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第一章-すれ違い-

-part12-副会長

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 フードを深く被って顔を隠し歩く男。と狐のお面を被って顔を隠し歩く女。
 今日がハロウィンとかだったら、怪しくなかったかもしれないが。残念ながらハロウィンはまだ、四ヶ月も先になる。

 「すいません。わがまま言ってしまって」

 「うん。急にどうした?」

 副会長は出来る女性だ。
 俺よりも絶対に賢いし、いつも会議の進行をしてもらっていて、俺よりも会長としての素質がある。なんで、佐藤先輩が彼女ではなく。俺を指名した理由が分からない。

 「・・・すぅーはぁー。すぅーはぁー」

 副会長は何度も呼吸を深く行った。
 ・・・なんで?

 「会長って・・・いや何でもないです」

 「え?そこで止める?」

 いつもの副会長ではなかった。
 明らかに何かに動揺している。

 「えっと。ですね・・・・ある情報を掴みまして」

 「・・・うん」

 絶対に話題を変えただろ。

 「ある男子生徒が、中学生に手を手を出していると」

 「なんだと。それは、やばい奴だな」

 中学生に手を出すとは、とんだ野郎だ。

 「名前は、坂上紘一と言う者でして」

 「ブッ!」
 
 「か、会長?!どうしました?」

 「ちょっと。そこの段差でつまずいて」

 「ここ、平坦な道なんですが」

 「足をが折れた」
 
 「大丈夫なんですか?」

 「あぁ。何とか治った」

 動揺し過ぎて、意味不明な言動になってしまっていた。

 「大丈夫だから。話を続けて欲しい」

 「分かりました。どうやら、坂上はその女子中学生を自宅に招き入れては・・・その。わいせつな行為を行っているそうでして」
 
 「やってない!!!!」

 とは、口に出来る訳ない。
 正体がバレてしまう。なら、俺ができることは。

 「それはあれだ。坂上の妹だ」

 「坂上の事知ってるですか?」

 「あぁ。少し交流関係があって」

 「そ、そうだったんですね」
 
 俺が出来る精一杯の方法で、誤解を解くことに成功した。

 「・・・それでは会長。私こっち方向なので、また。明日」

 「あ、うん。また、明日」

 急にいつもの副会長に戻った気がする。
 結局、なんだったのだろう?

 「・・・もしかして、紘一?」

 美穂と会った。

 「・・・なんでフード深く被ってるの?もしかして。闇の力に目覚めたとか?」
     *    *    *    *
 会長から離れた後、狐の仮面を外す。

 はぁ。緊張したぁー。
 
 怪しまれてしまっただろう。でも、聞かない訳にはいかなかった。
 紘一の部屋に女性が入って行くのを目撃したという報告を聞いて、いても立っても入れず、思わず
 結果。女性は妹さんだった。
 
 ・・・妹?紘一に妹なんていたっけ?
 
 記憶を思い起こすも、妹の存在など今回が初耳である。
 新たな疑問に、私。奈菜は頭を悩ます事になってしまった。
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