キツネの里帰り。

 「この夏は、父さんの実家に里帰りしよう」

 いきなり帰省を父から提案された、小学五年生の八尋。
 里帰りってどうして? いつも僕をほったらかしにしてる罪滅ぼしのつもりか?
 戸惑う八尋が連れてこられたのは、超弩級の田舎の家。
 ゲームもできなければ、涼をとるためのエアコンもない。
 ヒマでヒマで、退屈で。
 グダグダ、ゴロゴロするしかない八尋。
 そんな八尋に父が再び提案する。

 「祭りに行かないか?」

 祭りぃ!?
 こんな田舎に祭りなんてあるのか?
 不思議に思う八尋に父がキツネのお面を渡す。

 「いいか。このお面は絶対外しちゃいけないぞ。でないと、食われてしまうからな」

 ――は? ナニイッテンダ?

 いぶかしむ八尋。お面をつけた父が連れてきたのは、台所にある、古い冷蔵庫の前で。

 「さあ、行くぞ」

 冷蔵庫の扉を開け、グイッと八尋の手を引いた父。無理やり連れ込まれた冷蔵庫の中――のはずなのに。なぜか、そこは祭ばやしが鳴り響いていて?

 ここ、どこなんだよ! ってか、誰か説明してくれよ!

 十歳の少年、尾崎八尋の人生が激変する。
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