4 / 159
異世界転移編
第4話 出発
しおりを挟む
栄養剤を全て売り払って街の中心の広場へとやって来た。
雰囲気はザ・ファンタジーな感じの中世ヨーロッパ風なのだが、妙に整備されていて綺麗だ。
中央には噴水があり、そこも手入れが行き届いているのか水の溜まる場所にはゴミどころか落ち葉すら溜まっている様子もない。
俺はベンチへと腰を下ろしてさっき起こった事を考える。
栄養剤を店員のおっさんがお金を払った瞬間《マルチ》が発動した。
どう言った理屈か分からないが、スキル:鑑定をゲットできてしまった。
それは嬉しい事なのだが、結局スキルがどうやって発動するのか要領を得ない。
分からない事はひとまず置いておいて、手に入れた銀貨5枚がどれくらいの価値かと言うのは分からないが、金銭を手に入れたのは良いとしよう。
鑑定を使ってみたが、MPを1消費で使えて、生き物への効果は無し。
物に対してのみ使える鑑定の様だ。
ちなみにMPは放って置いても回復した。
街のいろんな人に情報収集したが、この街は王都だからかどこで働くのも資格が必要で、他の町に行ってみてはどうかと勧められた。
なので、乗り合い馬車の停留所まで来たのだが、乗車賃は銀貨3枚。
なかなかに高く、財産の半分以上使ってしまう計算だ。
これからの事もあるが、この街にいても仕方がないので馬車に乗ってどこかへ移動することにする。
街の名前を見ても、当たり前だがどこがどこかさっぱり分からない。
唸っていると、背後から声がかけられた。
「どうした?小僧、そんな難しい顔して」
声を掛けて来たのはさっきの店の店員リフドンだった。
「あ、さっきの。いや、この街で仕事を難しいから何処かへ旅をしようかと思いまして。
行く当てもないので迷ってしまって」
「ならうちの馬車に乗るか?俺は隣の国でまた仕事を始めるつもりだ。この国はなんかきな臭い。最近兵士の数が増えたし…まぁ商人の勘だ。お前がうちの最後の客だった縁で銀貨5枚で連れてってやるよ。飯付きだ」
銀貨5枚は全財産だが、隣の国までは破格ではないだろうか?今見ていたのは隣町までで銀貨3枚だ。
「それ、全財産なんですけど…お願いします」
「なら、ついて来い!」
馬車のある場所まで歩いてついていく途中でリフドンは自己紹介してくれた。
そう言えば、スキルを覚えた時に知ったが本人に聞いたわけでは無かった。
でも、これで鑑定はこのリフドンから取得した物なんだろうな。
分からない事だらけだが、運良くリフドンと知り合えたおかげで馬車で移動することができる。
馬車はすぐ近くに停まっており、ここから俺が見えたから声をかけてくれたみたいだ。
馬車の周りには人が5人ほどいて、1人が店の従業員、2人が護衛の傭兵。残りは馬と馬車の管理人だったそうだ。
「すまねえが、コイツも連れてく事にした。
仲良くてやってくれ」
リフドンがそう言って俺の背中をとんと叩いた。
「兄ちゃん、よろしくな。俺達とパーティでも組むか?」
「やめなって。戦えそうにないだろ」
傭兵の2人が笑いながら挨拶をしてくれた。
軽く握手をする。
確かに、俺は武器も持ってないし、戦える様には見えないよな。
それに、ステータスオール2は相当低いみたいだし、この傭兵の人達はどの位のステータスなんだろう?
そんな疑問が湧いてくるが、鑑定は人に使えないし、いきなり聞くのも失礼なんだろうな。
傭兵の2人の名前はゲルトとダカン。従業員の名前はミール。
ミールが御者を務めるようだ。
俺はリフドンに言われるまま馬車に乗り込むと、馬車は街を出発するのだった
雰囲気はザ・ファンタジーな感じの中世ヨーロッパ風なのだが、妙に整備されていて綺麗だ。
中央には噴水があり、そこも手入れが行き届いているのか水の溜まる場所にはゴミどころか落ち葉すら溜まっている様子もない。
俺はベンチへと腰を下ろしてさっき起こった事を考える。
栄養剤を店員のおっさんがお金を払った瞬間《マルチ》が発動した。
どう言った理屈か分からないが、スキル:鑑定をゲットできてしまった。
それは嬉しい事なのだが、結局スキルがどうやって発動するのか要領を得ない。
分からない事はひとまず置いておいて、手に入れた銀貨5枚がどれくらいの価値かと言うのは分からないが、金銭を手に入れたのは良いとしよう。
鑑定を使ってみたが、MPを1消費で使えて、生き物への効果は無し。
物に対してのみ使える鑑定の様だ。
ちなみにMPは放って置いても回復した。
街のいろんな人に情報収集したが、この街は王都だからかどこで働くのも資格が必要で、他の町に行ってみてはどうかと勧められた。
なので、乗り合い馬車の停留所まで来たのだが、乗車賃は銀貨3枚。
なかなかに高く、財産の半分以上使ってしまう計算だ。
これからの事もあるが、この街にいても仕方がないので馬車に乗ってどこかへ移動することにする。
街の名前を見ても、当たり前だがどこがどこかさっぱり分からない。
唸っていると、背後から声がかけられた。
「どうした?小僧、そんな難しい顔して」
声を掛けて来たのはさっきの店の店員リフドンだった。
「あ、さっきの。いや、この街で仕事を難しいから何処かへ旅をしようかと思いまして。
行く当てもないので迷ってしまって」
「ならうちの馬車に乗るか?俺は隣の国でまた仕事を始めるつもりだ。この国はなんかきな臭い。最近兵士の数が増えたし…まぁ商人の勘だ。お前がうちの最後の客だった縁で銀貨5枚で連れてってやるよ。飯付きだ」
銀貨5枚は全財産だが、隣の国までは破格ではないだろうか?今見ていたのは隣町までで銀貨3枚だ。
「それ、全財産なんですけど…お願いします」
「なら、ついて来い!」
馬車のある場所まで歩いてついていく途中でリフドンは自己紹介してくれた。
そう言えば、スキルを覚えた時に知ったが本人に聞いたわけでは無かった。
でも、これで鑑定はこのリフドンから取得した物なんだろうな。
分からない事だらけだが、運良くリフドンと知り合えたおかげで馬車で移動することができる。
馬車はすぐ近くに停まっており、ここから俺が見えたから声をかけてくれたみたいだ。
馬車の周りには人が5人ほどいて、1人が店の従業員、2人が護衛の傭兵。残りは馬と馬車の管理人だったそうだ。
「すまねえが、コイツも連れてく事にした。
仲良くてやってくれ」
リフドンがそう言って俺の背中をとんと叩いた。
「兄ちゃん、よろしくな。俺達とパーティでも組むか?」
「やめなって。戦えそうにないだろ」
傭兵の2人が笑いながら挨拶をしてくれた。
軽く握手をする。
確かに、俺は武器も持ってないし、戦える様には見えないよな。
それに、ステータスオール2は相当低いみたいだし、この傭兵の人達はどの位のステータスなんだろう?
そんな疑問が湧いてくるが、鑑定は人に使えないし、いきなり聞くのも失礼なんだろうな。
傭兵の2人の名前はゲルトとダカン。従業員の名前はミール。
ミールが御者を務めるようだ。
俺はリフドンに言われるまま馬車に乗り込むと、馬車は街を出発するのだった
96
お気に入りに追加
256
あなたにおすすめの小説
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~
こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。
それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。
かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。
果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!?
※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
全校転移!異能で異世界を巡る!?
小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。
目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。
周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。
取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。
「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」
取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。
そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。
キャンピングカーで往く異世界徒然紀行
タジリユウ
ファンタジー
《第4回次世代ファンタジーカップ 面白スキル賞》
【書籍化!】
コツコツとお金を貯めて念願のキャンピングカーを手に入れた主人公。
早速キャンピングカーで初めてのキャンプをしたのだが、次の日目が覚めるとそこは異世界であった。
そしていつの間にかキャンピングカーにはナビゲーション機能、自動修復機能、燃料補給機能など様々な機能を拡張できるようになっていた。
道中で出会ったもふもふの魔物やちょっと残念なエルフを仲間に加えて、キャンピングカーで異世界をのんびりと旅したいのだが…
※旧題)チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜
※カクヨム様でも投稿をしております
田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。
異世界サバイバルゲーム 〜転移先はエアガンが最強魔道具でした〜
九尾の猫
ファンタジー
サバイバルゲームとアウトドアが趣味の主人公が、異世界でサバゲを楽しみます!
って感じで始めたのですが、どうやら王道異世界ファンタジーになりそうです。
ある春の夜、季節外れの霧に包まれた和也は、自分の持ち家と一緒に異世界に転移した。
転移初日からゴブリンの群れが襲来する。
和也はどうやって生き残るのだろうか。
異世界屋台経営-料理一本で異世界へ
芽狐
ファンタジー
松原 真人(35歳)は、ある夜に自分の料理屋で亡くなってしまう。
そして、次に目覚めた場所は、見たことない木で出来た一軒家のような場所であった。そこで、出会ったトンボという男と異世界を津々浦々屋台を引きながら回り、色んな異世界人に料理を提供していくお話です。
更新日時:不定期更新18時投稿
よかったらお気に入り登録・感想などよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる