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『ハグと悩みと愚痴』
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――季節は六月。梅雨入りして雨が続く毎日だ。そしてそれは――。
「はぁ………」
私の心も曇り空のようにどんよりとしていた。原因は――。
「ねぇ?奏?離れろって言ってるでしょ?」
奏先輩が私の腕を絡ませてくるからだ。そのせいで、二人が怒っている。でも、私は悪くない………よね?
「そもそも、菜乃花が何も言わないのだからいいじゃん。菜乃花が離れろ……って言うのなら離れるけどさー」
そう言いながら奏先輩は私に抱きついてきた。そんなことをされると、二人の怒りはさらに増すばかりである。どうしたものか……と頭を抱えていると、
「………分かりました!じゃ、私も菜乃花先輩に抱きつきまーす♡」
真美ちゃんも便乗して来た。そしてその後慌てたように真白先輩も抱きついて来たのは別の話である――。
△▼△▼
家に帰り、自分の部屋に入るなりベッドへ飛び込む。ふかふかとした気持ちの良い布団のおかげで少し心が落ち着くことが出来た。
しかし、あの三人を考えてしまうと、心はずーんと重くなり、再び憂鬱な気分になるのだ。だって選べないもの。贅沢だと怒られるだろうし、何回悩んでいるんだと言われるかもしれないけれど、それでもやっぱり難しいものは難しい。
「うぅ~……」
頭を枕に押しつけていると、ガチャッと扉が開かれて、
「ねぇー、聞いてよー。菜乃花ー!」
お姉ちゃんが部屋に入ってきた。何かあったのかと思い起き上がると、そこにはお酒を持ったお姉ちゃんの姿があった。
「えっ!?ちょっと待って!それ飲むつもり!?」
慌てて止めようとするものの、時すでに遅し……もう既に半分以上飲んでいた。いや、お姉ちゃんはこの前成人したから飲んでても問題はないんだけどね。ただそんなに飲んだら体が……
「あーら、良いじゃ無いですかぁー!今日くらい飲ませてくださいよぉ~」
完全に出来上がってしまったようだ。こうなるとお手上げ状態なので諦めることにした。とゆうか、夕方で明日も平日だし講義とかないのだろうか……?
「ど、どうしたの?お姉ちゃん……?」
恐る恐る聞くと、お姉ちゃんは乱暴に酒を飲み、机の上にドンっとコップを置いた。
「美咲と喧嘩したの!腹立つわー!」
美咲……というのは真美ちゃんのお姉さんのことだろうか……?それにしても、お姉ちゃんが喧嘩するなんて珍しい。お姉ちゃんは基本的に怒らないタイプだから意外だった。
「なんで喧嘩になったの?」
私が問うと、お姉ちゃんは再び酒をグイッと飲み干してから答えてくれた。
「覚えてないけどぉ~多分くだらないことだと思うんだよねぇ~……。なんか最近イラつくことが多くてさー」
ぼやくようにお姉ちゃんはそう言った。酔った勢いで愚痴を言っているみたいだ。………まぁ、私が話を聞いていたらストレス発散になってくれるかなと思って、そのまま黙って聞くことにしたのだが――。
「美咲は私のこととても大切だって言うのに今日は別の人と話してるしさぁ~!」
「いや、お姉ちゃん以外にも友達いるでしょ………美咲さんにも」
思わずツッコミを入れてしまった。……お姉ちゃんって独占欲強いところがあるよね…と思っていると、
「そうなのー!美咲ってば美人な上に優しいからモテちゃうわけですよー!それに――!」
……この後私は愚痴という名の惚気を聞かされた挙句、最終的に寝落ちしてしまったお姉ちゃんを背負って部屋まで運ぶ羽目になってしまった。
「はぁ………」
私の心も曇り空のようにどんよりとしていた。原因は――。
「ねぇ?奏?離れろって言ってるでしょ?」
奏先輩が私の腕を絡ませてくるからだ。そのせいで、二人が怒っている。でも、私は悪くない………よね?
「そもそも、菜乃花が何も言わないのだからいいじゃん。菜乃花が離れろ……って言うのなら離れるけどさー」
そう言いながら奏先輩は私に抱きついてきた。そんなことをされると、二人の怒りはさらに増すばかりである。どうしたものか……と頭を抱えていると、
「………分かりました!じゃ、私も菜乃花先輩に抱きつきまーす♡」
真美ちゃんも便乗して来た。そしてその後慌てたように真白先輩も抱きついて来たのは別の話である――。
△▼△▼
家に帰り、自分の部屋に入るなりベッドへ飛び込む。ふかふかとした気持ちの良い布団のおかげで少し心が落ち着くことが出来た。
しかし、あの三人を考えてしまうと、心はずーんと重くなり、再び憂鬱な気分になるのだ。だって選べないもの。贅沢だと怒られるだろうし、何回悩んでいるんだと言われるかもしれないけれど、それでもやっぱり難しいものは難しい。
「うぅ~……」
頭を枕に押しつけていると、ガチャッと扉が開かれて、
「ねぇー、聞いてよー。菜乃花ー!」
お姉ちゃんが部屋に入ってきた。何かあったのかと思い起き上がると、そこにはお酒を持ったお姉ちゃんの姿があった。
「えっ!?ちょっと待って!それ飲むつもり!?」
慌てて止めようとするものの、時すでに遅し……もう既に半分以上飲んでいた。いや、お姉ちゃんはこの前成人したから飲んでても問題はないんだけどね。ただそんなに飲んだら体が……
「あーら、良いじゃ無いですかぁー!今日くらい飲ませてくださいよぉ~」
完全に出来上がってしまったようだ。こうなるとお手上げ状態なので諦めることにした。とゆうか、夕方で明日も平日だし講義とかないのだろうか……?
「ど、どうしたの?お姉ちゃん……?」
恐る恐る聞くと、お姉ちゃんは乱暴に酒を飲み、机の上にドンっとコップを置いた。
「美咲と喧嘩したの!腹立つわー!」
美咲……というのは真美ちゃんのお姉さんのことだろうか……?それにしても、お姉ちゃんが喧嘩するなんて珍しい。お姉ちゃんは基本的に怒らないタイプだから意外だった。
「なんで喧嘩になったの?」
私が問うと、お姉ちゃんは再び酒をグイッと飲み干してから答えてくれた。
「覚えてないけどぉ~多分くだらないことだと思うんだよねぇ~……。なんか最近イラつくことが多くてさー」
ぼやくようにお姉ちゃんはそう言った。酔った勢いで愚痴を言っているみたいだ。………まぁ、私が話を聞いていたらストレス発散になってくれるかなと思って、そのまま黙って聞くことにしたのだが――。
「美咲は私のこととても大切だって言うのに今日は別の人と話してるしさぁ~!」
「いや、お姉ちゃん以外にも友達いるでしょ………美咲さんにも」
思わずツッコミを入れてしまった。……お姉ちゃんって独占欲強いところがあるよね…と思っていると、
「そうなのー!美咲ってば美人な上に優しいからモテちゃうわけですよー!それに――!」
……この後私は愚痴という名の惚気を聞かされた挙句、最終的に寝落ちしてしまったお姉ちゃんを背負って部屋まで運ぶ羽目になってしまった。
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