18 / 31
第18話 ひとつ屋根の下あるある。
しおりを挟む
フェッ……、フェェェンッ。フェェン……。
遠く潮騒のようにくり返される音。――泣き声? ああそうか。世那くんが泣いてるんだ。
その音に手繰り寄せられるように、意識が浮かび上がってくる。
泣かないで。泣かないで、世那くん。
私はここにいる。ここにいるから、泣かないで――。
「あ、気がついた?」
フッと開いた瞼の先。私を覗き込むようにして座ってたのは一条くん。私が目を覚ましたことにホッとしたのか、腰を落ち着けて座り直した。
「どっか、痛いところ、ない?」
「あ、うん。大丈夫」
とりあえずは。
「よかった。でも、もうしばらくそのまま休んで。頭打ってるし。吐き気とかしたら、病院に連れて行くから。急に動いたりしたらダメだよ」
「うん。ごめんね、一条くん」
迷惑かけた。
私が横になっていたのはリビングのソファ。頭を打って気を失った私を、一条くんがここまで運んでくれたんだろう。毛布までかけてくれて、額には冷たく濡らしたタオルつき。なんというのか、手厚い看護、至れり尽くせり。
「ほら、世那。もう泣かない」
見ると、私の足元の方で泣きっぱなしだった世那くんが立ち尽くしてた。さっき聞こえてたのは、やっぱり世那くんの泣き声だったのか。私が目を覚ましたことで、ウウッと体を震わせ、限界まで息を吸い上げる。
「タァ、エクッ……ナッアッ!!」
嗚咽混じりの名前呼び。私がぶっ倒れて、世那くん、ずっと泣いてたのかな。ずっと心配してくれてたのかな。
「世那くん。大丈夫だよ、おいでぅえぇっ!!」
動いた拍子にズルッと落ちた毛布。丸見えになった私の肩からお腹。毛布の下、私、下着だけっ!!
「だから、動いちゃダメだって」
「あ、お。うん。その――ゴメン」
とっさに視線を反らしてくれた一条くん。グリンとあさって向き。
「とりあえず僕は部屋に戻るから。高階はゆっくり着替えてくれていいよ」
「わ、わかった」
「世那おいで。今日はパパと一緒に寝るぞ」
一条くんが、半ば無理やり世那くんを抱き上げようとするけど。
「ヤッ!!」
世那くんが毛布にしがみついた。
「バッパ、ヤッ!! タァ、ナッ!!」
ブンブンと首ふる世那くん。私のそばにいたい。パパと行かない。
「世那くん、毛布っ、毛布、引っ張んないでぇっ!!」
見えちゃう、見えちゃう。今度こそバッチリ見えちゃう!!
一条くんが世那くんを抱き上げると、毛布、めくれちゃう!!
「――わかった。世那、高階にあんまり無理言うなよ。高階も辛かったら、いつでも呼んで。世那が泣いても無理しないで」
それだけ言うと、諦めた一条くんが足早にリビングを出ていった。世那くんに嫌われてガックリきてるのか、それとも、私の素っ裸セカンドを見せられそうになってあわてたのか。どっちだろ。
パタリと閉められたドアに頭を下げる。
ゴメン、一条くん。今度からはお風呂に入る時は鍵をかけることにします。一歳六ヶ月の赤ちゃんだってなめてちゃダメなんだね。扉、引き戸なら開けられるって知らなかったよ。
リビングとか玄関とか、開き戸は無理だからって油断してた。和室のふすまが開けられるんだもん、他の引き戸も開けられるよね。
「世那くん、もう寝ようか」
さっき気を失ってたからか、そう眠くはないんだけど。このまま起きてたら、一条くんにさらに迷惑かけそうだし。彼、ここに入ってこられなくなるし。
ソファの脇にチョコンとたたみ、積み上げられてた私のパジャマ。洗面所から一条くんが持ってきてくれたんだろう。急いで腕を通す。
(にしても……)
もう少しいい下着、つけておけばよかった。
お値段以上でもなんでもない、お値段通りの申し訳程度にレースのついたブラとショーツ。地元ショッピングモールのワゴンセール特価品。
(べ、別に見せるものでもないしっ!! これで充分でしょ!!)
