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1.真っ白な部屋に監禁されたんだが
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「どこここ? なに一体?」
ぼくは「知らない天井だ」と言うありがちな台詞を飲み込む。
周囲を見る。どーみても知らない、記憶にない部屋だった。
自分の部屋と同じ六畳くらい。
クルーゾー警部に頭をおかしくされた署長が閉じ込められたかのような真っ白い壁紙の殺風景を具現化した部屋。
天井も真っ白で、ちょっと心理的に変になりそうな感じだった。
「パソコンがあるのか……」
真っ白な机の上に、黒いノートパソコンがあった。
モニターも真っ黒で電源は入っていない。
パソコンは白ではなく黒なので、この部屋ではやたらに目立つ。
他にあったのは、むき出しの様式便座だけ。それも真っ白。
フローリングの床も真っ白に塗られていた。
『あー、あー、あー テステステス』
電子的な声が響く。
くるっと、部屋の中を見るのだけど、スピーカーらしきものは見当たらない。
「え? なんだ?」
「WEB小説と電書で稼ぐ部屋にようこそ! さあ、小説を書こう、必死に書こう、さあ、執筆するぞ、執筆するぞ、執筆するぞ、執筆するぞ、執筆するぞ、執筆するぞ、執筆するぞ、執筆するぞ、執筆するぞ、執筆するぞ、執筆するぞ、執筆するぞ、執筆するぞ、執筆するぞ、執筆するぞ、執筆するぞ――」
頭の芯に響く声がリフレインする。
「なんだ、ここ……」
『小説を書いて強制的にお金を儲ける部屋だ!』
「なにそれ?」
確かにぼくは小説を書いていた。
書籍化の登竜門である「小説家になりぬ」ではエロ描写とパロディを二次創作と断ぜられ、退会処分となっていた。
今は「オメガポリス」と「カケヨメ」を主戦場として小説を書いている。
ただ、小説は趣味で本業はシステム開発会社のサラリーマンである。
独身。
三八歳。
このように、拉致監禁され「小説を書いてお金を儲ける部屋だ」と言われる理由が分からない。
『書けよ。小説。とにかく小説を書いて、収入を得る。その収入で生き残るための食料、日用品を購入するんだ』
と、電子的な声が言うたので、ボクは自分が素っ裸なのに気づいた。
「なんだそれ? 二〇世紀のバラエティの企画か?」
二一世紀も二〇年が経過し、年号も変わったというのになんということだ。
もしや、無法でチンピラゴロツキの「ゆーちゅーばー」とやらの仕業なのかと、ボクは考えた。
この部屋はドアもない。
なにもない。
よく見ると電気のコンセントだけが机の下にあった。
『いますぐ「オメガポリス」と「カケヨメ」にログインして小説を書くのだ!』
ボクはパソコンのところまでダッシュする。
ブラウザをダブルクリックする。
オメガポリスにも、カケヨメも開くつもりはない。
外部に連絡するのだ。
ネットに繋がっていれば、外部連絡も可能なのであると、ボクは冴えたやり方を思いついたわけだった。
『あ、ネットで外部に連絡しょうとするとこの部屋は爆破されるから』
「え?」
『ノーパソの後ろ見てみ?』
ノーパソの後ろにはなんかの装置が配線でノーパソ本体に直結されていた。
「なにこれ?」
『ヘキサニトロヘキサアザイソウルチタンでーす!』
電子音の声と同時にブラウザが立ち上がり、ウィキペディアが開いた。
WEB小説家には必須のサイトである。
ボクは開いたページを見た。
――現用の火薬では最高の爆速をもっています――
とか、書いてあった。
「死ぬわ! 死んでしまうわ! なんでや、なんで、ボク関係ないじゃん!」
