100日後に玉砕する島

中七七三

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105日目(ある米兵の告白)

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 いいか、やつらは忍び込むとか、こっそりやってくるとかしないんだよ。堂々とだ。堂々と真正面からきやがった。
 まずは、前哨の歩兵がぶち殺された。狂人の群れになぶり殺しになったんだ。そうだ、やつらはまるで狂った獣だった。

 蛸壺の中の兵は残らず刺し殺された。日本人の白兵戦能力がたいしたこと無いって? ああ、レポートのことだな。あれは嘘だ。いや、嘘は言いすぎだな。確かに奴らの「技術」は高くない。訓練ならアメリカ兵が勝つだろうさ。だがな、命をかけた実戦じゃ違うんだ。はなっから生きて帰ることを考えていないジャップの群れだ。俺は嫌だね。奴らと白兵戦をするなんて想像するだけでも怖気が走る。

 そうだな―― 島の話だったな。
 地獄だよ。とにかく島の湾岸の蜜を越えて、奴らは一気に宿営地を襲撃してきやがった。
 それは、全てを破壊する何かだ。人じゃない。


 生物も物質も何もかも、そこに存在する全てが殺され、破壊された。
奴らは食料を手にいれると、銃剣で缶詰を開けて貪り食った。食いながら殺した。血の海の中で、奴らのやけに黒目の小さい薄気味悪い白い目が今でも思い出せる。
反撃?
 したさ、小銃をもっているものは、奴らに打ち込んだ。

 それでも奴らは自軍の死体を乗り越えやってくる。
俺たちを殺すため、それ以外は何も考えず、わき目もふらず、一直線に、最短距離を、喊声を上げて突撃してくる。 
 日本軍と戦うってのはそういうことなんだよ。

ああ、もう思い出したくも無いね。
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