後悔しかけた自分を叱咤する。
下着丸見えなんてハプニング、そう何度もあっちゃいけないことだし。次に見せる機会なんてないんだし。これで充分でしょ、私なんだから。――でも。
(シルクの下着とかって、いくらするんだろ)
少しだけ思った。
* * * *
「おはよう。体調はどう?」
翌朝。和室とリビングを仕切るふすまを開けると、そこにはエプロンつけてキッチンに立つ一条くんの姿。ふすまを開けたことで、出来上がりつつある朝食のいい匂いが鼻孔をくすぐった。――今日は、パンケーキ……かな? 香ばしいバターの匂い。
「気分悪いとか――ない?」
「うん、大丈夫。ごめんね、心配かけて」
「いや、こっちこそ、急に遅くなって申し訳なかった」
言いながら、一条くんがテーブルに皿を置いた。ゴハン、今日も手伝うことなさそう。
「バッパ?」
「世那、おはよう。お前も起きたか」
「バッパ!!」
眠そうに目をこすってたかと思えば、一条くんに向かって突進していった世那くん。配膳を続ける一条くんの足にギューッとつかまって顔をこすりつける。
「よかった。嫌われたわけじゃないのか」
皿を並べ終えた一条くんが、ヨイショッと世那くんを抱き上げた。昨夜の「バッパ、ヤッ!!」発言に一条くん、ダメージ受けてたんだ。
「今日は、お前の好きなバナナとイチゴだぞ」
しばらく抱いたあとで、ストンと世那くんを椅子に下ろす。それを見て、私も向かいの席に着く。朝食はやはり、パンケーキと果物。大人も同じ仕様。
「いただきます」
世那くんの隣りに座った一条くんが、手を合わせ、お手本を示す。
「ターアスッ」
真似た世那くん。パチンと手を叩いて軽くお辞儀。そして、手づかみ食べ、スタート。
「高階」
世那くんの食事を見守りながら、一条くんが切り出した。
「申し訳ないけど、しばらくの間、帰りが遅くなりそうなんだ」
「え? そうなの?」
私も一条くんが作ってくれた朝食に手を伸ばす。あ、もちろん、ナイフとフォークを使って。
「うん。ちょっと仕事が立て込んできてね。残業、増えると思う」
「残業?」
「ごめんね、世那のこと。今でもいっぱい助けてもらってるのに、迷惑かけて」
「え? なぜ?」
思わずキョトンとして食べる手を止める。
「一条くん言ってたじゃん。苦手なことは交代するから、無理しなくていいよって」
あの動物ふれあい広場で。
私が苦手なのを隠してヒヨコに触ってたら、「無理しなくていい」、「僕に任せて」って言ってくれた。
「いや、あれは……。でも僕は世那の父親だし」
「おんなじだよ。一条くんが困ってるなら、私が助ける。もともとそういう理由でここに押しかけてるんだし。気にしないで仕事に全集中してきて」
「高階……」
「それにね。少しずつだけど、世那くんも落ち着いてきてるんだよ? 泣くことも減ったし」
昨日だって、あんなことになったけど、お風呂は嫌がらなかったし、ゴハンだって問題なく食べてくれた。私のことだって、「タァ、ナッ」ってお気に入りのように呼んでくれるようになった。
「だから、安心して仕事してきて」
「ありがと」
「あ、でもどうしてもどうにもならなくなったらSOS入れるかも。一条くん、帰ってきて~、ヘルプ~って」
「わかった。そうなったら急いで駆けつける」
クスクスと一条くんが笑う。ちょっとおどけて言った効果アリ。ヨシ。
「銃後を守る」じゃないけど、頑張る一条くんをサポートしたい。ただのお節介、厚かましすぎる無理やり同居の身の上だからこそ、なるべく役に立ちたいと思ってる。
「アッ、バッ、ブーウッ」
世那くんがフォークを高く掲げた。まるで「ぼくもがんばる」って誓いをたてる騎士の剣。
「そっか。じゃあ世那、高階のこと、よろしく頼んだぞ」
ヨシヨシと一条くんが世那くんの頭を撫でる。
「ねえ。頼む方、逆じゃない?」
私じゃないの?