『えー、もう観念して、小説を書いてくださーい!」
「こんな、真っ白な落ち着けない、基地外を監禁するような部屋で小説が書けるかッ!」
『才能があるものは、どんな環境でも、目が腐り落ちるまでそれに熱中できるはず』
「いいや、いいから。才能なくていいから。書籍化とか小説で金稼ぐとかいいから、出してくれよぉぉぉ!」
『えー、では説明します』
ボクの慟哭の叫びも、ガン無視。
「聞けよ! ボクの言う事を少しは聞けよ! 嫌って言ってんだよ」
「オメガポリスとカケヨメでは、書いた小説に小説インセンティブが付きますね。他にもインセンティブ型サイトはありますがぁ、とりあえず今回はこのふたつです! このサイトでインセンティブを稼いでください」
言っていることは分かっている。
オメガポリスでボクは月五〇〇〇円くらい稼いでいる。
まあ、八〇%くらいの人が殆ど稼げないのだから、平均よりはかなり多い。
でも、生活できるというレベルではない。月五〇〇〇円なんて、最貧国レベルだよ。
『ちなみに、この部屋は家賃と電気代と通信費で五万円です。安いでしょ?』
「それ払うのか!」
『来月からです。お金が足りないと……』
「足りないと……」
『借金二〇万円までは、借りられます』
「そうか―― いや、なんで監禁され借金まで背負わされる! 極悪バラエティどころじゃないよね。それッ!」
『決まりですから』
「うるせーよ」
『で、食費も水も、小説を書いたインセンティブをもって、ネットで購入してください』
「届くのか? ネット通販の物が届くのか?」
周囲を見ても、ドアなどことにもない。
うぃぃーんと、音がして、壁の一部が動いた。
そして、壁の一部がせり出し、箱のような物となる。
かなり大きい。
『かなり大きな買い物でもこのように届けられます』
「外部とその箱が通じているのか?」
『そうです』
ボクはダッシュでせり出した箱に飛びつく。
「うぎゃぁぁぁ!!」
腕に強烈な衝撃。
脳天に着きぬけ、目の前が真っ黒になる。
手が離れれない。全身が痙攣する。
『箱を使って外にでようとしらた高圧電流が流れます』
手がすっと離れた。
頭がくらくらする。
なんなのだ…… この部屋は。
ボクは深呼吸を繰り返す。
心臓がひびの入った鐘のように鳴り響く。
こめかみが痛い。
「ひでぇ……」
もうそれしかいえない。
『とにかく、WEB小説を書いて、インセンティブで金を稼ぎ、ネット通販で生きるために必要な物を買うのです。今日を生き延びるために!』
「そーかよ……」
もう抵抗する気力もなくなり、ボクはぼんやりとパソコンを見た。
『詳しくは、パソコンのデスクトップにあるPDFマニュアルを見てください』
「ああ……」
ボクは力なく、マウスを握った。
火薬の説明の開いた物騒なブラウザの画面を閉じ、デスクトップを見た。
「あった。これか」
PDFマニュアルのアイコンがあったので、開く。
とにかく、ここから出るためになにをすればいいのか?
まずは、PDFマニュアルを読むしかなかった。
◇◇◇◇◇◇
・オメガポリス、カケヨメで小説を書くこと
・他のサイトでの小説発表も自由
・WEB小説サイトのインセンティブだけで生活すること
・この部屋の家賃は電気、通信料込みで五万円
・借金は二〇万円まで可能(年間金利、複利25.0%)
・インセンティブを金銭で受け取る場合の口座は用意済み(ネット銀行)
・公募の賞金は無効、計算対象外
・書籍化打診は無視すること、とにかくインセンティブだけ
WEB小説サイトは、金銭でインセンティブを受け取ることもできるし、ネット通販サイトで使用できるポイントに交換することもできる。
で、重要なのはどうすれば、ここから出れるか?
