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三章〜出会いと別れ〜
三十四話 『衝撃の事実』
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「それで、話とは一体……?」
部屋に入って、お茶を出しながら私は西園寺様に尋ねる。すると彼は、
「ああ、簡単な話。悠真先輩を拷…いや、話を聞かせてほしいんだよね」
「……拷問っていいかけませんでした?」
「言ってないよ。気のせいでしょ」
……何か涼しい顔で誤魔化した気がするんですが……まぁ、私が受ける訳じゃないし、いっか。お兄様には頑張ってもらおう。
「そ、そうですか。お兄様がいつ帰ってくるか分かりませんが、それでもよろしかったら……」
「ああ、大丈夫だよ。僕らが早く来ただけから。それに、今頃悠真先輩も大変だろうしね」
「え?あ……三人に取り合いされてるんでしたね……え、じゃあ、家に帰れないのでは?」
「それは心配ないと思います。お兄ちゃんが居ますし」
今まで黙っていた美月さんはそう言った。……そういえばそうだわ。裕翔先輩がいるんだから問題ない……よね?
「……まぁ、確かに裕翔先輩はいざという時は頼りになるからね。そこは信用してる」
「はい!それはもう!」
美月さんって本当にブラコンね……私が苦笑いしていると、
「ただいまー………」
お兄様の声が聞こえてきた。……凄く、疲れているような声だけど、こんな疲れている人に拷問……するの?流石に可哀想だと思ってしまうが、西園寺も王子も今は自分の都合しか考えていないのか、そんなことを気にせず、
「あ、帰ってきたみたいですね。じゃ、僕は行くね」
そう言って西園寺と王子は部屋を出て行った。その様子に私は少し呆れてしまう。
「……でも、好きな人が取られるっていう状況なら、仕方ないかもしれません」
不意に美月さんはそう呟いた。……え?美月さんも誰かに恋をしているのかな……と思いながら私は美月さんにこう聞いた。
「美月さんも好きな人いるの?誰?」
「へ!?……いや、まだいないです。まだ……です」
まだ……とか言いつつ、顔が赤いのですけど~~!これは絶対いるじゃん?
「私の話なんかより!悠真様に身の危機が迫っていますよ!!」
「そうだった……!」
どうしよう……私何も出来ないんだけど……。とりあえずお兄様の部屋に行ってみよう。……本当に拷問されていたらどうしよう……うぅ……
私は急いで階段を駆け上がり、お兄様の部屋の前に立った。そしてドアノブに手をかけようとすると、中から話し声が聞こえることに気がついた。……これ、もしかしたらヤバい感じの話をしてるんじゃ……と思いながらも恐る恐る聞いてみることにする。
「だーかーら!二人が気にするような展開なんてねーよ!」
「いやいや、悠真先輩はあの三人を手玉にとってるんでしょ?なら、ラッキースケベくらいあってもいいと思うんですよ」
「いや、ラッキースケベは漫画の中だけだろ!現実では起きねえよ!」
……ここ漫画の世界なんだよなぁ。まぁ、お兄様達には絶対に言わないし、言えないけどさ。
「とにかく!俺とあいつらはそういう関係じゃない!分かったか!?」
「そうか……白鷺とはただの家庭教師と生徒の関係だとしても……香織は違うだろ」
王子の冷たい言葉にお兄様は言葉を詰まらせる。
「お前だって、本当は分かってるはずだぞ。自分の気持ちを偽ったところで意味はないって」
「……」
「別に俺は否定しない。好きになった奴は好きになればいいし。でも……俺は容赦しない。例え、周りがお似合いだと言われていても香織がこいつのことが好きだとしても、奪ってやる」
「……っ」
怖い。何この人、怖すぎる。私がビクビクしながら扉の前で聞き耳を立てていると、
「伊集院様凄い迫力がありますね……」
「ええ。ちょっと怖かったわ」
美月さんの呟きに同意する。だって本当に怖かったんだもの。扉越しでも圧が凄いし。そんなことを思っていると、
「ねえ、そこの二人、コソコソ隠れてないで出ておいでよ」
不意に西園寺は私たちに向かって言った。
バレてる……だと……!?なんで?気配は完璧に消していたはずなのに……!私が驚きながら美月さんの方を見ると、美月さんは顔面蒼白になり、冷や汗を流していた。
「ど、どうしましょう……!西園寺様怒ってますよね……?」
「……わ、分からないわ」
だけど、ここで逃げれば確実に殺される気がする……!私は意を決して、部屋に入った。
お兄様は驚いた表情を浮かべている。美月さんも私に続いて入ってくる。
西園寺はいつも通りの笑顔だが、目は全く笑っていないのに対し、王子はびくりと肩を動かした。
「盗み聞きはよくないよね?二人とも」
西園寺はニコニコとした表情のまま言う。
こ、怖い……!やっぱり怖いよ!美月さんは震えながら私の後ろに隠れた。
「……なーんで水瀬さんは城ヶ崎さんの後ろに隠れるの?別に怒らないよ」
「……ご、ごめんなさい」
美月さんの声は恐怖によって震えている。私は美月さんを守るように前に出る。
「怒らないって言ってるじゃん。僕は、ね。冬馬はどうか知らないけどねえ」
その言葉を聞いて美月さんは更に体を震わせる。
美月さんを怯えさせないでほしいんだけど……!
「………俺も怒らねーよ。そんなことより今は――」
視線がお兄様に向く。やだっ、お兄様ってばモテモテじゃないですか!……じゃなくて!!この状況、ヤバすぎない? 私は美月さんを庇うように美月さんの前に出る。そして、お兄様と美月さんを交互に見る。美月さんも不安そうな様子だ。
すると、 バンッ! 大きな音が聞こえた。そこにいたのは――
「ねえ?二人とも……」
ゴゴッ……という効果音が出そうなオーラを纏いながら、そこにいるはずのない人物がいた。その人物は黒い髪を揺らしながらこちらに歩いてくる。そう、その人物は――
「……か、香織様!?」
そう。そこには王子の想い人である九条香織様がいらっしゃいました!……いや、何でここにいるんですか!使用人達も大慌てですよ!!
「…何でこんなところに……」
美月さんが困惑しながら尋ねると、香織様は無言で王子と西園寺に近づき、
「じゃ、お邪魔しました。悠馬くんに透華ちゃんに美月ちゃん、ごめんね」
と言い、王子と西園寺を連れてお兄様の部屋から出て行った。突然の展開に私たちは呆然とする。それもそうだろう。あのお淑やかな香織様が自ら男子達を引きずっていったのだから。
「か、香織様カッコいい……」
美月さんは頬を赤く染め、目を輝かせながら呟いていた。
確かに今の香織様は凛々しくてカッコよかったなぁ……。私が男なら惚れてる自信あるわ。
「でも、香織様いつの間に家に……「それは僕の判断だよ、透華」
不意に、そんな声が聞こえてきた。その声の主は、先程までいなかったはずなのに、私の真後ろに立っていた。
「お父様……!」
お父様は私を見て優しく微笑むと、ゆっくりとお兄様達の方へ向かう。
「で、悠馬は大丈夫かい?」
「ああ、大丈夫です……それよりも……ありがとうございます」
「いいんだよ。君が無事だったからね」
……何でそんな他人行儀なん?二人は親子なんだよね?なんか、他人同士に見えるんだけど……
美月さんを見ると、彼女は不思議そうな顔をしている。
「なら、いいよ、じゃ、僕は行くね」
「はい」
お父様は軽く手を振ると、そのまま去っていった。
私はお兄様に聞くことにした。
「ねえ、何であんな感じなの?二人って親子だよね?どうしてそんな他人みたいな話し方してるの?てゆうか!今までそんな話し方したことなかったじゃん!なんで!?」
私はお兄様に向かって言う。すると、お兄様は気まずそうな表情を浮かべた。
あれ……?この反応、何か知ってそうだぞ? お兄様は少しの間黙っていたが、やがて観念したのか口を開いた。
その口から発せられた言葉は――、
「………実は、あの人と俺血が繋がっていないんだ」
「え?」
衝撃の事実に私は固まった。
部屋に入って、お茶を出しながら私は西園寺様に尋ねる。すると彼は、
「ああ、簡単な話。悠真先輩を拷…いや、話を聞かせてほしいんだよね」
「……拷問っていいかけませんでした?」
「言ってないよ。気のせいでしょ」
……何か涼しい顔で誤魔化した気がするんですが……まぁ、私が受ける訳じゃないし、いっか。お兄様には頑張ってもらおう。
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「ああ、大丈夫だよ。僕らが早く来ただけから。それに、今頃悠真先輩も大変だろうしね」
「え?あ……三人に取り合いされてるんでしたね……え、じゃあ、家に帰れないのでは?」
「それは心配ないと思います。お兄ちゃんが居ますし」
今まで黙っていた美月さんはそう言った。……そういえばそうだわ。裕翔先輩がいるんだから問題ない……よね?
「……まぁ、確かに裕翔先輩はいざという時は頼りになるからね。そこは信用してる」
「はい!それはもう!」
美月さんって本当にブラコンね……私が苦笑いしていると、
「ただいまー………」
お兄様の声が聞こえてきた。……凄く、疲れているような声だけど、こんな疲れている人に拷問……するの?流石に可哀想だと思ってしまうが、西園寺も王子も今は自分の都合しか考えていないのか、そんなことを気にせず、
「あ、帰ってきたみたいですね。じゃ、僕は行くね」
そう言って西園寺と王子は部屋を出て行った。その様子に私は少し呆れてしまう。
「……でも、好きな人が取られるっていう状況なら、仕方ないかもしれません」
不意に美月さんはそう呟いた。……え?美月さんも誰かに恋をしているのかな……と思いながら私は美月さんにこう聞いた。
「美月さんも好きな人いるの?誰?」
「へ!?……いや、まだいないです。まだ……です」
まだ……とか言いつつ、顔が赤いのですけど~~!これは絶対いるじゃん?
「私の話なんかより!悠真様に身の危機が迫っていますよ!!」
「そうだった……!」
どうしよう……私何も出来ないんだけど……。とりあえずお兄様の部屋に行ってみよう。……本当に拷問されていたらどうしよう……うぅ……
私は急いで階段を駆け上がり、お兄様の部屋の前に立った。そしてドアノブに手をかけようとすると、中から話し声が聞こえることに気がついた。……これ、もしかしたらヤバい感じの話をしてるんじゃ……と思いながらも恐る恐る聞いてみることにする。
「だーかーら!二人が気にするような展開なんてねーよ!」
「いやいや、悠真先輩はあの三人を手玉にとってるんでしょ?なら、ラッキースケベくらいあってもいいと思うんですよ」
「いや、ラッキースケベは漫画の中だけだろ!現実では起きねえよ!」
……ここ漫画の世界なんだよなぁ。まぁ、お兄様達には絶対に言わないし、言えないけどさ。
「とにかく!俺とあいつらはそういう関係じゃない!分かったか!?」
「そうか……白鷺とはただの家庭教師と生徒の関係だとしても……香織は違うだろ」
王子の冷たい言葉にお兄様は言葉を詰まらせる。
「お前だって、本当は分かってるはずだぞ。自分の気持ちを偽ったところで意味はないって」
「……」
「別に俺は否定しない。好きになった奴は好きになればいいし。でも……俺は容赦しない。例え、周りがお似合いだと言われていても香織がこいつのことが好きだとしても、奪ってやる」
「……っ」
怖い。何この人、怖すぎる。私がビクビクしながら扉の前で聞き耳を立てていると、
「伊集院様凄い迫力がありますね……」
「ええ。ちょっと怖かったわ」
美月さんの呟きに同意する。だって本当に怖かったんだもの。扉越しでも圧が凄いし。そんなことを思っていると、
「ねえ、そこの二人、コソコソ隠れてないで出ておいでよ」
不意に西園寺は私たちに向かって言った。
バレてる……だと……!?なんで?気配は完璧に消していたはずなのに……!私が驚きながら美月さんの方を見ると、美月さんは顔面蒼白になり、冷や汗を流していた。
「ど、どうしましょう……!西園寺様怒ってますよね……?」
「……わ、分からないわ」
だけど、ここで逃げれば確実に殺される気がする……!私は意を決して、部屋に入った。
お兄様は驚いた表情を浮かべている。美月さんも私に続いて入ってくる。