ムッフーって、得意満面な世那くんじゃなくて。
「ハハハッ」
一条くんがまた笑った。
遠く潮騒のようにくり返される音。――泣き声? ああそうか。世那くんが泣いてるんだ。
その音に手繰り寄せられるように、意識が浮かび上がってくる。
泣かないで。泣かないで、世那くん。
私はここにいる。ここにいるから、泣かないで――。
「あ、気がついた?」
フッと開いた瞼の先。私を覗き込むようにして座ってたのは一条くん。私が目を覚ましたことにホッとしたのか、腰を落ち着けて座り直した。
「どっか、痛いところ、ない?」
「あ、うん。大丈夫」
とりあえずは。
「よかった。でも、もうしばらくそのまま休んで。頭打ってるし。吐き気とかしたら、病院に連れて行くから。急に動いたりしたらダメだよ」
「うん。ごめんね、一条くん」
迷惑かけた。
私が横になっていたのはリビングのソファ。頭を打って気を失った私を、一条くんがここまで運んでくれたんだろう。毛布までかけてくれて、額には冷たく濡らしたタオルつき。なんというのか、手厚い看護、至れり尽くせり。
「ほら、世那。もう泣かない」
見ると、私の足元の方で泣きっぱなしだった世那くんが立ち尽くしてた。さっき聞こえてたのは、やっぱり世那くんの泣き声だったのか。私が目を覚ましたことで、ウウッと体を震わせ、限界まで息を吸い上げる。
「タァ、エクッ……ナッアッ!!」
嗚咽混じりの名前呼び。私がぶっ倒れて、世那くん、ずっと泣いてたのかな。ずっと心配してくれてたのかな。
「世那くん。大丈夫だよ、おいでぅえぇっ!!」
動いた拍子にズルッと落ちた毛布。丸見えになった私の肩からお腹。毛布の下、私、下着だけっ!!
「だから、動いちゃダメだって」
「あ、お。うん。その――ゴメン」
とっさに視線を反らしてくれた一条くん。グリンとあさって向き。
「とりあえず僕は部屋に戻るから。高階はゆっくり着替えてくれていいよ」
「わ、わかった」
「世那おいで。今日はパパと一緒に寝るぞ」
一条くんが、半ば無理やり世那くんを抱き上げようとするけど。
「ヤッ!!」
世那くんが毛布にしがみついた。
「バッパ、ヤッ!! タァ、ナッ!!」
ブンブンと首ふる世那くん。私のそばにいたい。パパと行かない。
「世那くん、毛布っ、毛布、引っ張んないでぇっ!!」
見えちゃう、見えちゃう。今度こそバッチリ見えちゃう!!
一条くんが世那くんを抱き上げると、毛布、めくれちゃう!!
「――わかった。世那、高階にあんまり無理言うなよ。高階も辛かったら、いつでも呼んで。世那が泣いても無理しないで」
それだけ言うと、諦めた一条くんが足早にリビングを出ていった。世那くんに嫌われてガックリきてるのか、それとも、私の素っ裸セカンドを見せられそうになってあわてたのか。どっちだろ。
パタリと閉められたドアに頭を下げる。
ゴメン、一条くん。今度からはお風呂に入る時は鍵をかけることにします。一歳六ヶ月の赤ちゃんだってなめてちゃダメなんだね。扉、引き戸なら開けられるって知らなかったよ。
リビングとか玄関とか、開き戸は無理だからって油断してた。和室のふすまが開けられるんだもん、他の引き戸も開けられるよね。
「世那くん、もう寝ようか」
さっき気を失ってたからか、そう眠くはないんだけど。このまま起きてたら、一条くんにさらに迷惑かけそうだし。彼、ここに入ってこられなくなるし。
ソファの脇にチョコンとたたみ、積み上げられてた私のパジャマ。洗面所から一条くんが持ってきてくれたんだろう。急いで腕を通す。
(にしても……)
もう少しいい下着、つけておけばよかった。
お値段以上でもなんでもない、お値段通りの申し訳程度にレースのついたブラとショーツ。地元ショッピングモールのワゴンセール特価品。
(べ、別に見せるものでもないしっ!! これで充分でしょ!!)
後悔しかけた自分を叱咤する。
下着丸見えなんてハプニング、そう何度もあっちゃいけないことだし。次に見せる機会なんてないんだし。これで充分でしょ、私なんだから。――でも。
(シルクの下着とかって、いくらするんだろ)
少しだけ思った。
* * * *
「おはよう。体調はどう?」
翌朝。和室とリビングを仕切るふすまを開けると、そこにはエプロンつけてキッチンに立つ一条くんの姿。ふすまを開けたことで、出来上がりつつある朝食のいい匂いが鼻孔をくすぐった。――今日は、パンケーキ……かな? 香ばしいバターの匂い。
「気分悪いとか――ない?」
「うん、大丈夫。ごめんね、心配かけて」
「いや、こっちこそ、急に遅くなって申し訳なかった」
言いながら、一条くんがテーブルに皿を置いた。ゴハン、今日も手伝うことなさそう。
「バッパ?」
「世那、おはよう。お前も起きたか」
「バッパ!!」
眠そうに目をこすってたかと思えば、一条くんに向かって突進していった世那くん。配膳を続ける一条くんの足にギューッとつかまって顔をこすりつける。
「よかった。嫌われたわけじゃないのか」
皿を並べ終えた一条くんが、ヨイショッと世那くんを抱き上げた。昨夜の「バッパ、ヤッ!!」発言に一条くん、ダメージ受けてたんだ。
「今日は、お前の好きなバナナとイチゴだぞ」
しばらく抱いたあとで、ストンと世那くんを椅子に下ろす。それを見て、私も向かいの席に着く。朝食はやはり、パンケーキと果物。大人も同じ仕様。
「いただきます」
世那くんの隣りに座った一条くんが、手を合わせ、お手本を示す。
「ターアスッ」
真似た世那くん。パチンと手を叩いて軽くお辞儀。そして、手づかみ食べ、スタート。
「高階」
世那くんの食事を見守りながら、一条くんが切り出した。
「申し訳ないけど、しばらくの間、帰りが遅くなりそうなんだ」
「え? そうなの?」
私も一条くんが作ってくれた朝食に手を伸ばす。あ、もちろん、ナイフとフォークを使って。
「うん。ちょっと仕事が立て込んできてね。残業、増えると思う」
「残業?」
「ごめんね、世那のこと。今でもいっぱい助けてもらってるのに、迷惑かけて」
「え? なぜ?」
思わずキョトンとして食べる手を止める。
「一条くん言ってたじゃん。苦手なことは交代するから、無理しなくていいよって」
あの動物ふれあい広場で。
私が苦手なのを隠してヒヨコに触ってたら、「無理しなくていい」、「僕に任せて」って言ってくれた。
「いや、あれは……。でも僕は世那の父親だし」
「おんなじだよ。一条くんが困ってるなら、私が助ける。もともとそういう理由でここに押しかけてるんだし。気にしないで仕事に全集中してきて」
「高階……」
「それにね。少しずつだけど、世那くんも落ち着いてきてるんだよ? 泣くことも減ったし」
昨日だって、あんなことになったけど、お風呂は嫌がらなかったし、ゴハンだって問題なく食べてくれた。私のことだって、「タァ、ナッ」ってお気に入りのように呼んでくれるようになった。
「だから、安心して仕事してきて」
「ありがと」
「あ、でもどうしてもどうにもならなくなったらSOS入れるかも。一条くん、帰ってきて~、ヘルプ~って」
「わかった。そうなったら急いで駆けつける」
クスクスと一条くんが笑う。ちょっとおどけて言った効果アリ。ヨシ。
「銃後を守る」じゃないけど、頑張る一条くんをサポートしたい。ただのお節介、厚かましすぎる無理やり同居の身の上だからこそ、なるべく役に立ちたいと思ってる。
「アッ、バッ、ブーウッ」
世那くんがフォークを高く掲げた。まるで「ぼくもがんばる」って誓いをたてる騎士の剣。
「そっか。じゃあ世那、高階のこと、よろしく頼んだぞ」
ヨシヨシと一条くんが世那くんの頭を撫でる。
「ねえ。頼む方、逆じゃない?」
私じゃないの?
