿下は去って行かれた。
私はお腹いっぱいになってお茶会から少し抜けて薔薇の咲くガーデンに休憩しにに来た。
いろいろな薔薇が咲き乱れ綺麗だ。
こんな薔薇の中、殿下とヒロインが!なんて良いいシチュエーションなの!
イベント発生は絶対ここね!・・って、
わたしだけここにいても仕方ないじゃない!
ヒロインはどうしたの!何も動かないじゃない。
普通はこのお茶会にヒロインも来て殿下との出会いイベントを発生させなきゃ!
でもさすがに平民だと王妃様開催のお茶会は無理ね。
この状態ではよほどのことがない限りヒロインと殿下の間にフラグは立たないか・・・。
やっぱり学校関係のルースやディラン様、ボガルノ先生の線を推し進めるべきだろうか?
ん、困ったわね。考えても私にできる事ってないわ。
本当にせっかく転生したのに何もできない。
私がいくら頑張っても殿下とヒロインを呼び出して出会いイベントを作れるわけない。
何せ公爵令嬢の私ですら王太子殿下にすんなり会えるわけでは無い。
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