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異世界転移編
第58話断罪
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「トリエ、早く前に出なさい!」
アグニールの声に、呆けていたトリエはビクリと体を震わせて前に出る。
トリエの顔からは、血の気が失われており、すがる様な目で父であるアグニールを見た。
これまでは、ドラゴニア王アグニールの娘という事で、なんでも許されて来たのだ。
勿論、父であるアグニールには叱られたり、苦言を言われたこともあるが、それは事が終わってトリエの代わりに誰かが罰せられた後。
権威の力で、どうとでもなったのが今までであった。
しかし、今回は父の言葉で罰を受ける者として名を呼ばれてしまった。
足が、いつもより重く感じていた。
「それでは、この者たちの罪状を言い渡す。尚、これはそれぞれの家の当主も納得済みだと言う事を先に言っておこう」
トリエが前に出た事で、アグニールが話し始めた。
前に呼び出された者達は、その言葉に顔は青を通り越して白くなっている。
当主も納得済み。それは、今から言われる事は、覆らないと暗に言われたのである。
「この者達は、ムツキ殿に対して、平民だからと馬鹿にした態度を取り、ムツキ殿の妻となるシャーリー嬢を馬鹿にした。これは、私に対しての不敬罪よりも罪が重い」
アグニールに対しての不敬罪。
それはある意味で人を殺すよりも重い罪である。
貴族制では、平民の命は貴族よりも軽く、貴族の命は国王よりも軽い。
その意味合いは国が滅びる危険性を鑑みての話である。
王が倒れれば国は滅ぶ。平民は替えが効く。
それだけの話。
なら、ドラゴニア聖国以外の国であればどうだろう。
これまではペトレの加護によりドラゴニア聖国がトップであった。
なので、ドラゴニア聖国な手を出せば国が滅びる可能性があるのである。
だから、ドラゴニア聖国の顔色を伺うし、他国の国王であっても、ドラゴニアの貴族に無礼を働く事はできなかった。
では、今のドラゴニア聖国はどの様な状況か?
ムツキの傘下に入って、トップでは無くなったのである。
ムツキの顔色を伺わなければ、国が滅ぶ。
今までの頂点であったアグニールの上に、ムツキという平民が現れたのである。
国ではなく、個人になっただけで、ルールは変わらない。
だから、国を滅ぼさない為に、ムツキへの不敬罪は一番厳しく裁かなければいけない。
「しかし、ムツキ殿から温情も貰っておる。
お前達は、死刑にはならない」
前に呼び出された者達は、あからさまにホッとした様子だ。
これまでの流れだと、死刑になる者だと思っていた。
それが覆ったのだ。心の中で、やはり平民は甘いな。などと考えた者もいた。
「では、罰を言い渡す。この者達の貴族籍を永久剥奪。平民として生きる事とする。そして、家の者と接触するのを防ぐ為にドラゴニアからの追放。もし接触が露見した時には、その家も連座として取り潰しとする!」
会場がざわついた。死刑は免れた物の、それと同じくらい重い物だったからだ。
家族との接触禁止に、貴族の奥方が口を押さえて顔を青くしているのがわかる。
「そしてトリエ、お前は別の罰となる。これは平民になった王女が辿る道はわかりきっている為、ムツキ殿より更に温情を貰った。 トリエ、お前はエクリアとの友好の証として、エクリア帝国の男爵家に嫁ぐ事とする。勿論、王族籍からは外し、これ以降、ドラゴニアの力を使う事は許されていない」
その後の雰囲気は、パーティーを行える物ではなく、ムツキ達の紹介をしてお開きとなった。
パーティーは、後日に仕切り直して盛大に行われたとだけ伝えておこう。
アグニールの声に、呆けていたトリエはビクリと体を震わせて前に出る。
トリエの顔からは、血の気が失われており、すがる様な目で父であるアグニールを見た。
これまでは、ドラゴニア王アグニールの娘という事で、なんでも許されて来たのだ。
勿論、父であるアグニールには叱られたり、苦言を言われたこともあるが、それは事が終わってトリエの代わりに誰かが罰せられた後。
権威の力で、どうとでもなったのが今までであった。
しかし、今回は父の言葉で罰を受ける者として名を呼ばれてしまった。
足が、いつもより重く感じていた。
「それでは、この者たちの罪状を言い渡す。尚、これはそれぞれの家の当主も納得済みだと言う事を先に言っておこう」
トリエが前に出た事で、アグニールが話し始めた。
前に呼び出された者達は、その言葉に顔は青を通り越して白くなっている。
当主も納得済み。それは、今から言われる事は、覆らないと暗に言われたのである。
「この者達は、ムツキ殿に対して、平民だからと馬鹿にした態度を取り、ムツキ殿の妻となるシャーリー嬢を馬鹿にした。これは、私に対しての不敬罪よりも罪が重い」
アグニールに対しての不敬罪。
それはある意味で人を殺すよりも重い罪である。
貴族制では、平民の命は貴族よりも軽く、貴族の命は国王よりも軽い。
その意味合いは国が滅びる危険性を鑑みての話である。
王が倒れれば国は滅ぶ。平民は替えが効く。
それだけの話。
なら、ドラゴニア聖国以外の国であればどうだろう。
これまではペトレの加護によりドラゴニア聖国がトップであった。
なので、ドラゴニア聖国な手を出せば国が滅びる可能性があるのである。
だから、ドラゴニア聖国の顔色を伺うし、他国の国王であっても、ドラゴニアの貴族に無礼を働く事はできなかった。
では、今のドラゴニア聖国はどの様な状況か?
ムツキの傘下に入って、トップでは無くなったのである。
ムツキの顔色を伺わなければ、国が滅ぶ。
今までの頂点であったアグニールの上に、ムツキという平民が現れたのである。
国ではなく、個人になっただけで、ルールは変わらない。
だから、国を滅ぼさない為に、ムツキへの不敬罪は一番厳しく裁かなければいけない。
「しかし、ムツキ殿から温情も貰っておる。
お前達は、死刑にはならない」
前に呼び出された者達は、あからさまにホッとした様子だ。
これまでの流れだと、死刑になる者だと思っていた。
それが覆ったのだ。心の中で、やはり平民は甘いな。などと考えた者もいた。
「では、罰を言い渡す。この者達の貴族籍を永久剥奪。平民として生きる事とする。そして、家の者と接触するのを防ぐ為にドラゴニアからの追放。もし接触が露見した時には、その家も連座として取り潰しとする!」
会場がざわついた。死刑は免れた物の、それと同じくらい重い物だったからだ。
家族との接触禁止に、貴族の奥方が口を押さえて顔を青くしているのがわかる。
「そしてトリエ、お前は別の罰となる。これは平民になった王女が辿る道はわかりきっている為、ムツキ殿より更に温情を貰った。 トリエ、お前はエクリアとの友好の証として、エクリア帝国の男爵家に嫁ぐ事とする。勿論、王族籍からは外し、これ以降、ドラゴニアの力を使う事は許されていない」
その後の雰囲気は、パーティーを行える物ではなく、ムツキ達の紹介をしてお開きとなった。
パーティーは、後日に仕切り直して盛大に行われたとだけ伝えておこう。
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