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四章 〜原作突入〜

八十七話 『尾行の結果と美月さん』

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二人のラブラブデートの光景を尾行する私達三人は私達は見ながら、私は山田さんと萩原くんと顔を見合わせる。


これは決してラブラブデートに当てられてイラッと来たわけではない。寧ろその逆だ。


「何か……ラブラブな雰囲気じゃないね」


私がそう言うと、二人共うんと首を縦に振った。
何ていうのか、二人はどこかぎこちない感じがしたのだ。


何が目的なの?このデートは……!と問いたくなるぐらい、何も起こらない。
一体何のためにこんな事をしているのか分からなかったけど、取り敢えず、尾行を続ける事にした。


「何か……裏があるような……そんな気がしてならないんですけど……」


そう言ったのは、萩原くんだ。
確かにそれは思った。だって、あの二人は本当にただ並んで歩いてるだけなんだもん。


ラブな雰囲気が一切無いんだよなぁ…!これはデートではないのでは?と思ってしまう程だった。だって二人とも無表情だもん……!


「……んー?何か面白みがないわぁ。尾行、辞めない?ストーカー臭くなってきたし」


山田さんの言葉に私と萩原くんは首を大きく縦に振りながら、


「そうだねー。もし、王子にバレたら怒られちゃうよ」


「そうですわね。伊集院様のお怒りを買うのだけは勘弁ですもの!」


と言って、尾行をやめる事にした。


△▼△▼


結局、何であの二人がデートしていたのか。全くわからなかったし、二人の噂なんて全く流れてこなかったし、何だかモヤッとした気持ちのままだった。だが、本人に聞けるほどの勇気もなく、私は悶々としていると……


「ねぇ!聞きました!?伊集院様!外部生の女と一緒にいたらしいわよ!」


突然聞こえてきた声にビクッとして振り返るとそこには女子生徒達がキャアキャアと話していた。緑川は絶句していて、私も言葉が出なかった。……え?マジで?


「(ほ、本格的に私美穂ちゃんと王子の急展開を見逃してるんだけどっ!!)」


あんだけ原作再現しよう!って思ってたのに、全然できていなかった事にショックを受けていると、


「あ!伊集院様よ!!」


という女子の声がする。王子……!!と思いながらも、私は咄嵯に隠れてしまった。隠れても意味はないけど、取り敢えず隠れたかったのだ。そして、そっと覗き込むように見ると……


「(緑川だ……めっちゃ不機嫌そうな顔になってる……!)」


ラスボス候補の緑川が王子に向かって何か言っているが……王子は相手していなかった。まぁ、そりゃそうだろうな……緑川って結構しつこいタイプだし…


…王子って、基本女に興味ないからな…俺様系じゃないけども……なんて言うんだろ……?無気力……とは違うし……。
興味が無いというより、他人を寄せ付けないようにしてるっていうか……なんか、孤高の存在みたいな感じなんだよね。何考えてるか分からない時もあるし……


一匹狼タイプ……でもないし……何だろう?王子って野球に関すると熱く語るし……熱狂型でいいのか?いや、でも……うーん…?私が一人唸っていると、


「透華様?どうかしましたか?」


「あ……美月さん……んー。いや、何でもないんだけど……」


「そうですか?何だか悩んでいるように見えましたが」
そう言ってくれる美月さん。そうか……そんなに顔に出てたのか、とゆうか……私……


「(美月さんの相談に全く、乗ってあげられてないじゃない……っ!)」


何か私に相談に乗るといつも邪魔が入って、話すことが出来ていなかった。
何なの……?私、何かに呪われてんの?ていうぐらい、私は美月さんの相談に乗れていない。


「と、ところで!美月さんも何か悩み事あるよね?相談乗ろっか!?」


「え?いえ……それについては月坂さんに相談に乗ってもらって解決したので大丈夫です」


「そ、そう……」


解決したんなら良かった……とは思うけど、美月さんの力になれていない事実に胸が痛んだ。私たちはお互い〝初めての友達〟だというのに……!まぁ、解決したなら良かったけどさ! ……でも……


「そっか。なら、美月さんに悩み事できた時、次こそは、私が相談に乗るからね!」


「!あ、ありがとうございます……!その時はお願いしますね」


美月さんは少しびっくりしたような表情をしていたが、直ぐに嬉しそうな表情になりながら、美月さんが言った。私はそれを見てニッコリと微笑んだ。
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