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その3 先生の部屋にて(のあと) ルース視点
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シャーリーが戻ってきた。
廊下の向こう側から歩いてきた。手にはプリントを持っている。
先生、魔科で配り忘れてたんだな。政科は今日貰ったからね。
何だかシャーリーの様子がおかしい。
先生のところに行ったならきっと彼も攻略対象だって浮かれているはずだと思っていた。
きっとスキップとかで戻ってくるかもなんて思っていた。のだがゆっくりと歩いている。
顔が赤い?僕は慌ててシャーリーのところへ行った。
「シャーリー?どうしたの?何かあった?」
「あ、ルース。ごめんね。待たせちゃったわね。」
「顔が赤いけど?熱ある?」
僕はすかさずシャーリーの額に自分の手を置いた。
いや、置いてない。置こうとしたらシャーリーが突然後ずさった。
何だ?今までこんな態度取られたことなどなかったのにどうした?
「シャーリー?」
「あ、いや。あっ…。」
顔をぱっとそらされた。
目を合わせてくれない。
顔をそらされたままだ。
「だ、大丈夫よ。なんでもないわ。気にしすぎよ。」
シャーリーが動揺している。何があったんだ?
単にプリントとりに先生に呼ばれただけじゃないか?
シャーリーが変だ。
先生は攻略対象のはずだ。
何かあったのか!やっぱり僕も一緒に行くべきだった。
シャーリーがいうイベントというものがあったのか?
少し安心しすぎていた。
シャーリーを送って家に戻った。
結局シャーリーはあの後もあまり顔を合せなかった。
挙動不審はいつものことなのだが今日は下を向きながら顔をブルブル振ることが多かった。
玄関を開けて家に入る。
「ただいま戻りました。」
「ルース、お帰り」
「姉様!お戻りだったんですか?」
玄関の踊り場には姉のエルシー=ジェラルドが出迎えてくれていた。
姉はハーバード=ジェラルド辺境伯に嫁いでいる。
僕の7歳上の22歳だ。このザイン家の一番上の姉だ。僕のあとは5歳上に兄がいる。
「ハーバードが仕事で王都にくるから一緒について来ちゃったの。」
「じゃあジェラルド卿も今日はこちらにいらっしゃっるんですね。」
僕はジェラルド卿が好きだ。いろいろ楽しい話をしてくれる。
ジェラルド卿にお会いできると思うと嬉しくなった。
でも今はシャーリーのことが気にかかる。何かがあった。
何だ?あんなに動揺する彼女を見たのは初めてだ。真っ赤になって…。
そんなに僕に触られるのが嫌だったの?
でも今朝は大人しく抱っこされていたじゃないか。
やはり学校なんかに通わせず、すぐ結婚して家に留めておいた方がよかったのか。
しかしそんなことしたらシャーリーは妄想を辞めるかな?
辞めてしまったら楽しそうに夢を語る僕の大好きなシャーリーが見れなくなるから少し淋しい。
いずれ僕と結婚するのだから今はそのままでいて欲しいと思う。
「ねぇ?姉様。一ついいでしょうか?」
「何?」
「女の子が突然触られるのを拒否するのはどうしてですか?」
「ははーん。シャーリーに拒否られたんだ。」
うっ…鋭い。と、いうかズバリ言うなぁ。
「あら、進歩したじゃない。よかったわね。」
「は??へっ?」
「まあ、シャーリーはかなりマイペースだから、全然あんたは意識してもらえなかったんだからよかったんじゃない?あんなもようやく意識してもらえたのね。
まあ、あんた達もそろそろいいんじゃない?…って考えられないけどね。いくら考えても全力でシャーリーに逃げられる図しか想像出来ないわ。」
姉は大笑いした。
姉はシャーリーのことは妹のように(実際あと少ししたら義理の妹になる予定だけど)可愛がっている。
シャーリーもかなり慕っている。姉がジェラルド卿と領地に戻るときは泣いて喚いて大変だったな。
あ、そうだ。
「姉様、いつまでいらっしゃるんですか?」
「ん、二週間くらいかな?」
姉の性格はざっくばらんだ。結構スパッとしている。
わけのわからなく煌びやかすぎる姉でなくてよかったと思っている。
「じゃあきっとシャーリーも会いたいと思うので週末呼んでもいいですか?」
「で、何があったか聞き出せって言うのね。我が弟ながら見え見えね。」
…図星だ。
彼女が僕を意識してるだって?
でも急にだ!何だかイライラする。
何で急にそんなことになったんだ?
何が彼女を意識させたんだ?
僕ではない誰かがきっかけを作ったはずだ。
先生の部屋で何があった?
先生と何があった?
確かにシャーリーに意識してもらえるのは嬉しい。
でも僕ではない誰かのおかげなんて嫌だ。
僕自身の手で彼女に僕を見てもらいたい。
先生ではなくて攻略対象の誰かなのか?
