少年になりたい僕は-大人になりたい君と子どもでいたい僕の青春ストーリー-

少女の言葉

4.僕の計画-施行-

電車が停車駅に着いた。
ドアが開く。楽しげな音楽は僕の計画の始まりを告げる。
僕は一番乗りにドアから出ると彼女を探した。
…いた。
彼女は昨日見たときと同じように私立高校の制服を着た派手な友人たちと歩いていた。
僕は彼女たちよりも先に改札を抜け、友人とはしゃぎながら改札へ向かう彼女を待つ。
僕は改札を通過した彼女のもとへ向かう。

「やあ。」

僕は彼女たちの前に立ちはだかり、正面の彼女を見て声をかける。

ここで彼女が不審な表情を浮かべる前に僕は切り出す。

「待ってたよ。行こ。」

出来るだけ自然に。
さらっと言うように。
僕は緊張していたが、本番に強いらしい。割とすんなりと言えた。

僕の様子を見て彼女の友人ははしゃぎ出した。

「えー、この人、あぐりの彼氏さん～？」

「あはは！あぐり、イケメンと付き合ってんだ～」

彼女は曖昧な表情を浮かべている。友人の意見を否定したそうであり、肯定しなければいけないと思っている表情。

「じゃーあ、うちらは先帰るねー！」

「え、うん。また明日…。」

あぐりと呼ばれた彼女は苦笑いをしながら行ってしまった友人たちに小さく手を振った。
そして僕の方向いて怪訝な表情をしながら言う。
「…場所を変えましょう。」
僕は彼女の不機嫌な物言いに罪悪感を感じつつ、彼女の意見を肯定する。

夕暮れが少々眩しい。小さな駅から出ると、僕らは今時誰も立ち寄らなくなった公園に向かっていた。

僕は彼女の後ろを一定の間隔を空けて歩く。

知り合いに見られてしまったら面倒だからだろう。
都会はどうなのかわからないが、僕の住む地域は駅も小さく、電車に乗ると決まって見たことある人がいるのだ。そもそも利用者が少ないため、駅に知り合いがいたらなんとなくわかるものなのだ。故に僕は彼女の隣を歩けないのだ。