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一章 〜全ての始まり〜
十二話『ライバル出現?』
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「明日俺の家に来い」
放課後。王子は突然私にそう言ってきた。……いや、わかるよ?香織様と私と王子で手作りプレゼント作るから王子の家に来いって意味でしょ?でも……ここで言わなくても良くない?!帰っている人もちょくちょくいるとはいえ、そこそこ人いるんだからさぁ?!
「え……?今のどういうこと?」
「伊集院様には九条様が居るはずでは?」
案の定、そんな声が聞こえてくる。やばいぞ。これは……!!王子はこれ以上何も言う気はないとでも言いたげに帰る準備してるし。王子~~!せめて説明してくれよ……!
「珍しいねー。冬馬が女子を家に誘うなんて」
そう思っていると西園寺が現れた。相変わらずの笑みを浮かべている。この二人が並ぶといつも女子はほぅとため息を吐く。確かに絵になるぐらいには破壊力があるけども。
「もしかして香織諦めたの?」
「は?何でそういう話になるんだよ」
「だって初めてじゃん。冬馬が香織以外の女子を家にあげるの」
そ、そうなの?ここ原作だと美穂ちゃんだったのかなぁ……?!やばい……これでは……原作が壊れてしまう。些細なことだけどそういう小さいものも壊したくなかった。しかし……
「……あいつは香織のおまけだから」
そう言って王子は廊下へと出ていった。……な、何あれ……!言い方ってものがあるでしょ?!
「……なるほど。にしても……」
チラッと、西園寺は私の方を見る。……えっ?な、何……?と思った瞬間だった。
「はぁぁーーー!?」
廊下から叫び声が聞こえてきた。えっ、何?何かあったの?!と、教室が騒めいた。私は廊下に出て様子を見た。そこには……
「……本気で言ってるの?」
「本気だけど?嫌なら謝ればいいじゃない」
…華鈴様と男子の声が聞こえてきた。華鈴様?男子と一緒に話して何をしてなさっているのですか!ほらー!西園寺が先のことを完全に忘れている……とゆうかどうでもよくなってるじゃないですかー!ナイス~!名も知らない男子には悪いけどグッジョブだ!!
「……ふーん」
面白くなさそうに西園寺は冷めた目で男子を見つめている。とゆうか、謝るとは?と頭の中で考えたが答えは出ない。
「だからオレは!あいつに頼まれただけで……!」
「……そう。あいつ、ね。そのあいつとは誰なの?言ってくれさえすればこんなに沢山の人に見られなくて済んだのに」
うんざりとした表情で華鈴様はそう言った。だが、状況が分からなかった。分かったことはこの男子が何かをやらかしたことだけだ。
「えーっと……その…オレ、用事があるんで!さようならーー!」
そう言って男子は去っていく男子とまた深いため息を吐く華鈴様。そしてーー、
「で?何話してたの?白鷺さん」
不機嫌そうにそう聞く西園寺。もはや、好きという感情を隠しきれていない。漫画だと結構隠せてたような気がするけど、あれ美穂ちゃん視点だからそうなってただけみたいだ。まさかこんなに露骨だったとは……これは高校生になったら西園寺のアプローチやばいんじゃないの?そんなことを考えていると、
「西園寺くんには関係のない話よ。じゃあ、追うから」
そう言って華鈴様は鞄を持って去っていく。……もしかして華鈴様ってばあの男子を好きに……?と一瞬そう思ったが、あの雰囲気からして絶対になさそうだ。とゆうか、あの雰囲気で好きだったら色々可笑しいだろう。
「(考えても答えは出てこないし……付けるとかそんな恐ろしい真似は出来ないから……)」
だから素直に後日に誰かに聞けばいいや。という考えで私は家に帰った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
夕飯の時間だ。私はシャーペンを置いて階段を降りていく。城ヶ崎家の夕飯は六時半に食べるのがお決まりだ。どうしても外せない用事とかがあると事前に料理人に連絡しないといけないのだ。まぁ、作り損は駄目だしね。
「……今日も一人、かぁ……」
しかし、最近毎日これだ。一人で夕飯を食べている。お父様もお母様も働いているし、毎日一緒に、とは流石に言えないが三日も続けて一人で食べるのはやはり寂しいという感情しか湧かない。
「ただいまー」
そんなことを思っていると、お兄様が帰ってきた。私は弾けるように顔を上げて笑顔でこう言った。
「おかえりさない!お兄様……ってあれ?何かお兄様疲れたような表情してますけど……どうしたんですか?」
お兄様があまりにも疲れ切った表情をしていて心配になったが、お兄様は顔色を悪くしたまま、
「いや、ちょっと……家庭教師を頼まれて…」
「家庭教師!?誰に教えているの?!」
お兄様が家庭教師?!お兄様が家庭教師をするだなんて大金を積んでも惜しくないぐらいの価値だ。
「その子さ普通に優等生なんだよ。だけど親が満足出来ないみたいで……僕に勉強を教えてやってくれ……って頼まれてさ。断ろうにも金ならいくらでも出すって聞かないし……」
なるほど。そっちパターンか。てっきり女の子がお兄様に教えて!て迫ったのかと。
「それで?」
「……今日は自己紹介だけして別れたけど…はぁ……憂鬱」
そう言って露骨にため息を吐くお兄様。……初めて見た。こんな様子のお兄様。よっぽど困っているのだろう。
「…どんまい……お兄様」
そうとしか言えない。フォローしても逆効果になりそうだし。
「はぁ……憂鬱…」
そう言ってお兄様はまた露骨にため息を吐いたのだった。
放課後。王子は突然私にそう言ってきた。……いや、わかるよ?香織様と私と王子で手作りプレゼント作るから王子の家に来いって意味でしょ?でも……ここで言わなくても良くない?!帰っている人もちょくちょくいるとはいえ、そこそこ人いるんだからさぁ?!
「え……?今のどういうこと?」
「伊集院様には九条様が居るはずでは?」
案の定、そんな声が聞こえてくる。やばいぞ。これは……!!王子はこれ以上何も言う気はないとでも言いたげに帰る準備してるし。王子~~!せめて説明してくれよ……!
「珍しいねー。冬馬が女子を家に誘うなんて」
そう思っていると西園寺が現れた。相変わらずの笑みを浮かべている。この二人が並ぶといつも女子はほぅとため息を吐く。確かに絵になるぐらいには破壊力があるけども。
「もしかして香織諦めたの?」
「は?何でそういう話になるんだよ」
「だって初めてじゃん。冬馬が香織以外の女子を家にあげるの」
そ、そうなの?ここ原作だと美穂ちゃんだったのかなぁ……?!やばい……これでは……原作が壊れてしまう。些細なことだけどそういう小さいものも壊したくなかった。しかし……
「……あいつは香織のおまけだから」
そう言って王子は廊下へと出ていった。……な、何あれ……!言い方ってものがあるでしょ?!
「……なるほど。にしても……」
チラッと、西園寺は私の方を見る。……えっ?な、何……?と思った瞬間だった。
「はぁぁーーー!?」
廊下から叫び声が聞こえてきた。えっ、何?何かあったの?!と、教室が騒めいた。私は廊下に出て様子を見た。そこには……
「……本気で言ってるの?」
「本気だけど?嫌なら謝ればいいじゃない」
…華鈴様と男子の声が聞こえてきた。華鈴様?男子と一緒に話して何をしてなさっているのですか!ほらー!西園寺が先のことを完全に忘れている……とゆうかどうでもよくなってるじゃないですかー!ナイス~!名も知らない男子には悪いけどグッジョブだ!!
「……ふーん」
面白くなさそうに西園寺は冷めた目で男子を見つめている。とゆうか、謝るとは?と頭の中で考えたが答えは出ない。
「だからオレは!あいつに頼まれただけで……!」
「……そう。あいつ、ね。そのあいつとは誰なの?言ってくれさえすればこんなに沢山の人に見られなくて済んだのに」
うんざりとした表情で華鈴様はそう言った。だが、状況が分からなかった。分かったことはこの男子が何かをやらかしたことだけだ。
「えーっと……その…オレ、用事があるんで!さようならーー!」
そう言って男子は去っていく男子とまた深いため息を吐く華鈴様。そしてーー、
「で?何話してたの?白鷺さん」
不機嫌そうにそう聞く西園寺。もはや、好きという感情を隠しきれていない。漫画だと結構隠せてたような気がするけど、あれ美穂ちゃん視点だからそうなってただけみたいだ。まさかこんなに露骨だったとは……これは高校生になったら西園寺のアプローチやばいんじゃないの?そんなことを考えていると、
「西園寺くんには関係のない話よ。じゃあ、追うから」
そう言って華鈴様は鞄を持って去っていく。……もしかして華鈴様ってばあの男子を好きに……?と一瞬そう思ったが、あの雰囲気からして絶対になさそうだ。とゆうか、あの雰囲気で好きだったら色々可笑しいだろう。
「(考えても答えは出てこないし……付けるとかそんな恐ろしい真似は出来ないから……)」
だから素直に後日に誰かに聞けばいいや。という考えで私は家に帰った。
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夕飯の時間だ。私はシャーペンを置いて階段を降りていく。城ヶ崎家の夕飯は六時半に食べるのがお決まりだ。どうしても外せない用事とかがあると事前に料理人に連絡しないといけないのだ。まぁ、作り損は駄目だしね。
「……今日も一人、かぁ……」
しかし、最近毎日これだ。一人で夕飯を食べている。お父様もお母様も働いているし、毎日一緒に、とは流石に言えないが三日も続けて一人で食べるのはやはり寂しいという感情しか湧かない。
「ただいまー」
そんなことを思っていると、お兄様が帰ってきた。私は弾けるように顔を上げて笑顔でこう言った。
「おかえりさない!お兄様……ってあれ?何かお兄様疲れたような表情してますけど……どうしたんですか?」
お兄様があまりにも疲れ切った表情をしていて心配になったが、お兄様は顔色を悪くしたまま、
「いや、ちょっと……家庭教師を頼まれて…」
「家庭教師!?誰に教えているの?!」
お兄様が家庭教師?!お兄様が家庭教師をするだなんて大金を積んでも惜しくないぐらいの価値だ。
「その子さ普通に優等生なんだよ。だけど親が満足出来ないみたいで……僕に勉強を教えてやってくれ……って頼まれてさ。断ろうにも金ならいくらでも出すって聞かないし……」
なるほど。そっちパターンか。てっきり女の子がお兄様に教えて!て迫ったのかと。
「それで?」
「……今日は自己紹介だけして別れたけど…はぁ……憂鬱」
そう言って露骨にため息を吐くお兄様。……初めて見た。こんな様子のお兄様。よっぽど困っているのだろう。
「…どんまい……お兄様」
そうとしか言えない。フォローしても逆効果になりそうだし。
「はぁ……憂鬱…」
そう言ってお兄様はまた露骨にため息を吐いたのだった。
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