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〜青春編〜
二十四話 『相談事』
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笹川さんと付き合って二週間が経った。二週間が経って分かったことはそんなにない。寧ろ、分からなくなっている。
笹川さんって何考えてるのか分からないんだよなぁ……付き合っているのか分からなくなるし。彼氏、という自覚が持てないのだ。
笹川さんは俺のどこが好きになったんだろうか。怖くて聞けない。このまま付き合っていいものか――なんて思ってしまう。
このままズルズルとこの関係を続けたらいいのか分からない。俺は笹川さんのことどう思っているのだろうか。自分のことなのに分からないとか、正直恥ずかしい。でも、本当に分からないんだから仕方がない。
笹川さんのことを考えているうちに家に着いた。ドアを開けると、
「あ、おかえりー」
姉ちゃんの元気そうな声が聞こえてきた。姉ちゃんの方が早く家に帰っているとか珍しいこともあるものだ。
「姉ちゃん、今日は早いね」
「うん! 今日は部活が休みだったから!」
姉ちゃん、めちゃくちゃ嬉しそうだな。最近、部活で忙しいみたいだし疲れてたし。
「どうしたー?洋介……そんな顔しちゃって……悩み事?お姉ちゃんに相談してみなさいよ?」
そう言いながら姉ちゃんはニコニコしながら近付いてきた。姉だから別にドキドキしないけど、胸元の服装で近寄るのは辞めてほしい。
「いや、何でもない……」
「えぇ~!?」
不満げな表情をする姉ちゃんを横目に見つつ部屋に向かった。だって姉ちゃんに話したところで解決するとは思えないし……。それに、相談したら絶対揶揄ってくるだろうし。
「本当に~~?本当に私に話さなくて良いのかなぁ~」
ニヤリとした笑みを浮かべながら言ってきた。こういう時の姉ちゃんには絶対に話したくない……。
「私はただ本気で悩んでいる弟の相談に乗りたいだけよ?」
……ウルウルしている目で見つめてくる姉ちゃん。……俺はその目に弱いんだよなぁ。
「わ、わかったから離れてくれ。話すから」
すると、パッと笑顔になり、
「ほらー。素直に言えば良かったじゃんかー」
と言いながら頭を撫でられた。
△▼△▼
事情をあらかた説明した後の姉の反応は――。
「彼女出来たとか聞いてないんだけど!!」
という一言だけだった。まあ、そりゃあそう。今言ったし
「姉ちゃん、部活で忙しいみたいだったしさ……」
……まぁ、どっちにしろ姉ちゃんには言わないつもりだけど……今言ってしまったからもう遅いかもしれないけれど。
「まぁ、いいや。で?彼女のことが好きなのかわからない……ね。贅沢な悩みね!私なんて私なんてね……!」
グスグスと泣き真似をしながら言う姉ちゃんを見て、相談したことを後悔していた。こんなことになるなら言わなければよかった……。
それから数分後、落ち着いた姉ちゃんが口を開いた。
「もういっそのこと襲えばいいんじゃね?」
「お……襲う!?何言ってんの!?」
思わず大きな声で叫んでしまった。それを聞いた姉ちゃんがまたニヤッとして、
「だってさー……好きなのか分からないんでしょ?じゃあさ、身体の関係を持った方が手っ取り早いっしょ?」
……相談する相手を間違えた。これは完全に揶揄われているだけだ。
「姉ちゃんに相談した俺がバカだったよ……」
「ええ~~!?何で!私のアドバイス結構的確だと思うけど!」
「何処がだよ!的確もクソもないだろ!姉ちゃん、襲うしか言ってないし!」
「いやー……でもさー……好きかどうかを確かめるのに手っ取り早い方法と言ったらこれしかないと思うんだよね。襲うのが嫌ならキスすればいいじゃない!付き合っているし、キスは変じゃないでしょ?」
「そ……それはそうだけれども……」
確かに……笹川さんとは付き合い始めて二週間経つし……キスくらいしてもおかしくはない……よな?
「で、キスしたらこの私に報告すること!!分かった?」
そう言いながら、姉ちゃんは微笑んだ。
笹川さんって何考えてるのか分からないんだよなぁ……付き合っているのか分からなくなるし。彼氏、という自覚が持てないのだ。
笹川さんは俺のどこが好きになったんだろうか。怖くて聞けない。このまま付き合っていいものか――なんて思ってしまう。
このままズルズルとこの関係を続けたらいいのか分からない。俺は笹川さんのことどう思っているのだろうか。自分のことなのに分からないとか、正直恥ずかしい。でも、本当に分からないんだから仕方がない。
笹川さんのことを考えているうちに家に着いた。ドアを開けると、
「あ、おかえりー」
姉ちゃんの元気そうな声が聞こえてきた。姉ちゃんの方が早く家に帰っているとか珍しいこともあるものだ。
「姉ちゃん、今日は早いね」
「うん! 今日は部活が休みだったから!」
姉ちゃん、めちゃくちゃ嬉しそうだな。最近、部活で忙しいみたいだし疲れてたし。
「どうしたー?洋介……そんな顔しちゃって……悩み事?お姉ちゃんに相談してみなさいよ?」
そう言いながら姉ちゃんはニコニコしながら近付いてきた。姉だから別にドキドキしないけど、胸元の服装で近寄るのは辞めてほしい。
「いや、何でもない……」
「えぇ~!?」
不満げな表情をする姉ちゃんを横目に見つつ部屋に向かった。だって姉ちゃんに話したところで解決するとは思えないし……。それに、相談したら絶対揶揄ってくるだろうし。
「本当に~~?本当に私に話さなくて良いのかなぁ~」
ニヤリとした笑みを浮かべながら言ってきた。こういう時の姉ちゃんには絶対に話したくない……。
「私はただ本気で悩んでいる弟の相談に乗りたいだけよ?」
……ウルウルしている目で見つめてくる姉ちゃん。……俺はその目に弱いんだよなぁ。
「わ、わかったから離れてくれ。話すから」
すると、パッと笑顔になり、
「ほらー。素直に言えば良かったじゃんかー」
と言いながら頭を撫でられた。
△▼△▼
事情をあらかた説明した後の姉の反応は――。
「彼女出来たとか聞いてないんだけど!!」
という一言だけだった。まあ、そりゃあそう。今言ったし
「姉ちゃん、部活で忙しいみたいだったしさ……」
……まぁ、どっちにしろ姉ちゃんには言わないつもりだけど……今言ってしまったからもう遅いかもしれないけれど。
「まぁ、いいや。で?彼女のことが好きなのかわからない……ね。贅沢な悩みね!私なんて私なんてね……!」
グスグスと泣き真似をしながら言う姉ちゃんを見て、相談したことを後悔していた。こんなことになるなら言わなければよかった……。
それから数分後、落ち着いた姉ちゃんが口を開いた。
「もういっそのこと襲えばいいんじゃね?」
「お……襲う!?何言ってんの!?」
思わず大きな声で叫んでしまった。それを聞いた姉ちゃんがまたニヤッとして、
「だってさー……好きなのか分からないんでしょ?じゃあさ、身体の関係を持った方が手っ取り早いっしょ?」
……相談する相手を間違えた。これは完全に揶揄われているだけだ。
「姉ちゃんに相談した俺がバカだったよ……」
「ええ~~!?何で!私のアドバイス結構的確だと思うけど!」
「何処がだよ!的確もクソもないだろ!姉ちゃん、襲うしか言ってないし!」
「いやー……でもさー……好きかどうかを確かめるのに手っ取り早い方法と言ったらこれしかないと思うんだよね。襲うのが嫌ならキスすればいいじゃない!付き合っているし、キスは変じゃないでしょ?」
「そ……それはそうだけれども……」
確かに……笹川さんとは付き合い始めて二週間経つし……キスくらいしてもおかしくはない……よな?
「で、キスしたらこの私に報告すること!!分かった?」
そう言いながら、姉ちゃんは微笑んだ。
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