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幼少期 旅立ち編(前)
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今日はCランク昇級試験の当日
私はアルクとクラークさんと一緒に盗賊の村に向かっていた。
3人でギルドから貸し出されている馬車に乗って談笑をしている。
「僕、アーシェンリファーさんがあんなに食べるとは思っていませんでした」
「えへへ…なんか恥ずかしいですね」
「そうなんですよ、アーシャって見た目に似合わず結構食べますよね?」
リクドウの街を出る前に昼食を食べていたのだが、クラークさんが紹介してくれたお店のお料理が美味しかったのでつい沢山食べてしまった。
美味しかったのだが、クラークさんにここまで弄られるなら我慢すれば良かったと少し後悔している。
「でも、沢山食べると強くなれますし、食事はいい事ですよ」
「は、はい」
散々笑っていた割には励ましてきた。
「さて、少し真面目な話をしましょうか。盗賊の村までは馬車だと1ヶ月程はかかるでしょうから、それまでに皆さんの戦力の確認と対人戦の予習をしましょう。」
クラークが話題を切り替える。
「俺は基本剣術主体の戦いが基本です。最近風属性魔法が少し使えるようになりましまが、まだ基礎魔法すら怪しいので魔法の腕はあまり期待出来ません。」
「私も基本は肉弾戦です。魔法は…今は水属性魔法の練習をしています。」
「今は、ね…」
私の言葉にクラークさんが何かを呟いたようだが、こちらには聞こえなかった。
「?クラークさん?」
「あ、いや、なんでもありません。お互いに近接を得意としてはいるようですが、アーシェンリファーさんは水属性を練習されているのであればある程度補助も可能と考えてもよろしいですか?」
「そうですね…水属性の詠唱魔法なら大体使えると思います」
「わかりました。では今回はお2人の昇級試験も兼ねているので、盗賊達をバッチリ捕まえつつ、試験ができるように僕の方でも考えておきます。後は、対人戦の経験についてですが…流石に」
「はい、2人揃ってないですね」
クラークの問いに答える
「そうですよね、そこについては村に到着するまでの間に少しでも訓練をしましょう」
「いいんですか?」
「勿論です。こちらも急に昇級試験の内容を変えてしまっている分はありますので、これくらいの面倒は見させて下さい。」
「助かります、流石に私達のような子供が大人と戦う事ってなかったので」
正直前世でも対人戦は最低限しかしてこなかったため、対人戦は前世を合わせても殆ど経験がないと言っても良い。
「アーシャ、やったな」
アルクもクラークさんからの提案が嬉しかったようで嬉々としていた
「うん、そうだね。クラークさん、よろしくお願いします。」
「はい、お任せ下さい。馬車が休憩をするタイミングで早速訓練をしましょう」
ーーー
昇級試験が始まって約1ヶ月で私達は盗賊の村の付近まで着いていた。
「もうそろそろですね、2人共心の準備はいいですか?」
「正直、怖いですがクラークさんの胸を借りるつもりでがんばります!」
馬車で移動している期間も私とアルクはクラークさんに訓練して貰っていたが、子供の身体で対人戦だ。不安はある。
「お、それは良い心がけですね、2人には基本一緒に行動をして僕が捕獲しきれなかった盗賊連中を捕縛して貰う感じになると思うから」
「はい」
クラークさんは極力私たちには危険がないようにしてくれるらしいが、おそらく敵は殺す気で攻撃してくるだろう。
「大丈夫。2人はこの移動の間も凄く頑張って訓練してたし、油断しない程度には自信をもって大丈夫だよ」
「ありがとうございます!」
アルクはクラークさんに教えて貰った事を早く実践したいのだろう。緊張はしていなさそうだ。
「アーシャ、頑張ろうな!」
アルクは笑顔でこちらに声をかけてきた。
「うん、そうだね!」
盗賊を捕獲するための特製の手錠をカバンいっぱいに詰めて馬車から降りる。
この手錠は、原理はわからないが腕に付けると対象は魔法が使えなくなるらしい。
