いつしか人の夢が具現化したら

3.何連れてるの？

学校が終わった途端に疲れが押し寄せてきた。思わず猫背になる僕はギターケースを背負って教室を出る。
どうやら成長した姿のやつらは僕にだけ見えるらしい。今日学校で過ごしてみてわかった。やつらは話せもしないし、何かできるわけでもない。ただ存在するだけのものらしい。ーなんて厄介なやつらだ。僕は道端の石ころを転がして歩く。
「僕が何したって言うんだ、よ！」
怒りに任せて小石を蹴る。思ったより遠くに行ったなと思ったら、前を歩いていた女子高生に当たった。まずいっ、気づかなかった！
「いてっ、は？」
石が当たったことに気づいた彼女は、僕に明らかに不機嫌そうな顔を向けてきた。
しかし僕はそんなことよりも気になることがあった。今まさに僕に詰め寄ろうとしている彼女の横にいるのは決して未来の姿などでなく、白いモヤだった。