西園寺はいつも通りの笑顔だが、目は全く笑っていないのに対し、王子はびくりと肩を動かした。
「盗み聞きはよくないよね?二人とも」
西園寺はニコニコとした表情のまま言う。
こ、怖い……!やっぱり怖いよ!美月さんは震えながら私の後ろに隠れた。
「……なーんで水瀬さんは城ヶ崎さんの後ろに隠れるの?別に怒らないよ」
「……ご、ごめんなさい」
美月さんの声は恐怖によって震えている。私は美月さんを守るように前に出る。
「怒らないって言ってるじゃん。僕は、ね。冬馬はどうか知らないけどねえ」
その言葉を聞いて美月さんは更に体を震わせる。
美月さんを怯えさせないでほしいんだけど……!
「………俺も怒らねーよ。そんなことより今は――」
視線がお兄様に向く。やだっ、お兄様ってばモテモテじゃないですか!……じゃなくて!!この状況、ヤバすぎない? 私は美月さんを庇うように美月さんの前に出る。そして、お兄様と美月さんを交互に見る。美月さんも不安そうな様子だ。
すると、 バンッ! 大きな音が聞こえた。そこにいたのは――
「ねえ?二人とも……」
ゴゴッ……という効果音が出そうなオーラを纏いながら、そこにいるはずのない人物がいた。その人物は黒い髪を揺らしながらこちらに歩いてくる。そう、その人物は――
「……か、香織様!?」
そう。そこには王子の想い人である九条香織様がいらっしゃいました!……いや、何でここにいるんですか!使用人達も大慌てですよ!!
「…何でこんなところに……」
美月さんが困惑しながら尋ねると、香織様は無言で王子と西園寺に近づき、
「じゃ、お邪魔しました。悠馬くんに透華ちゃんに美月ちゃん、ごめんね」
と言い、王子と西園寺を連れてお兄様の部屋から出て行った。突然の展開に私たちは呆然とする。それもそうだろう。あのお淑やかな香織様が自ら男子達を引きずっていったのだから。
「か、香織様カッコいい……」
美月さんは頬を赤く染め、目を輝かせながら呟いていた。
確かに今の香織様は凛々しくてカッコよかったなぁ……。私が男なら惚れてる自信あるわ。
「でも、香織様いつの間に家に……「それは僕の判断だよ、透華」
不意に、そんな声が聞こえてきた。その声の主は、先程までいなかったはずなのに、私の真後ろに立っていた。
「お父様……!」
お父様は私を見て優しく微笑むと、ゆっくりとお兄様達の方へ向かう。
「で、悠馬は大丈夫かい?」
「ああ、大丈夫です……それよりも……ありがとうございます」
「いいんだよ。君が無事だったからね」
……何でそんな他人行儀なん?二人は親子なんだよね?なんか、他人同士に見えるんだけど……
美月さんを見ると、彼女は不思議そうな顔をしている。
「なら、いいよ、じゃ、僕は行くね」
「はい」
お父様は軽く手を振ると、そのまま去っていった。
私はお兄様に聞くことにした。
「ねえ、何であんな感じなの?二人って親子だよね?どうしてそんな他人みたいな話し方してるの?てゆうか!今までそんな話し方したことなかったじゃん!なんで!?」
私はお兄様に向かって言う。すると、お兄様は気まずそうな表情を浮かべた。
あれ……?この反応、何か知ってそうだぞ? お兄様は少しの間黙っていたが、やがて観念したのか口を開いた。
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