相手の魔法を封じる力は今後ぜひ欲しいと思う。いつかそんな力も創造したいな、と考えつつも今の自分では到底副作用が酷いだろうな、と考えを振り払う。
私は移動しながら今回の自分の役割とクラークさんに教えて貰った訓練の内容を思い出す。
クラークさんは炎魔法だけでなく肉弾戦もとても強く、今の私では到底太刀打ちができなかった。
今回はある意味魔物を討伐するより危険だと言える。
多少戦闘が出来るようになったからと言って驕らず命を大事にしよう。
「クラークさん、もう直ぐ奴らが占拠した村に着きます」
アルクがクラークに声をかけた。
「…そうみたいですね。正門には見張りがいるのですね。さて、どこから潜入しましょうかね。」
物陰から3人で盗賊に見つからないように村の入り口を確認する。
「村自体は何処からでも入れる構造をしてそうなので、比較的奴らの少なそうな所から入りましょうか」
クラークがそう言うと立ち上がり村の周りを歩き出す。
「村まではまだ少し距離があるのである程度は普通に歩いても大丈夫でしょう。ただし、大きな物音は厳禁です」
「「はい」」
私達もクラークの後を追うように歩く。
少し歩くと比較的盗賊たちが少ない箇所を見つける。
「そこの2人を気絶させてサクッと手錠を付けてしまいましょう。あと、目を覚ました時に騒がれると大変ですので、盗賊の服の布で顔の鼻以外を塞ぎます。まずは僕がお手本を見せるので見てて下さい」
クラークはそう言うと目にも止まらぬスピードで盗賊達の元へ移動すると手刀で首元を攻撃してあっという間に盗賊達がその場に倒れた。
「すげぇ…」
アルクは感激した様子でクラークを見つめる。
「さて、こんな感じで相手を気絶させます。2人はまだ背格好が足りませんが、2人共身体能力が高いのでジャンプでもすれば相手の首元まで届くでしょう。アーシェンリファーさんの場合は魔法でも気絶させられるでしょう。とりあえずこの人達を拘束して下さい。」
「はい」
クラークさんの指示に従いアルクと一緒に倒れた盗賊達の元による。
前回は戦えなくて逃げた盗賊もSランク冒険者だとこうもすんなり倒せるんだな、と感心しながらクラークに教えて貰っていた手順で盗賊隊を拘束した。
「2人とも拘束はバッチリですね」
気絶した盗賊を拘束した後は適当に建物の壁に寄りかからせた。
他の連中の声もするがまだこの盗賊達が倒されている事には気づかれていない。
「う~ん。結構盗賊がいるんですねぇ、面倒だから正面突破したくなりませんか?」
「いえ、全然したくないです。」
クラークが物騒な事を言うので反射的にツッコミを入れてしまった。
「流石に冗談です。でも人数が結構いるのも事実ですし、どこまでバレずに数を減らせるかは何とも言えませんねぇ…」
クラークは手を顎に当てながらマイペースな口調で呟いた。
少しの時間その場でクラークが考えた末、クラークが囮となり正面から村に入る事になった。その間私とアルクはバレないように村の外で待ち、クラークさんの合図で村に潜入して、クラークさんと合流した後にラインハルトを捕まえるという作戦に決まった。
「暫く僕とは別行動になりますが、お2人は盗賊に顔を知られているでしょうから決して見つからないようにしてくださいね。もし、見つかってしまい、更に自分達では太刀打ちが出来ないと判断しましたらこれを割って下さい。」
クラークがそう言うと赤い宝石のような物が付いたブレスレットを渡してきた。
私はそれを受け取り自分の左腕に付けた。
「そちらは僕の魔力が込められたブレスレットです。宝石の部分に僕の魔力が入っていて、割るとそれが持ち主である僕に伝わります。それで僕は2人が何かしらの危機に合っていると判断して助けに行きます。肌身離さず持っていて下さい。」
「わかりました。ありがとうございます」
私はクラークさんがくれたブレスレットに目をやる。
「では、依頼開始です。お互い頑張りましょう」
クラークさんはそう言うと立ち上がり移動していった。
「アーシャ、俺たちも頑張ろうぜ!」
「だね」
(これが今世で初めての対人戦…頑張らないと!)
私はアルクとクラークさんと一緒に盗賊の村に向かっていた。
3人でギルドから貸し出されている馬車に乗って談笑をしている。
「僕、アーシェンリファーさんがあんなに食べるとは思っていませんでした」
「えへへ…なんか恥ずかしいですね」
「そうなんですよ、アーシャって見た目に似合わず結構食べますよね?」
リクドウの街を出る前に昼食を食べていたのだが、クラークさんが紹介してくれたお店のお料理が美味しかったのでつい沢山食べてしまった。
美味しかったのだが、クラークさんにここまで弄られるなら我慢すれば良かったと少し後悔している。
「でも、沢山食べると強くなれますし、食事はいい事ですよ」
「は、はい」
散々笑っていた割には励ましてきた。
「さて、少し真面目な話をしましょうか。盗賊の村までは馬車だと1ヶ月程はかかるでしょうから、それまでに皆さんの戦力の確認と対人戦の予習をしましょう。」
クラークが話題を切り替える。
「俺は基本剣術主体の戦いが基本です。最近風属性魔法が少し使えるようになりましまが、まだ基礎魔法すら怪しいので魔法の腕はあまり期待出来ません。」
「私も基本は肉弾戦です。魔法は…今は水属性魔法の練習をしています。」
「今は、ね…」
私の言葉にクラークさんが何かを呟いたようだが、こちらには聞こえなかった。
「?クラークさん?」
「あ、いや、なんでもありません。お互いに近接を得意としてはいるようですが、アーシェンリファーさんは水属性を練習されているのであればある程度補助も可能と考えてもよろしいですか?」
「そうですね…水属性の詠唱魔法なら大体使えると思います」
「わかりました。では今回はお2人の昇級試験も兼ねているので、盗賊達をバッチリ捕まえつつ、試験ができるように僕の方でも考えておきます。後は、対人戦の経験についてですが…流石に」
「はい、2人揃ってないですね」
クラークの問いに答える
「そうですよね、そこについては村に到着するまでの間に少しでも訓練をしましょう」
「いいんですか?」
「勿論です。こちらも急に昇級試験の内容を変えてしまっている分はありますので、これくらいの面倒は見させて下さい。」
「助かります、流石に私達のような子供が大人と戦う事ってなかったので」
正直前世でも対人戦は最低限しかしてこなかったため、対人戦は前世を合わせても殆ど経験がないと言っても良い。
「アーシャ、やったな」
アルクもクラークさんからの提案が嬉しかったようで嬉々としていた
「うん、そうだね。クラークさん、よろしくお願いします。」
「はい、お任せ下さい。馬車が休憩をするタイミングで早速訓練をしましょう」
ーーー
昇級試験が始まって約1ヶ月で私達は盗賊の村の付近まで着いていた。
「もうそろそろですね、2人共心の準備はいいですか?」
「正直、怖いですがクラークさんの胸を借りるつもりでがんばります!」
馬車で移動している期間も私とアルクはクラークさんに訓練して貰っていたが、子供の身体で対人戦だ。不安はある。
「お、それは良い心がけですね、2人には基本一緒に行動をして僕が捕獲しきれなかった盗賊連中を捕縛して貰う感じになると思うから」
「はい」
クラークさんは極力私たちには危険がないようにしてくれるらしいが、おそらく敵は殺す気で攻撃してくるだろう。
「大丈夫。2人はこの移動の間も凄く頑張って訓練してたし、油断しない程度には自信をもって大丈夫だよ」
「ありがとうございます!」
アルクはクラークさんに教えて貰った事を早く実践したいのだろう。緊張はしていなさそうだ。
「アーシャ、頑張ろうな!」
アルクは笑顔でこちらに声をかけてきた。
「うん、そうだね!」
盗賊を捕獲するための特製の手錠をカバンいっぱいに詰めて馬車から降りる。
この手錠は、原理はわからないが腕に付けると対象は魔法が使えなくなるらしい。
相手の魔法を封じる力は今後ぜひ欲しいと思う。いつかそんな力も創造したいな、と考えつつも今の自分では到底副作用が酷いだろうな、と考えを振り払う。
私は移動しながら今回の自分の役割とクラークさんに教えて貰った訓練の内容を思い出す。
クラークさんは炎魔法だけでなく肉弾戦もとても強く、今の私では到底太刀打ちができなかった。
今回はある意味魔物を討伐するより危険だと言える。
多少戦闘が出来るようになったからと言って驕らず命を大事にしよう。
「クラークさん、もう直ぐ奴らが占拠した村に着きます」
アルクがクラークに声をかけた。
「…そうみたいですね。正門には見張りがいるのですね。さて、どこから潜入しましょうかね。」
物陰から3人で盗賊に見つからないように村の入り口を確認する。
「村自体は何処からでも入れる構造をしてそうなので、比較的奴らの少なそうな所から入りましょうか」
クラークがそう言うと立ち上がり村の周りを歩き出す。
「村まではまだ少し距離があるのである程度は普通に歩いても大丈夫でしょう。ただし、大きな物音は厳禁です」
「「はい」」
私達もクラークの後を追うように歩く。
少し歩くと比較的盗賊たちが少ない箇所を見つける。
「そこの2人を気絶させてサクッと手錠を付けてしまいましょう。あと、目を覚ました時に騒がれると大変ですので、盗賊の服の布で顔の鼻以外を塞ぎます。まずは僕がお手本を見せるので見てて下さい」
クラークはそう言うと目にも止まらぬスピードで盗賊達の元へ移動すると手刀で首元を攻撃してあっという間に盗賊達がその場に倒れた。
「すげぇ…」
アルクは感激した様子でクラークを見つめる。
「さて、こんな感じで相手を気絶させます。2人はまだ背格好が足りませんが、2人共身体能力が高いのでジャンプでもすれば相手の首元まで届くでしょう。アーシェンリファーさんの場合は魔法でも気絶させられるでしょう。とりあえずこの人達を拘束して下さい。」
「はい」
クラークさんの指示に従いアルクと一緒に倒れた盗賊達の元による。
前回は戦えなくて逃げた盗賊もSランク冒険者だとこうもすんなり倒せるんだな、と感心しながらクラークに教えて貰っていた手順で盗賊隊を拘束した。
「2人とも拘束はバッチリですね」
気絶した盗賊を拘束した後は適当に建物の壁に寄りかからせた。
他の連中の声もするがまだこの盗賊達が倒されている事には気づかれていない。
「う~ん。結構盗賊がいるんですねぇ、面倒だから正面突破したくなりませんか?」
「いえ、全然したくないです。」
クラークが物騒な事を言うので反射的にツッコミを入れてしまった。
「流石に冗談です。でも人数が結構いるのも事実ですし、どこまでバレずに数を減らせるかは何とも言えませんねぇ…」
クラークは手を顎に当てながらマイペースな口調で呟いた。
少しの時間その場でクラークが考えた末、クラークが囮となり正面から村に入る事になった。その間私とアルクはバレないように村の外で待ち、クラークさんの合図で村に潜入して、クラークさんと合流した後にラインハルトを捕まえるという作戦に決まった。
「暫く僕とは別行動になりますが、お2人は盗賊に顔を知られているでしょうから決して見つからないようにしてくださいね。もし、見つかってしまい、更に自分達では太刀打ちが出来ないと判断しましたらこれを割って下さい。」
クラークがそう言うと赤い宝石のような物が付いたブレスレットを渡してきた。
私はそれを受け取り自分の左腕に付けた。
「そちらは僕の魔力が込められたブレスレットです。宝石の部分に僕の魔力が入っていて、割るとそれが持ち主である僕に伝わります。それで僕は2人が何かしらの危機に合っていると判断して助けに行きます。肌身離さず持っていて下さい。」
「わかりました。ありがとうございます」
私はクラークさんがくれたブレスレットに目をやる。
「では、依頼開始です。お互い頑張りましょう」
クラークさんはそう言うと立ち上がり移動していった。
「アーシャ、俺たちも頑張ろうぜ!」
「だね」
(これが今世で初めての対人戦…頑張らないと!)
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なんと自分はこのまま行けば破滅まっしぐらな友人の最推し、当て馬悪役令息であるエミリオ・エアトルの双子の妹ユーディリア・エアトルである事に気がついたのだった。
数ある作品の中から、読んでいただきありがとうございます。
幼少期、最初はツラい状況が続きます。
作者都合のゆるふわご都合設定です。
1日1話更新目指してます。
エール、お気に入り登録、いいね、コメント、しおり、とても励みになります。
お楽しみ頂けたら幸いです。
***************
2024年6月25日 お気に入り登録100人達成 ありがとうございます!
100人になるまで見捨てずに居て下さった99人の皆様にも感謝を!!
2024年9月9日 お気に入り登録200人達成 感謝感謝でございます!
200人になるまで見捨てずに居て下さった皆様にもこれからも見守っていただける物語を!!
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