47 / 159
異世界転移編
第47話白の竜
しおりを挟む
ムツキが通された階段の先、岩山の上には青白いドラゴンが頭を下げて待っていた。
隣にはボロネがいる事から、このドラゴンがペトレだろう。
「な、ペトレ様、何を?」
ドラゴニア王がそう問いかけるも、ペトレは言葉を発さず、頭を下げたままだ。
「ムツキ、ペトレに言葉を発する事を許すと言わないとペトレはこのままです」
「な!」
ボロネの言葉にドラゴニア王は絶句してしまった。
絶対的な力だと思ってるいたペトレが訪ねて来た人間に伺いを立てている事が信じられなかった。
ムツキもまた、驚いていた。
国を守護するドラゴンがこんな対応をするとは思っていなかったからだ。
「許す」
とりあえず話しが進まないのでムツキはそう言葉を発した。
「ムツキ様、話は先程ボロネから軽く伺いました。私、そしてドラゴニアをムツキ様の配下に加えたいとか」
「な、なにを…」
この国の王であるドラゴニア王はその言葉に言葉を挟もうとするが、ペトレの一睨みで口を閉じた。
「まあ、話しが早くて助かりますけどね。
私はこのエレノアと婚約したんですけど、周りの貴族が鬱陶しいみたいなんですよ。
だからエクリアを私の下に付けるって話しがシュナイゼルから出ましてね。
だけどそれだけじゃ変な事する貴族は減らないじゃないですか。
だからボロネとペトレを傘下に入れればわかりやすい抑止力になるでしょ?」
「貴様!ペトレ様になんて事を!」
「ほら、こう言うのです。なぜシュナイゼル王が私の下に付くと言ったか理解できない。
ペトレが私に敬語を使うか理解できない人は居るのです。
でも、流石にペトレとドラゴニア聖国が声明を出せば他の国は黙ると思うんですよね。国王は普通賢いでしょう?」
案に馬鹿だと言われたドラゴニア王は顔を赤くする。
これは、他国と比べ、長らくトップに君臨し続け、自分より上の人間は居ないと思って来たドラゴニア王だからこその怒りであった。
多分、他の国の国王であれば、ペトレを傘下に入れたと言う事実だけで、ドラゴンより強いのだと理解して、自国を守る為の行動を取るだろう。
今まで、ドラゴニアに戦争を仕掛けなかったのと同じ事だ。
「アグニール。私はムツキと敵対するのならばいくらサスケの子孫であろうともお前達と敵対するだろう。
それ程までに、このムツキの力は圧倒的なのだ」
ペトレの言葉は、それだけでドラゴニア王の心を折ったようだった。
「それ程までなのですか?」
「私など、一撃。そしてドラゴニア、いや、人を滅ぼすのも一瞬だろうな」
ドラゴニア王は、今の状況を理解したのか、ゆっくりとムツキの方を見た。
ムツキは、ニコリと笑って会釈するのだが、それに対するドラゴニア王の反応は恐る様に「ヒッ」と声をあげた。
「アグニールよ、お主もムツキに嫁を用意しろ。勿論、ムツキの妃と喧嘩せぬ、一歩引いて考えられる賢き者をだ」
「ええ?」
ペトレの提案にムツキは驚きの声を上げる。
一夫多妻、王政の事をあまり理解していなかったムツキにとって、予想外の事が起ころうとしていた。
隣にはボロネがいる事から、このドラゴンがペトレだろう。
「な、ペトレ様、何を?」
ドラゴニア王がそう問いかけるも、ペトレは言葉を発さず、頭を下げたままだ。
「ムツキ、ペトレに言葉を発する事を許すと言わないとペトレはこのままです」
「な!」
ボロネの言葉にドラゴニア王は絶句してしまった。
絶対的な力だと思ってるいたペトレが訪ねて来た人間に伺いを立てている事が信じられなかった。
ムツキもまた、驚いていた。
国を守護するドラゴンがこんな対応をするとは思っていなかったからだ。
「許す」
とりあえず話しが進まないのでムツキはそう言葉を発した。
「ムツキ様、話は先程ボロネから軽く伺いました。私、そしてドラゴニアをムツキ様の配下に加えたいとか」
「な、なにを…」
この国の王であるドラゴニア王はその言葉に言葉を挟もうとするが、ペトレの一睨みで口を閉じた。
「まあ、話しが早くて助かりますけどね。
私はこのエレノアと婚約したんですけど、周りの貴族が鬱陶しいみたいなんですよ。
だからエクリアを私の下に付けるって話しがシュナイゼルから出ましてね。
だけどそれだけじゃ変な事する貴族は減らないじゃないですか。
だからボロネとペトレを傘下に入れればわかりやすい抑止力になるでしょ?」
「貴様!ペトレ様になんて事を!」
「ほら、こう言うのです。なぜシュナイゼル王が私の下に付くと言ったか理解できない。
ペトレが私に敬語を使うか理解できない人は居るのです。
でも、流石にペトレとドラゴニア聖国が声明を出せば他の国は黙ると思うんですよね。国王は普通賢いでしょう?」
案に馬鹿だと言われたドラゴニア王は顔を赤くする。
これは、他国と比べ、長らくトップに君臨し続け、自分より上の人間は居ないと思って来たドラゴニア王だからこその怒りであった。
多分、他の国の国王であれば、ペトレを傘下に入れたと言う事実だけで、ドラゴンより強いのだと理解して、自国を守る為の行動を取るだろう。
今まで、ドラゴニアに戦争を仕掛けなかったのと同じ事だ。
「アグニール。私はムツキと敵対するのならばいくらサスケの子孫であろうともお前達と敵対するだろう。
それ程までに、このムツキの力は圧倒的なのだ」
ペトレの言葉は、それだけでドラゴニア王の心を折ったようだった。
「それ程までなのですか?」
「私など、一撃。そしてドラゴニア、いや、人を滅ぼすのも一瞬だろうな」
ドラゴニア王は、今の状況を理解したのか、ゆっくりとムツキの方を見た。
ムツキは、ニコリと笑って会釈するのだが、それに対するドラゴニア王の反応は恐る様に「ヒッ」と声をあげた。
「アグニールよ、お主もムツキに嫁を用意しろ。勿論、ムツキの妃と喧嘩せぬ、一歩引いて考えられる賢き者をだ」
「ええ?」
ペトレの提案にムツキは驚きの声を上げる。
一夫多妻、王政の事をあまり理解していなかったムツキにとって、予想外の事が起ころうとしていた。
75
お気に入りに追加
256
あなたにおすすめの小説
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
突然だけど、空間魔法を頼りに生き延びます
ももがぶ
ファンタジー
俺、空田広志(そらたひろし)23歳。
何故だか気が付けば、見も知らぬ世界に立っていた。
何故、そんなことが分かるかと言えば、自分の目の前には木の棒……棍棒だろうか、それを握りしめた緑色の醜悪な小人っぽい何か三体に囲まれていたからだ。
それに俺は少し前までコンビニに立ち寄っていたのだから、こんな何もない平原であるハズがない。
そして振り返ってもさっきまでいたはずのコンビニも見えないし、建物どころかアスファルトの道路も街灯も何も見えない。
見えるのは俺を取り囲む醜悪な小人三体と、遠くに森の様な木々が見えるだけだ。
「えっと、とりあえずどうにかしないと多分……死んじゃうよね。でも、どうすれば?」
にじり寄ってくる三体の何かを警戒しながら、どうにかこの場を切り抜けたいと考えるが、手元には武器になりそうな物はなく、持っているコンビニの袋の中は発泡酒三本とツナマヨと梅干しのおにぎり、後はポテサラだけだ。
「こりゃ、詰みだな」と思っていると「待てよ、ここが異世界なら……」とある期待が沸き上がる。
「何もしないよりは……」と考え「ステータス!」と呟けば、目の前に半透明のボードが現れ、そこには自分の名前と性別、年齢、HPなどが表記され、最後には『空間魔法Lv1』『次元の隙間からこぼれ落ちた者』と記載されていた。
クラス転移で神様に?
空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。
異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。
そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。
異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。
龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。
現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定
キャンピングカーで往く異世界徒然紀行
タジリユウ
ファンタジー
《第4回次世代ファンタジーカップ 面白スキル賞》
【書籍化!】
コツコツとお金を貯めて念願のキャンピングカーを手に入れた主人公。
早速キャンピングカーで初めてのキャンプをしたのだが、次の日目が覚めるとそこは異世界であった。
そしていつの間にかキャンピングカーにはナビゲーション機能、自動修復機能、燃料補給機能など様々な機能を拡張できるようになっていた。
道中で出会ったもふもふの魔物やちょっと残念なエルフを仲間に加えて、キャンピングカーで異世界をのんびりと旅したいのだが…
※旧題)チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜
※カクヨム様でも投稿をしております
神よ、勝手すぎないか?
チョッキリ
ファンタジー
『転移してきた人探して保護して』
寝ていたら、いきなり謎空間にいて、光の玉に話しかけられた。そのとたん、膨大な情報が頭の中に流れてきた。そして自分が小説あるあるの転生者で、しかも前世は女性で今世は男性に生まれ変わっていた。膨大な情報で、光の玉は神様の仮の姿であることが分かった。
~作者のオリジナル設定があるため、常識・知識と異なる場合があります。
広い心で読んで頂けたら幸いです。~
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる