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キル・ロイド・ファルデリック①
しおりを挟む(はぁ~…毎日のように貴族会議に参加し学園に戻ったら溜まっていた生徒会の書類を確認し時間が空いたら婚約者候補の令嬢達とお茶会……さすがに疲れるな…)
そんなことを考えながら学園の廊下を歩いているとコンっと何かを蹴った音がし足元を見てみると何か小さな物があり拾い上げる。
「これは…何かの動物か?」
すると後ろから声が聞こえてきた
「あれ~どこで落としたのかな?通ったところを探してるのに全然見つからない~」
手に持っているのを見て声をかける
「もしかして…きみが探してるのはコレか?」
すると女子生徒がこちらを見て走ってくる
「それ私のです!拾ってくれてありがとうございます!!」
「すまない、少し蹴ってしまったんだが壊れてはないか?」
「大丈夫です!どこも欠けてません!」
「そうか、それなら良かった……ところでそれはなんの動物なんだ?」
「えっ?これですか?これはブタさんです!」
「……ブタ?なんでブタの小物なんか持ってるんだ?」
「持ってるんじゃなく私が粘土で作ったんです!私、ジオラマサークルにいるので!」
「じっじおらま?ねんど?」
「はっ!?こんなことしてる場合じゃない!行かなきゃ!それでは拾ってくれてありがとうございましたー!」
頭を下げて彼女は走り去った
「………足速いな…結局、じおらまが何かわからなかった……」
(……あの子まったく俺の顔を見ずに話してたな……相手の顔色を伺うことなく話したのはいつぶりだろうか…貴族パーティーでも見たことがない顔だった…)
すると後ろからタッタッタッと足音が聞こえる
「キル王子こちらでしたか」
「リオドルか、どうかしたか?」
「どうかしたかじゃないですよ!婚約者候補の方とのお茶会でいなくなっては困ります!」
「それなんだが、明日からお茶会を無くすように父上にお願いするつもりだ」
「えっ?ですが婚約者候補の方たちにはどう説明するつもりですか?」
「毎日のようにお茶会していても妃に相応しい者がいないんだから説明する義理はないだろう」
はぁ~っと頭に手をあてるリオドル
「ところでじおらまが何か知ってるか?」
「はい?」
「サークルがあるそうなんだが生徒会長の私が覚えてないんだ」
「あぁ、たしか3ヶ月前に準男爵令嬢が小さい部屋でも良いからサークルを作りたいと言ってたやつですね」
「許可したのか?」
「はい、キル王子も別に困ることはないからと許可したではないですか」
「あぁ~……たしかに言った覚えがあるな」
「ですがなぜ今それを聞かれるんですか?」
「いや、ただ気になっただけだ気にしなくていい」
「そうですか…」
(生徒会室に戻ったら記録を見てみるか…あの子の名前がわかるかもしれない)
あれから数日にかけてフィナ・ランペーンについて色々調べるうちに彼女を見かけると自然と目で追うようになった
ある日、中庭で彼女を見かけ声をかようと思ったが王族である私が急に声をかけたらびっくりしてかしこまってしまうかもしれない……それにあの日話した相手が私だとはわからないだろうな……そんなことを考えてると声をかけることができなかった
「なぁ、話したい相手と気軽に話すにはどうしたらいいと思う?」
生徒会室で書類整理をしていたリオドルが手を止める
「先程から眉間にシワを寄せて考えてると思ったら悩み事ですか?」
「お前は一言多いな」
「まあ、あなたとは幼馴染ですからね」
「では幼馴染として聞くが何か良い案はないか?」
「そうですね……気軽に話すには友達になることでしょうか?」
「なるほど!友達がいないから友達になってほしいと言えばいいのだな!」
(…………王子が友達いないとかどうなんだ……うーん、まあ本人が納得してるからいいか)
「あっ、でも断られる場合もあるなぁ」
「そのときは王族命令とか言えばいいのでは?」
「そうだな!」
(………誰かわからないが私には止めることができなかった……すまない)
リオドルは誰かわからない相手に心から同情した
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