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第1幕
第十一話
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気になることといえば、もう一つ気になることがある。とはいっても、今思い出したのだが。
「ルール説明の時さ、タイムアップかGMを倒せばゲームは終わるって言ってたよな」
ルール説明の時から疑問だったこと。それはGMの存在。GMは一体誰なのか。もう関わったことある人なのか、これから会う人なのか。
「鈴香は誰だと思う? GM」
「さあね、わかんない。皆目見当もつかない」
そうか……。そりゃそうよな。
翔太と俺の手札は残り一枚。お互いに手札を裏にして、その後表にする。俺のカードはA、そして翔太の手札はJだった……。ラストの勝負では負けたものの、トータルでは俺の勝ちだ。
「そういや、翔太はなんでこのゲームに参加したんだ?」
俺の問いに翔太は少しふてくされながら答える
「なんでって……金が必要だったから。俺んとこ借金が多いらしくって、それでお母さんが俺の名前書いてエントリーしたら抽選当たった」
それって、親が出るならともかく子どもにこういうの出させるって、親の倫理観‥
「まぁ、お母さんからしたら俺のこと前々から邪魔だったみたいだし、いなくなって清々してるよ。きっと。俺の分食費も浮くだろうし、ずっと邪魔だって言われてきたしさ」
そっか。翔太はそういう家庭で育ったのか。そういう刷り込みをされて育ってきたのか……。
「んで、凛はなんで出ることになったんだ?」
「俺か……。俺は…………」
俺が出ることになったのは、生活費を家に入れるためだ。その点は翔太と似ているな。
俺の家には、母親と、父親と俺と妹がいた。
昔は兄もいたんだが、俺が小学生の頃にどっかいっちまってさ、その後は四人で生活してたんだ。
母親も父親も働いてて、稼ぎは良くなかったけどまぁ、それなりの生活はできたし、俺もそれでよかった。
でもある時父親が倒れちゃってさ、母親一人の稼ぎじゃ足りなくって、んで、たまたま見かけたこの実験に応募したってわけ。
「別に死んでも保険でお金は家に振り込まれるし、それでもいいかなって。あ、母親には友達の家に泊まりに行ってるってことにしてる」
「なるほどねー。家に借金はあったの?」
鈴香が俺に疑問をぶつける。
「いや、わかんないけど。多分あるとは思う」
「あ、そう」
淡白な返事を残した彼女に俺は聞いた。
「鈴香はなんでこのゲームに参加したんだ?」
「なに、二人とそんな変わんないわよ。ほとんど一緒だから割愛させてもらうね」
鈴香はそういった後腕時計を見た。俺も時間を確認する。ただ今二時三十分。
こんな平和な時間がずっと続けばいいのに。
そう思わずにはいられなかった。
「ルール説明の時さ、タイムアップかGMを倒せばゲームは終わるって言ってたよな」
ルール説明の時から疑問だったこと。それはGMの存在。GMは一体誰なのか。もう関わったことある人なのか、これから会う人なのか。
「鈴香は誰だと思う? GM」
「さあね、わかんない。皆目見当もつかない」
そうか……。そりゃそうよな。
翔太と俺の手札は残り一枚。お互いに手札を裏にして、その後表にする。俺のカードはA、そして翔太の手札はJだった……。ラストの勝負では負けたものの、トータルでは俺の勝ちだ。
「そういや、翔太はなんでこのゲームに参加したんだ?」
俺の問いに翔太は少しふてくされながら答える
「なんでって……金が必要だったから。俺んとこ借金が多いらしくって、それでお母さんが俺の名前書いてエントリーしたら抽選当たった」
それって、親が出るならともかく子どもにこういうの出させるって、親の倫理観‥
「まぁ、お母さんからしたら俺のこと前々から邪魔だったみたいだし、いなくなって清々してるよ。きっと。俺の分食費も浮くだろうし、ずっと邪魔だって言われてきたしさ」
そっか。翔太はそういう家庭で育ったのか。そういう刷り込みをされて育ってきたのか……。
「んで、凛はなんで出ることになったんだ?」
「俺か……。俺は…………」
俺が出ることになったのは、生活費を家に入れるためだ。その点は翔太と似ているな。
俺の家には、母親と、父親と俺と妹がいた。
昔は兄もいたんだが、俺が小学生の頃にどっかいっちまってさ、その後は四人で生活してたんだ。
母親も父親も働いてて、稼ぎは良くなかったけどまぁ、それなりの生活はできたし、俺もそれでよかった。
でもある時父親が倒れちゃってさ、母親一人の稼ぎじゃ足りなくって、んで、たまたま見かけたこの実験に応募したってわけ。
「別に死んでも保険でお金は家に振り込まれるし、それでもいいかなって。あ、母親には友達の家に泊まりに行ってるってことにしてる」
「なるほどねー。家に借金はあったの?」
鈴香が俺に疑問をぶつける。
「いや、わかんないけど。多分あるとは思う」
「あ、そう」
淡白な返事を残した彼女に俺は聞いた。
「鈴香はなんでこのゲームに参加したんだ?」
「なに、二人とそんな変わんないわよ。ほとんど一緒だから割愛させてもらうね」
鈴香はそういった後腕時計を見た。俺も時間を確認する。ただ今二時三十分。
こんな平和な時間がずっと続けばいいのに。
そう思わずにはいられなかった。
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