ムッフーって、得意満面な世那くんじゃなくて。
「ハハハッ」
一条くんがまた笑った。
10
お気に入りに追加
76
あなたにおすすめの小説
今更だけど、もう離さない〜再会した元カレは大会社のCEO〜
瀬崎由美
恋愛
1才半の息子のいる瑞希は携帯電話のキャリアショップに勤めるシングルマザー。
いつものように保育園に迎えに行くと、2年前に音信不通となっていた元彼が。
帰国したばかりの彼は亡き祖父の後継者となって、大会社のCEOに就任していた。
ずっと連絡出来なかったことを謝罪され、これからは守らせて下さいと求婚され戸惑う瑞希。
★第17回恋愛小説大賞で奨励賞をいただきました。
ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~
菱沼あゆ
恋愛
念願のランプのショップを開いた鞠宮あかり。
だが、開店早々、植え込みに猫とおばあさんを避けた車が突っ込んでくる。
車に乗っていたイケメン、木南青葉はインテリアや雑貨などを輸入している会社の社長で、あかりの店に出入りするようになるが。
あかりには実は、年の離れた弟ということになっている息子がいて――。
もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
泉南佳那
恋愛
イケメンカリスマ美容師と内気で地味な書店員との、甘々溺愛ストーリーです!
どうぞお楽しみいただけますように。
〈あらすじ〉
加藤優紀は、現在、25歳の書店員。
東京の中心部ながら、昭和味たっぷりの裏町に位置する「高木書店」という名の本屋を、祖母とふたりで切り盛りしている。
彼女が高木書店で働きはじめたのは、3年ほど前から。
短大卒業後、不動産会社で営業事務をしていたが、同期の、親会社の重役令嬢からいじめに近い嫌がらせを受け、逃げるように会社を辞めた過去があった。
そのことは優紀の心に小さいながらも深い傷をつけた。
人付き合いを恐れるようになった優紀は、それ以来、つぶれかけの本屋で人の目につかない質素な生活に安んじていた。
一方、高木書店の目と鼻の先に、優紀の兄の幼なじみで、大企業の社長令息にしてカリスマ美容師の香坂玲伊が〈リインカネーション〉という総合ビューティーサロンを経営していた。
玲伊は優紀より4歳年上の29歳。
優紀も、兄とともに玲伊と一緒に遊んだ幼なじみであった。
店が近いこともあり、玲伊はしょっちゅう、優紀の本屋に顔を出していた。
子供のころから、かっこよくて優しかった玲伊は、優紀の初恋の人。
その気持ちは今もまったく変わっていなかったが、しがない書店員の自分が、カリスマ美容師にして御曹司の彼に釣り合うはずがないと、その恋心に蓋をしていた。
そんなある日、優紀は玲伊に「自分の店に来て」言われる。
優紀が〈リインカネーション〉を訪れると、人気のファッション誌『KALEN』の編集者が待っていた。
そして「シンデレラ・プロジェクト」のモデルをしてほしいと依頼される。
「シンデレラ・プロジェクト」とは、玲伊の店の1周年記念の企画で、〈リインカネーション〉のすべての施設を使い、2~3カ月でモデルの女性を美しく変身させ、それを雑誌の連載記事として掲載するというもの。
優紀は固辞したが、玲伊の熱心な誘いに負け、最終的に引き受けることとなる。
はじめての経験に戸惑いながらも、超一流の施術に心が満たされていく優紀。
そして、玲伊への恋心はいっそう募ってゆく。
玲伊はとても優しいが、それは親友の妹だから。
そんな切ない気持ちを抱えていた。
プロジェクトがはじまり、ひと月が過ぎた。
書店の仕事と〈リインカネーション〉の施術という二重生活に慣れてきた矢先、大問題が発生する。
突然、編集部に上層部から横やりが入り、優紀は「シンデレラ・プロジェクト」のモデルを下ろされることになった。
残念に思いながらも、やはり夢でしかなかったのだとあきらめる優紀だったが、そんなとき、玲伊から呼び出しを受けて……
ピンク頭で男爵令嬢だからと言って勝手にお花畑ヒロインだと決めつけないで下さい
まゆら
恋愛
私は、王立学園に通い出したところの男爵令嬢アイラ。
同学年に王太子とその婚約者がいるらしいが、私は全く興味がない。
しかし、王太子の婚約者の取り巻きである高位貴族令嬢たちや学園は自由恋愛だと勘違いしている下位貴族令嬢から王太子には近づくなと釘を刺されたり、行動を監視される毎日である…というような王道展開は多分ないので安心して下さい。
私がピンク頭の男爵令嬢だからって、勝手に脳内お花畑の恋愛至上主義だと決めつけないで頂けますか?
