上 下
114 / 159
異世界居住編

第112話 忠誠を見せる為

しおりを挟む
 ロザリィに話を聞くと、なんともずさんな作戦に唆されたものだとシュナイゼルは我が娘ながらにため息が出た。

 ロザリィに対しての教育はどうなっていたのであろう。

 エレノアと同じように家庭教師も付けて学校にも通ったはずである。

 前回のユーリエの件といい詰めが甘いと言うよりも、子供の嫌がらせの延長のような考えで大事を起こしているように思える。

 他者を蹴落とし、自分を上げる事を悪と言う訳ではない。

 しかし、取捨選択が自分に都合が良いようにしか受け取らないのは問題であるし、シュナイゼルは今回、家族が仲良くできる未来を目指すと誓ったばかりである。

 今回は幸いにも、こうやって発覚前にロザリィの口から事件の全容が分かった事で、減刑が可能であるし、シュナイゼル達が問い詰めた事を隠して、自ら自首しにきた事にすれば無罪とはならないものの、それに近い対応ができる。

 勿論、ムツキへの相談は必要だろう。隠して行える様な事ではない。

 叶うのなら、シュナイゼルはこのままロザリィを放り出す訳ではなく、バーバラと同じ様に離宮へ閉じ込め、バーバラともども家族平和に過ごせる様に再教育を施すつもりだ。

 教育係の選定は各派閥に任せていたが、シュナイゼルが信頼する者に任せるつもりである。

 しかしそれもこれも、この件をキッチリと片付け、ムツキへの忠誠を示した後の話。

 シュナイゼルは、ロザリィの話により発覚した人物達の家の当主を呼び出す事にして、ロザリィには早々に謹慎をいい渡して、甘い顔を見せない様にカインの部下を監視につけた。


 呼び出しは迅速にかつ緊急に行われた為、その日のうちに呼び出された当主達はシュナイゼルの元を訪れた。

 シュナイゼルを前に、呼び出された当主達が礼をとり頭を下げている。

「皆、頭を上げよ」

 シュナイゼルの言葉に、呼び出された当主達は顔を上げてシュナイゼルを見た。

「さて、今日急ぎで呼び出したのはそれなりの要件あっての事だ。事はお前達の父が企てた謀反である」

 シュナイゼルの言葉に呼び出された当主達は寝耳に水と言う程に驚いた。

 自分達の知らない所で父が謀反とはどう言う事なのかと。

 シュナイゼルの話に当主達は顔を青くした。

 ムツキ様への謀反、その内容がシュナイゼル陛下の娘、エレノア様に暴行を加えて自分達の都合のいい嫁を押し付けるなどと言うふざけた内容である。

 普通であれば、家が取潰しどころか、一族死罪でもおかしくない内容である。

「この話を聞いて、お前達がどう動くか、それによってムツキ様への忠誠を見せる事を願う」

 シュナイゼルとしても、半分の貴族を全員処刑しては国が成り立たなくなるのは目に見えている。

 なので、当主達に自らの手で汚名を濯ぐチャンスを与えたのだ。

 この言葉を正しく理解し、この事件を企てた老害といえる貴族が自らの息子達の手によって捕らえられ、城の広場に罪人として集められる事となる。

 縛り上げられ、集められた者達が死刑になる直前、この貴族達の口から、さらなる事実が恨み言として語られるのであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~

こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。 それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。 かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。 果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!? ※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

キャンピングカーで往く異世界徒然紀行

タジリユウ
ファンタジー
《第4回次世代ファンタジーカップ 面白スキル賞》 【書籍化!】 コツコツとお金を貯めて念願のキャンピングカーを手に入れた主人公。 早速キャンピングカーで初めてのキャンプをしたのだが、次の日目が覚めるとそこは異世界であった。 そしていつの間にかキャンピングカーにはナビゲーション機能、自動修復機能、燃料補給機能など様々な機能を拡張できるようになっていた。 道中で出会ったもふもふの魔物やちょっと残念なエルフを仲間に加えて、キャンピングカーで異世界をのんびりと旅したいのだが… ※旧題)チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜 ※カクヨム様でも投稿をしております

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。

けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。 日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。 あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの? ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。 感想などお待ちしております。

全校転移!異能で異世界を巡る!?

小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。 目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。 周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。 取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。 「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」 取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。 そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。

異世界サバイバルゲーム 〜転移先はエアガンが最強魔道具でした〜

九尾の猫
ファンタジー
サバイバルゲームとアウトドアが趣味の主人公が、異世界でサバゲを楽しみます! って感じで始めたのですが、どうやら王道異世界ファンタジーになりそうです。 ある春の夜、季節外れの霧に包まれた和也は、自分の持ち家と一緒に異世界に転移した。 転移初日からゴブリンの群れが襲来する。 和也はどうやって生き残るのだろうか。

処理中です...