ということだった。
・WEB小説のインセンティブだけで一〇〇万円(通販ポイントでも可)で部屋から出れます♥
「一〇〇万円かよ…… しかも生活費を払いながらだろ……」
オメガポリスのインセンティブは広告費が全額執筆者に還元されるのでかなり割がいい。
それでも、そもそも、生活するというのが困難だ。
ボクも小説をいくつか書いている。
が、一番稼いでいる小説で一日で三〇円くらい。
生活費を一〇万円と考えると、二〇万円稼げれば、一〇ヶ月で出れる。
三〇万円なら五ヶ月になる。
無謀な計算だった。
「くそー!! どうすれば、どうすればインセンティブが稼げるんだ!!」
ツブヤイターで、二〇万円以上稼いでいる人がいるという書き込みはみたことある。
しかし、どうすれば、そんなに稼げるのか分からない。
カケヨメにいたっては、インセンティブサービスが始まったばかりでよく分からない。
ボクはブラウザのブックマークの中にあった「オメガポリス」を開く。
そして、自分のIDでログインした。
インセンティブとポイントは比例する。
オメガポリスは、投稿数、PV数、お気に入り数から、24Hポイントを計算して、それがインセンティブのポイントに計算されるということになる。
で、重要なことはだ――
「やはり…… 恋愛とファンタジーが圧倒的だ」
オメガポリスは、投稿一月以内の作品が「HITランキング」の対象になる。
この「HITランキング」に入るか入らないかで、作品のポイントの伸びが違ってくるのだ。
「うぉ、一〇万ポイントを超える作品がこんなにあるのかよ!」
ボクなど、1万ポイントを超えればおお喜びだ。
その一〇倍かよ。
え、そうなると、インセンティブはどうなるんだ?
ボクは計算する。
「ボクの作品が一〇〇〇から二〇〇〇ポイントで三〇円から五〇円くらいだし、となると…… 一〇倍となると、三〇〇円から五〇〇円か! いや違う! 一〇〇倍だ。 え? 一〇〇〇円から五〇〇〇円? マジで? マジでそんな稼げるの? え?」
今までさほどインセンティブを意識してなかったボクは驚いた。
要するに一〇万ポイントを稼ぐ作品を書けば、1日五〇〇〇円。1ヶ月で十五万円だ。
そんな作品が二つもあれば、すぐに一〇〇万円貯まるんじゃね?
「やれる! やれそうだ! やってやる。インセンティブを稼ぎまくって、とっととここから出てやる!」
真っ白な部屋でボクは獅子吼したのであった。
ぼくは「知らない天井だ」と言うありがちな台詞を飲み込む。
周囲を見る。どーみても知らない、記憶にない部屋だった。
自分の部屋と同じ六畳くらい。
クルーゾー警部に頭をおかしくされた署長が閉じ込められたかのような真っ白い壁紙の殺風景を具現化した部屋。
天井も真っ白で、ちょっと心理的に変になりそうな感じだった。
「パソコンがあるのか……」
真っ白な机の上に、黒いノートパソコンがあった。
モニターも真っ黒で電源は入っていない。
パソコンは白ではなく黒なので、この部屋ではやたらに目立つ。
他にあったのは、むき出しの様式便座だけ。それも真っ白。
フローリングの床も真っ白に塗られていた。
『あー、あー、あー テステステス』
電子的な声が響く。
くるっと、部屋の中を見るのだけど、スピーカーらしきものは見当たらない。
「え? なんだ?」
「WEB小説と電書で稼ぐ部屋にようこそ! さあ、小説を書こう、必死に書こう、さあ、執筆するぞ、執筆するぞ、執筆するぞ、執筆するぞ、執筆するぞ、執筆するぞ、執筆するぞ、執筆するぞ、執筆するぞ、執筆するぞ、執筆するぞ、執筆するぞ、執筆するぞ、執筆するぞ、執筆するぞ、執筆するぞ――」
頭の芯に響く声がリフレインする。
「なんだ、ここ……」
『小説を書いて強制的にお金を儲ける部屋だ!』
「なにそれ?」
確かにぼくは小説を書いていた。
書籍化の登竜門である「小説家になりぬ」ではエロ描写とパロディを二次創作と断ぜられ、退会処分となっていた。
今は「オメガポリス」と「カケヨメ」を主戦場として小説を書いている。
ただ、小説は趣味で本業はシステム開発会社のサラリーマンである。
独身。
三八歳。
このように、拉致監禁され「小説を書いてお金を儲ける部屋だ」と言われる理由が分からない。
『書けよ。小説。とにかく小説を書いて、収入を得る。その収入で生き残るための食料、日用品を購入するんだ』
と、電子的な声が言うたので、ボクは自分が素っ裸なのに気づいた。
「なんだそれ? 二〇世紀のバラエティの企画か?」
二一世紀も二〇年が経過し、年号も変わったというのになんということだ。
もしや、無法でチンピラゴロツキの「ゆーちゅーばー」とやらの仕業なのかと、ボクは考えた。
この部屋はドアもない。
なにもない。
よく見ると電気のコンセントだけが机の下にあった。
『いますぐ「オメガポリス」と「カケヨメ」にログインして小説を書くのだ!』
ボクはパソコンのところまでダッシュする。
ブラウザをダブルクリックする。
オメガポリスにも、カケヨメも開くつもりはない。
外部に連絡するのだ。
ネットに繋がっていれば、外部連絡も可能なのであると、ボクは冴えたやり方を思いついたわけだった。
『あ、ネットで外部に連絡しょうとするとこの部屋は爆破されるから』
「え?」
『ノーパソの後ろ見てみ?』
ノーパソの後ろにはなんかの装置が配線でノーパソ本体に直結されていた。
「なにこれ?」
『ヘキサニトロヘキサアザイソウルチタンでーす!』
電子音の声と同時にブラウザが立ち上がり、ウィキペディアが開いた。
WEB小説家には必須のサイトである。
ボクは開いたページを見た。
――現用の火薬では最高の爆速をもっています――
とか、書いてあった。
「死ぬわ! 死んでしまうわ! なんでや、なんで、ボク関係ないじゃん!」
『えー、もう観念して、小説を書いてくださーい!」
「こんな、真っ白な落ち着けない、基地外を監禁するような部屋で小説が書けるかッ!」
『才能があるものは、どんな環境でも、目が腐り落ちるまでそれに熱中できるはず』
「いいや、いいから。才能なくていいから。書籍化とか小説で金稼ぐとかいいから、出してくれよぉぉぉ!」
『えー、では説明します』
ボクの慟哭の叫びも、ガン無視。
「聞けよ! ボクの言う事を少しは聞けよ! 嫌って言ってんだよ」
「オメガポリスとカケヨメでは、書いた小説に小説インセンティブが付きますね。他にもインセンティブ型サイトはありますがぁ、とりあえず今回はこのふたつです! このサイトでインセンティブを稼いでください」
言っていることは分かっている。
オメガポリスでボクは月五〇〇〇円くらい稼いでいる。
まあ、八〇%くらいの人が殆ど稼げないのだから、平均よりはかなり多い。
でも、生活できるというレベルではない。月五〇〇〇円なんて、最貧国レベルだよ。
『ちなみに、この部屋は家賃と電気代と通信費で五万円です。安いでしょ?』
「それ払うのか!」
『来月からです。お金が足りないと……』
「足りないと……」
『借金二〇万円までは、借りられます』
「そうか―― いや、なんで監禁され借金まで背負わされる! 極悪バラエティどころじゃないよね。それッ!」
『決まりですから』
「うるせーよ」
『で、食費も水も、小説を書いたインセンティブをもって、ネットで購入してください』
「届くのか? ネット通販の物が届くのか?」
周囲を見ても、ドアなどことにもない。
うぃぃーんと、音がして、壁の一部が動いた。
そして、壁の一部がせり出し、箱のような物となる。
かなり大きい。
『かなり大きな買い物でもこのように届けられます』
「外部とその箱が通じているのか?」
『そうです』
ボクはダッシュでせり出した箱に飛びつく。
「うぎゃぁぁぁ!!」
腕に強烈な衝撃。
脳天に着きぬけ、目の前が真っ黒になる。
手が離れれない。全身が痙攣する。
『箱を使って外にでようとしらた高圧電流が流れます』
手がすっと離れた。
頭がくらくらする。
なんなのだ…… この部屋は。
ボクは深呼吸を繰り返す。
心臓がひびの入った鐘のように鳴り響く。
こめかみが痛い。
「ひでぇ……」
もうそれしかいえない。
『とにかく、WEB小説を書いて、インセンティブで金を稼ぎ、ネット通販で生きるために必要な物を買うのです。今日を生き延びるために!』
「そーかよ……」
もう抵抗する気力もなくなり、ボクはぼんやりとパソコンを見た。
『詳しくは、パソコンのデスクトップにあるPDFマニュアルを見てください』
「ああ……」
ボクは力なく、マウスを握った。
火薬の説明の開いた物騒なブラウザの画面を閉じ、デスクトップを見た。
「あった。これか」
PDFマニュアルのアイコンがあったので、開く。
とにかく、ここから出るためになにをすればいいのか?
まずは、PDFマニュアルを読むしかなかった。
◇◇◇◇◇◇
・オメガポリス、カケヨメで小説を書くこと
・他のサイトでの小説発表も自由
・WEB小説サイトのインセンティブだけで生活すること
・この部屋の家賃は電気、通信料込みで五万円
・借金は二〇万円まで可能(年間金利、複利25.0%)
・インセンティブを金銭で受け取る場合の口座は用意済み(ネット銀行)
・公募の賞金は無効、計算対象外
・書籍化打診は無視すること、とにかくインセンティブだけ
WEB小説サイトは、金銭でインセンティブを受け取ることもできるし、ネット通販サイトで使用できるポイントに交換することもできる。
で、重要なのはどうすれば、ここから出れるか?
ということだった。
・WEB小説のインセンティブだけで一〇〇万円(通販ポイントでも可)で部屋から出れます♥
「一〇〇万円かよ…… しかも生活費を払いながらだろ……」
オメガポリスのインセンティブは広告費が全額執筆者に還元されるのでかなり割がいい。
それでも、そもそも、生活するというのが困難だ。
ボクも小説をいくつか書いている。
が、一番稼いでいる小説で一日で三〇円くらい。
生活費を一〇万円と考えると、二〇万円稼げれば、一〇ヶ月で出れる。
三〇万円なら五ヶ月になる。
無謀な計算だった。
「くそー!! どうすれば、どうすればインセンティブが稼げるんだ!!」
ツブヤイターで、二〇万円以上稼いでいる人がいるという書き込みはみたことある。
しかし、どうすれば、そんなに稼げるのか分からない。
カケヨメにいたっては、インセンティブサービスが始まったばかりでよく分からない。
ボクはブラウザのブックマークの中にあった「オメガポリス」を開く。
そして、自分のIDでログインした。
インセンティブとポイントは比例する。
オメガポリスは、投稿数、PV数、お気に入り数から、24Hポイントを計算して、それがインセンティブのポイントに計算されるということになる。
で、重要なことはだ――
「やはり…… 恋愛とファンタジーが圧倒的だ」
オメガポリスは、投稿一月以内の作品が「HITランキング」の対象になる。
この「HITランキング」に入るか入らないかで、作品のポイントの伸びが違ってくるのだ。
「うぉ、一〇万ポイントを超える作品がこんなにあるのかよ!」
ボクなど、1万ポイントを超えればおお喜びだ。
その一〇倍かよ。
え、そうなると、インセンティブはどうなるんだ?
ボクは計算する。
「ボクの作品が一〇〇〇から二〇〇〇ポイントで三〇円から五〇円くらいだし、となると…… 一〇倍となると、三〇〇円から五〇〇円か! いや違う! 一〇〇倍だ。 え? 一〇〇〇円から五〇〇〇円? マジで? マジでそんな稼げるの? え?」
今までさほどインセンティブを意識してなかったボクは驚いた。
要するに一〇万ポイントを稼ぐ作品を書けば、1日五〇〇〇円。1ヶ月で十五万円だ。
そんな作品が二つもあれば、すぐに一〇〇万円貯まるんじゃね?
「やれる! やれそうだ! やってやる。インセンティブを稼ぎまくって、とっととここから出てやる!」
真っ白な部屋でボクは獅子吼したのであった。
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