1 / 3
「落下る少女」-訪問-
しおりを挟む
……首都「東京」からしばらく離れた、田舎か近郊か分からない場所に、1つの探偵事務所がある。
「望月探偵事務所」という事務所だ。
私の住む、いわゆる「23区内」周辺から若干遠くはあるものの、電車からの風景と。今朝友達伝てで届いたモノの真相解明と至るまでは、面倒くさがってはいられなかった。
私は、蒸し暑い夏の早朝、またも人身事故で遅れている中央線に乗って向かっていた。
自分が見た、衝撃的な光景を片手に。
「ここが…望月探偵事務所…?」
私が立ち止まったのは、駅前の小さなカフェみたいな建物。
若干不安はあったものの、親友の死と言う暫定的な謎を目の前にして、建物の外装なんかで止まってなどいられなかった私は、その扉を開けた。
「やぁ、いらっしゃい。とは言ったものの……」
若い男の人が自分の常套句を言い切る事を制止してまで、私は自分の依頼を一方的に話したのだった。
「あの!幼馴染がビルから飛び降りて…、解決してもらいたいんです!」
…探偵と思わしき若い男が、言おうとしていたセリフを続ける。
「…営業時間外、と言いたかったんだけど……ちょっと状況が変わるね。それは多分警察に言うべき案件では無いかい…?」
間を置かずに、私が続ける。
「いえ、ここじゃなきゃ駄目なんです!」
「……どうしても?」
「はい!どうしてもです!」
しまった。依頼にしては押し付けがましかったかな。
でも……それくらい私は。いや……この事件は。
解決されるのを待っているのだから。
「いいよ。それに、こっちとしても願ったり…叶ったりな依頼だからね。追わせてもらおう。君の事件を。」
探偵と思わしき若い男は、「ビル」と「飛び降り」。
ふたつのワードを聞いた瞬間、真剣な顔でこっちを見ながら、なんと私の依頼を通してしまったのだった。
事務所に入ると、探偵さんより1頭身小さいような人が出迎えてくれた。
他にも結構色んな人が居たので、私はどこを見ればいいのか、よく分からなくなってしまった。
子供みたいに周囲を見渡す私に対し、桃色の髪の人が語りかける。
「営業時間外に駆け込んで来るなんてね。緊急事態かしら?とりあえずお茶菓子と…あとは、優秀な探偵さんね。」
続いて、黒髪の人がやってきて、こちらに話しかけた。
「優秀?誰がだ。こんなもん、さっさと追い返すかテキトーに物事終わらせときゃ良いんだよ。」
その男の人は、学生の目の前であるというのに、お構いなしに煙草に火をつけ始め、吸い始め、私に対しこう言った。
「……ふぅ。全く……静かに煙草も吸えやしない。」
うぅ……やっぱり、ここに来るべきじゃなかったかなぁ……なんて、誰が見てもわかるような困り顔をしていると、桃髪の女がこちらに向かって、
「……子供みたいね、とりあえず……要件を伺いたいから、早くあそこの席に座ってくれるかしら?」
と、半ば急かすような形でこちらに問い掛けてきた。
悪態をつく黒髪の男と、急かす桃髪の女に対し、探偵さんは、少し睨んだ様な顔で語る。
「こらこら、依頼者の前だ。そんな乱暴な言葉遣いはしないでよ。」
探偵さんは2人に少し凄んだあと、私の方を向き、近くにあった棚を探し始めた。
「音楽でも聞くかい?最近の……けーぽっぷ?だっけ、そっち系は分からないけど……無いよりかはマシかもしれないからね。確かこの辺に…………あぁ、あった。」
……と、言いながら探偵さんが流してきてくれたのは、どこか哀愁を漂わせる、ポップな感じの曲だった。
「多分君でも聞いた事あると思うよ、ここの「物憂げな六月の~」って。」
しかし、曲のサビらしき所を聞いても一向にアーティストが分からず、首を傾げている私に対して、「……まじか、やっぱり最近の曲ってやつを流さないとダメなのかな……?」
と言ったあと、桃髪の女を呼んで……
「るるちゃん、ちょっと雪だるマンのCD持ってきて、2枚目のほうね。」
と曲を変えようとしていたので、なんだか申し訳なくなってしまい……
「いえ、大丈夫です!その……なんだか心地よい曲なんですね。」
と、音楽を変えようとしている探偵さんの手を止めた。
「分かった、じゃあ……早速、初めよっか。いい加減、梨寿が耐えられなくなっちゃいそうだからね。」
と、煙草を吸う黒髪の男をちらっと見た後に、真剣な顔をして、私の方に尋ねた。
「じゃ、今から依頼内容とかについて色々聞いてくよ。そうだな……まず、お名前の方はなんて言うのかな?」
「はい……、稲野メイです。」
…そっか。尋問みたいなのが始まったんだ。とりあえずはそう思う事にし、私は探偵さんに駆け込んできた理由を語りかけた。
「望月探偵事務所」という事務所だ。
私の住む、いわゆる「23区内」周辺から若干遠くはあるものの、電車からの風景と。今朝友達伝てで届いたモノの真相解明と至るまでは、面倒くさがってはいられなかった。
私は、蒸し暑い夏の早朝、またも人身事故で遅れている中央線に乗って向かっていた。
自分が見た、衝撃的な光景を片手に。
「ここが…望月探偵事務所…?」
私が立ち止まったのは、駅前の小さなカフェみたいな建物。
若干不安はあったものの、親友の死と言う暫定的な謎を目の前にして、建物の外装なんかで止まってなどいられなかった私は、その扉を開けた。
「やぁ、いらっしゃい。とは言ったものの……」
若い男の人が自分の常套句を言い切る事を制止してまで、私は自分の依頼を一方的に話したのだった。
「あの!幼馴染がビルから飛び降りて…、解決してもらいたいんです!」
…探偵と思わしき若い男が、言おうとしていたセリフを続ける。
「…営業時間外、と言いたかったんだけど……ちょっと状況が変わるね。それは多分警察に言うべき案件では無いかい…?」
間を置かずに、私が続ける。
「いえ、ここじゃなきゃ駄目なんです!」
「……どうしても?」
「はい!どうしてもです!」
しまった。依頼にしては押し付けがましかったかな。
でも……それくらい私は。いや……この事件は。
解決されるのを待っているのだから。
「いいよ。それに、こっちとしても願ったり…叶ったりな依頼だからね。追わせてもらおう。君の事件を。」
探偵と思わしき若い男は、「ビル」と「飛び降り」。
ふたつのワードを聞いた瞬間、真剣な顔でこっちを見ながら、なんと私の依頼を通してしまったのだった。
事務所に入ると、探偵さんより1頭身小さいような人が出迎えてくれた。
他にも結構色んな人が居たので、私はどこを見ればいいのか、よく分からなくなってしまった。
子供みたいに周囲を見渡す私に対し、桃色の髪の人が語りかける。
「営業時間外に駆け込んで来るなんてね。緊急事態かしら?とりあえずお茶菓子と…あとは、優秀な探偵さんね。」
続いて、黒髪の人がやってきて、こちらに話しかけた。
「優秀?誰がだ。こんなもん、さっさと追い返すかテキトーに物事終わらせときゃ良いんだよ。」
その男の人は、学生の目の前であるというのに、お構いなしに煙草に火をつけ始め、吸い始め、私に対しこう言った。
「……ふぅ。全く……静かに煙草も吸えやしない。」
うぅ……やっぱり、ここに来るべきじゃなかったかなぁ……なんて、誰が見てもわかるような困り顔をしていると、桃髪の女がこちらに向かって、
「……子供みたいね、とりあえず……要件を伺いたいから、早くあそこの席に座ってくれるかしら?」
と、半ば急かすような形でこちらに問い掛けてきた。
悪態をつく黒髪の男と、急かす桃髪の女に対し、探偵さんは、少し睨んだ様な顔で語る。
「こらこら、依頼者の前だ。そんな乱暴な言葉遣いはしないでよ。」
探偵さんは2人に少し凄んだあと、私の方を向き、近くにあった棚を探し始めた。
「音楽でも聞くかい?最近の……けーぽっぷ?だっけ、そっち系は分からないけど……無いよりかはマシかもしれないからね。確かこの辺に…………あぁ、あった。」
……と、言いながら探偵さんが流してきてくれたのは、どこか哀愁を漂わせる、ポップな感じの曲だった。
「多分君でも聞いた事あると思うよ、ここの「物憂げな六月の~」って。」
しかし、曲のサビらしき所を聞いても一向にアーティストが分からず、首を傾げている私に対して、「……まじか、やっぱり最近の曲ってやつを流さないとダメなのかな……?」
と言ったあと、桃髪の女を呼んで……
「るるちゃん、ちょっと雪だるマンのCD持ってきて、2枚目のほうね。」
と曲を変えようとしていたので、なんだか申し訳なくなってしまい……
「いえ、大丈夫です!その……なんだか心地よい曲なんですね。」
と、音楽を変えようとしている探偵さんの手を止めた。
「分かった、じゃあ……早速、初めよっか。いい加減、梨寿が耐えられなくなっちゃいそうだからね。」
と、煙草を吸う黒髪の男をちらっと見た後に、真剣な顔をして、私の方に尋ねた。
「じゃ、今から依頼内容とかについて色々聞いてくよ。そうだな……まず、お名前の方はなんて言うのかな?」
「はい……、稲野メイです。」
…そっか。尋問みたいなのが始まったんだ。とりあえずはそう思う事にし、私は探偵さんに駆け込んできた理由を語りかけた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》
小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です
◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ
◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます!
◆クレジット表記は任意です
※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください
【ご利用にあたっての注意事項】
⭕️OK
・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用
※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可
✖️禁止事項
・二次配布
・自作発言
・大幅なセリフ改変
・こちらの台本を使用したボイスデータの販売
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる