上 下
82 / 159
異世界居住編

第80話 ニコラスの案内

しおりを挟む
 ムツキとニコラスは、ペトレの背中に乗って一っ飛びでエルフの森までやって来た。

 今回エレノアとシャーリーが一緒に来ていないのは、この間の様に、連れて行っても大丈夫の安全な戦争ではないだろうと予想した為だ。

 なにせ、今回の相手は魔者で、種族も詳しくは聞いていない。

 それに、ドラゴンが助けを求めるほどである。

 ムツキのステータスなら平気であろうが、どんな攻撃がくるかわからないので突発的な流れ弾が他を襲う可能性も十分にあるのだ。


 ペトレは、エルフの森の奥地まで一度すると、森の中の、空間のひらけた所に着陸した。

「ナーラ、ムツキ様をつれて来たぞ」

 ペトレの言葉を聞いて姿を現したのは鱗がまるで宝石の様に青く輝く美しいドラゴンであった。

 ムツキは、ブルードラゴンと聞いていたが、レットドラゴンのボロネとの見た目の違いからダイヤモンドドラゴンの様だと思った。

 勿論、体の色からすればサファイアだとかは置いておいて、ムツキが宝石の様なドラゴンだと思って初めに頭に浮かんだのがダイヤモンドドラゴンであった。

 ナーラはムツキの前でゆっくりと話し出した。

「なるほど、ペトレが人を友人ではなくあるじと言ったのもうなづける。そなたは既に人の域にあらず」

 ナーラはムツキに対して頭を地面につく程に下げて続きを話す。

わらわも主上の下に降る事を約束する。妾の森の民達を助けてもらいたい。彼らは良き者達だ、きっと主上の役にもたとう」

「それは勿論、ここで止めなければ人も危なくなるのでしょう?」

 ムツキの返答にナーラは頭を上げて頷いた。

「なら、協力しない理由はありません」

「ありがたい。では、隣人達にもムツキ様の事を伝えよう」

「それでは、その役目は私がしましょう」

 ナーラの言葉にニコラスが手を上げて答えた。

「エルフの?」

「はい、私は森の民の259番目の架け橋。後の事は私に任せてもらえればと思います」

「それでは、259番目の架け橋、よらしく頼む」

 深々とナーラに礼をしたニコラスが、森の中のエルフの里にムツキを案内してくれる様だ。

 村に向かう間に、ムツキは色々とニコラスに質問していた。

 架け橋とはどう言う意味なのか?

 架け橋とは、寿命の違うエルフと人間の常識のズレを上手く橋渡しして、外交をする役割を持ったエルフの役職である。

 259番目と言うのはそのままの意味で、歴史の中で何人目の架け橋かと言う事である。

「因みに私の名前のニコラスは259番目という意味ですよ」

 259らすとでニコラスだそうだ。

「あ、そろそろ里が見えて来ました」

 ムツキにそう言ったニコラスが目をキラキラさせているのには意味がある。

 里に近づくほどにムツキにある事が起こっている。

 ムツキはその状況に苦笑いしながら、ニコラスの案内でエルフの里へとたどり着いたのであった。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】マナーがなっていないとパーティで嘲笑っている皆様、真実はいつもひとつですのよ?

BBやっこ
恋愛
お茶会の招待というのは、相手の準備の時間を含めて余裕を持って参加を伺う。 「お誘いは昨日でしたわ」 パーティのドレスコードがあり、招待のホストとは被らないのがマナー。 「別のドレスを教えて下さったおともだちの方は、ちゃんと守ってますわね」 ああ、なんてマナーのなっていない!と皆様、嘲笑った中で私は… 【2023/7/31 24h. 6,141 pt (264位)】達成

前世で処刑された聖女、今は黒薬師と呼ばれています

矢野りと
恋愛
旧題:前世で処刑された聖女はひっそりと生きていくと決めました〜今世では黒き薬師と呼ばれています〜 ――『偽聖女を処刑しろっ!』 民衆がそう叫ぶなか、私の目の前で大切な人達の命が奪われていく。必死で神に祈ったけれど奇跡は起きなかった。……聖女ではない私は無力だった。 何がいけなかったのだろうか。ただ困っている人達を救いたい一心だっただけなのに……。 人々の歓声に包まれながら私は処刑された。 そして、私は前世の記憶を持ったまま、親の顔も知らない孤児として生まれ変わった。周囲から見れば恵まれているとは言い難いその境遇に私はほっとした。大切なものを持つことがなによりも怖かったから。 ――持たなければ、失うこともない。 だから森の奥深くでひっそりと暮らしていたのに、ある日二人の騎士が訪ねてきて……。 『黒き薬師と呼ばれている薬師はあなたでしょうか?』 基本はほのぼのですが、シリアスと切なさありのお話です。 ※この作品の設定は架空のものです。 ※一話目だけ残酷な描写がありますので苦手な方はご自衛くださいませ。 ※感想欄のネタバレ配慮はありません(._.)

よくある婚約破棄なので

おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。 その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。 言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。 「よくある婚約破棄なので」 ・すれ違う二人をめぐる短い話 ・前編は各自の証言になります ・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド ・全25話完結

隠密スキルカンストさせた俺、異世界生活始めました

颯来千亜紀
ファンタジー
「さあ、その罪を地獄で懺悔しろ」 最凶の殺し屋と呼ばれていた主人公、佐霧圭二。いつも通りゆる~いオフを過ごしていたケイジだったのだが、何となく行きたくなったスイーツショップ、そこのオススメのホットケーキを1口食べたら異世界転移しちまった!? ド天然な受付嬢にやかましいゴブリン、オマケに元同業者まで転移してきた!? 果たして隠密スキル程度しか会得していない俺は異世界で生きていくことが出来るのであろうか……。 ツッコミどころ満載、ほのぼの、時々シリアスなこっそり無双系ファンタジー!

茶番には付き合っていられません

わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。 婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。 これではまるで私の方が邪魔者だ。 苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。 どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。 彼が何をしたいのかさっぱり分からない。 もうこんな茶番に付き合っていられない。 そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。

異世界のんびり料理屋経営

芽狐
ファンタジー
主人公は日本で料理屋を経営している35歳の新垣拓哉(あらかき たくや)。 ある日、体が思うように動かず今にも倒れそうになり、病院で検査した結果末期癌と診断される。 それなら最後の最後まで料理をお客様に提供しようと厨房に立つ。しかし体は限界を迎え死が訪れる・・・ 次の瞬間目の前には神様がおり「異世界に赴いてこちらの住人に地球の料理を食べさせてほしいのじゃよ」と言われる。 人間・エルフ・ドワーフ・竜人・獣人・妖精・精霊などなどあらゆる種族が訪れ食でみんなが幸せな顔になる物語です。 「面白ければ、お気に入り登録お願いします」

【完結】謀られた令嬢は、真実の愛を知る

白雨 音
恋愛
男爵令嬢のミシェルは、十九歳。 伯爵子息ナゼールとの結婚を二月後に控えていたが、落馬し、怪我を負ってしまう。 「怪我が治っても歩く事は難しい」と聞いた伯爵家からは、婚約破棄を言い渡され、 その上、ナゼールが自分の代わりに、親友のエリーゼと結婚すると知り、打ちのめされる。 失意のミシェルに、逃げ場を与えてくれたのは、母の弟、叔父のグエンだった。 グエンの事は幼い頃から実の兄の様に慕っていたが、彼が伯爵を継いでからは疎遠になっていた。 あの頃の様に、戻れたら…、ミシェルは癒しを求め、グエンの館で世話になる事を決めた___  異世界恋愛:短編☆(全13話)  ※魔法要素はありません。 ※叔姪婚の認められた世界です。 《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆

(完結)元お義姉様に麗しの王太子殿下を取られたけれど・・・・・・エメリーン編

青空一夏
恋愛
「元お義姉様に麗しの王太子殿下を取られたけれど・・・・・・」の続編。エメリーンの物語です。 以前の☆小説で活躍したガマちゃんズ(☆「お姉様を選んだ婚約者に乾杯」に出演)が出てきます。おとぎ話風かもしれません。 ※ガマちゃんズのご説明 ガマガエル王様は、その昔ロセ伯爵家当主から命を助けてもらったことがあります。それを大変感謝したガマガエル王様は、一族にロセ伯爵家を守ることを命じます。それ以来、ガマガエルは何代にもわたりロセ伯爵家を守ってきました。 このお話しの時点では、前の☆小説のヒロイン、アドリアーナの次男エアルヴァンがロセ伯爵になり、失恋による傷心を癒やす為に、バディド王国の別荘にやって来たという設定になります。長男クロディウスは母方のロセ侯爵を継ぎ、長女クラウディアはムーンフェア国の王太子妃になっていますが、この物語では出てきません(多分) 前の作品を知っていらっしゃる方は是非、読んでいない方もこの機会に是非、お読み頂けると嬉しいです。 国の名前は新たに設定し直します。ロセ伯爵家の国をムーンフェア王国。リトラー侯爵家の国をバディド王国とします。 ムーンフェア国のエアルヴァン・ロセ伯爵がエメリーンの恋のお相手になります。 ※現代的言葉遣いです。時代考証ありません。異世界ヨーロッパ風です。

処理中です...