私はおバカヒロインではないですし、転生してきた聖女でもないですから!!
どちらかと言えば、真実の愛に目覚めたのですとかいうバカ女は苦手なので、近づいてきたら排除します!
私は、父から任せられた商会を大きくする為に王都に来たのですから…
皆様は、もれなくうちの商会の顧客になって頂きますからね?
私…色恋よりもお金が大好きなんです!
恋愛には全く興味が無いアイラだが、いとこから溺愛されていたり、隣国の王子から求愛されたり…色々と周囲は騒がしいのだ。
アイラの魔力と魔法については、とりあえずチートなのであまり気にしないで下さい。
ご都合主義に物事が流れていきます。
【完結】俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜
雪井しい
恋愛
「こはる、俺の妻になれ」その日、大女優を母に持つ2世女優の花宮こはるは自分の所属していた劇団の解散に絶望していた。そんなこはるに救いの手を差し伸べたのは年上の幼馴染で大企業の御曹司、月ノ島玲二だった。けれど代わりに妻になることを強要してきて──。花嫁となったこはるに対し、俺様な玲二は独占欲を露わにし始める。
【幼馴染の俺様御曹司×大物女優を母に持つ2世女優】
☆☆☆ベリーズカフェで日間4位いただきました☆☆☆
※ベリーズカフェでも掲載中
※推敲、校正前のものです。ご注意下さい
溺愛ダーリンと逆シークレットベビー
葉月とに
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。
立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。
優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?
【完結】やさしい嘘のその先に
鷹槻れん
恋愛
妊娠初期でつわり真っ只中の永田美千花(ながたみちか・24歳)は、街で偶然夫の律顕(りつあき・28歳)が、会社の元先輩で律顕の同期の女性・西園稀更(にしぞのきさら・28歳)と仲睦まじくデートしている姿を見かけてしまい。
妊娠してから律顕に冷たくあたっていた自覚があった美千花は、自分に優しく接してくれる律顕に真相を問う事ができなくて、一人悶々と悩みを抱えてしまう。
※30,000字程度で完結します。
(執筆期間:2022/05/03〜05/24)
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
2022/05/30、エタニティブックスにて一位、本当に有難うございます!
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
---------------------
○表紙絵は市瀬雪さまに依頼しました。
(作品シェア以外での無断転載など固くお断りします)
○雪さま
(Twitter)https://twitter.com/yukiyukisnow7?s=21
(pixiv)https://www.pixiv.net/users/2362274
---------------------
初恋は溺愛で。〈一夜だけのはずが、遊び人を卒業して平凡な私と恋をするそうです〉
濘-NEI-
恋愛
友人の授かり婚により、ルームシェアを続けられなくなった香澄は、独りぼっちの寂しさを誤魔化すように一人で食事に行った店で、イケオジと出会って甘い一夜を過ごす。
一晩限りのオトナの夜が忘れならない中、従姉妹のツテで決まった引越し先に、再会するはずもない彼が居て、奇妙な同居が始まる予感!
◆Rシーンには※印
ヒーロー視点には⭐︎印をつけておきます
◎この作品はエブリスタさん、pixivさんでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる