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異世界転移編
第55話立場
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「お早いお帰りでしたね。いらっしゃい。シャーリーさん」
ムツキがシャーリーを連れてエレノアの所まで戻って来ても、まだエレノアだけであった。
「シャーリーを迎えにいっただけだからね」
「すいません。お手数をおかけしてしまって」
「シャーリーさんが謝る必要はありませんわ。ね、ムツキ様」
「ああ。シャーリーも私の大切な人だからね。 こうゆう時は、ありがとうって言うんだよ」
「ありがとうございます…」
シャーリーはやはりこう言った事に慣れていないのか、頬を赤く染めた。
「ここから見ていましたがこのままでは示しが尽きませんよ?ムツキ様」
「示しって…」
「ムツキ様、貴族の世界は舐められたら終わり。私、この身を持って痛感しました。だから、この後の話はお任せいただいても?」
何やらやる気のエレノアに、ムツキはゆっくりと頷いた。
エレノアは笑顔だが、内心は怒っていた。
声なんかは聞こえてこないが、ここから見ているだけでもムツキとシャーリーが舐められていたのが分かった。
それに、あの真ん中の赤毛は、胸を寄せてムツキを誘惑していた様に見える。
エレノアは、シャーリーの事を認めているし、ムツキを信頼しているが、行儀悪く手を出してくる雌猫を許す気は無かった。
「すまない。お待たせしてしまった。 ん?シャーリー嬢が何故ここに?」
部屋にやって来たドラゴニア王アグニールが、驚いた様にそう質問した。
「何故、ではありませんわ。ここから見ていれば、シャーリーさんを囲む貴族の公子達が見えましたの。どうやら良くない雰囲気でしたのでムツキ様が迎えに行きまさしたのよ。 それに、迎えに言ったムツキ様に暴言も吐かれたとか?」
エレノアの言っている事は合っているのだが、ここからでは聞こえないだろう?とムツキは苦笑いだ。
そのムツキの苦笑いを見て、アグニールはムツキが機嫌を悪くしたのだと思った。
「それは、申し訳ない。それで、その貴族の公子達とはいったい?」
「私達では分かりませんもの。シャーリーさん、どなたでしたか?」
エレノアに聞かれたシャーリーは、言っていいものかとアグニールを見た。
「シャーリー嬢。これは我が国の不手際なとだ。それをどうにかしなままではお互いに不味いのだ。 それに、シャーリー嬢はムツキ殿の妃となるのだ。我が国よりも、ムツキ様を優先しなければいけない」
アグニールの言葉にシャーリーはおずおずと話し始めた。
「いらっしゃったのはポムンダ伯爵家のガジル様、レータル伯爵家のマーリニア様、それから」
シャーリーは貴族の家名とその公子公女の名前を5人ほど言って一息ついた。
しかしそれで終わりではない。
「最後に、トリエ様です」
アグニールは自分の血の気が引いていくのを感じた。
なんて事をしてくれたのだと、叫びたくなった。
「あの、バカ娘が」
叫ぶのはどうにか抑えたものの、怒りの言葉は止められなかった。
「ああ、あの赤毛はドラゴニア王の御息女でしたの。あの方、ムツキ様を誘惑までしていましたのよ。シャーリーの前で。 どうなさるおつもりですか?」
「申し訳ありません。まずは、対応を決める為に人を呼び出してもよろしいでしょうか?」
アグニールはそう言ってやらかした公子公女の親達を呼び出した。
この話が終わるまで、パーティーの進行は遅れる事になったのだった。
ムツキがシャーリーを連れてエレノアの所まで戻って来ても、まだエレノアだけであった。
「シャーリーを迎えにいっただけだからね」
「すいません。お手数をおかけしてしまって」
「シャーリーさんが謝る必要はありませんわ。ね、ムツキ様」
「ああ。シャーリーも私の大切な人だからね。 こうゆう時は、ありがとうって言うんだよ」
「ありがとうございます…」
シャーリーはやはりこう言った事に慣れていないのか、頬を赤く染めた。
「ここから見ていましたがこのままでは示しが尽きませんよ?ムツキ様」
「示しって…」
「ムツキ様、貴族の世界は舐められたら終わり。私、この身を持って痛感しました。だから、この後の話はお任せいただいても?」
何やらやる気のエレノアに、ムツキはゆっくりと頷いた。
エレノアは笑顔だが、内心は怒っていた。
声なんかは聞こえてこないが、ここから見ているだけでもムツキとシャーリーが舐められていたのが分かった。
それに、あの真ん中の赤毛は、胸を寄せてムツキを誘惑していた様に見える。
エレノアは、シャーリーの事を認めているし、ムツキを信頼しているが、行儀悪く手を出してくる雌猫を許す気は無かった。
「すまない。お待たせしてしまった。 ん?シャーリー嬢が何故ここに?」
部屋にやって来たドラゴニア王アグニールが、驚いた様にそう質問した。
「何故、ではありませんわ。ここから見ていれば、シャーリーさんを囲む貴族の公子達が見えましたの。どうやら良くない雰囲気でしたのでムツキ様が迎えに行きまさしたのよ。 それに、迎えに言ったムツキ様に暴言も吐かれたとか?」
エレノアの言っている事は合っているのだが、ここからでは聞こえないだろう?とムツキは苦笑いだ。
そのムツキの苦笑いを見て、アグニールはムツキが機嫌を悪くしたのだと思った。
「それは、申し訳ない。それで、その貴族の公子達とはいったい?」
「私達では分かりませんもの。シャーリーさん、どなたでしたか?」
エレノアに聞かれたシャーリーは、言っていいものかとアグニールを見た。
「シャーリー嬢。これは我が国の不手際なとだ。それをどうにかしなままではお互いに不味いのだ。 それに、シャーリー嬢はムツキ殿の妃となるのだ。我が国よりも、ムツキ様を優先しなければいけない」
アグニールの言葉にシャーリーはおずおずと話し始めた。
「いらっしゃったのはポムンダ伯爵家のガジル様、レータル伯爵家のマーリニア様、それから」
シャーリーは貴族の家名とその公子公女の名前を5人ほど言って一息ついた。
しかしそれで終わりではない。
「最後に、トリエ様です」
アグニールは自分の血の気が引いていくのを感じた。
なんて事をしてくれたのだと、叫びたくなった。
「あの、バカ娘が」
叫ぶのはどうにか抑えたものの、怒りの言葉は止められなかった。
「ああ、あの赤毛はドラゴニア王の御息女でしたの。あの方、ムツキ様を誘惑までしていましたのよ。シャーリーの前で。 どうなさるおつもりですか?」
「申し訳ありません。まずは、対応を決める為に人を呼び出してもよろしいでしょうか?」
アグニールはそう言ってやらかした公子公女の親達を呼び出した。
この話が終わるまで、パーティーの進行は遅れる事になったのだった。
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