廊下の向こう側から歩いてきた。手にはプリントを持っている。
先生、魔科で配り忘れてたんだな。政科は今日貰ったからね。
何だかシャーリーの様子がおかしい。
先生のところに行ったならきっと彼も攻略対象だって浮かれているはずだと思っていた。
きっとスキップとかで戻ってくるかもなんて思っていた。のだがゆっくりと歩いている。
顔が赤い?僕は慌ててシャーリーのところへ行った。
「シャーリー?どうしたの?何かあった?」
「あ、ルース。ごめんね。待たせちゃったわね。」
「顔が赤いけど?熱ある?」
僕はすかさずシャーリーの額に自分の手を置いた。
いや、置いてない。置こうとしたらシャーリーが突然後ずさった。
何だ?今までこんな態度取られたことなどなかったのにどうした?
「シャーリー?」
「あ、いや。あっ…。」
顔をぱっとそらされた。
目を合わせてくれない。
顔をそらされたままだ。
「だ、大丈夫よ。なんでもないわ。気にしすぎよ。」
シャーリーが動揺している。何があったんだ?
単にプリントとりに先生に呼ばれただけじゃないか?
シャーリーが変だ。
先生は攻略対象のはずだ。
何かあったのか!やっぱり僕も一緒に行くべきだった。
シャーリーがいうイベントというものがあったのか?
少し安心しすぎていた。
シャーリーを送って家に戻った。
結局シャーリーはあの後もあまり顔を合せなかった。
挙動不審はいつものことなのだが今日は下を向きながら顔をブルブル振ることが多かった。
玄関を開けて家に入る。
「ただいま戻りました。」
「ルース、お帰り」
「姉様!お戻りだったんですか?」
玄関の踊り場には姉のエルシー=ジェラルドが出迎えてくれていた。
姉はハーバード=ジェラルド辺境伯に嫁いでいる。
僕の7歳上の22歳だ。このザイン家の一番上の姉だ。僕のあとは5歳上に兄がいる。
「ハーバードが仕事で王都にくるから一緒について来ちゃったの。」
「じゃあジェラルド卿も今日はこちらにいらっしゃっるんですね。」
僕はジェラルド卿が好きだ。いろいろ楽しい話をしてくれる。
ジェラルド卿にお会いできると思うと嬉しくなった。
でも今はシャーリーのことが気にかかる。何かがあった。
何だ?あんなに動揺する彼女を見たのは初めてだ。真っ赤になって…。
そんなに僕に触られるのが嫌だったの?
でも今朝は大人しく抱っこされていたじゃないか。
やはり学校なんかに通わせず、すぐ結婚して家に留めておいた方がよかったのか。
しかしそんなことしたらシャーリーは妄想を辞めるかな?
辞めてしまったら楽しそうに夢を語る僕の大好きなシャーリーが見れなくなるから少し淋しい。
いずれ僕と結婚するのだから今はそのままでいて欲しいと思う。
「ねぇ?姉様。一ついいでしょうか?」
「何?」
「女の子が突然触られるのを拒否するのはどうしてですか?」
「ははーん。シャーリーに拒否られたんだ。」
うっ…鋭い。と、いうかズバリ言うなぁ。
「あら、進歩したじゃない。よかったわね。」
「は??へっ?」
「まあ、シャーリーはかなりマイペースだから、全然あんたは意識してもらえなかったんだからよかったんじゃない?あんなもようやく意識してもらえたのね。
まあ、あんた達もそろそろいいんじゃない?…って考えられないけどね。いくら考えても全力でシャーリーに逃げられる図しか想像出来ないわ。」
姉は大笑いした。
姉はシャーリーのことは妹のように(実際あと少ししたら義理の妹になる予定だけど)可愛がっている。
シャーリーもかなり慕っている。姉がジェラルド卿と領地に戻るときは泣いて喚いて大変だったな。
あ、そうだ。
「姉様、いつまでいらっしゃるんですか?」
「ん、二週間くらいかな?」
姉の性格はざっくばらんだ。結構スパッとしている。
わけのわからなく煌びやかすぎる姉でなくてよかったと思っている。
「じゃあきっとシャーリーも会いたいと思うので週末呼んでもいいですか?」
「で、何があったか聞き出せって言うのね。我が弟ながら見え見えね。」
…図星だ。
彼女が僕を意識してるだって?
でも急にだ!何だかイライラする。
何で急にそんなことになったんだ?
何が彼女を意識させたんだ?
僕ではない誰かがきっかけを作ったはずだ。
先生の部屋で何があった?
先生と何があった?
確かにシャーリーに意識してもらえるのは嬉しい。
でも僕ではない誰かのおかげなんて嫌だ。
僕自身の手で彼女に僕を見てもらいたい。
先生ではなくて攻略対象の誰かなのか?
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